独りにしませんいつまでも 作:残念G級
ワールドトリガーにいつまでもハマっているため、思い切って書いてみました!
駄文になりますので、読みにくいとは思いますが暖かく見守っていただけると幸いです!
「ねえねえお父さん!こうやって、ゲームみたいに無限トリオンでのトレーニングシステムとかよくない!?」
「わたしかっこいいぶきつくりたい!おーっきいかべだしたり剣がビューンってのびるの!もうモデルは作ったんだよ!みてみて!」
綺麗な白銀の髪を持つ容姿の似た二人の子どもがなにかの3Dモデルを映したPC画面を自慢するように、お父さんと呼ばれている人物へと観せていた。
「おぉ~!真昼も陽菜も凄いじゃないか!なあ見てみろよ宗一、正宗、有吾!やっぱうちの子は天才だ!」
お父さんと呼ばれた人物─名を一ノ瀬新希は自身の子ども達が持ってきたPC画面を覗くと、そこに表示されているモデルとその詳細や概要なんかを読んでは大層喜び、子ども達を抱きしめては間に入りぷにぷにほっぺサンドをこれでもかと堪能していた。
「確かにこの資料を見る限り実現できる可能性は十分にある。まさか齢5の子ども達が俺たちよりもこのトリオンというものを理解しているとは…」
そこに子ども達の足元に散らばっていた資料を拾っては読みながら三人の下へ来た城戸正宗は、その資料の出来に驚いていた。
「そうだろ!?凄いんだこいつらは!そしてなにより可愛い!天使!マイエンジェル!お前もそう思うだろ有吾ぉ!」
「はっはっはっは!お前はうるせぇ!もう少し声のボリューム下げろ!…にしてもほんと子どもの発想は恐ろしいな。トリオンで作った部屋自体にシステムつけて、ゲーム設定画面みたいに色々な設定にいじれるようにするってことか。
笑顔で新希に近づいては躊躇なくその腹に見事なボディブローを決めた男─空閑有吾は真昼と陽菜の案を見ては興味深そうに二人を見ていた。
「こっちと向こうでは娯楽の種類が違うだろう。平和な国と戦争しかない国、発展速度も方向性もかみ合うはずがない」
口元に手を当て、冷静に思考を巡らせる男─最上宗一。
「ごふっ…さすが宗一!というわけで改めて、あとから来る真史と匠も合わせて俺たち8人で組織を創ろうぜ!」
「なっ!?まさか一ノ瀬お前、真昼くんと陽菜ちゃんも組織に入れるつもりか!?あまりにも危険すぎる!」
「お前は頭が固い、固すぎるぞ正宗!この子たちの発想力には俺たちにない無限の可能性がある!今は実現できなくても将来、必ずこの子たちの考えたものが助けになる!…そんな気がする!」
「…確かに俺達からは視れない視点で考えてくれる存在は必要だ。それにのんびり研究できるというわけでもない。危険なことは基本的にさせないようにしつつ、基盤を早く固めていこう」
「「「了解!」」」
「「りょーかい!」」
有吾の言葉を最後に5人がそれぞれ返事をする。こうしてこのあと集まる忍田真史と林藤匠も合わせて計8人。
彼らは後に語られる組織─界境防衛機関【ボーダー】の創設メンバーとしてこの先の未来に大きな
影響を与えていくのであった。
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時はそれから数年経ち、現在ボーダーの人数は有吾と新希を除き21人となっていた。有吾は
今でこそ同年代の子ども達が増えたことで笑顔を取り戻した真昼と陽菜だったが、実の父である新希がいなくなった時はそれはもうひどいものだった。元々、家族仲が良かった一ノ瀬家なだけにその精神的ダメージは大きかった。双子だからかお互いに支え合っていた二人だったが、二人ともその歳の子よりも頭が良かったからか思うことが多かったのだろう。特に上の真昼に関しては、妹を支えなければいけないという責任感と自分たちを置いていった新希への怒りが混ざり合っていた。
それから少しして小南桐絵という彼らの一歳下の子が入ったのを機に、人が増えていった。
日々進歩していくトリガー技術に合わせて、真昼と陽菜のトリガーやトリオンに関する知識はさらに向上していった。おまけにトリオン量に関しても、創設メンバーの大人組の中でも特にトリオン量が膨大だった新希だったが、真昼と陽菜はそんな父親顔負けのトリオン量を誇っていた。そのため自然とトリオン体での戦闘技術も二人は高かった。
子どもの中では敵なしであり、最近では大人組にも勝ち越しを上げるくらいには才能に溢れていた。
そんな彼らは現在、近界の惑星国家であり、ボーダーと同盟を結んでいる国の一つ、【アリステラ】へと訪れていた。
理由は観光─という和むようなものではなく、戦争だった。
アリステラは現在、国同士の戦争を行っており、戦況は劣勢。そこで同盟国であるボーダーが援軍として戦場に参加し防衛を行っていたのだ。
昆虫や恐竜、魚介の様な様々な形をした白い化け物─トリオン兵がその破壊力と数を持って戦場を容赦なく蹂躙していく。
中には
もちろん、ボーダーの戦闘員もこの戦場におり、時にはトリオン兵を、時には近界民をそれぞれ殺しては無力化していく。その中で、トリオン兵を相手するのには問題ないとしても近界民は見た目は同じ人間であることから戦っても命まで取るのは躊躇う者がちらほらといた。それは正直仕方ない、なんせボーダーに所属する人間のほとんどはまだ子どもなのだ。そうして情けや躊躇いから判断は遅れ、残酷なことに命を散らすものが出てきていた。
一人、また一人と殺されていく。戦争に慣れていないからこそ起きる現実。
血と火薬の臭いが充満していく。
そんな地獄の中で、誰よりも速く的確に敵の数を減らしていく人物がいた。
その肩まで伸びた綺麗な銀色の髪は返り血で変色しているが、まるで舞のように美しく戦場を駆ける少年─一ノ瀬真昼は齢13にして修羅のごとくその力を振るっていた。
「ああああああああああ!返せ!響を、楓を、学を、皆を!返せえぇぇ!」
昆虫のような見た目に10本のブレード脚を生やしたトリオン兵─モールモッドや恐竜のような見た目をしたバムスター、バンダーなど色んなトリオン兵を破壊しては近くにいる敵兵近界民の首を躊躇なく斬り捨てていく。
人の肉を斬る時の気持ち悪い感触も、その時の断末魔も、斬る時に恐怖に怯えた眼もなにもかもを無視して真昼は10,20と撃破数を伸ばしていく。
「お兄ちゃん!南西80m先に伏兵3!現在戦闘中の健悟くんと負傷してる鉄弥くんがそこにいる!」
空中にモニターのようなものを展開しては戦況を的確に把握し兄である真昼に伝える陽菜。彼女が今使っているのは真昼と陽菜が開発したサポートトリガー─【サポーター】であり、味方のトリオン体にセンサーを設置しそれぞれの周囲をレーダーで分析し投影されたモニターに映され敵味方の位置や地形把握など様々なサポートを可能にしたトリガーだ。これを使っているのはボーダーの非戦闘員とトリオンに余裕のある真昼と陽菜のみである。
陽菜の言った方角に走る真昼。その顔に焦りと恐怖が込められていた。
(頼む!間に合え!間に合ってくれ!お願いだからもう誰もいなくならないでくれ!)
瞳からは涙が流れるも真昼は気にせず走る。道中にいた敵兵を瞬時に斬り伏せながら。
時間にして僅か6秒弱、道中彼の討伐数はトリオン兵2、敵兵8。
伏兵が3人に戦闘中の相手が複数人いることから、到着時にすぐ再戦闘になることは予測していたため、抜刀状態で向かった。
何とか彼らの年上である健悟が鉄弥を護りながら奮闘しているだろうと思っていた真昼。
「健悟君!鉄弥君!またせ…た……」
そこには絶望が広がっていた。
まるで針山のように、健悟と鉄弥の身体には無数の武器が刺さっていた。
確認しなくても分かるぐらいには惨たらしい光景。確実に死んでいる。
光を宿さぬ彼らの瞳が真昼を見ていた。
なんで助けてくれなかったのかと。
なんでもう少し早く来てくれなかったのかと。
実際にはそんなこと言ってもないし思ってもないのだろうが、それでもそう言われているように真昼は感じた。
真昼は強い。恐らく誰よりも戦いの才能があった。
実際ボーダーで一番強いのは彼だった。
それは自他ともに理解していた。していたからこそ、少なくとも真昼自身はこの戦争に参加する前に、自分が皆を護るんだと自分自身に誓っていた。
だが、現実は残酷だった。
救おうと手を差し伸べても、その手を容易くすり抜け目の前で死んでいく
一番強いからこそ、目の前で仲間が命を落とす瞬間を最も多く見てきた。
だからこそ、真昼の心が壊れるのは必然だった。
「ああああああああああぁぁぁぁぁぁぁああぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
叫ぶ。ただ叫んだ。また救えなかった。どんどん死んでいく仲間。楽しかった日常が壊れる音がした。
もう戻れない、二度と見ることが出来ないその尊い光景に
亀裂が走っては砕けていく。
膝から崩れる真昼はそのまま空を仰いだ。黒く濁ったその空はまさに悲劇の象徴で。
真昼は全てを恨んだ。
近界もネイバーもトリオン兵も、何よりこの世界を恨み憎んだ。
もう何もかも手放したかった。
だがそれは許されない。少なくとも、まだ最愛の妹も、残りの仲間もまだ戦っている。
自分だけすぐ楽になるなんて許されていない。
思考を切り替える。今は悔やんでる暇はない。残った家族のためにも今はただ無慈悲に敵を殺す殺戮マシーンに成ればいい。
だから真昼は武器を持つ。トリオンで出来た刀型の武器。覚悟を決めた瞳が敵を捕らえた。
目の前には二人を殺したのだろう六人の敵兵。全員が戦闘態勢に入るためか近くにいた二人の死体からそれぞれ武器を引き抜いた。
そして真昼を殺そうと武器を構えたその瞬間、目の前に真昼がいないことに気づいた6人は死角を消すために背中合わせで円になった。
周囲を警戒しているなか、一人が上を見るとそこには武器を構えている真昼がいた
「う、上ぎゃば!?」
逆様に落ちた真昼はそのまま六人の円の中心に落ちると正確に敵の首6つめがけて腰を捻り一太刀で首を斬った。
血がまるで噴水のように噴き出す。辺りはあっという間に真っ赤に染まったが、真昼は気にもせず次のポイントを探す。その時だった。
「きゃあああああ!」
どこからか悲鳴。その声が陽菜のものだと気づくのは一瞬だった。
走りながら一瞬でサポーターを使い戦況を確認する。
突如として敵兵を知らせる赤い点が多く出現していた。
タイミングを計っていたかのように増援が来た。
『全員撤退だ!アリステラは放棄!護衛対象三名と共に遠征艇へ迎え!生きて帰れ!』
撤退命令。この戦況だと懸命である指示に、真昼は速やかに従う。
現在護衛対象は陽菜や小南たちと一緒である。大人が一人、子どもが二人。うち一人はまだ赤ん坊で大人の奴が抱きかかえているため実質護衛対象は二人。
いける。
素直にそう確信した真昼は走行速度をさらに上げて陽菜たちの下へ。陽菜の叫びから速度を上げるまでの時間、僅か2秒。
そして実際陽菜たちの元へたどり着くのに3秒。
陽菜が小南と連携して初めて見るトリオン兵と戦っている。
数は7体。タコのような見た目で手数が多いが弱点の目玉が頭部に露出している。
ならば容易いと身近のタコ足をぶつ切りにしていくとそのまま弱点を一刺しするまで2秒。
合計7秒で陽菜の下へ駆けつけた真昼であった。
「陽菜!大丈夫か?」
「お兄ちゃん…」
「どうした」
「い、イブキ君と、基紀君が…」
「……そうか。話はあとだ。撤退命令が出た、いくぞ」
「…わかった。護衛対象は王女様がこっちで王子は忍田さんたちが護衛してる。もう向こうは遠征艇近くで船を護ってる」
「ここが遠征艇に着けば終わりか。わかった。俺が殿をする、お前らはまっすぐ遠征艇に行け!小南!」
「ええ、聞えてたわ!迅たちも遠征艇からこっちに近づいてきてくれてるみたいだから大丈夫よ!」
「良し、いけ!」
「「了解!!」」
陽菜たちは気持ちを切り替え一気に駆け出す。真昼を背にして一刻も早く。
それを目で見ると真昼はもう一度刀を構えて敵と向き合う。
「後ろの大群が来るから時間はかけれない。45秒で捌く」
刀を鞘に納め前傾姿勢になり、ググッと脚に力を込める。それを隙と判断したのかタコ型トリオン兵が6体一斉にその鞭のような触手を放った。面で捉えるように伸びる触手。
「…15秒に短縮だな」
地面を抉るほどのエネルギーを開放して真昼は一瞬で一体目のタコの懐に移動する。
トリオン体であるからこそできた動き。誰よりも早くトリオン体に触れて、憧れのままにその身体機能を細かく試したからこそ、可能にした非現実的なそれは、まるで戦闘アニメのようだった。
そのまま頭部に飛び乗って弱点を斬り伏せては祖の勢いを殺さずに二体目へと視線を移す。
だが、そうやすやすと追撃を良しとしないタコ型は先ほど捉えるために放った触手で攻撃する。
だが、本来動くはずの触手が動かない。それはなぜか。答えは簡単である。
「お前らの足はさっきの分はもうないぞ。
一体目の懐に入る際に移動した時、真昼は居合の容量でその触手を切断していた。
そうすることでタコ達に大きな隙が発生し、真昼から見たら残りはただ捌かれるのを待つまな板の上も同然だった。
斬って斬って斬り壊す。
そうしてタコ型が全滅するのは陽菜たちが駆けだしてから15秒後だった。
深呼吸をして刀を収めた真昼は自分も陽菜たちの後を追おうと振り向いた。
「っ!桐絵ちゃん!!」
陽菜が焦った顔で手を伸ばしていた。
その先にはまたも見たこともない人型トリオン兵が小南を斬りつけようとしていた。小南は王女様を抱きかかえてることから恐らく転んだ彼女を助けようとしたところを突かれたのだろう。確実に小南はやられる。トリオン体のためあの攻撃は小南の命を奪わないが、その代わり生身の身体は戦場に放り出される。そうなれば追撃されて小南は死ぬだろう。
その瞬間、真昼は戦争前に迅から聞いていた話を思い出した。
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「…なあ、真昼」
「どうした、迅?そんな険しい顔して」
「…大事な話があるんだ」
「……ははは、もしかしてこの戦争で俺が死ぬ未来でも視たか?」
「っ!…な、なんで?」
「わかったかって?まあお前がそんな顔するときはなんか嫌なことでも視た時だろ。付き合いが長いんだ。わかるよ親友なんだし」
「で、でもなんで!なんでそんな冷静なんだよ!?可能性のある未来ではお前や皆も…」
「…誰が死ぬ?」
「…未来がありすぎて特定できない。みんな等しく可能性がある」
「なら、死なない可能性は?」
「……限りなく少ないがある」
「なら大丈夫だ。何も問題はない」
「でも…「迅!」っ!」
「お前の未来予知は確かに凄い。けどあくまで可能性の話だ。確実じゃない。だったらそれにいちいちお前が気にしなくていいんだよ。俺たちは可能性を知れるだけでだいぶ大きなアドバンテージを得てるんだ。感謝こそすれどお前を責めることは無い。気にするな、はだめだな。抱え込みすぎるな。まあ先に行っとくか。いつもそしてこれからも助けてくれてありがとな迅。これからもよろしく」
「やめろ、頭撫でんな!」
「照れるなよ~」
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迅の奴、絶対責任を抱え込むだろうな。…仕方ない、この戦争が終わったら慰めてやるか。話を聞いてやって、二人でたくさん泣いてたくさん叫んで、そしてまたみんなで笑おう。
もう誰も死なないっていう未来はない。だけど、もうこれ以上は死なせない。
これ以上、誰も奪わせない。
装甲の硬さが分からない以上、迎撃は難しい。距離的には小南たちの方が手前だ。ならせめて…
真昼はまたも地面を全力で蹴る。トリオン兵にではなく手前にいる小南たちに目標を決めて。
多少強いだろうがこのままやられるよりかはマシだろうとの判断。
そして狙い通り、真昼は小南を押し出して庇い、その代償として押し出した左手を切断される。
だが、刀自体は利き腕で持てるため問題ない。
真昼はそのまま踵を軸に身体を独楽のように回転して勢いそのまま刀をトリオン兵の首めがけて振りぬく。
装甲の硬さから、首半分で止まったが機能停止にするまでのダメージとしては十分である。
糸が切れた人形にようにその場に倒れる人型トリオン兵。
それを確認してから小南たちの方に目を向けると小南と護衛対象の王女様がなにやら唖然とした顔でこちらを見ていたので、真昼は発破をかける。
「小南!しっかりしろ!そいつを何としても守れ!走れ!こいつらは俺が足止めする!陽菜、小南たちを援護しろ」
「でもお兄ちゃん!こんな数いくら何でも無茶だよ!?」
「引きで戦うから問題ない。早くいけ!もう誰も失うな!」
「……了解!」
そう言って対峙していたトリオン兵を破壊して小南たちの下へ駆け出す陽菜。
それを庇うように構える真昼。左手からはトリオンが漏れているが仕方ない。
目の前にはトリオン兵の軍勢が地響きを発生しながらこちらに押し寄せてきた。
「…もう終わりにする。これで全部終わりだ。…ここから先はもう誰も通させない」
周囲を確認して使える武器の目星を立てる。種類や配置、消耗具合も視界に入るもの全て。
トリオン兵との距離は20m。最後の戦いが始まった。
『戦闘体損傷甚大』
戦闘が終わり、トリオン体の限界を知らせるアナウンスが鳴る。
周囲にはトリオン兵の屍の山。自身は複数の傷に武器を失った。
もう戦闘は不可能と判断した真昼はすぐにその場を離れ遠征艇へと向かう。
それにしても先行した陽菜たちの状況がないことに気づいた真昼は嫌な予感を察知したのか、急いでサポーターを一瞬起動し場所を確認する。すると、今回何度目なのか、陽菜たちの周囲に複数のトリオン反応。
ふざけるな、一番最初に出てきた感想はそれだった。
残りのトリオン量はごく僅か。なんとか急ぐ真昼は全速力で走り、見えてきた光景は夢であってほしいと願う者だった。
それは、小南たちを庇って敵に斬られ戦闘体が破壊される陽菜の姿だった。
そしてなぜか殺されるのではなく、彼女の前で突如開かれた
この後何をするのかは、簡単に想像できた。
「陽菜あぁぁぁぁぁ!」
ゲートから出てきた口の長いトリオン兵が陽菜に噛みつくと、そのままゲートへと引きずりこもうとしていた。
見るからに新種のトリオン兵。よく見ると周囲に同じようなゲートがちらほら視えた。
(敵対している国とは恐らく別の国の捕獲用トリオン兵!?まさかずっと忍んでいたのか!?)
陽菜が真昼に気づき手を伸ばす。真昼はその場で前傾姿勢になると弾丸のような速さで陽菜の下へ飛び込む。
ずるずると陽菜を飲み込むゲート。残りあと少しで手が届くという所で、
「お…兄ちゃん…に……げ」
伸ばしたその手は最愛の妹に届くことは無かった。
「あ、ああ…」
失った。最愛の妹を。
失った。最後の家族を。
失った。自身の半身を。
ふと小南たちの方を見る。他のトリオン兵に囲まれていた。
遠くから迅たちが他のトリオン兵と戦いながらこちらに向かっているのが視えた。
ならばもう自身に出来ることは一つ。
奪われたなら取り返す。
その前に陽菜が守ったモノは助けないと。
生気の宿らぬ足取りで敵に囲まれている小南たちに近づく。なぜかなにも攻撃してこないトリオン兵は無視して。
小南が驚いたように真昼を見ていた。当然だ、自ら危険な場所に来ただけでなく、なぜか他のトリオン兵たちも攻撃してこないのだから。
真昼はそんなことどうでもいいというように、小南たちの下へ着くと、そのまま彼女たちと視線を合わせるためにその場で膝をつくとまっすぐ小南と王女様の目を見る。
「……小南、聞いて」
それはとても優しい声だった。諭すように、慈愛に満ちた微笑みを込めて彼女たちを見た。
「俺は陽菜を取り返しに行く。ここで
「…え?ち、ちょっと待って。真昼、なに、言ってるの?」
「ここからお前たちを迅たちの方へ投げる。トリオン体なら一回ぐらい可能だろ」
「ちょっと、ねえ」
「そしたらお前らはもうここから逃げろ。いいな?」
「聞いてってば」
「必ず帰る。約束だ」
「ねえ!真昼!」
「次会うときまでにもっと強くなれよ、桐絵。ありがとう」
「真昼っ!!」
真昼は小南たちを優しく抱きしめるとそのまま力を込めて小南たちを迅たちの方めがけて投げた。それはもう思いっきり。もともと真昼のトリオン体はその膨大なトリオン量を利用して脚力と腕力を強化している。それにより他のトリオン体よりも出来ることは多く、人を投げることもまた可能だった。
投げた際に生じる隙は流石にトリオン兵は見逃してくれなかった。
案の定ボロボロの戦闘体にトドメを刺され生身になる。
戦闘体が破壊されたときに出る煙幕で敵の視界を奪い、まだ残っている陽菜を取り込んだゲートめがけて飛び込んだ。
その時、一瞬だけこちらを見る迅と目が合った。涙を浮かべては真昼に向かってなにか叫んでいる。
声は届かないが何となく、自身の名前を叫んでいるのだろうと考えた真昼は、迅に笑顔を向けて口を動かす。
(あとは頼む)
そうして真昼は覚悟を決めて陽菜のもとへ向かったのだった。
小南ちゃんの「弱い奴が嫌い」は過去になにか自分に対して弱さを感じていたからこそ、過去の自分を見ているようで嫌いなのかなって解釈で、今回戦犯紛いの扱いにしました!
ハーレムタグがついているので、もちろんヒロイン1号ではありますが、私はとことん主人公は愛されてほしいという願いを込めてるので、色んなキャラとの絡みをかけたら良いなと思います!
苦手な方もいらっしゃると思いますがよろしくお願いします!