独りにしませんいつまでも 作:残念G級
「トリガーオン」
「おっ!かなりかっこいいデザインになってるじゃないか」
「凄い凝ったデザインですね!かっこいいです!」
今、真昼の部屋には迅と三上が訪れており、開発室に依頼していた隊服が出来たとのことで三人でお披露目会をしていた。
迅と一緒にいたタイミングで開発室から連絡が来たため、そのまま真昼が三上にも連絡したのだ。
勉強とボーダーの仕事を頑張り、やっと先日正式に隊を組めるようになり、今日はその記念ということでこの後二人でご飯を食べる予定になっていた。
真昼の現在の姿は、胸から右肩にかけてアメジスト色の線が二本入った身体のラインが際立つピチッとしたノースリーブのインナー、下はゆったりとした長いパンツ、そして上にオーバーサイズのパーカーが着脱可能設定になっていた。
送られて生きたメールに添付されている説明書には、『パーカーを羽織っている時はサイバーパンクを、脱いだらスタイリッシュな暗殺者風をイメージ!個人的にはパーカーを羽織っている時は動いている時に視える肩の筋肉、脱いだ時に浮かび上がる引き締まった身体のラインと浮かび上がる腕の血管や筋スジがポイント!そのほかにも…』
と、かなり個人的な癖が詰まってそうな内容が書かれていたため、真昼は読むのをやめた。
他の隊員の隊服とはまた少し主旨が違った感じで迅と三上も新鮮味を感じて好印象だった。
すると三上が真昼が羽織っているパーカーの右肩にあるマークに気づいた。
「あの、一ノ瀬さん、この右肩のマークって…」
「俺たちのエンブレムだ。隊服を依頼する時に創って見ないかと言われたんだ。今後、部隊が増えていく時にランクを分ける一つの見分けにしようかとの案が出ているらしく、そのお試し案だ」
「なるほど。ちなみにこのエンブレムのデザインにはなにか意味があるんですか?」
三上と迅が見ているエンブレム。
【一滴の雫を受け取める手皿】が描かれたそのエンブレムを、二人は不思議そうに見ていた。
その三上の問に真昼はああ、と返事をしてはそのエンブレムのデザインの説明をした。
「俺は誰が相手でも負けるつもりはない。東隊や、最近できた嵐山隊など基本複数人の戦闘員を集めるがうちはそうじゃない。だから俺が全員倒す。そこで、雨垂れ石を穿つ、という言葉から少し発送を得ている。
この雫は誰が相手でも必ず穿つという意思表示であり、俺自身だ。
そしてこの手皿はどんな時でも唯一、この雫を受け止め支えてくれる三上自身だ。
これがこのエンブレムの意味なんだが、勝手に創って悪かったな。なにか改善したいところがあったら、一緒に創りたいんだがどうだ?」
真昼の考案したエンブレム。その説明を聞いていた迅は、その内容にどこかニヤニヤといやらしい表情をしては真昼と三上を交互に見ていた。
そして三上はというと、顔をリンゴのように真っ赤に染めてポロポロと涙を流していた。
その三上を見て思わずギョッと驚く真昼。
デザインが悪かったか、なにか怒らせるようなことをやってしまったか、と珍しく慌てている。
「…み、三上、どうした。なにか嫌な部分があったなら言ってくれ」
「うふふ、ごめんなさい。凄い嬉しくて。こんなに素敵なエンブレムを作ってくれて、しかも自分がその中に入っているのが嬉しくて、気づいたら涙が止まらないんです。」
三上は真昼の顔を見てにっこり微笑んだ。初めて見る想い人の慌てようにクスリと笑って、三上は思わず真昼に抱き着いた。ぐりぐりと頭を押し付けて。
そんな三上の様子に、とりあえず安心した真昼は、ポンポンと三上の背中を撫でる。
「気に入ってくれたならよかった」
「はい!とっても気に入りました!このエンブレムのように、一ノ瀬さんをしっかり受け止めてあげられるようにもっともっとわたし頑張ります!」
「ああ、頼んだ」
こうして正式に一ノ瀬隊が誕生した。迅が記念に写真を撮ろうと提案すると、大喜びで賛成する三上。するとそこで真昼がストップをかけた。
「待て、まだある」
「「まだ?」」
「実は開発室に頼んだのは
そういって真昼は三上に一つのトリガーホルダーを渡した。
三上は黙ったまま受け取るとそのトリガーを起動した。
すると三上の服装はいつも着ているOPの服に上に、真昼が着ている物と同じデザインのパーカーが羽織われていた。
仕事の邪魔にならないように袖周りはきゅっとしぼめられており、OP業務には全く支障が出ないようになっている。
真昼とお揃いの上着を着ては自分と真昼を交互に見る三上。するとまたその綺麗な目がうるうると潤み、せっかく泣き止んだのにも関わらずまたポロポロと涙を流し再度に抱き着いた。
感情が高まったのかまるで木にしがみつくコアラのようになった三上。
その後わちゃわちゃしながらもなんとか泣き止んだ三上と一緒に写真を撮った真昼。
改めて、こうして一ノ瀬隊が誕生した。そしてこの一ノ瀬隊が今後、先にも後にもボーダーの伝説のひとつとして未来で語られることは現状エリート隊員しか知らないのであった。
そうしてまた月日が経ち、一ノ瀬隊は現在チームランク戦システムの試運転としてある部隊たちとチーム戦を行なおうとしていた。
「緊張しているか?」
「少しだけ…でもたくさん真昼さんに教えてもらったので今日は全力を出します!」
「ふっそうだな。その心意気があるなら大丈夫だ。防衛任務でも日頃のOP訓練でも確実に実力は上がっている。歌歩はいつも通りやればそれで勝てる」
「ま、任せて下さい!例え模擬戦だとしても真昼さんと絶対に勝ちます!!」
「ああ、一緒に勝とう。歌歩」
二人はお互いに微笑みかける。まるで自分たちの勝利を確信しているかのように。二人の間には穏やかな空気が流れていた。
「…さあ、今日こそは真昼に勝たないとな」
「そうね、真昼くんにはいい加減勝たないと、負けっぱなしは悔しいわ」
「お前と同じ意見なのは尺だが、今日こそは負けん。ついでに太刀川の馬鹿も俺が墜とす」
「ふふ、皆気合十分ね。三輪君は緊張してる?」
「いえ、俺はいつも通りやるだけです」
東は隊員の顔を順に見ていく。みな、気合が入った眼差しを東に向ける。その強い意思を感じ取った東はふっと優しく笑うと、「よしっ!」と自分自身にも気合を入れた。
「それじゃ、今日の作戦を考えようか」
「ちょっと太刀川さん、いい加減作戦会議した方がよくないですか?」
お茶を飲みながら自身の隊長である太刀川に話かける一人の金髪少年。名を出水公平と言い、最近、東隊で活躍する二宮と張り合うべく太刀川が作った隊のメンバーである。ポジションは
「まあ聞けよ出水。今日戦う相手、わかってるか?」
「東隊と嵐山隊、そして一ノ瀬隊でしょ?わかってますよそれぐらい」
「そうだ、そして東さんとこは作戦ゴリゴリで来るから要所で対応した方が早い。嵐山隊はデータが少ないから考えても仕方ない、真昼に関しては考えたところで全部潰されるからもうその時の勢いに任せるしかない。つまり、俺の言いたいことはわかるよな?」
「…それって最初から考えるきないっすよね」
その太刀川の言葉に鋭くつっこむもさもさした男前の少年は烏丸京介。最近ボーダーに入りながらその高い能力を太刀川に買われスカウトされた。実家があまり裕福ではなく、中学生ながらに新聞配達のバイトをしたりで家族のために稼いでいるできた子である。
「…言うな京介、もううちはいつも通りこの人が暴れて俺らがフォローするしかない。この隊に入っちまったのが運の尽きだ」
「悲しい事実っすね…」
「それに見てみろ、出水、京介。うちのOPを」
太刀川はどこか遠い目を向けながら、この太刀川隊のOPへと指を指した。
そこにいたのは自分のディスクに貼られている一枚の写真を眺めてはだらしない顔をしている一人の美少女。
名を国近柚宇といい、おっとりとした雰囲気を持つ、タレ目で髪の長い女の子。中学生ながらに立派に発育されたその胸は今もなお成長中。そんな彼女が眺めている写真に写っているのは、国近本人ともう一人の男とのツーショット。
白銀の長い髪を後ろに束ねた美形の人物。一見美少女に見えるその人物はれっきとした男であり、その証拠か写っている国近との身長差が凄いあった。
その写真の人物の名は一ノ瀬真昼。この写真は国近が入隊してすぐ、本部内で思わず転びそうになったところを助けてくれた真昼に一目ぼれした国近が、ぐいぐい迫り撮ってもらった一枚だ。たくさん撮ってもらった中で一番のお気に入りを貼っている。お願いしたらなんでも良いと言ってくれたから、調子に乗って後ろから抱きしめてもらうようにしてもらった。写真内の彼女は人に見せられないぐらいデレデレになっている。まあその顔と同じような顔を現在も太刀川隊のみんなに晒してるのだが、本人は気にしていない。
そんな自分達のOPの様子を見ていた太刀川、出水、烏丸はどこか諦めたような視線を国近に向けた。
そして彼らは心配していたのだ。
果たしてこれから行われる模擬戦で、うちのOPは使い物になるのかを。
いや、いつも防衛任務前はこうして壊れているが仕事になったら切り替えていた。
今回もそうだろうと信じる三人。だが、今日はその国近の想い人が敵なのだ。
いつも通りこなせるのか、この不安は戦いが始まるまで晴れることは無かった。
「さあ!今日の作戦を考えようか!」
そう元気に話すのは嵐山隊の隊長─嵐山准。将来的にボーダーの広報媒体やテレビに出演する用にとして作られた広報部隊。だがその実力は折り紙つきであり、隊長の嵐山はその高い指揮能力と視野の広さで近中距離を匠にこなし、隊長兼隊のエースとして活躍している。
「それじゃまず、それぞれの隊の特徴を充、頼んだ」
「はい、嵐山さん」
嵐山に呼ばれた少年は時枝充。眠そうな眼をしてはいるがかなりデキるやつ。サポート面においてかなりの実力を持っており、嵐山隊の基盤とも言える。
「東隊は誰もがエース級の力を持っています。東さんは言わずもがな、OPの月見さんも戦術面においての知識が高く、戦術で優位を取るのはかなり難しい印象です。そして戦闘員である加古さん、二宮さん、三輪先輩は主に三輪先輩が孤月での近距離、二宮さんと加古さんで中距離でそのフォローか、崩しを三輪先輩がしてトドメに中距離の二人か東さんと言った、多数の戦術があります。
太刀川隊は烏丸君と出水先輩が中距離でフォローをしメインで太刀川さんが多いですね。ただフォローに回ってる二人も隙があればトドメをさせる実力を持っています。
そして最後に一ノ瀬隊ですが、まず前提として真昼先輩には
「え!?やっぱそうだったの!?東さんたちとの戦闘ログ見たことあるけど、死角からでも避けてたからそうかなって思ってたんだよな」
時枝の発言に驚いたのは嵐山隊の
黄土色の髪に緑色の眼を持つ彼は、少ないスナイパーの中でも高い技術を持っており、現在はスナイパートリガーであるイーグレットを両手で扱う【ツイン
そんな佐鳥は時枝の
「真昼先輩にはスナイパー殺しというサイドエフェクトがあるそうで、その効果がレーダー探知機のように自身を中心とした一定範囲内のトリオン反応を感じ取ることが出来るそうです。しかもそのトリオン反応が個人で違うらしく、範囲内だったら対象を識別することも可能で、この探知は例えバッグワームを使っても逃れられないそうです」
「…ははは、まさしくチートだな」
苦笑いを浮かべる短髪の男は柿崎国治。嵐山と同期であり、その慎重な性格はしっかりと相手を分析し長期戦に向いているバランサーである。
「そして真昼さんは使うトリガーに規則性がなく、正直どんなトリガー構成で来るのか読めません。今のところ多く使用しているのはオルサイズという大鎌のアタッカートリガーです。その大きさから近距離はもちろん中距離もカバーでき、その一撃は例え孤月だろうと上手く受け流さないと破壊されます。太刀川さんは受け止めないでひたすら回避することに専念していることから、防御はほぼ不可能と言っていいでしょう。…各隊の情報は以上です」
「ありがとう、充。さて、これだけ聞けばわかると思うがどこも強敵だ。正直、実力で言えばうちが一番下と言っても良い。だが、負けるつもりはない!しっかり作戦を立てて綾辻のために勝つぞ!」
嵐山が気合を入れてしめようとしたところで、ある人物の肩が跳ね、佐鳥は「…ん?」と疑問を持ち嵐山に待ったをかけた。
「あの、嵐山さん、なんで綾辻先輩のためになるんです?いや、勝ちに行くのはわかってますけど」
佐鳥はそういうと自隊のOPの綾辻へと視線を移す。その件の人物たる綾辻遥は、アイドル顔負けのその可愛らしいにこにこの笑顔で話しを聞いていた時とは変わり、頬をカァ~ッと赤く染めてプルプルと何かを耐えるように身体を震わせていた。
「なんでって、なんでもこの戦いでうちが勝てば綾辻が真昼とでかけられる?とかなんとかって聞いたからな!真昼の事だから別に勝ち負け関係なく言えば出かけてはくれるとは思うが、綾辻が自分から真昼に言ったらしいから、だったらそれを叶えてやるのが俺らの仕事だろ!」
まるで物語りの主人公かのように爽やかにはにかんでは皆にサムズアップする嵐山。
そしてその嵐山の話を聞いて、恥ずかしさのあまり手で顔を覆って小さく謝罪する綾辻、そしてその姿を見て苦笑いを浮かべる柿崎たち。
「よし!それじゃ改めて、勝つための作戦を考えようか!」
こうして4部隊の作戦会議が始まった。
戦闘開始まで残り5分。
次回から本格的に戦闘描写を書いていきたいと思います!
余り上手く表現できないとは思いますが、誠心誠意頑張らせていただきますので暖かく見守っていただけると幸いです!