今回は対戦ないです。
えっちなスチルもないです。
随分と陽が沈む時間帯も早くなった。気温も段々と下がってきて、コート無しは少々辛い気温が日常となる頃の週末。
僕と先輩は揃って『もいらい』での買い物を終え、僕の暮らすアパートへと向かっていた。
「ふんふふーん」
隣から、機嫌の良さそうな先輩の鼻唄が聞こえる。
心なし歩き方もいつもより小気味よく、薄手のコートに包まれている豊かな山脈も元気に主張する。これは目に毒。
しかし、そんな先輩の高揚も他人事ではない。僕だってワクワクしている。
今日は、全てのPJプレイヤーが待ち望んだと言っても過言ではない日。
新弾の発売日だ。
◆
「ただいまクランプス。今日はちょっと騒がしいかもしれないけど我慢してね」
「ただいまークランプスちゃん、お邪魔するよ。いやあやっぱり新弾発売日のショップ帰りは幾つになっても楽しみだね!」
『おかえりご主人とつがい。変なにおい、たくさんカード増えた?』
揃って玄関で靴を脱ぐと、今日は起きていたらしいクランプスが、リビングの方からふよふよ浮いてきて答えた。クランプスに先導される形で3人連れ立ち、リビングに座る。僕と先輩はそれぞれの定位置で、クランプスは袋にだが。
「ぼくにクランプスちゃんの感性は分からないけど、カードが増えたのはそうだね!」
『あー、新弾の発売……? クランプスは納得』
「そうそう」
クランプスは新弾を買って来るたびに匂いがどうこうと言う。
これは彼女なりの感覚なのか、他の精霊がそういった文句を言うと言うのは聞かないが、そういう時は決まって同じ事を言う。
『ご主人、明日はいつもみたいに外出する時窓開けてくれる? じゃないとクランプスは外で寝ないといけない……』
「わかったよ、でも侵入者には気を付けてね」
『大丈夫、クランプスはすごい。心配ない』
「見た目はかわいい子だけど精霊というのは不思議だねえ……」
先輩の言う通り、精霊というのは突然人類と邂逅した……認知能力の違いで昔から地球に居たのに交流できなかった知性体だが、まだまだ本格的な交流が始まってから日が浅いので、わからない事の方が多い。
それと昔は人類が攫われたりなんかもちょこちょこ起こったそうだ。今はまず無いらしいが。
精霊史の授業で習ったものでは、古来から精霊と偶々交流出来た人が巫女だの魔法使いだのと言われたらしい。それが全人類規模まで拡大されたのが現代を生きる僕たちPJプレイヤーである。
勿論精霊も個人の好き嫌いがあるので、憑いたり憑かなかったりと生来の才能のようにして精霊が居る生活が当たり前になっている。
「まだまだ分からない事ばかりですからね」
『クランプスからすると一番不思議なのはPJ。でも遊んでるのを見るのが楽しいから気にならない』
「精霊は皆マッチ見るのが好きだよね」
精霊についてはクランプスのような憑いた人物の扱う言語で意思疎通が行える精霊の協力もあり、日々判明している事も多い。が、精霊側からすれば、最初の邂逅は偶々PJを介してこちらとの通話チャンネルが合っていたような状態だったと言われている。
幸いそれが発端で爆発的に精霊側でPJそのものがトレンドとなり、そのトレンドも向こう側では100年単位での流行保証がされている。人類側におけるPJの異様とも言えるヒットはそれに引っ張られた形だ。
ただ現代では精霊便を始めとした、友好的な精霊が人類を手助けしてくれるサービスが社会に食い込んでいる。その事もあり、PJとはまた別の形で恒久的な対話状態の開発と維持は、現代において双方の悲願とされるそうだ。
『うん、クランプスも好き。一番好きなのはご主人が【ギフト】を使ってる時のマッチ』
「今見つけてるのだと【ギフト】は僕の最適性テーマだしね」
「制限改訂もあって調べてみたけどなんだか……凄いテーマだったね……」
「【ギフト】は構築面からカリカリに吟味したデッキが組めると全体的に非常に凶悪なんですけど、多少適性あるくらいだと特定パターンの盤面でいい動き出来る程度にしかならないんで扱いにくいって言われてますね」
『プレゼントはいつでも貰える物じゃない。でしょ?』
クランプスが袋にくたっとしながら答えた。
実際僕も握った当初は少し手を焼いた。こういったハイレベルなシーンで実用できるまでの適性要求が妙に厳しいデッキは偶に存在する。メタデッキに入り込まないような極狭い範囲で、適性を持つ特定個人が握ると強いデッキだ。
僕も中学1年の頃にそのタイプのデッキを扱うプレイヤーと対戦した事があるが、とても苦戦して楽しかった。その時はギリギリ僕が勝ち越したものの、偶々大会後に会ってフリプで10連戦したくらいなのでまた会えるかもまた対戦できるかも全然わからない。
僕が今まで会った中で、一番コントロールが強かったのはその人である。上級生だったんだけどお互いヘトヘトで名前とか訊き忘れてそれっきりなんだよな……また会えると良いんだけど。
「偶に聞くよね、そういう最大出力が異常に高いけど、そもそもそこまで出力出して扱える人が認知される所に出てこないってテーマやデッキ……」
「理論値テーマなんて言われますね。とはいえ、デザイナー曰く【ギフト】は元々単独で組んで回す前提のデザインじゃないらしいんですよね。銀弾戦法みたいに他のテーマ主軸に扱える範囲で組み込みつつ、有効な場面でおもいっきり刺して生まれたアドバンテージで更に決定的にトドメを刺すとか考えられてたらしいです」
「そのはずなのに単独【ギフト】デッキで活躍するプレイヤーが出てきてしまった、と」
「それが僕ですね。実際組んだデッキには他のテーマカードも少し入ったりしますが」
赤軸【ギフト】なんかはダメージギミックがバーン系のデッキに組み込まれたりしていたし、黒軸【ギフト】のギミックはハンデス後の処理しないといけない時限爆弾として悪用……いや上手く使われていた。
先輩が訝しげに僕へ訊ねる。
「それでも聖岳君の知名度が絶妙に低かったのって……」
「僕はエリア戦までは普通に出れてたんですけど、中学の頃の全国区って全然出場出来てないんですよ。運悪く急病で風見に大将頼んだり辛いと知らずに辛い物食べてぶっ倒れて休場したりだったんですよね。なのでちゃんと全国出たのは1年の春と2年の秋くらいになります……それも両方勝ち抜きマッチ制に入る前で敗退しちゃったので……」
無論僕だって無敵じゃないので、負ける事もあるしなんならルールに負ける。
でもちゃんと出れた時はサキちゃんの転校先に完勝したりはした。それに別の用事で休場も部の大会の方なら母方のお爺ちゃんの見舞いに行った時くらいしかない。
実質的な個人戦まで持ち込むって意味では強豪校に行って全国目指すのは悪い事じゃないんだよね。そういう所だと個人の強さでなんとか出来る土俵まで上がりやすいし。
「個人戦は出なかったのかい?」
「ウチの中学って個人戦は上級生優先だったんですよね。なので3年なら出れそうだなーって思ってたら春先にうっかり車に轢かれて骨折しまして……出場不可になりました。あの年は風見が結構良いとこまで行った覚えありますね。これは……? って思った矢先サキちゃんに当たって負けてましたけど」
モヒカンさんのようにフィジカル面も強いプレイヤーも居ない事はないが、僕はそういう強さは全然だ。
「ごめんね嫌な事聞いてしまって……でも君に後遺症が無かったのは嬉しいよ」
「轢かれたのは車が変な挙動で近づいて来るのに気付けなかった僕も悪いので……」
あれは流石に悔しかった。まあ運転手はめちゃくちゃまともな人だったし病室でデッキとか検討しつつ同室の人にPJ教えたりとか風見に春の団体戦の対戦予想でクソ長メール送って怯えさせたりとか出来たから悪い経験ではなかったけど……。
一時チームを率いた経験からすると、風見くらいのプレイヤーがフリー枠で浮いてるととても作戦を立てやすい。せめて風見くらいに強い味方がもう1人欲しかったが、そこまで伸ばせなかったのでたらればだ。
篠ノ芽に入ってからは全然不幸な出来事に遭わないので、僕にとって先輩は守護天使なのかもしれない。
『【ギフト】が流行って……毎日どこかでプレゼント……いいね……!』
「……なんだか今日のクランプスちゃんはちょっとテンション高めだね?」
「新弾買って来ると大抵こうですよ。その日起きてたらですけども」
起きてたらなので確率で言ったらだいたい25%くらい。なのでPJの新弾発売スパン的にも先輩が遭遇するのは大胸……概ね年一回。
『もいらい』で剥いてる時もあるのでそれ未満だ。
「そういえば以前新弾買って来た時は寝てたね……」
「ちょっと話し込んじゃいましたね。それじゃそろそろ剥きますか。先輩はちょっと透明スリーブと組んでないストレージの準備お願いします。僕はもう一個のテーブルくっつけたりハサミとか持って来たりするので」
「もちろん。さあ宝くじを引く時間だよ!」
『おー』
クランプスの浮遊高度が気持ち上がった。
◆
ところで今回僕は12箱買い、先輩は6箱買った。僕はさておき、先輩がここまで買うのは珍しい事だ。
これは予約注文の際に訊ねた所、「これまで色々わかってきた事もあって、ぼくも触れるカードは以前より増やした方が良いと思ってね!」と、前倣えの先頭の時の姿勢で言っていた。
その山は雄大であった。
僕としては少し気になる点もあるので、今回は普段より先輩の剥いたパックの中身を注視して行こうと思っている。
「ふんふーん」
小気味好い鼻唄交じりに先輩が上部をカットしたカードパックから、取り出したカードを積んでいった。積むのが裏向きになるのは先輩の癖だ。後で纏めて一気に整理していくタイプだそうだ。
僕は普通に表向きにして、特殊加工されている高レアリティと5色の山で一度分別していく。分別後に改めてコスト順で整理するタイプだ。
ちなみに先輩がパックを剥いた時は、ほぼ均等にカードが出る。これは適性が低い人によく起こる出方だ。
その分偏りが少ないので、PJでは中々勝てないが、パックを剥いた際に出て使い辛いカードを買取りに持ち込み、保有しているカード資産などを増やしていくという人も居る。
僕が剥いた時はコントロール系かつレアリティ高めのカードが少し多めに出る。
風見やサキちゃんはその逆だ。風見は日によってちょっとムラがあるが、まあ平均すると大抵サキちゃんに近い出方をする。
このように適性が高くても、同数の箱買いを行なった時に増える高レアリティカードの枚数にそこまで多くの差は出ない。
適性低めのカードの枚数が少し削られ、その分の補填に最大で2〜3枚多く出たかなというくらいになる。まあBOX毎のバラつきで収まるかなあという感じだ。
これはかつての先人により収録カードがほぼ確実に揃うと言われていた狂気の4カートン買いで起こったから判明しているという、経験則的な常識にはなるが。
ただ、精霊憑きの最適性テーマに関しては、精霊が憑いていないプレイヤーとは違い、明確な差が出る。パックを剥いている最中に思いっきりエラー封入のような、おかしな中身のパック──通称祝福パックが混じるのである。
具体的にはそのパック内のレアリティ比率がおかしくなる。コモンやアンコモンなどの低レアリティが消え去るトンデモ当たりパックに遭遇するのだ。
僕の知り合いの中では風見がこれに当たったのが一番早かった。それが【御霊天狗】であり、それとその後のサキちゃんや僕自身の当たりも見て気付いたことが一つ。
最適性テーマには、自身に憑いている精霊にそっくりなデザインのカードが含まれている。それもフィニッシャーで。
なので【御霊天狗】には風見に憑いている天狗爺様ことタミロウさんによく似たフィニッシャーが居るし、【ドリーム・ラビッツ】にはセキトによく似たフィニッシャーが居るし、【ギフト】にもクランプスによく似たフィニッシャーが居る。
クランプスはフィニッシャーというかその前準備を整える役だが、まあフィニッシャーで良いだろう。居るのと居ないのとじゃリーサルまで入れる状況めちゃくちゃ変わるし……レギュ落ちの時にもののついでで2枚制限食らってるけど。
「なんか1箱目は【五道】が多めに出ますね……【スワンプマン】とか【クライン】を触りたいんですが……」
以前店長さんに牢主買取りアドバイスしたからその恩返しだったりするのか? 早々に【地獄道の牢主】が4枚出た。ごめんね……君は積むなら多分2枚くらいになるんだ……。
「【クライン】は以前お店で組みたいって言ってたテーマだったねえ」
「【ギフト】とはまた違う形で難易度も高そうですが、ロックギミックが取り入れられてるんで僕と相性良さそうなんですよね」
【クライン】は白と黒を中心としたテーマだった。パワーが低めで盤面制圧力が低いが、リアニメイトとテキスト上の仕様で出た時の効果を再発動しやすいデザインになっており、公式放送で紹介されていた【既試験体 エンドレス】などの一部カードには相手の山札の一番上をちょこちょこ操作できる効果が付いているので、擬似的なドローロックが行えるのが僕としてはオススメポイントだ。
PJは手札補給がゆるゆるなのもあり、ドローロックに関しては決められた側が悪いよねという風潮である。イベントやチャンス封じにしても時折重量級キャラクターが持ってたりするのでまあデッキ相性とか出させちゃったのが悪いね……という感じだ。
それなら盤面ロックの方はどうなのかって? そっちは……まあ……。
「そろそろ今弾に収録されてるカードの情報もネット上に揃ってきただろうし、蒲原ちゃんが頭抱えてそうだね……クランプスちゃんは聖岳君が似たような性質のデッキを使うことに忌避感とかあったりするのかい?」
思い出したような先輩の質問に、クランプスがほんの僅かに不満そうな表情になって答えた。
『……クランプスはご主人が楽しくPJを遊んでる姿が見たいから憑いてる。だから嫌だったりはしない……それにご主人に一番合うのはクランプス。クランプスが一番上、他は下』
「これはもしかして宣戦布告の一種なのかな……?」
質問の答えついでに若干挑発的な事を先輩がクランプスに告げられ、首を傾げて僕を見た。
「PJではまあそうかもしれませんが……人としての相性だと違うと思います」
「だよね!」
先輩は僕の返答に、嬉しそうにする。見えない尻尾が振られているかのようだ。
クランプスは先輩の近くまでやってきて、袋に五体投地の姿勢からちゃんと座った姿勢になって答えた。
『そもそもつがいは勘違いしてる。憑いてる相手にそういう事をする精霊は、こっちに来られない。そういう風になったから』
「そういう風……?」
「確かルールがあるんだよね。かなり厳しいのが」
高校受験で精霊史について勉強していた頃、クランプスと雑談していたら偶々教えてもらった話である。
『ご主人達の感覚で昔……精霊が勝手に精霊界に引き込んで、帰れなくなった人たちが居る。そうしたら人は凄く怒った。なので精霊界のえらい人で……規則をとても急いで作った。もう勝手に引き込むことが無いように。クランプスは規則を守れるって証も貰った。だからクランプスはやらない』
「人間の世界に来るには資格のような物があるって事かい?」
クランプスが頷くように、あからさまにクッション代わりの袋が下降して元の高さに戻る。
『そう。でも本当に偶に規則を守らない精霊も居る。そういうのは判ったらすぐに精霊が探して精霊界に送り帰す。そうなればもう人間界には来れなくなって、良い席でPJを見れない。とても大きい流行の波に乗れなくなる。それはクランプス達精霊にとって、凄く屈辱』
この資格条件を破った際のペナルティはかなり大きいそうだ。聞いてる限りでは破ったらムラハチみたいな感じっぽいしな……。
「精霊にも相応の社会が構築されているんだね……僕らに合わせて考えると、就労ビザみたいな物を貰ってるのかな? でもそうなると大体寝てるクランプスちゃんは大丈夫なのか……?」
「サキちゃんのセキトとか見てるとクランプスがちょっと変わり者なだけっぽいんですよね、基本的に寝てるの。単にあんまりついて来ないのなら風見のタミロウなんかもそうなんですけど」
ただタミロウさんってなんやかんやで大事なバトルにはついて行くし、普段はお茶とお菓子楽しみながら風見の家の手伝いとか庭整えたりとかしてるらしいから住み込みのハウスキーパーが増えてるような状態みたいなんだよな。
なのでほぼ引きこもりのクランプスとはまた違う。
『クランプスは向こうに居た時頑張った。なのでPJ観戦のついでにバカンスに来た。だからご主人と居る間は休暇……何もしなくて良いし好きなだけ眠れる……ここはクランプスの楽園……』
「だからしょっちゅう眠ってるんだねえ……」
穏やかな先輩の言葉に、クランプスは小さくガッツポーズをして続けた。
『それにアイスも貰える』
「そっちが本題だったりしないかい?」
『甘い物はおいしい。クランプスは甘い物が好き』
「太るよ……いや精霊は太らないんだった」
「世の女性が聞いたら怒りそうな話だよね、太らないって」
先輩もそういうスタイルの部分は気になるのか。
僕はちょっと学んだ。
『つがいも別に太ってない。でも学校で見かけた……金色は太ってた』
「金色……?」
先輩が首を傾げる。
金……金か……。
「……あ! もしかして金目ちゃんじゃないかな? クランプスちゃんは髪で人を表す事が多いし」
「金目さんが太ってるようには見えないけど……」
『クランプスは見逃さない。金色はおなかを気にしてる』
起きている時のクランプスを金目さんと会わせるのは、危険かもしれない……。
◆
それから数時間、着替えた僕は髪の水気をタオルで拭いながら脱衣場を出て、剥いたパックの包装他をゴミ袋に纏めて縛っていた先輩へ言った。
「上がったんで先輩もお風呂どうぞ」
「ん、分かったよ。それじゃぼくもお風呂をいただこうかな。クランプスちゃんはどうする?」
『クランプスも入るぞ……つがいに洗ってもらうのは楽だから……』
ちょっとテンションも治まってきたクランプスも連れ立って、2人で脱衣場に向かって行った。
クランプスは言葉こそちょっと辛辣な事が多いが、先輩によく懐いている。微妙に手のかかる猫みたいな物だ。
なんなら今日のように、先輩がよく僕の部屋にお泊まりするようになってからは大抵一緒にお風呂に入っている。先輩と会う前は母さんと入っていたり、僕が入る時に一緒に着いてきてそれぞれに洗ってもらうのが常だった。
精霊は代謝を行わないのでお風呂に入る必要は無い筈なのだが、クランプス的にはマッサージみたいな物なので洗われるのは好きらしい。
その方が気持ちよく眠れるとはクランプスの談である。
えっ? 精霊とはいえ少女を洗って何か思わないのかだって?
クランプスの背丈は20㎝ほどなんだぞ。体格的にもフィギュアの洗浄でもしてるような物だから思う事も特にない。なんならちゃんと洗いやすいように姿勢変えるくらいはしてくれるからよっぽど楽である。
それはさておき、僕は2人がお風呂に入っている間にデリバリーで頼んだピザの空き箱や先輩が縛ってくれたゴミ袋を玄関の側へ持って行き、テーブルに置いたままになっている整頓済のカードをそれぞれのストレージへ入れておく。
その最中、足裏に変な感触がした。どうもパックがテーブルの下に入り込んでいたらしい。どういう経路なのかは全然分からないが、たまには見逃す事もある。
僕の方のストレージはきっちり2400枚入っている。先輩の方をざっと数えてみた所、若干少ないのでこれは多分先輩の方。
僕は脱衣場の扉を少し開け、ガラス戸越しにお風呂に入っている先輩へ呼びかけた。
「先輩、1パック剥き忘れてましたよ」
「本当かい? 代わりに開けておいて貰ってもいいかな。入れるストレージもテーブルに置いたままにしておいてくれると助かるよ。出たカードは上がってから改めて整理し直すから」
「分かりましたー」
返事を聞き、扉を再度閉めてから注文通りにする。
はてさてこのパックの中身は……。
「あー…………先輩」
僕はもう一度脱衣場の扉を少し開け、呼びかけた。返事はすぐだった。
「何かあったかい?」
「おそらくなんですが……先輩の適性が分かりました」
その中身は……いわゆる
「本当かい!?」
浴室の戸が慌て気味に開かれる音がした。あれ? これマズいぞ!?
そのまま脱衣場の扉が開け放たれる。僕の目に映ったのは物凄く期待に目を輝かせている先輩の顔と、一糸纏わず湯の滴が流れ落ちている
「うおおおおおおおおっ!!」
「聖岳君!?!?」
「ぬああああああああ!!」
『ご主人が焦る姿、たまにしか見れないから楽しいね』
クランプス!!! 僕はいいから先輩に布を渡してやってくれ!!!
お願いだ!!!!!
○クソザコ女性陣のお役立たない情報
・先輩の背丈は140㎝にギリギリ足りないくらい
・サキちゃんはかわいい物が好き
・金目ちゃんの外見は金髪ギャル
・小岬ちゃんは補習常連
・店長さんはソシャゲで現金天井直後が一番PJ強い