独りにしませんいつまでも   作:残念G級

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話をどんどん進めたいと悩む作者です…

そして戦闘描写の難しさに頭を抱えています。
イメージしにくいと思いますがどうかご了承ください。


決着

太刀川と二宮の乱入により、戦場は一気に激しさを増した。

 

「太刀川さん!俺は二宮さんを止めます!真昼さんの相手は頼みましたよ!」

 

「おーいいぞ。加古は各自対応ってことで」

 

太刀川は好戦的な笑みを浮かべて孤月の二本目を抜いた。

それに合わせて真昼も孤月を抜く。その表情は太刀川のそれとは対照的に感情が全て抜け落ちたように冷めたものだった。

そしてその真昼の心の色を表すように、鈍く光る真昼の黒い孤月。

 

「この前のリベンジだな」

 

グラスホッパーを使って一気に真昼へと駆け出す太刀川。それに合わせて真昼は太刀川と自分の間に一枚そして周囲に乱雑にエスクードを生やした。

その数はおよそ20枚。

 

「おいおい、どんだけ出すんだよ」

 

太刀川は急停止するとそのままバックステップで回避すると、その場にはバイパーの雨が降り注いだ。

太刀川との距離が離れたことを感知すると、真昼は旋空孤月で太刀川に斬撃を放つもそれを同じ孤月で受ける。

周囲のエスクードも斬撃に巻き込まれ破壊されていく。

ちょうどお互いの姿を視認できたところで、太刀川は真昼を見て思わず呆けた表情を浮かべた。

 

「…拳銃?」

 

太刀川が見たのは左手に持つ拳銃を構える真昼の姿だった。

真昼と太刀川の距離は現在およそ25m。

銃手トリガーであれば射程は足りているが、太刀川ほどの実力があれば容易に避けれる距離である。

再度グラスホッパーを使おうとしたところで、太刀川の脳裏にある日の真昼との戦闘を思い出した。

それは何回目かの混成チーム戦をやった時に、真昼が狙撃手トリガーであるアイビスを使ったときの事。

本来、アイビスとは射程などが短くなる代わりにシールドを容易に破壊できるほどの威力をもつもの。

その威力は使用者のトリオン量に影響される。

そこで真昼のトリオン量はというと、現ボーダー隊員の中でもダントツの量を持っていた。ではそんな膨大なトリオン量を持つ真昼がアイビスを使うとどうなるか、それは最早狙撃ではなく大砲そのものだった。

射線上の建物をいくつも破壊し地形が変わるその一撃は例え固定シールドを行っても簡単に破壊されるだろう。

 

その光景を思い出した太刀川はすぐさま回避を選択。それと同時に引き金を引いた真昼。

 

銃口が光る。

 

その瞬間、銃口から放たれたそれは弾ではなく、まるで全てを破壊する破壊の光線だった。

 

「っ!嘘だろ!?」

 

光線すれすれでなんとか交わした太刀川は完全には避けきれなかったか、左腕が消し飛んでいた。

真昼が放った射線を見るとちょうど40mほどだろうか。その破壊光線が通った場所は何も残っていなかった。

その一撃は近くで戦っていた出水と二宮も目撃しており、規格外すぎるその威力に眼を大きく開けては驚きで声も出ないと言った様子だった。

 

「おい真昼!それあれか、開発室でもしてもらったやつか!?」

 

「…違う。俺のトリオン量とサイドエフェクトで調整したものだ。前に柚宇と見たアニメのキャラがやっていたのを思い出して試したらできた」

 

「アニメってお前なぁ…国近わかるか」

 

『うーん、あ、真昼君が言ってるのブ○ーチだよ。わたしが真昼君の隊室で遊んだ時に一緒に観たんだ~』

 

「…柚宇さん、あなたとんでもない化け物を生み出したぞ」

 

『えへへ~それほどでもないよぉ』

 

「「褒めてねえわ!?」」

 

それから真昼は容赦なく太刀川に破壊光線を連発していく。

その姿はどこかの仮面付きプリメーラさんのごとく、周囲を破壊しながら徐々に太刀川を追い込んでいく。

 

『出水、一瞬こっちにメテオラくれ。このままじゃ負ける』

 

『いいですけど、二宮さんに殺されても怒らないでくださいよ!』

 

『それはお前…頑張れ』

 

出水はメテオラを起動し64個に分割し、半分を真昼と太刀川の間に、残りを二宮の方へと撃ち放った。

直接倒すというよりは爆破による煙幕代わりとして利用した。

大きな爆発により発生した爆煙に包まれた太刀川はグラスホッパーを使用し一時離脱を図る。

レーダーで真昼の位置を警戒しつつ逃走ルートに沿って後方に飛ぶ太刀川。このまま逃げ切れるかと思ったその時だった。

 

「うおっ、なんだこれ!?」

 

突如太刀川は自身の退路を阻む謎の壁にぶつかった。

先ほどまで何もなかったはずの道に生えたその壁の正体は一つしかない。

 

「ここでもエスクードかよ!どういう使い方してんだよ」

 

本来は使用者を守る盾として使われるエスクードを、相手の退路を阻む壁として使った真昼。

そのまま距離を詰めるかと思いきや、真昼は自身を挟むよう前と後ろにエスクードを出す。

すると真昼の後ろのエスクードに衝撃が走った。

 

「あら、流石に読まれてたかしら。でも、これは難しいんじゃない?」

 

それは加古が放ったハウンドだった。念のためバッグワームを着ていての奇襲だったが、真昼相手に隠密は無意味だというのは理解していた加古は、奇襲のハウンドを仕掛けた後、すぐさま次の一手を仕掛ける。

テレポーターでエスクードを乗り越えるように瞬間移動し、スコーピオンでの近接。

その際にハウンドを威力重視で展開し真昼とその先にいる出水に放った。

なぜ出水に放ったのか、それは保険である。

加古は決して真昼に近接戦で敵うとは思っていない。真昼の近接戦闘能力はあの太刀川は愚か師である忍田よりも上を行く。

そして真昼は近接どころか中距離と遠距離と全ての距離に完璧な対応を可能としていた。ではそんな実力者に対してなぜ加古は自身の得意である中距離戦ではなく近接を挑んだのか。

それは真昼が女性相手だと近接戦の動きが鈍るからである。

 

近接戦は距離の特性上、自身で直接得物を使って相手を攻撃する。その直接手をかける相手が女性だと、真昼は無意識に自身の妹である陽菜の姿を重ねてしまい、戦闘における判断を含めて全ての動きが等しく鈍くなってしまうのだ。

現ボーダーで真昼の過去を知る者はそう多くない。

真昼の過去とこのことを知るのは、現状だと旧ボーダー隊員と同隊の三上ぐらいである。

そのため、真昼は女性が相手だとよくするのは中距離戦で数にものを言わせた攻撃か、仕方なく近接になった場合は相手の姿や動きを視ないようにノールックでトリオン供給器官を一突きする手段を用いていた。

 

以上の事から、加古はまだ勝機がある近接を挑んだのだが、やはり真昼は強かった。

サイドエフェクトの複数同時使用により、上背後に現れた加古の存在を把握し、すぐさまバイパーを展開し、加古のハウンドを相殺していく。

そしてスコーピオンを構え迫りくる加古には、同じスコーピオンで迎え撃った。

 

「ふふ、流石ね真昼君。まるでハリネズミ(・・・・・)だわ」

 

加古の身体に刺さる無数の棘。自身の身を護るように、背中いっぱいに生やされたスコーピオンはまるでハリネズミのようだった。

真昼のトリオン量だからこそ、スコーピオンでこのような無数の棘を生やすことができる。この技は後に【ヘッジホッグ】と命名されるが使用者はおそらく真昼だけだろう。

 

そのまま加古はベイルアウトし、同じタイミングで二宮も出水を落とした。

加古が放ったハウンドを囮にしての攻撃に流石の出水も対応できなかったようだ。

 

真昼は居合の構えをすると刹那の内に目の前のエスクードを細切れにし頭一つサイズのブロックにすると、それを太刀川めがけて蹴り飛ばしていく。その際にバイパーを展開し1000発に分割、その全てを二宮へと奇襲させることも忘れない。

 

「ちょいちょい!ここまでの流れが視えなかったんだが!?」

 

次々と飛んでくるブロックに太刀川は慌てながらも見事な刀捌きで斬り落としていく。

だが、それよりも速くブロックが蹴り飛ばされてくるため、片手の太刀川は徐々に対応できなくなる。

 

太刀川はエスクードに固定されるようになったのと同時、一方で1000発のバイパーを放たれた二宮は迎撃の姿勢を見せるも、あまりに弾数の差があるためハウンドとシールドで防御しながら回避を行った。

 

だが、その選択が間違えだった。

 

バイパーによって誘導された位置はちょうど太刀川がいる位置の延長線上であり、距離は真昼から太刀川までが30m、そして太刀川から二宮までも同じく30mほど開いていた。

つまり真昼から二宮までの距離は60m。その距離は流石に真昼の銃手トリガーでも届くことはできない。

ならばその方法は…

 

(あれは…)

 

太刀川は身動きの取れない状態で真昼の姿を見た。

その姿は前に突き旋空をした時と同様、孤月を腰に添えて弓を引くような独特の構え。

だが、前より一部変わっている部分があった。

それは真昼が持つ孤月。

その刀身が先ほどまでよりもだいぶ短かったのだ。

脇差と見紛う程の小さな孤月(・・・・・・・・・・・・・)

 

(孤月の形を変えることが出来るのはオプションの幻踊だけ。なるほど…刀身を短くしたってことは…これはやられたな)

 

敗北を悟った太刀川。この後の真昼がやろうとしていることが分かったのだろう。

念のためフルガードをするも、真昼の孤月は容易に貫通するだろうことはわかっていた。

 

真昼は短くなった孤月を、全身の力を使って前に突き出し旋空を起動。

 

真昼の全力から放たれたその一撃は前に太刀川を穿った突き旋空の威力を優に超える。

 

最短の孤月から放たれた最長の一撃。その長さは太刀川の心臓を貫き、真昼から60mも離れていた二宮のトリオン器官をも貫通させた。

神速の突き技。太刀川とエスクードが壁になって真昼の様子が見えていなかった二宮はノーガードでその身を貫かれたのだ。

充分に距離はあったはずのそれはまるで意味がなかったかのように。

 

幻踊によって振る際の負荷を極限まで減らし、全身の力を使って勢いをつけ一気に旋空を起動し突き出す。

 

神速の一撃必殺。

 

光の柱が二本、天に向かって伸びていく。

最長の旋空孤月をもってランク戦終了のアナウンスが鳴り響いた。

 

『真昼さん!やりましたよ!勝ちました!』

 

「ああ、お疲れさま。ここまでありがとな歌歩」

 

『こちらこそです!こちらこそ、傍にいさせてくれてありがとうございます!お疲れ様です、真昼さん!』

 

こうして一ノ瀬のランク戦は幕を閉じ、ボーダー初代A級1位になった。

最少人数でのA級1位という記録は、これから起きる未来においても、破られることのない伝説となるのであった。

 

 




今回のトリガー構成
メイン:孤月 旋空 幻踊 バイパー
サ ブ:アステロイド(拳銃) エスクード スコーピオン バイパー

さあ、称号を一先ず得たからこれから少しは書きやすくなるだろうと息巻く作者ですが、果たして…!
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