鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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では投下します


希望の朝

装飾の施された窓から射し込む暖かな朝日を浴びて、一人の少女が目を覚ました

 

カシャ・・・・

 

少女が窓のロックをはずし、外の清浄な空気を取り入れる

黄金を溶かし込んだかのような彼女の髪が風に踊る

少女の周りにあるのは最上級の調度品

どれもこれもが職人の手による本物の一品ばかりだ

彼女が一人で住む部屋にも高価なアンティークを始め様々な調度品があるが、これほどまで贅を凝らしたようなものはない

それもそのはず

ここはあすなろ市でも指折りの高級ホテルで、その最上級のスィートルームに宿泊しているのだから

真琴に「アンゼリカ・ベアーズ」の機能と、彼らの活動について詳しく説明をしてもらったあと、真琴からマミの為に宿舎を用意したと告げられた

正直、マミとしては目覚めた時に居たアンゼリカ・ベアーズの客間でもよかったが、真琴は譲らず結果として、マミが折れる形で了承することになった

その際に真琴からは「魔女モドキの結界」の中で見た、「キュウベェ」に似た生き物を同行させるように言われた

曰く、この「ジュウベェ」と言う生き物はキュウベェの死体を利用して作られた存在で、この大結界からの影響を中和させることが可能なんだそうだ

 

「寝ているときまで魔法少女のままなんて窮屈でしょ?」

 

真琴はそう言っていたが、恐らくはマミに対する「首輪」なのだろう

得体の知れない生き物に纏わりつかれるのは嫌だが、結界の効果を考えるなら素直に彼女の言う通りにしたほうがいい

 

「オイラジュウベェ、よろしくな!!!」

 

まぁ、キュウベェの無感情な話しぶりよりも、ジュウベェの話しぶりの方が好感を持てたのが救いだが・・・・・

 

 

「此処が宿舎よ」

 

真琴に案内された宿舎を見て巴マミは驚いた

見滝原市でも名の知られている高級ホテルに案内されれば誰でもそうだ

 

「ちょっと宇佐美さん!」

 

「何かしら?巴さん」

 

「私達が来たって、その・・・・」

 

「泊めてくれない?かしら」

 

「でしょ。だって・・・・」

 

真琴がこの「あすなろ市」で最も力のある魔法少女であるとはいえ、大人からみればただの「子供」だ

ホテルという「公共施設」がその品位を失わせるようなことをするはずがない

警察を呼ばれて即補導という、最悪の結果さえあり得る

 

「大丈夫よ」

 

そう言うと真琴がマミに笑みを見せた

 

レセプションに向かう真琴とマミ

周りの珍奇なモノを見る視線を痛いほど感じていた

 

「母の名で部屋を取った真琴だけど・・・・」

 

真琴は外野の視線など全く目もくれず、堂々とした態度でフロントを呼ぶ

 

「失礼ですが、当ホテルでは・・・・」

 

レセプションでは紳士然とした初老の男性が対応した

案の定だが、宿泊には親の同伴が必要と話す

当然だ

見ず知らずの「子供」が宿泊にやってきたのだ

問答無用で警察を呼ばないだけマシだといえる

 

「・・・・話にならないわね」

 

真琴は懐からスマートフォンを取り出すと、手慣れた手つきで操作すると電話を掛けた

 

「おじさま、真琴ですわ。ええ、そ・の・宇佐美真琴ですわ。そう・・・・手違い?ならさっさと電話しなさい!私は友人を待たせているのですよ!!」

 

「あの・・・・その・・真琴さん?」

 

マミが事情が呑み込めず、目を泳がしているとニコリと真琴がマミに微笑んだ

 

「夕食は部屋で食べましょうか、巴さん」

 

レセプションで電話が鳴り響き、それをとった初老の男性が顔を青ざめさせるのにさほど時間はかからなかった

 

 

「ホントに泊れた・・・」

 

二人が案内された部屋はこのホテル最上級のスィートルーム

マミは特に何にもしていないのに、支配人らしい壮年の男性に謝られたのは心苦しかったが、真琴はそれを当然と考えていた

 

「ったく、日本企業に擬態した外資に乗っ取られそうになったのを助けたってのにね!」

 

部屋に着き、真琴が言うことには此処は以前は資産転がし目的の特ア系外資が乗っ取りを掛けようとしていたらしい

それも酷い有様で、部屋にゴキブリの卵を幾つも設置する

取るに足らない用事でフロントをパンクさせる

挙句の果てに、部屋の備品をテレビに至るまで盗むなど、このホテルの総支配人はかなり追い込まれていた

真琴が ― とはいっても魔力で多少、年を誤魔化していたそうだが ― で救ったおかげで、殆ど顔パスといっていい状態になっているのだそうだ

仲間の内、何人かはこのホテルに泊まっているらしい

 

「さて、夕食は何を食べたい?」

 

「いや・・・いい」

 

「そう、じゃぁルームサービスは24時間使えるから、適当に頼んでもいいわよ」

 

「ありがとう」

 

巴マミが彼女に礼を言うと、真琴は部屋を出て行った

 

 

思えばよく寝れたのは僥倖だ

これは真琴から振る舞われたブランデー・ジンジャーのおかげかもしれない

少なくとも、以前のような悪夢にうなされることがなかったのだから

 

何時もと変わらない教室

マミが座ろうとしても、そこにある椅子も机もロックされて動かない

彼女が周りに声を掛けても誰も気付かず、教室に入ってきた教師からの返事もない

彼女が泣き叫んでも誰も聞こえていないようだった

そして、マミが鏡を見ると、そこには彼女の姿は写っていなかった・・・・・

 

「もう・・・・忘れて生きよう・・・・自分の為だけに・・・・」

 

そう呟く彼女は、魔法少女である前に「少女」だった

 

 

 

 

 




ラジオ体操って、具体的にどんな効果があるのだろうか?
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