鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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では投下します


希望の庭

何もない白い空間

目の前にはかつての仲間達の姿

その表情には怒りはなく、ただただ憐みだけが浮かんでいた

 

「・・・・!」

 

ガバッ!

 

艶やかな金色の髪を揺らし、一人の少女が目を覚ました

女性らしい丸味を帯びたシルエット、そして包容力のある乳房

 

「此処は・・・・・?」

 

傾いた日差しの光に包まれ、暖かな光に満ちた部屋

手にしていた時計を見ると、針は14時を指していた

少女が周りを見渡す

シミ一つない白く、清潔なシーツ

彼女がその身を横たえられていたのは、控えめな装飾が施された豪華なクィーンサイズのベット

そしてベットの近くにあるアールデコ調のテーブルには、上品な装飾の施されたウェッジウッドのティーセットが置かれている

そこから漂ってくる芳香から、紅茶も決して安い物を使っていない

もてなしとしては最高級のものといっていい

これが、普通に「友人」としての歓待なら彼女も喜べたろう

しかし彼女 ― 巴マミ ― は喜ぶことはできなかった

 

「・・・・・・・」

 

彼女は全てを喪った

自分を慕ってくれた後輩も

自分を信用してくれた仲間も

他ならぬ、彼女自身の裏切りで

 

トントン

 

目の前の扉が叩かれる

 

「入ってもいいかしら?」

 

明るく、凛々しい声だった

 

「・・・・どうぞ」

 

扉を開けて入ってきたのは、マミと同じ金色の髪をした長身の少女だった

 

「お目覚めはどうかしら巴マミさん?」

 

「真琴さん・・・・」

 

彼女を「楽園」へと誘い、「離反」という凶行へと彼女を駆り立てた少女「宇佐美真琴」がそこに立っていた

 

「ねぇ・・・皆はどうなったの?」

 

マミの脳裏に崩れ落ちた自分を冷ややかに見つめる「仲間達」

その憐れむような視線は彼女の意思を打ち砕いた

そうだ

あのあと急に気を失って・・・・

 

「彼女達は直ぐに脱出したわ。貴方を一人残してね」

 

「そう・・・・」

 

正直、彼女達が怒りにまかせて、マミを私刑に掛けることもあると覚悟していた

たが現状はそれよりももっと酷い

彼女は一人此処に残された

それは巴マミという「存在」を無かったことにされたと同義だ

 

― 私は怒りをぶつけられる価値すらないの? ―

 

呉キリカがマミに言ったことは事実だ

彼女は怖かった

たった一人になることが

だから一緒に「楽園」へ仲間を連れてこようとした

 

「安心して。貴方のソウルジェムの浄化は済んでいるよ。危なかったわね・・・・もう少し遅れていたら救済する暇もなく、貴方は円環の理に導かれてしまうところだったわ」

 

「・・・・・・・」

 

巴マミは真琴から罵倒されると思っていた

仲間達をこの「楽園」に連れて行くことは彼女に命令されたわけでもない

マミの独断だ

真琴からは楽園の内容について、そして彼女達の救済に協力するのなら、あすなろ市の旧市街にあるアンゼリカ・ベアーズに来ることを伝えられたのみに過ぎない

そう

彼女の離反はあくまで彼女の我儘だった

理由は「一人になりたくなかった」

優しくて強い、理想の「魔法少女」

それは彼女自身が裏切られ、見限られない為にその身を犠牲にして得たもの

その甲斐あって、彼女は周辺の魔法少女にもその名が知られる存在になった

仲間も得た

だが、今度はその演じていた自分が彼女を追い詰め始めた

誰も彼女の奥底に眠る「孤独」を知ってくれなかった

誰一人もだ

その時に現れたのが彼女 ― 宇佐美真琴 - だった

彼女から伝えられた「楽園」の概要

そして「魔法少女」の「救済」

彼女は「壊れた」

仲間達への裏切りを「彼女達の救済」とすり替え、彼女は自分の裏切りを正当化した

しかし、美国織莉子は彼女の上を行っていた

挙句、「魂の欠片」を奪われ「あすなろ市」のデータを知られることになってしまった

罰せられても文句は言えない

だが目の前の少女は笑みを浮かべたまま、マミにテーブルに座るよう促した

 

「貴方の好みに合わせてカモミールティーを用意したわ。今後のことについて落ち着いて話さない?」

 

「ええ、いただくわ」

 

二人っきりの茶会が静かに始まった

 

 

「まずは楽園へ、ようこそ巴さん」

 

「ええ・・・」

 

真琴がカップに紅茶を淹れながらに声をかけるが、その問いかけにマミは言葉少なげに答えるのみだった

 

「貴方は自分が見捨てられるのでは?と考えている・・・そうでしょ?」

 

「・・・・・」

 

知らず知らずにマミは手の中のカップを握りしめていた

 

「答えはノー、よ。私の救済は全ての魔法少女を救うこと、そこに一切の例外はありはしない」

 

少女「宇佐美真琴」は笑みを絶やすことなく、淡々と話した

 

「体調はどうかしら?これから面白い余興があるのだけれど・・・・・」

 

 

プシュゥ・・・・

 

アンゼリカ・ベアーズの地下

驚いたことに巴マミが目覚めたのはアンゼりカ・ベアーズの地上部分だったようだ

真琴が言うには、外装は廃墟のままで内部はかなり改装されており、特に地下は複数の階層に分かれているのだそうだ

その地下にある一室

マミが真琴に案内された場所は無数のディスプレーや、キーボードが羅列された部屋だった

 

「ここは・・・・・?」

 

ヴゥゥゥゥ・・ン

 

微かに響く低周波音

他の部屋と比べ、若干部屋の温度が低くく感じるのは奥に見える、巨大なタワー型コンピューターを冷却する為に液体窒素を使用している為なのだろう

 

「殺風景な部屋でごめんね」

 

真琴が壁のボタンを押した瞬間に、二人分の椅子が床からせり出した

 

「いい物を見せてあげるわ」

 

「いい物?」

 

「ええ。きっと満足してもらえると思うわ」

 

空中に浮かぶキーボートを叩くと、全てのディスプレーが展開した

 

「これって・・・・・」

 

フォン・・・・・

 

それは空中に浮かび上がったのは精巧なあすなろ市の立体映像だった

 

「・・・・・仮にインキュベーターを追い出しても、呪いは残り続ける。でも私はその解決法を見つけた」

 




今週の「蒼の鋼のアルペジオ」

ヒュウガがイオナを押し倒してヘコヘコしたところに笑った・・・・・・
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