学校も夏休みに入り、僕と先輩は決まって『もいらい』で待ち合わせて同好会活動をするようになった。しかし店長さんの厚意に甘えているとはいえ、夏休みの間ほどほどの広さの対戦スペースの一角を朝から夕方まで占拠するというのはよくない。
なので先輩と話し合い、週に3回ほど活動をし、後は各々予定もあるし自由に過ごそう、という事になった。勿論時間が合えば僕の住むアパートで同好会活動を行う事もあるが、今日は違う。僕が出稼ぎマッチに行くのだ。
そんな訳で最寄りの駅を乗り継いで、より都会に近い市までやってきた。大きなカードショップまで来るとワクワクするのは前世も今も一緒だ。テンション上がるな〜。
『ご主人、今日はクランプスも頑張らなきゃダメ?』
「今日はノーリミットレギュ*1じゃないから大丈夫だよ。でもまあ偶にはクランプスも外出ないと」
『えぇ〜……』
クランプスがめちゃくちゃ残念そうな声でいつもの袋に五体投地した。浮遊する軌道も乱高下している。
いつもはお留守番だが偶にはお出かけしないとね。あと単純に僕が真夏真っ盛りのエアコン切った部屋にクランプスを放っておくのは心情的に避けてやりたいという気持ちもある。
精霊には暑さとか全く問題ないけれど。
「本日のPJオフィシャルCS予選にご参加の方はこちらで受付をしておりまーす」
「あ、今日はあっちのスペースか」
『ご主人がんばれ〜……』
参加料を支払って受付を済ませ、腕時計を見る。クランプスには店内でゆっくり涼んで貰う事にする。
精霊は大会中の不正行為……相手の手札を見たりとかを悪気なくやってしまう事があるので、公式大会では一律で試合中は退避してもらう形となっている。精霊が憑いた人と特定のデッキとの親和性を高める現象は距離関係なく行える為、退避していても特に問題はない。
僕に憑くクランプスはそもそも頼まないと親和性を高めてくれない子だけど。
そういう事故を防ぐために、神社とか精霊スポットが近いカードショップや箱などでは大会の前にそういうのしないでねとお店の人達やスポンサーの人がお参りしに行くそうだ。
非公式大会ではお店の方針によるが、まあ大抵は公式大会同様にしている事が多い。僕は参加した事が無いが、一部の個人ショップでは精霊連れ添い有りの真のレギュレーション無し大会が行われていたりするんだとか。とはいえ真レギュ無し大会だとクランプスは言葉だけの僕の応援くらいしかやってくれないだろうが。
大会開始まで15分くらい……エナドリでも買って飲んでおこう。糖分は脳に効くからね。
そんな訳で自販機まで来たのだが。
「げえっ! タケっ!」
「同級生を関羽みたいに言うのはやめて欲しいんだけど?」
「俺今日参加賞貰って帰るかもしれん……」
「風見は始まる前から弱気だなぁ……」
中学時代のクラスメイトである風見とばったり会った。ビートダウンの扱いが上手い奴だ。
僕は嫌われてるとまでは行かないが、なんだか恐れられている。本気デッキ調整時のフリー対戦で完勝してたのが良くなかったのかもしれない。
その時自販機の方からガッチリした体格の学生っぽい男子がやって来た。
「お、風見どうしたのそいつ、知り合い?」
「風見の高校の友達かな? 僕は聖岳
自己紹介すると、彼はこめかみの辺りをポリポリとやりながら思い出したように口を開いた。
「タケ……あー風見が一回も勝てなかったって言う……実在したんだ……俺は
「そんなに勝ったっけ……?」
何回か負けた覚えあるんだけどな。
「公式戦だと俺お前に全敗だよ!?」
「覚えてない……」
言われてみるとそんな気はしてきた。
「風見がここまで言うって事は相当強えんスね。もし当たったらお手柔らかに」
「僕は対戦で手を抜けないから気持ちだけ善処はしとくよ」
「おお怖い……それじゃ風見もまた後で」
僕は逸見君がスペースの方へ歩いて行くのを見送りながら、元々の用事を思い出した。
「おっと僕もエナドリ買うんだった。風見も一緒にスペースまで行く?」
「まあ良いけど……なんでこんな遠くまで来たんだ?」
「んぐ……県内で大きい大会ってなるとここと他2店舗くらいしか無いしそりゃばったり会う事もあるでしょ。んぐ、そんで風見は高校上がってどう? ムラは出にくくなった?」
エナドリを開けて飲みつつ風見に答える。よし飲み終えた。缶はゴミ箱へ。
それにしても逸見君は心に余裕がある。安定して強そうなプレイヤーだ。風見とは逆だがその分彼は格上喰いが難しそうだな。
所定スペースまで歩きながら、風見と雑談を続けていく。
「ムラは……なんとなーく出にくくなったような気はするけど正直わからん。タケ相手にするのが一番苦手だったから余計にな……今日ガチじゃないよね?」
「メインパーツが今年レギュから外れたから別のデッキだね。安心した?」
ホッとしたような表情になって風見が答える。
「少しは。でも出来れば当たりたくない……と、俺ここのテーブルだわ。大会終わったらまたちょっと話そ……お前なんで他のテーブルに動かねえんだ?」
「だって僕ここの卓だし。久々の対戦よろしくね」
「せっかく楽なトーナメント式予選だったのにやめてくれよ……! (絶望)」
おーっと風見選手、始まる前から心が負けている!
しかしそんな彼の心を一顧だにせず、無情にも大会開始のアナウンスが為された。
「ハーッやるしかねえ……先攻後攻はジャンケンか? 別にするか? サイコロなら持ってるけど。サイコロならタケから振っていいぞ」
「じゃあサイコロにしようか。いやー懐かしい……最近先攻後攻カードばかり使ってたから新鮮ですらあるよ……4だね」
「こっちは3か。後攻だとちょっと希望が見えてきたな」
「気持ちで負けてちゃビートダウンの精度が落ちちゃうよ、じゃあ始めようか。スタンバイ時にリソース増やしてドロー。1リソース支払い手札から【風雷坊】をプレイ」
「んっ!? タケっ! それ……!?」
今回はCSなのでホログラム機能も卓にある。プレイしたカードに反応し、テーブル上に編笠を被った男性が雨風に吹かれて現れた。
僕のデッキ構成に気付いた風見がちょっと焦った様子で声を漏らす。
「なんだい? 出た時に手札に【氷炎坊】があるなら、公開してそのままプレイできる。効果を使うよ。【氷炎坊】が出た時の効果処理だ。フィールドに【風雷坊】が居るなら、山札から【壺天将】を裏向きにして【氷炎坊】の下に置く。これは次の僕のターンの終わりに氷炎坊の上に重なって【壺天将】として扱えるようになる。【氷炎坊】が場を離れない限り……と、それは知ってるか。【災宴陵墓】はビートダウン軸のテーマだしね。風見が知らない訳もない。場にカードを2枚伏せてそのままターンエンドだ」
ホログラム上の【氷炎坊】の影が妖しく蠢く。
「マジかぁ〜……スタンバイ時にリソース追加……1リソース支払って【氷炎坊】をプレイ」
「おお〜」
僕らは初戦でちょっと厄介なことになってしまった。これは同テーマ対決、つまりは。
「「ミラーマッチ*2かぁ……」」
◆
「【氷炎坊】の出た時効果、まあ知ってるだろうがさっきお前がやった事の逆バージョンだ。勿論【風雷坊】もある。同様に【壺天将】をこっちは【風雷坊】の下に重ねる。カードは1枚伏せて……うーん……手札から【兆しの忠犬】をプレイ、山札にある【災宴陵墓】を持つキャラを相手に見せてから手札に加えるぜ。加えるのは【濤のファラン】だ。バトルに入る。反応はあるか?」
「あるよ。伏せておいた【人身御供】をプレイ、僕の手札を1枚ダストに送り、送ったカード以下のコストを持つ相手のキャラを1体選んでダストに置く。送ったのはコスト2の【炎獄】なのでコスト2以下のキャラ……そっちの【風雷坊】をダストに置く。対応は出来る?」
僕の言葉を、風見は首を横に振り否定する。
「いや、対応は無しだ。序盤からガンガン処理してくとリーサルが想定よりずっと遠のくからな。しかし【炎獄】入りは厄介だな……」
【炎獄】は普通にはプレイできない特殊なキャラクターを出す為の専用エリアイベントだ。【災宴陵墓】テーマの基本軸は大まかに純粋なビートダウンである高速軸と中盤辺りで一気にターン火力が伸びる中速軸の2種類があり、その内の中速軸が僕の握る【炎獄】を利用したデッキにあたる。
見えたカード的に、風見の構築は高速軸の方だから最速5ターン目にリーサルが見える型の筈だ。
「僕にはこっちの方が相性良いんでね」
この世界で、完全なミラーマッチと言うのはほぼ起きない。個々人のカードテーマやデッキタイプとの相性差があるからか、前世とは比べ物にならないほど起きる確率が低い為だ。
なので今回のマッチもテーマ的にはミラーマッチだが、よりビートダウンとして洗練されているであろう風見の【災宴陵墓】を、僕がチューニングしてコントロール性がより強まった【災宴陵墓】が凌ぎ切れるかというビート対コントロールの図になる。
普段のレギュレーションよりも遥かに狭いプール内でお互いにデッキを組み合い殴り合うような状況だ。
正直まあまあ厳しいだろう。テーマ的にこのデッキへのいわゆる運命力は、風見の方が僕より高いからだ。下手にターンを返したら負けなんて事も容易に起きる筈である。この世界だと圧倒的有利な状況で盤面を返すリスクがやたら高いので。
こうなるって知れてたら普通にコントロール握ればよかったな……。それならもっとやりやすかった。
多分風見もいくらか困ってるだろう、彼のビートダウンテーマとの相性は安定してCS出場が出来るくらいには高いので、下手なビートダウン相手の方が上回りやすい。
「【氷炎坊】でプレイヤーに攻撃、通すか?」
「通すよ」
「公開されたのは【風雷坊】、手札に加えてエンドだ」
「スタンバイ時に【氷炎坊】の効果、氷炎坊が【壺天将】となる。それからドロー……1リソースに青1枚で【伝承】をプレイ。風見、僕の手札1枚選んでくれる?」
「1枚しかないじゃねえかよ!」
「じゃあ選ばれたカードを公開、公開されたのは【爆心地】だったので僕はそのコスト分の4枚引く。カードを1枚伏せ、1リソースと赤1で【炎獄】を展開」
ホログラムが揺らめき、瞬きする間に紅蓮に染まった。フレーバーテキスト的には地獄でしかないが、見る分には綺麗な物だ。
「バトルに入る、反応はある?」
「伏せ札の【写し鏡】を反応させる。効果で手札のキャラ……【酔人】をダストに送り、対象はお前の【壺天将】を選択、俺の場に【壺天将】を模した分身トークンが現れる」
「OK、それなら【壺天将】で分身トークンに攻撃、対象変更はする?」
「勿論する。変更先は【兆しの忠犬】だ」
「それじゃあチャンスステップ、公開されたのは【焔のコーラー】、手札に来てほしくはないんだけどなぁ……まあ手札に加える。【兆しの忠犬】がダストに送られるよ」
【壺天将】に斬られた【兆しの忠犬】が力尽き、物哀しい鳴き声と共に光の粒となっていった。
「ホログラム使う大会だと毎度思うんだけどバトル敗北時の演出アニメ作ってる人は道徳の点数高そう*3だよね……」
「わかる。前使ってたテーマの【アルタラ闘技場】もかなり人の心がなかった」
「アルタラなら一番なかったのは剣奴の子供を使い回しまくってた僕らじゃない?」
子供が血反吐吐きながら剣を握り締めて後悔した顔で倒れていくアニメーションがあってもPJは対象年齢6歳以上と言い張っている。狂ってんのか?
「それもそうだ。【風雷坊】は殴るか?」
「手札が心許ないからね、殴るよ。対象はプレイヤーに。チャンスステップ時に伏せ札の【赤気の呼び声】をプレイ。僕の山札の下から1枚を除外ゾーンに置く、【伝承】が除外されたね。なので相手のコスト4以下のキャラをダストに置く。この時【炎獄】の効果が反応して災トークンを一つ置く。そっちの反応は……今風見に伏せ無いんだった。癖だねえ」
「よくあるよな、俺もよく相手の盤面空なのに対象変更訊ねるわ……そんで早く山札捲れ」
「おっとごめん、公開されたのは【氷炎坊】だ。手札に加えてそっちのターンだ」
1発勝負のトーナメント式だからサクサク行けるかなって思ってたけど、これは長丁場になりそうだ。
◆
「【災宴】握ってこんな長引く事ってあるんだな」
「なんか青髪の方のいなし方が変だしアレ絶対普段ビート握らないタイプだろ……」
そこの知らないお兄さん、正解だ。
確か37ターン目、ギリギリで凌いでたら思ったより長引いてしまった。
殆どの参加者の一回戦目が終わったからか、周りがまあまあ騒がしくなってきている。
僕の残りライフは6、風見のライフは11。盤面は僕がキャラ3伏せ3エリア1、風見がキャラ4伏せ2。手札は僕が5枚で風見が2枚。ついでに一回戦の残り対戦時間は10分。今は風見のアタックフェイズが始まったところだ。
「【濤のファラン】でプレイヤーを攻撃、チャンスステップ、公開されたのは【濤のファラン】、山札がなくなったのでリシャッフルしてペナダメを受ける。反応は?」
「4リソース払う。伏せの【記録刻印】をプレイ」
僕が伏せていたカードを反応させると風見は目を剥いた。
「ハァ!? お前なんでそんな物刺してんだよ! それ使うならもっと合うテーマあるだろ!?」
そうだね今の環境だと【久遠機】とか【大罪都市】とかの方が合うね。でも僕は【災宴陵墓】に入れた。こういう泥試合の時に一番効くからだ。
ミラーマッチで泥試合に持っていけるとまでは思っていなかったが。
「ちょっと思う所があって1枠ねじ込んだんだ。今回はちょっとしたテストでもあるし……ともあれ【記録刻印】の効果処理、自身の手札を1枚ダストボックスに置き、置かれたカードの色と同じ色を持ち、かつコスト5以下のダストボックスのイベントをコストを支払わずにプレイ出来る。置いたのは【焔のコーラー】だ」
勝ちました(事前申告)。
「赤でこの状況なら打つのは【爆心地】だろ……」
「そうだよ。という訳で【爆心地】をプレイ。対象は【濤のファラン】、勿論2体目の方ね。殴ってる方選んでも除去しきれないし。それで反応ある? あってもこの後【炎獄】の処理で災トークン9個目が載るからどの道全部吹き飛ぶけど」
「分かってて聞くの性格悪いよなぁ! 反応ないです……いやあるけど【炎獄】を止めれません……」
風見が顔を覆うような仕草をした。
「じゃあ処理続けるよ。【爆心地】で【濤のファラン】2枚と【重雷のフー・ズー】をダストボックスへ。そして僕が赤の【災宴陵墓】をダストボックスに置いたことにより【炎獄】に9個目の災トークンが載る。この時【炎獄】の効果が発動、【炎獄】を除くフィールド上のカードが全てダストボックスに置かれ、手札か山札から【焔のコーラー】をプレイできる。今回は山札からだ。手札のはさっきダストに送っちゃったからね。という訳でシャッフル&カットお願い」
「ウス……」
風見がFXで負けたような表情でカットを行う。シャッフルはしてくれなかった。
何もかも吹き飛んだ光景のフィールドホログラムに焔の巨人が現れ、大気を焦がしていく様子のアニメーションが映し出される。コーラーだ。
「そして【炎獄】はゲームから除外される。あっこれで僕の処理終わったんでターン続けていいよ」
「出来る事がなにもないんだよなあ……なんにも……」
「【爆心地】のフレーバーテキストみたいだね? 僕のターン、スタンバイ時に【焔のコーラー】の効果でお互いに5ダメージ受けようね」
「俺の負けじゃんね……」
「勝ち確なのでメインすっ飛ばしてバトルフェイズからチャンスステップ、公開したカードを除外ゾーンに送ると相手プレイヤーに5ダメージを与える」
ホログラム上のコーラーが空間を燃やすアニメーションが再生され、風見のライフが0になったのでホログラム上にお互いのリザルトが表示された。
「対戦ありがとうございました。久々にやれて楽しかった。正直負けるかと思ってた。20ターン目くらいまでね」
「対あり……普段の6倍くらいターン掛かって脳が煮えそ……【炎獄】止めれなかったの悔し……俺は芋虫……」
風見は心ここに在らずという感じで僕の言葉に反応する。なるほど行き過ぎたビート使いだと長丁場仕掛けたら頭煮えやすいのか覚えておこう。でもこれ使える相手って風見くらいじゃない?
などと考えていると、外野の観客の間を縫って逸見君がやってきた。
「おー風見やっと終わ……負けたんだな……」
「日向に置いとくと回復すると思うよ」
中学の時もそうだったからね。
でも頭が煮えてるから涼しい所に安置しておく方が良いのか? わからない……。
「風見がこんなんになる相手とやりたくないっス……」
「逸見君も勝てたみたいだね、おめでとう」
「勝ったら悩みが増えるなんて初めてっスよこっちは……」
「それじゃまた後でね」
「タケさん勝ち抜く気満々じゃないっスか?」
風見を逸見君に任せ、ホログラムに表示されている次の卓に向かう。
向かいがてらスマホを確認すると先輩からメッセージが来ていた。
『何時くらいにそっちに向かえば良いんだい?』
今は……10時25分か。
15時くらいです、と……。
「お、やっと来た。不戦勝になるかと思ったよ……対戦よろしくお願いします」
「遅れかけてすみません。対戦よろしくお願いしますね」
さあ先輩とのデートも待ってるしサクっと勝つか〜!
◆
優勝しました(事後報告)。
今僕はカードショップ近くのカフェに風見と逸見君を連れ、先輩が来るまでの時間潰しついでに2人と感想戦をしていた。
決勝戦は逸見君が相手だった。
君強いねえ! まあ僕が勝ったんだが。風見には偶に負けるかもしれないが、逸見君には負けなさそうだ。
「なあ風見、タケさん強過ぎない? あれで本来の適正デッキじゃないんでしょ?」
「前も話したけどタケは俺の実家周辺のカドショ全部で大会出禁だから……」
「やられたお店全部合わせると20店舗くらいでもう許して……されてるよ僕。今のホームは個人ショップだけど大会出禁とかされないし気楽でいい所だよ」
首都圏のショップだとそういう事は無いらしいが、地方だと勝ち過ぎて大会出禁は結構ある。
PJプロが子供の頃のあるある話として鉄板だ。
「強過ぎるのも善し悪しなんスね……あれ、でもそうなるとノってたらタケさんに勝てる事がある風見って凄いのか……?」
「風見は僕がやった事あるビートダウン適性のプレイヤーだと2〜3番目に強いよ。PJプロも普段BリーグでAリーグも結構続けられそうなくらい」
「じゃあ俺はどうなんスかね?」
「逸見君もなれそうだけど多分CリーグとBリーグ行ったり来たりになるかな……格上食えるようになったら風見と同様Bリーグで安定しそう。あと選手寿命が風見よりかなり長そう」
「つい30分くらい前にボコボコにされたけどなんか自信湧いてきたな……」
「タケのこの辺の見立ては妙に正確だからな……前元同級生だったって話してた
「?????」
「僕の見立てはその人とマッチしてたらだけどね。マッチ無しだと全然わかんない。わかるのは強い弱いくらいかな」
そんな感じでだらだらっと話していたら、スマホが震えた。
『そろそろカードショップに着くよ』
それなら僕も預けたままのクランプスを引き取りに行かないとな。
「ごめん、彼女が近くまで来たみたいなんで僕はこの辺で。また遊ぼうね、会計はしておくよ」
「うっすゴチになりますお疲れ様っス」
「うん……? 彼女? ちょっと待てタケお前そんな事全く──!」
「お会計お願いします、カード払いで」
「2500円になります〜」
急に興奮しだした風見を放置しカフェを出て、ちょうどカードショップの前まで来た辺りで先輩の姿を見つけた。それは先輩も同じだったようで、手をブンブン振りながらこっちへ駆けてくる。
「おはよう聖岳君!」
「おはようございます先輩。どこか行きたい所あります? とりあえず今クランプスを引き取りに行く所なんですが」
「君と一緒ならどこだって楽しいから難しい質問だねえ……」
「まあその辺歩きながら考えますか?」
そうしよう、と先輩は答え、僕の手をしっかりと握った。勿論僕も握り返した。