独りにしませんいつまでも 作:残念G級
─黒い花が咲いたら、国が亡ぶ─
これは最近、
ある日、突然一つの国が黒い何かに包まれて綺麗さっぱりその存在が消滅した。
それからその日を境に、一つ、二つと日が経つごとに国が消えていく。
一切の痕跡もなく、消えていた。
そんな中、消えた国に住んでいた者でギリギリ逃げ延びた者がいたのだ。片腕を失ってなんとか船を飛ばした生存者。その者が零した真実はまさに御伽噺のようなそれだった。
曰く、突然人と同じサイズの黒い蕾が実る。
曰く、それは数分ごとにまるで転移するかのように移動する。
曰く、それを境に行方不明者が続出する。
曰く、それはどんな攻撃も効かない
曰く、その蕾が咲いた時、大地は黒い泥に侵食され、それはあらゆるものを呑み込み、喰らい尽くす。
曰く、その花から黒い妖精が這い出てきて、泥を操る。
曰く、それは国を丸ごと包み込み国を呑みこむ
これがその話だった。その話を聞いた時、誰もがそれを冗談だといった。嘘だ、ありえないと。
その生存者は敵国だろうとなんだろうと、この話を広めていった。
あれは化物だと。
近界を亡ぼす使者なのだと。
その度に全員が笑った。馬鹿話を素直に信じる者はいない。
笑う。嗤う。哂う。
皆が笑っている
黒い蕾もまた嗤っている
また一つの国が黒く染まり消滅した。
ここは奴隷国家【エスエルス】
日々他国と戦争を行い、そして誘拐した人々を奴隷として従え、時には戦場に、そしてそれ以外を非人道的な人体実験を行っていた。
毎日、誰かの悲鳴が空間の音を支配している。
地獄よりも最低で醜い場所。それがこの国なのだ。
人間の醜悪な部分の集合体が住まう国。
そんな国にある日、一つの黒い蕾がなった。
発見は早かった。噂が各国で流れていたから。
そのため対処も早かった。
奴隷を使っての特攻。
死をも厭わぬその攻撃を蕾は無傷で、まるで気にも留めていない様子だった。
エスエルスの兵は皆が騒いだ。どうやったらあれを消せるのか。いっそ国を捨てるしかないのではないか。
焦りが思考を鈍らせた。
一人二人と、悲鳴を残して消えていく。
まるで皿に盛られたお菓子を一つずつつまんでいくように。綺麗さっぱり消えていく。
人々は絶望に包まれる。
蕾が開く。
死臭をまき散らして。
誰よりも残酷に、惨たらしく、苦痛と絶望を煽るように、ゆっくり、ゆっくり喰らっていく。
トリオン兵だろうとなんだろうと咬み砕いて、恨みを晴らすように粘度の高い怒りを添えて。
黒い花から妖精が生まれる。
呪縛から解放されるかのように笑顔を向けて。
血の涙を流して。
口元から滴る赤い口紅を舐めて。
笑う。嗤う。哂う。
今度はこちらの番だと。
嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤嗤
『ぶっ壊れろ』
妖精は嗤う。この世界を壊しながら。
妖精は咲かせる。約束を果たすまで。
悲鳴が聞こえる。世界を呑みこむ度に。
紅い蜜が己を染める。どこまでも深く。
そのあまりの甘さに溺れそうになる。
『ぶっ壊せ』
この言葉がずっと木霊する。
暗く冷たい、僅かの光も通さぬ闇の世界で、似つかわしくない透き通った声が響いている。
もっとだ。もっと壊さなきゃ。
まだ足りない。壊さなきゃ。
壊すんだ。この残酷な世界を。
壊すんだ。この鳥籠を。
壊して壊して壊すんだ。
あの子のために。
この身を犠牲にしても。
壊すんだ。約束を果たすために。
さあ、咲かせましょう。
さあ、咲かせましょう。
さあ、果たしましょう。
記憶を砕く
記憶を砕く
記憶を砕く
記憶を砕く
記憶を砕く
小規模サイズの艇に乗ってゲートが開く。
背後には100はくだらない様々なトリオン兵とそれを操る近界民。
地面がないその空間に湧き出る黒い泥が広がっていく。泥に埋もれた無数の口が嗤う。
獲物が来たと。
この世界は弱肉強食。強者は喰らい、弱者はただの餌だ。
単純な世界。弱者はただ奪われるのみ。
だから喰らう。強者であるために。
この世の不利益は全て当人の能力不足。
だからあの子は死んだ。
俺が弱かったから死んだ。
さあ、喰らおう。強者だから。
さあ、壊そう。託されたから。
さあ、帰ろう。約束したから。
「…イコウ、…ヒナ」
艇から蕾が堕ちる。
そして蕾は咲いた。絶望という蜜を垂らして。
トリオン兵が無残にもその残骸を散らしていく。
紅い雫が頬を伝う。
トリオン兵は全部壊れたよ
ああ、ありがとう。
次はどうする?
決まってる。敵なら摘まなきゃいけない。
そうだね
じゃあ…
壊そう、全て
戦闘体も、生身も、敵の艇も壊す
己の身体も、記憶も壊す
壊して壊して壊す。
喰らって壊す
壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す
散っていく思い出の花弁。
妖精の身に残るはたった一人の名前と果たすべき
気づけば、目の前には何もなかった。
なぜここにいるのかも分からない。
でもこの身に宿っているのは一つの達成感。
終わった…
約束だ…帰らないと…
終わったんだから…帰らないと
帰らないと…
カエ…ラナイト
カエ…ル?
約束したんだ…
ヤクソクした…
ヤクソク…カエル…
ヤク…ソ…ク……
意識が遠のく。
泥に包まれた妖精は闇の中を堕ちていく。
運よく出現したゲートに呑みこまれていく。