独りにしませんいつまでも   作:残念G級

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新しい部隊

OP(オペレーター)の専門訓練?」

 

真昼は今、軍の上層部である城戸、忍田、林藤の三人に呼び出されていた。

向かいで肘をつき手を組んでいた城戸は、端的に今回の会議の内容を話した。

 

「そうだ。現在、ボーダーに所属するOPの人数が増えてきている。通常は本部入隊をしたあと、しばらくは事務仕事などを通して機器やシステムに慣れてもらっていた」

 

「知っている。ならこれからもそうすればいい」

 

「こちらもそうしたいところなんだがな、正直な事を言うと人手が足りないんだ。月見くんが今までOPの研修などを東隊と兼用してくれていたのだが、最近疲れが見えていてな。できれば他にも誰かOPの知識もあって教えるのが上手い隊員に手を貸してもらえないかと考えている。そこでなんだが、真昼」

 

「お前にやってもらえると助かるなっていうのが正直なところだ。ほら、お前小南とかだけじゃなく、レイジや蒼也にまで勉強教えてただろ?慶なんてこの前初めて平均点取ったって言って忍田さんだけでなく俺たちにも自慢してきたぐらいだ。勉強もできて教えるのも上手い、そして…」

 

「ボーダー創設以来からお前はOPの任を担っていただろう。今OPが使っているシステムはお前が使っていたサポートトリガーを基盤に使っており、元から機能は完成されていたため当時とほぼ変わりない。お前なら我々よりも細かいところまで教えられるはずだ。

月見隊員も実際にお前から色々教わり、能力が上がったと言っていた」

 

三人が順に話を進めていく。内容としては増えてきたOP隊員の研修及び定期的な専門訓練というもの。

主に将来、隊に所属したいと考えているOP隊員に対しての専門講習などを行い、早い育成を狙うというものだった。

 

「その内容は決まっているのか?それとも俺が?」

 

「やりやすい方法を選べ」

 

「なら教えといてほしいことだけリストにしてくれ。それを基に内容を考える」

 

「わかった。リストは本日の夕方までに送ろう。その後のスケジュールもまとめておく。なにか質問はあるか」

 

「いや、もうない。よろしく頼む」

 

「それでは会議はここまでだ」

 

城戸の号令で会議が終わり、真昼はすたすたと部屋を出ていった。

確か明日は新隊員の入隊日だったことを思い出し、スケジュール次第では明日なにかやるのだろうか、と考える真昼。

新人OPの通常業務をあまり知らないため、一体何をするのか悩んでいる。

うーんと唸りながら本部内を歩き食堂に向かっていくと、向かいから見知った人物が歩いてきていることに気づく。

 

「よっ真昼!お疲れ様だな。このあとは暇か?」

 

「聞かなくても分かってるだろ。それより今日は金曜だ。学校はどうした」

 

「休んだ。今日はこっちに来た方が面白いって俺のサイドエフェクトがそう言ってるんだよ」

 

「お前今日テストって言ってたよな?」

 

「げっ!」

 

「逃げたな?」

 

「そ、それは…」

 

「…はぁ、追試は行け。勉強見てやるから」

 

「そう言ってくれると思ったぜ!ありがとな、真昼」

 

「都合良いな。それで、俺はこれから昼飯だけど迅は」

 

「もちろんお供するよ。話したいこともある」

 

そうして二人で本部を歩いていき、食堂についた二人は注文し終わりパクパクとご飯を食べている。

そうして美味しそうに食べる二人だったが、迅が食べ進めていた手を止め真昼を見た。

それに合わせて真昼も手を止め、迅の方へ視線を移した。

 

「さて、それじゃ話をしようか」

 

「ああ」

 

「真昼はさ、部隊を作る気あるか?」

 

「部隊?」

 

「そそ、OPの子と戦闘員で作るあの部隊。真昼には部隊を持ってほしいんだ」

 

「理由は?」

 

「これから隊員がたくさん増えて部隊が複数出来る。それで今後は部隊がランク別で戦うようになるんだけど、上位にはトリガーの改良権や隊室が与えられる。お前は是非とも上の隊に行ってほしいんだよ」

 

「それがお前の描くこの世界の良い未来につながるのか?」

 

「ああ、今回はそれで100%良い未来に繋がる。それがさらに先の未来に恩恵を与えてくれるはずだ。

だから頼む。力を貸してくれ」

 

力強い真っすぐな眼をする迅。いつもぼんち揚げをバリバリ食っては飄々としている姿とはかけ離れているその眼を見た真昼はその覚悟の本気を確かに感じていた。

だからこそ、真昼も問う。

 

「…どこまでいっていいんだ?」

 

「…どこまでも」

 

「そうか、わかった。お前の頼みなら俺はそれを叶えるよ」

 

「…ありがとう」

 

「その前に勉強だな」

 

「あはは、…お手柔らかに頼むな」

 

 

 

そうしてご飯を食べ終わった二人は本部から出ると、そのまま玉狛支部に行き真昼による勉強会が開かれたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして次の日、本部にて新人隊員の入隊式が行われた。

戦闘員とOPで入隊式の場所は違うため、真昼は戦闘員の方からOPの方へと順に見ていった。

 

(確かに、戦闘員ほどじゃないがOPの数が多い。これは確かに蓮さん一人じゃ大変だろうな)

 

上から入隊式の様子を見学する真昼。

壇上では根付がOPの主な活動内容の話などをしていたため、ついでに新人のOPがなんの仕事をやるのか聞き耳を立てていたら、見学していたのがバレたのか根付と目が合う。

なにか嫌な予感がした真昼はすぐにこの場から離れようとしたが、判断が遅かった。

 

「皆さんがOPとしての能力が身についてきたら、実際に防衛任務で戦闘員と組んでもらいます。ネイバーが出てくるゲートの反応を感知次第、その規模やネイバーの数や種類なども伝えるようになります。そこで今回は我がボーダーが誇る優秀な戦闘員であり、皆さんが使うOPのシステムの基盤を作った張本人である、一ノ瀬真昼隊員に話をしてもらいましょう。…それでは、一ノ瀬隊員、こっちに来てもらっても良いですか」

 

「…はい」

 

なにやら大層な紹介をされた気がする真昼は内心めんどくさいと思っていたが、流石に新人隊員の前では失礼かと感情を押し殺して壇上へと向かった。

 

「…どうも、一ノ瀬真昼です。本日は入隊おめでとうございます」

 

根付からマイクを渡された真昼は自己紹介をすると軽く会釈する。

それに合わせて、新人OPの数名は同じように会釈を返していた。

そのメンバーには先日の防衛任務で真昼が助けた宇佐美たちがいた。

真昼が壇上に立ってからやけに騒がしくなっているが真昼は気にせず話を続けた。

 

「OPというのは基本的に戦場には出ず、この本部から戦闘員に様々な情報を伝えて支援をするのが役目だ。一見地味に感じるだろう。だが、実際の戦場ではその情報がどれだけ把握し得られているかで戦況は大きく変わる。敵の数、配置、離れている味方の状況、様々な状況を素早く解析し戦闘員に的確な情報を送る。

やることをかなりかみ砕いてもこれだけある。

戦闘員は戦場で市民を守るが、OPは情報でその戦闘員を守る。厳しいことを言うが、戦場に出てトリオン兵と戦わないから安全だと、命を失う心配がないと考えている者がいるのなら入隊せず帰る(・・・・・・)ことを勧める」

 

真昼が最後に言ったことに、先ほどまでうんうんと感心したように頷いていた根付は思わず目が飛び出るのではないかと思うほど見開いて口を開けていた。

それはOPの子たちも同じだったようで先ほどとはまた別タイプのざわめきが起きていた。

だが真昼は続ける。命の危険が少しでもあるからこそ、甘い考えを捨てさせるために。

自分達が入ろうとしているのは紛れもなく命のやり取りをする組織なのだということを。

戦場に置いて絶対はないのだ、先ほどまで一緒に話して笑い合っていた人が数分後には死んでいるかもしれない、トリオン兵に誘拐されてしまうかもしれない。

誰かを失う痛みを知っているからこそ伝えなければいけないのだ。

 

「OPの情報が無ければ戦闘員は満足に戦うことが出来ず死ぬだろう。戦闘員が死ねばネイバーは街へ侵入し住民を襲うだろう。たくさんの死傷者がでる。きっと友人も家族も失う。そしてもちろんネイバーと戦う者がいないのならここにもやつらは攻めてくるだろう。そうなればその身体で戦う術を持たないOPは格好の餌だ。

ここまで言えばわかるか?

これは戦闘員とOPを多少なりやっている俺の考えだが、ボーダー隊員においてたくさんの命を背負っているのはOPだ。敵を倒すだけが戦いじゃない。人を生かす戦いをするのがOPだ」

 

誰かが思わずゴクリと重い唾を呑みこむ。いつの間にか静かになっていたその場には、ただ真剣に真昼の話を聞いているたくさんのOPだけがいた。

それぞれが思い出すのは、まだ生々しく被害跡が残された約一年半前に起きた第一次近界民大規模侵攻の光景だろう。まるで地獄絵図のようなあの光景。

真昼はその光景を直接見たわけではないが、どれだけの被害があったかは容易に想像できる。

自分も同じような地獄を見てきてのだから。

各々が思い出す光景は違っても同じ地獄には変わりない。

もう二度とあのような被害を出さないように、出させないようにボーダーがあるのだ。

だったら、やることは決まっている。そのためにもわかりやすい明確な目的が必要なのだ。

誰の命を救わなければいけないのか、そのために何をすればいいのか。

 

「だから頼む。どうか俺たちの命を助けてほしい。OPの力を使って戦闘員を助けてやってほしい。君たちの力が、俺たちをより長く戦わせてくれる、より多くの命を救わせてくれる。だからどうかOPとしてこれから頑張ってほしい。力を貸してくれ。…以上です」

 

また会釈すると真昼はマイクを根付に返してそそくさと壇上を降りてその場を去っていった。

後ろから大きな拍手の音が聞こえる。

それを聞きながら、どこか全身がかゆくなるような感覚に襲われる真昼は苦虫を潰したような表情をしていた。

 

(…らしくない事をした。あんな言い方をしたら残るやつは少ないだろう。本部には悪いことをしたな)

 

溜息を吐きながら本部内をうろついていく。ランク戦でもやりに行くかと考えていると後ろからなにやら急いでいるのだろう誰かが走る音が聞こえてきた。

 

「あ、あのっ!」

 

端に寄って避けておこうとしていた真昼は、後ろからの声に周りを見渡した。この場には誰もいないことから声をかけられたのは自分だと認識し振り返る。

 

「俺か?」

 

「は、はい!一ノ瀬さんにお話しがあって」

 

「お前は…三上だったか」

 

真昼を追いかけてまで声をかけてきたのは三上だった。トリオン体になることも忘れて慌てて走ってきたのだろう、息を切らして膝に手をついていた。

 

「名前…覚えててくれてたんですね」

 

「あれぐらいはすぐ覚えられる。それで、話ってなんだ」

 

「えっと…」

 

「立ち話が難しいなら場所を移すか。ここからだと食堂か俺の部屋が近いがどっちがいい?話がしやすい方を選んでいい」

 

「え、一ノ瀬さんのお部屋があるんですか?もしかして部隊を組んでいたり…?」

 

「いや、俺個人の部屋だ。今はまだ部隊を組んでいない」

 

「そ、そうなんですか!それじゃお邪魔じゃなければお部屋行ってもいいですか?」

 

「わかった。ならこっちだ」

 

二人は真昼の部屋に向かおうと並んで歩き始めた。まだ本部内に慣れていない三上は興味深そうに見ながら、決して迷子にならないよう真昼の傍に寄っていた。

真昼もそれを察してか歩く速度を三上に合わせて、時折曲がる場所を教えて誘導するなどしていた。

そして周りと同じ無機質のドアがある角部屋に着くとロックを解除して中に入り、三上もそのあとに続いた。

 

「お、お邪魔します」

 

「好きにくつろいでくれ」

 

三上は部屋に入るなり緊張した様子で部屋をきょろきょろと見渡していた。

生まれて初めて異性の部屋に入る三上はあまり部屋を見渡すのは失礼だとわかっていても、好奇心がそれを上回ってしまうのだろう。異常にソワソワしていて見るからに体温が上がっている。

 

(ここが一ノ瀬さんのお部屋…凄い整頓されてて色もモノトーンで揃ってて綺麗。こういうの好きなのかな。男の子のお部屋に初めて入ったけど、私のお部屋より全然おしゃれだ。それに…一ノ瀬さんの匂いがする。良い匂い)

 

「飲み物はなにがいい?珈琲か紅茶かジュースだとイチゴオレしかないが」

 

「あ、全然お構いなく!そんなご迷惑は…」

 

「俺も飲むからついでだ。それで、何がいい?」

 

「…それなら、珈琲をお願いします」

 

「わかった。それよりさっきから突っ立ってないでそこらへんに座っとけ」

 

「はい、ありがとうございます!」

 

真昼はキッチンへと向かい、三上はソファに座ってその姿を眺めていた。

 

真昼の部屋は他の部屋よりも広く作られている。

そもそもこの部屋は玄界に家がない真昼を想って城戸たちが用意させた部屋だ。現在、まだ隊員が多くないボーダーはその隊員のほとんどが真昼よりも年が上でまだ学生である。いくら防衛任務があったとしても学生のうちにしか体験できない学校行事は極力参加せてあげたいというのが本部の考えである。

なので自然とそういう学校行事の時期になったら動ける隊員は少ない。

対して真昼は最近帰ってきたというのもあり、こちらの生活に成れることを優先した方が良いというのと、学力も入院中に勉強したことで本来の年齢である中学の内容はもちろん高校を超えて良いとこの大学に通えるレベルで知識が身についているため、この一年間は学校に通わずにいる。

そうなると自然と日常生活はボーダーが中心になるため、真昼は玉狛と本部を行ったり来たりしている。

その結果、本部でも部屋の規模が自然とでかくなっているのだ。

実際、真昼の部屋は他の隊室と同じ戦闘訓練室などはもちろん、キッチンにリビング、トイレに風呂、独立洗面台など、一人で暮らすには広すぎるほどの規模だった。

そういうわけで真昼の生活感満載のその部屋は、当然真昼の匂いなども染みついているわけで、三上が色々と落ち着かないのは仕方ないことなのである。

 

それからしばらくして珈琲を淹れ終わった真昼はグラスを二つ持って三上の向かいに座る。

 

「カフェインが強すぎるかもしれないと勝手にカフェオレにしたが、良かったか?」

 

「嬉しいです!ありがとうございます!」

 

コースターの上にグラスを置いて三上の方へ差し出す。三上は嬉しそうにお礼を言うと、早速一口飲んだ。

 

「凄い美味しいです!」

 

「そうか、口に合ったのならよかったよ」

 

二人はもう一口ずつ飲み一息つくと、真昼が話を促した。

 

「…それで話ってなんだ?この前の事でなにか言われたか」

 

「い、いえ!そうじゃないんです。ただ、さっきの一ノ瀬さんのお話を聴いて感動したことを伝えたくて」

 

「…そうか。脅しになってみんな辞めてしまうんじゃないかと少し焦った」

 

「そんなことないですよ!一ノ瀬さんが話し終わった後、みんな気合が入ってましたから」

 

「なら今回のOPはいい子たちが多いんだろう。それは凄い助かる」

 

「助かる…ですか?」

 

「ああ、実はじn…上から部隊を組んでほしいと言われていてな。戦闘員はとりあえずいいとして、OPをどうするか悩んでいた。元々OPの数は少なかったが、その中でも何人かの知り合いはすでに部隊が決定してたから、今回入隊する奴から探そう(・・・・・・・・・・・・)かなと」

 

少し困ったように溜息を吐く真昼。そんな中三上は突然手を挙げると顔を真っ赤にし、口をパクパクと金魚のように声もなく開けていた。

 

「…どうした」

 

「わたしじゃだめですか!?」

 

「…なにがだ」

 

「一ノ瀬さんのOP、わたしがやっちゃだめですか!?」

 

見かけによらず大きな声が出たことに驚く真昼。一方そんなこと気にしてられない三上はテンパっているのかその後も早口で話し始めた。

 

「先ほどの話したかったこともこれなんです!もし一ノ瀬さんが隊を組んでいないのなら一緒にできないかって思って聞きに来たんです!さっき壇上で話してもらった後、周りの子たちがみんな一ノ瀬さんのこと話してて、中には私と同じように一ノ瀬さんのOPに立候補しようかなっていうのも出てて、早く言わないと誰かに取られちゃうって思って、どうしてもわたしが一ノ瀬さんとやりたくてそれで…」

 

だんだんと冷静になってきたのか声に勢いがなくなっていく三上。

ところどころ恥ずかしいことを言ったことを思い出したのかみるみると顔が赤くなっていく。

そんなことお構いなしにだんまりとする真昼。

静かに考え事をしている真昼に、おずおずと顔を窺う三上。

そんな構図が広がっていると、真昼が突然三上へと視線を向けた。

 

「三上は俺と部隊を組みたいのか?」

 

「…はい」

 

「正直、いつまで続けるかわからない。もしかしたら一年で解散するかもしれない、それでもいいのか?」

 

「はい、それでも私は一ノ瀬さんと一緒の隊に入りたいです。まだOPというお仕事がどういうものかもわかりませんが、OPの大切さを知っている人の下でわたしは学びたいです。なにより、好きな人の傍にいたい(・・・・・・・・・・)んです!」

 

三上の熱意の籠った眼がまっすぐ真昼を見つめる。どこか揺れている大きな目。思いがしっかりと乗せられた言葉は全て三上の本心だ。そう、想いが乗った言葉は全て本心(・・・・・・・・・・・・・)なのだ。

三上は自身の言葉を思い出す。おかしなことは何も言っていない。ただなにか先走ったというか言わなくていいことまで言ってなかっただろか、と。

 

『好きな人の傍にいたいんです!』

 

言っていた。確実に言っていた。本人の前で、まだ会って間もないのに告白をしてしまっている。下心で言っていると思われてしまったら一気に終わりである。

顔を一気に赤く染めあわあわと声なき声が漏れる。

眼がグルグル回り完全にパニック状態だ。

どうしようと慌てている三上だったがそれは杞憂に終わった。

 

「そうか、わかった」

 

「…ふぇ?」

 

「入隊してすぐに部隊を組めるのかはこっちで確認しておく。だから三上、俺と部隊を組んでくれるか?」

 

「…わたしでいいんですか?」

 

「わざわざ俺のところに来てまで立候補してくれたんだ。いいだろ」

 

「でも理由が…「好きな人のってやつか?」…はい

 

「俺には好きな人がとかそういうのは正直わからない」

 

「…」

 

「ただ傍にいたいっていうのはわかる」

 

「っ!それは」

 

「俺も傍にいたいと思える人がいた、どんな手を使ってでも守りたいと思える人が。だが俺は守れなかった」

 

まるで自分を罰しているような表情で話す真昼に三上はギュッと拳を握る。今この胸に抱く感情は果たして嫉妬なのかなんなのかはわからない。真昼の言い方からしてその人はもうこの世にはいないということは想像できる。だからこそ、その人にまで変な対抗心のようなものを感じている自分が嫌になっている。

そんな三上の事を知らず真昼は話を続ける。

 

「失ってからどんなに傍にいたいと思っても遅い。どんなに思ってもそれは決して本人には届かない。俺はそれを知っている。だから…」

 

真昼はそっと三上の頭を撫でる。どこか切なそうに微笑みながら。そんな彼の顔を見た三上はまるで胸が締め付けられるような感覚に襲われる。寂しさと悲しさと後悔と、いろんな負の感情が込められた真昼の顔は、いつ消えてもおかしくない、そう思わせる雰囲気を持っていた。

 

「傍にいたいと思える相手が手の届く範囲にいるのなら、傍にいればいい。後悔しないように。三上の気持ちは俺にはまだわからないけど、三上が傍にいたいと思う人が俺だって言うなら、それは嬉しいと思う。ならこの隊がどれだけ続くかはわからないが、それでもいいなら、俺の傍にいろ。俺のOPになって、俺を助けてくれ」

 

優しく頭を撫でるその手はまるで陽だまりのようにあたたかくて、安心感と癒しを与えてくれるなと三上は感じていた。撫でる手つきが慣れてるから、真昼はきっといろんな人にこうして安心感を与えていたんだろう。そういえば、3人で真昼に救われた時も最後に頭を撫でてもらったなと思い出した。

これからもこうして誰かの頭を撫でるのだろうか。この人は自分の容姿とか包容力のあるその人柄をわかっているのだろうか。きっと自分以外にもこの人を特別に思う人が出てくるだろう。仕方ない、この人はそういうところがあるから、と三上は考えをもんもんとさせていた。

今はまだこの人の特別になれなくていいから、今はこの人の隣を独り占めさせてもらおう。

 

三上は真昼の隣に移動すると、そのまま真昼の頭を自身の胸へと抱き占めた。

いつも泣いた下の子たちにするように、泣いている子をあやすよう。

今はまだこの人に何があったかは分からない。

でも頑張ったねって、お疲れ様って伝えたい。

そんな想いを込めて、少し強く抱きしめた。

 

突然の事で放心状態の真昼。だがどこか落ち着くそれに今は委ねることにした。

 

「…わたしを真昼さん(・・・・)のOPにしてくれませんか?」

 

「…よろしく頼むよ、歌歩(・・)

 

今ここに新しい部隊が結成したのであった。

 

 

ちなみにこの後、我に返った三上は自分らしからぬ行動に悶絶し恥ずか死ぬのであった。

 




こうしてヒロインがまた一人増えたのでした。
なんか、真昼君は見境なしかと思われるあkもしれませんが、基本彼は対人スキルは妹基準になっていますので比較的心を許したら誰に対しても距離感は近いですね笑

こんな調子でランク戦とか色々書いていきたいと思いますのでよろしくお願いします!
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