鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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好きだったSSが完結して淋しい・・・・


野良猫少女

― ビストロ・タチバナ ―

 

寡黙であるが、リーズナブルな価格設定と満足度の高いメニューから隠れたファンも多い洋食店

しかし、かつてその店主である立花宗一郎が詐欺に遭い店を奪われそうになったのを、二人の魔法少女が救ったことを知る者はいない・・・・

 

 

「立花さん無理言ってごめんなさい」

 

美国織莉子が白のシャツと黒のスラックスを身に着けた青年に頭を下げる

 

「そんなことはいいさ。織莉子さんは店を守ってくれた、それはこれくらいで返しきれる恩じゃない」

 

 

店主の立花宗一郎

有名店で修業したわけでも有名コンクールで賞をとったこともない、いたって普通の料理人

しかし、彼の優しい料理が示す通り「善人」をそのまま結晶化させたような、彼の人柄を愛する人間は多い

 

 

「・・・・私達の言葉を信じてくれたからできたことです」

 

「そうだな。いきなり契約書を見せてくれ!だもんな」

 

「立花さんは私達を信じて見せてくれた。だからその裏に詐欺師と善意の第三者がグルになっているってわかったわ」

 

宗一郎の脳裏にあの日の光景が浮かぶ

見慣れない白い服を着た少女 ― 美国織莉子 ― が契約書を金色の円盤の上に乗せた瞬間、そこに込められた情報が解放された

 

 

― ショッピングモールの権利書は・・・・・・ ―

 

― 俺はマカオにいるからな・・・・利益は山分けだ ―

 

― 分かってる。日本の警察は刑事犯なら本腰入れて海外まで行くが、詐欺なら簡単に巻けるからな ―

 

二人の男は明らかにグルだった

そしてその内の一人は「立花の土地を何も知らずに買った」と認定された「善意の第三者」だった

 

 

「畜生・・・・」

 

 

詐欺師は狡猾なことに「善意の第三者」を用意していた

これなら異議申し立てをしても、被害者である立花は詐欺師の用意した「善意の第三者」に被害を弁済しない限り店を取り戻すことはできない

唯一の方法は「善意の第三者」が詐欺師とグルになっていることを実証しなければならない

しかし、それを引き受けてくれる弁護士の伝手も金も用意できなかった

彼の「ビーフストロガノフ」のファンである魔法少女探偵「織莉子」と「キリカ」以外には

 

「織莉子さんが教えてくれなかったら、あのまま泣き寝入りだった・・・・感謝しているよ。ところで何時もの黒髪の娘は?」

 

「目の前に居ますよ?」

 

宗一郎が周りを見渡すが、いつもの姦しい黒髪の少女は何処にもいない

また「変身」して、織莉子になっているとか?

安直すぎる

では・・・・

 

「降参だよ」

 

織莉子は微笑んだ

 

「賭けは私の勝ちね。キリカ」

 

「へーい」

 

バーカウンター横の観葉植物が動いた

そしてガラスが割れるような音が響き、そこには黒髪の少女 ― 呉キリカ ― が立っていた

 

「意外と几帳面だから、観葉植物が増えたことに気付くと思っていたのに・・・・」

 

宗一郎の表情に驚きはない

あの日以来、彼女達「魔法少女」と関わり彼女達に常識が通じないことは既にわかっていた

 

「こんな手の込んだ偽装をするということは今回の相手はヤバいのか?」

 

「警察・・・・それも魔法少女について聞きたいって」

 

「目的はキミ達かい?」

 

「いいえ・・・でも少女連続失踪事件を調べているそうよ」

 

ゴトッ!

 

不意に店の奥で何者かの気配がした

 

「・・・・立花さん」

 

「ごめんね。実は猫を一匹飼っていて・・・・」

 

「そう。確かに飲食店で猫は放し飼いにはできないわね」

 

「お、おい・・・」

 

キリカが織莉子に声を掛ける

しかし、彼女は動じない

 

「立花さんは優しい人よ。例え野良猫でも傷ついているのを見てほっとけない」

 

「キミ達も優しいさ。現に助けてくれた」

 

「それは立花さんだから・・・・」

 

「嬉しいね。依頼人が来るのは午後なんだろ?昼食くらいどうだい」

 

「ありがとう立花さん」

 

 

 

― あの人達が立花さんの言っていた魔法少女 ―

 

調理場の奥、一人の少女が息を殺して潜んでいた

腰までの黒髪

背は低かったが、その柔軟な肢体は猫を思わせた

 

― 二人・・・・仲がよさそうだな・・・ ―

 

少女の脳裏に六人の仲間達と笑いあった日々が思い出される

ここから出て、あの二人に魔法少女であると言ったら友達になってくれるのだろうか?

少女は頭を振り、その考えを追い出した

 

― 駄目!そんなことをしたら・・・・ ―

 

仲間達を絶望の淵に追い込んでしまった、過去の幻影が彼女を苦しめた

 

― 私は友達なんて、尊いものを持ってはいけないんだ ―

 

彼女の悲壮な決意を知る者は誰もいない

 

 

 

 

 

NGシーン

 

 

「今日の特訓はだな・・・・真、お前の鉄仮面を貸せ」

 

 

― ここ最近鉄仮面絡みで碌な目にあっていないような・・・・ ―

 

 

杏子との本気の決闘で舎弟を卒業した真であるが、時折思いついたように杏子の特訓に付き合わされている

 

「いいか?勘違いするんじゃないぞ。これはれっきとした特訓に使うわけだな・・・」

 

渋る真から鉄仮面を受け取ると、杏子はソレを自らの顔に当てた

 

「よし!真、今からアタシをお前と思って戦え!」

 

「へ?」

 

「だから!自分との闘いさ。よくマミが言っているだろ?魔法少女の最大の敵は自分の力を信じ切れずに実力を出せないことって!」

 

「つまりは本気で戦えと?」

 

「ああ。人は自分以外の人間と戦う時、知らず知らずに力をセーブしている。だから師匠のアタシが舎弟のアンタに肩を借してやるって言ってんだ!」

 

「それと鉄仮面との関係は?」

 

「アタシの顔が見えたら、知らずに力をセーブする。でも見慣れた鉄仮面なら多少は本気で戦えるわけさ」

 

久しぶりの特訓らしい特訓に真の心は高鳴った

 

 

― 杏子さんは変態だけど、やっぱり僕の師匠なんだ!そんなにも僕のことを・・・! ―

 

 

「いきます!」

 

「来いよ真!!!!!」

 

 

彼は失念していた

彼女「佐倉杏子」が救いようのないH☆E☆N☆T☆A☆Iであることを・・・

 

 

― 確かほむらとマミの話だと、魔力を注入してイメージすれば・・・・・キタキタキタキタァァァァ!!!!! ―

 

 

仮面越しの視界

その中では初々しい表情で戦う「全裸」の真の姿が映し出されていた

「魔法少女」の魔力は普通の器物にも影響を与えることができる

例えば、何の変哲もない双眼鏡を魔力検知機能付きの暗視スコープにすることなど造作もなかった

そう、今杏子は真の鉄仮面を媒体に透視機能を付与したのだ

 

「杏子さん!血が・・・!」

 

仮面のスキマからポタリ、ポタリと赤い雫が滴る

その正体は・・・・鼻血である

 

「大丈夫だ問題ない・・・・グフフ」

 

杏子の不気味な笑い声に不安を抱くが、真は3時間特訓を続けていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




突発シリーズ「鉄仮面であそぼう!」完結
真の鉄仮面の詳しい設定は今章の完結後に出しますね
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