鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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ではでは投下


あと・・・・もう少し

「彼女がゆまちゃん・・・・?」

 

サキが傍の真に尋ねる

そこには真から聞いたよりも小さくなった「美国ゆま」が立っていた

 

 

此処は「イドの闇」に作られた魔法少女達の集会場

そこを囲むのは海香とカオル以外の劇団「プレアデス聖団」の四人と真、そして「美国ゆま」を合わせた六人だけだ

真がこの場所にゆまを連れてきたのは今回が初めて

記憶を取り戻させることは成功した

混乱するかとも思っていたが、ゆまはその強い意志で「魔法少女」として生きるのを決めた

ただ問題はそれだけではない

実際、最も注意するのは「ゆま」が自分の「夢の世界」を否定した後のアフターケアだ

当然のことだ

「夢の牢獄」に繋がれている間は、対象にとってそれが「世界の全て」

それが魔法で作り出された夢であることを知った瞬間に、培ってきた友人や家族や仕事、全てのアイデンティティーが崩壊してしまう

無論、中には正気に戻った瞬間に自分の好きな風に改変された世界と、それを第三者に見られたことで激しく羞恥を感じる場合も往々にしてあるのだが・・・・

厄介なのは、例え夢の呪縛から逃れられたといっても脱出計画の実行時まで、対象者がその夢に満足しているように演じなければならない

真やサキの二人だけなら、それはそう難しい事ではなかった

でも、記憶を取り戻した仲間が一人また一人と増えてくると細心の注意を払う必要が増えてきた

大所帯になれば注意は散漫になる

おまけにあの世界が「夢」だと認識した途端に、いわゆる「理性」のタガが外れる場合もある

・・・・・サキも手慣れたもので「里見」と「みらい」にオシオキする回数はゆうに二桁に達しているのは言わずもがなだろう

だからこそ、真もゆまの動向を見ていた

いくらゆまが「成長した自分」を夢に見ていたとしても、彼女はまだまだ幼い

しかも彼女は「魔法少女」として「覚醒」したばかりだ

だから、彼もしばらくはゆまの夢の中に入りシナリオ通りの「美国真」として振る舞っていた

ゆまは真が思う以上に聡明だった

彼の目から見ても彼女は「周囲から期待されるゆま」を見事に演じていた

 

~ もしも・・・この世界から脱出できたらプレアデス聖団の皆と一緒に劇をやるのもいいかな ~

 

だが真の役割はそれだけではない・・・・・

 

 

「ゆまちゃん、変身してみて」

 

「うん・・・・・」

 

イドの闇の中で、真がゆまに魔法少女としてのイロハを教えた

彼女は自分の辛い過去を追体験するまで、彼女の姉である織莉子の手で魔法少女としての力と記憶を封印されていた

自らの闇 ― 名も無い少女 ― と対面したことで、ゆまは再びそれらを手に取り戻したが魔法少女として生きる上で必要な経験や能力、技術は欠如していた

通常、契約したての魔法少女が経験を積むには魔獣との戦いが必要

戦い意思は何よりも強い

それは実戦でしか得られないのだ

だが、ここイドの闇の中ではそれは無理

とはいえ必要最低限の戦い方は知らなければならない

だから真が教師役となってゆまに教えていた

 

「ええっと・・・・・」

 

ゆまが強く念じる

ライムグリーン色の光がゆまの胸から迸り、それが身体全体を覆う

肩を出した動きやすい服

大きなブローチ

そしてそのエメラルド色の髪の上に白い猫の耳を象ったボンネットが乗る

初々しくも可愛い姿

ただ「足りない」

 

「どうかな真お兄ちゃん?」

 

ゆまが真を見る

でも彼の表情は硬い

 

「武器は?」

 

「へ?」

 

魔法少女というのはそれぞれ固有の武器を持つ

武器が「他人の武器」をコピーするといった、特殊なタイプも場合によっては存在するがゆまがそんなタイプには見えない

 

「武器っていうのはね・・・・・」

 

今度は真の番だ

胸に抱いたソウルジェムから泡が彼の全身を包み変身が完了する

そして手を横に薙いだ瞬間、手の内にサーベルが現出する

 

「これが・・・武器・・・」

 

「そうだよ。僕の場合は特殊で、このガントレットの方がメインなんだけどね」

 

そう言うと、ゆまの目の前でカチンとガントレットを鳴らす

 

「ゆまもかっこいい武器が欲しいな・・・・」

 

「それは違うよ。武器は自分の心が望んだカタチで錬成される。ゆまちゃんは一度それをしているから一度成功すれば無理なくできるはずだよ」

 

~ そうは言っても・・・・ ~

 

魔法少女になる方法は感覚で「わかる」

でもその手に武器を錬成するとなると話は別だ

武器は単純に爪や牙の延長ではない

研ぎ澄まされた殺意と冷静な決断

それがなければ使いこなすのは無理だ

あの闇の中

全てを粉砕したハンマー

それが彼女の固有武器であることは間違いない

ゆまは目を閉じ、必死にその時の感情を思い出す

怒り

悲しみ

憤り

様々な感情はゆまの前を通り過ぎていく

そして

 

「全てを打ち砕く!!!!」

 

ゆまの手に光が集まり、それは一見ロリポップにも見える巨大なハンマーとなった

 

「これが・・・・私の武器?」

 

「・・・・・そうだよ。じゃあ始めるよ」

 

「え?」

 

「これから実戦を教える」

 

「戦い?」

 

真が静かにうなずく

 

~ 戦うと決めたんだ・・・・怖くなんてない! ~

 

ゆまが武器を構える

真は教師として、魔法少女としてゆまに全てを教えた

魔力の使い方から魔法少女の戦いにいたるまで

それは彼女が生きる為でもあった

 

 

「美国ゆまです、よろしくお願いします!」

 

明るい声が集会場に響いた

宇佐木里見と若葉みらいがさっそくゆまをいじっている

自分たちが敵の手によって夢の牢獄に繋がれているのを暫し忘れそうになる

その光景をサキは静かに見つめていた

 

「あと一人、か・・・・・・」

 

 

 

 

 

 




バディ・コンプレックス
何か劣化ガンダムSEEDに見えてきた
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