鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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では投下


ダブルフェイク

あすなろ市再開発地区

その廃業したテディベア博物館「アンゼリカ・ベアーズ」の地下

地下は驚くべきほどの機器と、デジタル式、アナログ式などの各種メーターや大小様々なカプセルが犇めいていた

その中、一人の少女が静かにモニターを観察している

 

フォォン・・・・・

 

濃緑色のモニターにはオシロスコープにような波長が大きく広がっていくのが見て取れる

 

「愛華、コレどう見る?」

 

金色の髪の少女の声に、先ほどまで別のモニターを見ていた青い髪の少女が顔を上げる

少女は薄青色のツナギに白衣を合わせたような出で立ちで、その首筋には歯車をあしらった黒い宝石が嵌められたチョーカーを身に着けていた

 

「そうだね~波紋はシステム上あったっておかしくないけど・・・・。真琴、悪いけれどココを拡大して」

 

「わかったわ」

 

真琴と呼ばれた少女が画面をスライドさせる

その瞬間、空中に拡大されたモニター映像がホログラムとして浮かぶ

 

「やっぱりか。・・・・・真琴、侵入者だよ」

 

愛華が対応箇所を指を指し示した

 

「この大結界の主体が魔法少女達から抽出した個々の魔力である以上、必然的にある程度の揺らぎがある。魔力は魔法少女の精神状態に強く影響されるからね。だから、この結界でも影響の薄い場所ができる」

 

「だからこそ、あすなろ市でも結界の影響の受けない場所を意図的に作り出している。それで、結界の魔力量やノイズを一定にしているわよね?」

 

金色の髪の少女 ― 宇佐美真琴 - が愛華を見る

 

「そうだよ真琴。意図的にスポットを作り出すことで私たちも結界に取り込まれていない。だからこそ、楽園内でノイズがあってもそれは自然なこと。取り立てて異常だと考える必要はないよ。でも、真琴、これを見て」

 

愛華がホログラムに指を当て、拡大する

 

「さっきも言ったけど、ここで4回程小さな揺らぎが出てる。ノイズにしては残響エコーも全くみられず、小さなノイズが出て直ぐに消えている。明らかに人工的な揺らぎだよ。量産型魔法少女が、結界内で魔法を使ったらこんなに小さなノイズにはならない。このノイズは外から入ってきた前時代の魔法少女がやったことに間違いない」

 

そこまで言うと愛華は真琴を見た

 

「で、どうするの真琴?」

 

「そうね・・・・対応はいつも通りでいいんじゃない?私達の結界に抵抗できる魔法少女は存在しないし」

 

「そうだよね。私達も結界の影響の薄いスポットを知らなければ・・・・・・・・・・」

 

あすなろ市を覆い包む大結界「楽園」

街一つカバーする、その広大さも非常の脅威だが、なによりも対象の記憶を書き換える事が重要だ

これにより、何の準備もしていない魔法少女は自分が何であるかを忘れ、結果として「楽園」の住人になってしまう

愛華と真琴が参考としていたプレイアデス聖団の「箱庭」

このシステムは、あくまで「結界内にいるインキュベーターを認識させないようにする」だけだ

故に、外からあすなろ市に入った魔法少女はインキュベーターの記憶のみを「失う」

しかし、「楽園」はインキュベーターのみならず、魔法少女に関する記憶全てを失う

なぜか?

それは彼女達が作り出した新たな「理」には必要のない存在だからだ

「楽園」が起動して以来、興味本位、あるいは結界の中に飲み込まれた友人を助け出す為に「楽園」に侵入する魔法少女は多い

しかし、彼らは一人の例外もなく記憶を上書きされて、皆「楽園」の住人になった

 

「それよりも愛華、あすなろ市の瘴気量の変位は?」

 

「今の量産型の魔法少女でも十分だよ。現にかたっぱしからイーヴル・ナッツを使って瘴気を吸い込んでるから、魔獣が発生するほどには瘴気は溜まっていないし」

 

「そう・・・・イーヴル・ナッツの生育状況は?」

 

「ちょっと待ってね・・・・・」

 

愛華が手元のパネルを叩く

 

「ええっと・・こっちは予定より遅れてるね」

 

真琴が身を乗り出す

彼女の細い手がグラフをなぞる

 

「これくらいなら問題はないわね。瘴気の量は計画的に減少しているから、この前みたいにわざわざ人間にイーヴル・ナッツを打ち込んで魔女モドキを作り出さなくてもいいわね」

 

真琴がモニターから顔を上げる

 

「でも、考えてみればよくできたシステムだよね~~~~。量産型魔法少女システムって」

 

「そうね。瘴気をイーヴル・ナッツで吸わせて、それを適当な人間に打ち込んで魔女モドキ化させる。それを魂の欠片で魔法少女化させた少女に狩らせ、イーヴル・ナッツを回収して、それから抽出した魔力を楽園に流し込む。グリーフシード無しのこのシステムが成功すればあの悪魔を駆逐できるわ」

 

金色の髪を靡かせると、モニターから目を離した

 

 

「じゃぁ、少し休むね」

 

愛華が魔法少女形態を解除して、黒いスリムジーンズとタンクトップといった活動的な衣服を纏っていた

 

「そうそう、ジュウベェを持っていきなさいよ」

 

「わぁってるよ!」

 

「じゃあね愛華!」

 

愛華は真琴を軽くハグする

花の匂いの香水が香る

 

 

愛華が離れた地下

そこに一人、真琴が佇んでいた

 

「さてと・・・・ご招待の準備をしなきゃね」

 

そう言うと、彼女は地上へと繋がるエレベーターへと向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




プレイアデス聖団がらみのガジェットは、結構魅力的なんでこのSSでも使っていきます
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