鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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お盆ですが投下します


立ち向かう意思

 

「そんな・・・ことって・・・・・・!」

 

「破戒」の魔法少女 ― 和紗ミチル -

 

彼女はふらふらと壁にその肢体を委ねる

見滝原からやってきた、もう一人の「転生者」

「全知」の魔法少女 ― 美国織莉子 ― から伝えられた事のあらましは驚愕に値した

少女を助け、導いた一人の少女の死から矛盾に満ちた「魔女システム」のカラクリを知ってしまった少女達

ただのマスコットとしか思わなかったキュウベェこと、「インキュベーター」の目的

それは少女を「魔法少女」へと再誕させてから、絶望させて「感情エネルギー」を得ること

彼女達、いや彼女を導いた少女「和紗ミチル」が目指した「希望」の魔法少女など、あり得なかったのだ

魔法少女となった以上、彼女達も「魔女」になる運命からは逃れられない

唯一は、魔女になる前にみずからのソウルジェムを砕いて、自殺するのみ・・・・

多くの魔法少女達が絶望する過酷な運命

しかし、彼女達は絶望することなく、また自害も選ばなかった

誰も考えすらしなかった方法を編み出し、そして・・・彼女達は運命に抗った

 

「彼女たちは自分たちの決意の象徴として、魔女の驚異的な身体能力を使って、死んだ少女を蘇らせた・・・・」

 

「・・・・・・・」

 

ミチルは、そっと自分のソウルジェムを見る

今すぐにもグリーフシードを使っての浄化が必要なくらいではないが、ジェムに若干濁りが見える

 

「それと同時に彼女達はインキュベーターの目論見、いやその存在すら否定し、魔法少女の魂のなれの果てである、グリーフシードを必要としない浄化を可能とさせるシステムの構築を行った。でも・・・」

 

「でも?」

 

「彼女達は失敗した・・・・・」

 

「みんなはどうなったんだ?」

 

「頼みの綱であった浄化システムは不完全だった。それだけならよかった。でも、インキュベーターを殺すためにに関する情報を封印してしまった以上、グリーフシードを浄化に使うことすら忘れてしまい・・・・・・消えていった。彼女達は自らの全てを再誕した少女に全てを委ねていった・・・」

 

織莉子は静かに目を閉じた

その胸に去来するのは、絶望を知りつつも前を見定めて進み続けた、気高い少女達の姿だった

 

「・・・・・彼女達は私を恨んでいたのか?」

 

織莉子は静かに顔を横に振った

 

「恨むなら、彼女達は貴方を再生しようとはしない!」

 

織莉子の感情の吐露に、ミチルは彼女を見つめる

 

「彼女達は絶望に飲まれず、私が消えた後も絶望の運命に抗っていたのか・・・・・」

 

ミチルは静かに呟いた

そこに絶望はなかった

この世界に「転生」して以来、彼女は常に苦悩に苛まれていた

夜、眠りにつくと彼女達が絶望の言葉を彼女に吐きかける

 

― 何で私たちを「魔女」にしたんだ!!! ―

 

彼女達はそんなことを言わない

そう信じたかった

だが、目の前で「魔女」へと変じた彼女を見てもそう言えるだろうか?

 

― ごめんなさい!!ごめんなさい!! ―

 

夢の中で何度も謝った

でも彼女達は許してくれなかった

だからこそ、彼女はやや苛烈ともいえる方法で、彼女の「絶望」の種を潰していった

それで彼女達が許してくれるとは思っていない

でも・・・・・彼女はそれを辞めることはできなかった

「ユウリ」に叱咤されるまで、それは続いた・・・・・

 

「ほむらさん、そしてミチルさんよく聞いて。私はこの連続失踪事件は、かつての世界でプレイアデス聖団が生み出し、全てを委ねた不完全なシステムを誰かが再び、この救済された世界で生み出そうとしていると考えている」

 

「箱庭システムを?」

 

「ええ。かつての世界を知っているなら、例えこの救われた世界であってもあのインキュベーターの存在を許せない。だからこそ、認識を書き換えて奴らの存在そのものを殺そうとするでしょう」

 

「でもなぜ、彼女の友人たちを誘拐しているの?ミチルさんの話では彼女達は魔法少女でもないのに・・・・・」

 

「箱庭はミチルさんを除く、プレイアデス聖団六人全ての固有魔法を掛け合わせることによって発動している。そのおかげで、あすなろ市全てをカバーできた。この世界で、彼女達と同じ魔法を持つ魔法少女を探すよりも・・・・」

 

「かつての世界でプレイアデス聖団であった、彼女達を拉致して魔法少女にしてしまった方が早い、ということか!」

 

ダン!!!!!!

 

ミチルがビルの壁を叩く

みるみる壁にヒビが走るが、怒りに満ちた彼女はそれを気にすることはない

ミチルは拳を奮わせた

その顔は鬼神の如く、怒りに震えている

 

「・・・・ミチルさん、怒りは力ともなる。でもそれに飲み込まれてはいけないわ」

 

ほむらがミチルに声をかける

その言葉は同時に自分への言葉でもある

もう少し・・・・もう少しだけ、私に優しさがあったら・・・・

「まどか」いや、「マギカ・カルテット」の皆を助けられたかもしれない

 

「後悔はしても仕方がない。それは前に進めなくなるだけよ。でも失敗から学べないのはなお悪い」

 

織莉子が階下を指差す

 

「私達には守るべき人々がいる!」

 

階下のジャンクションを歩く人々

それは彼女達、「魔法少女」が助けるべき人々だった

 

 

 

 

 

 




甥っ子がパソを覗き込んでくるのがうざい
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