鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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では投下

合成人間と聞くとレトロSFを思い出す・・・・




紛い物の涙

 

「私が全てを話す前に一つだけ質問がある」

 

神那ニコが二人の少女 ― 飛鳥ユウリと杏里あいり ― を見る

ユウリは先ほどのように彼女を睨むことはないが、しかし警戒は緩めていなかった

 

「・・・・・なんだ、その質問とやらは?」

 

「そんな穿ったものじゃないよ。答えは今じゃなくてもいい、話を聞き終わって本心のまま・・・・そのままの答えを教えてほしい」

 

ユウリとあいりがニコを見る

その表情は真剣だった

 

「・・・・・・わかった」

 

彼女は静かにそう答えると、ニコは話始めた

自分が歩んできた、血塗られた運命を・・・・・

 

 

「私は人間じゃない。それはユウ、いやあいりも知らないだろう」

 

「人間じゃない?」

 

「ああ、有体に言えば合成人間さ。カンナが契約の対価に願ったのさ・・・・・あの事件のことを全く知らないもう一人の自分をくださいって。もっとも、この世界ではアノ事件は起こらなかったけどね。」

 

「あの事件って・・・・・?」

 

「かつての世界で私を願ったカンナは・・・・人殺しだ。幼い頃、カウボーイごっこで実銃を使っていて・・・・暴発させてしまった。事故ではあっても、彼女が撃ったという事実は変わらない。だからこそ願ったんだ、何も知らず幸せに生きる自分自身を・・・・」

 

ユウリもあいりも黙っていた

ニコのその少女らしい華奢な身体にそのような深い業が刻まれていたことに

 

「最初は問題なかった。でもカンナはツメが甘かった。奴らが同じ素質を持った人間を野放しにしておくと思う?」

 

「奴らって・・・インキュベーターのことか?」

 

ニコは静かに頷いた

 

「奴らの目的は宇宙の寿命を延ばす事。その為には、人を追い詰めることも辞さない、奴らにとっての唯一の美徳は嘘を吐かないと言うだけ。奴らの口からニコと、その願いを聞いた私は怒りと絶望に飲み込まれた。そして復讐を開始したんだ」

 

「あたしの前に現れたのもそうか?」

 

あいりが身を乗り出す

彼女はかつての世界で、魔女化したユウリがプレイアデス聖団に処分されたのを知り復讐を誓った

その前に現れたのが目の前の合成人間「聖カンナ」だった

 

「ええ。貴方は親友をプレイアデス聖団に倒されていたからね。私は貴方にイーヴルナッツや情報を与え、同時にあるモノを奪取するようにも頼んだ」

 

「あるモノ?」

 

ユウリは苦々しく、ニコを見る

 

「ミチルはプレイアデス聖団を結成し、程無くして魔女化して死亡した。でも、彼女は知らなかった・・・自分がプレイアデス聖団にとってどんなに大きな存在だったのかを・・・。そして彼女達は私と同じ存在、合成魔法少女を作ろうとした」

 

「本当のことなの?あいり?」

 

「ああ・・・・本当だ。アイツらは ― かつてのプレイアデス聖団のことだが - ・・・・魔女の心臓で動く魔法少女を作った、自分たちの為に」

 

「私は手を叩いて喜んだよ・・・この世には私だけしかいないと思っていたからね。でも、生み出されたかずみは私じゃなくてプレイアデス聖団を選んだ」

 

ニコは静かに目を閉じた

 

~ 違う!友情を感じた!だから・・・だから私は友達の為に死を選ぶことができたんだよ!! ~

 

かずみはたとえ、自分が「ツクリモノ」であってもその輝きを失わなかった

それはロジックの積み重ねや、小手先の技術では決して生み出すことはできない「本当のキモチ」

間違いなく、あのかずみは「人間」だった

 

「私は・・・・負けた。そして、その後に辿った道程は・・・・」

 

ユウリを見る

彼女は冷静だった

まるで彼女も「かつての世界」の存在について、知っているかのように・・・・

 

「その様子だと、あいりから聞いているようだね・・・かつての世界について」

 

あいりは静かに頷く

 

「私はカンナに宿っていた。そして彼女が破滅の未来に進まないようにあらゆる干渉を行った。結果、彼女は幸せに育っていったよ・・・でもあの日、ハロウィンの前日ギャングに両親が撃たれた。なんて皮肉だ・・・・折角、友人を失わず、魔法少女にも関わらない人生を歩んでいたのにね」

 

ユウリはニコの目の端に涙が浮かんでいたのを見逃さなかった

 

「私はカンナに契約を結ばせ、かつての世界と同じように合成人間として具現化した私も、契約して魔法少女になった。復讐の為なんかじゃない、両親を助ける為だ・・・・私もカンナも十全を尽くした。その甲斐あって、命は助かった・・・・でも両親は植物人間になった」

 

「もしかして私と出会ったのって・・・」

 

「かずみと会うためだ。可能性は低かったが、かずみもこの世界に転生している可能性があった。かつての世界での彼女は、意識不明になったグランマを目覚めさせるために契約したからね。もしかしたら、と思ったんだよ。上手くいかなかったけどね・・・」

 

「うまくいかなかった?」

 

ユウリが身を乗り出す

 

「かずみの魔法は破戒。言うなればハッキング能力だよ。だから・・・彼女は私達の両親を目覚めさせることはできなかった。そこにアイツらが現れた」

 

「アイツら?」

 

「恐らくはユウリとあいりを此処へ拉致したのと同じ奴だよ。そいつがやったこと、そしてカンナが選んだことは既に知っている・・・・!」

 

ニコは頭を下げた

 

「私はカンナを救いたい!正義の為とかそういうのじゃない!ただただカンナを目覚めた両親の元に返したいんだ!!!!」

 

「気に入らない・・・・」

 

あいりが静かにそう呟く

 

「あいり・・・!」

 

「アンタはたった一人の為に、私達を戦わせるつもりなの?」

 

「無理に言わない。断っても私は二人を日本に送り届ける!」

 

「・・・・本当だな?」

 

「ああ。でも、助けてくれるなら私に支払える対価なら、なんでも用意する!!」

 

あいりが立ち上がり、ニコの前に立つ

 

「たった一人、カンナを救う。それだけなら手を貸す。」

 

あっけを取られたユウリがニコを見る

その顔は涙が流れていた

 

「あり・・がとう・・・・・」

 

彼女の瞳から流れおちる涙

それは彼女が「人間」であるという証拠だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ヴァルヴレイヴ・・・・・・・
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