【悲報】ガチロリ、ダンジョンで配信してしまう   作:油性

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斜海(しゃかい)ダンジョン行くぞ!⑥ ~ザコが代~

 

「モンスター界隈だとビーム攻撃が流行なのかな?」

 

 飛び出した瞬間にそれは放たれていた。

 螺旋を描くように放出されていたし、威力もそれなりにあったのだろう。

 

「どいつもこいつも学びがないね。当たらなければ意味がないんだって……のッ!」

 

 秘策──電気を通す。

 加えてロリコは斧のグリップ部分の先に生成を施した。じゃらりじゃらりと金属が蠢く音がする。

 鎖だ。鎖で繋がった斧と分銅。そのまま名前を鎖斧。

 もう片方、武器部分を地につけて、もう片方、分銅側をロープを投げるかの要領で縦に投げた。

 鎖が音を立てる。金属が擦れる音が響く。閉口しようとしていた口元に突き刺し、下へ引っ張ろうとする。

 簡単には抜けはしない。綱引きのように引っ張った。電撃による継続的なダメージを期待してもいいが、付いている刃先で傷もつけておく。

 

 :これロリコ引っ張られないか? 

 :ロリコさんのことだ。策でもあるのだろうさ

 

「なんとかなれーッ!」

 

 :なさそう

 

「今考えてることは! あの鯨をッ! 地面に、落とすことだけです!」

 

 :無謀

 :無茶

 :ガキらしい発想で俺は好き

 :馬鹿

 

「なので今からあいつを引っ張り落としあー無理無理こっちが引っ張られるぅぅうう!?」

 

 鯨にとっては簡単な所作であった。

 口元をグイッと上へあげてロリコを空中に弾き飛ばした。同時に再度鯨は呼吸を開始。

 

 カメラがロリコを追う。声を拾うために、その勇姿を捉えるために。

 空中で体勢を立て直して、鎌斧を改めて持ち直した。

 

「呼吸、なんか荒くない?」

 

 ただ、その呼吸の仕方が荒く見えていた。

 鯨の呼吸を目の前で見たことがないから、それは直感的なものなのかもしれない。

 ロリコはあの器官の近くに水を生成できる何かがあると推測した。そこが痺れて、動きにムラがあるように見えていた。

 だが、それでも行われる動作に変化はない。魔力の込められた水が吹き出された。それも勢い強く、一つの線が描かれた。

 

 直線。レベルマックスの水鉄砲。こちらの身体を貫かんとするそれに当たれば即死だ。

 そう思えるほどに速く、硬い攻撃がこちらに向かってきている。

 

「こう!」

 

 分銅側を中心に斧を投げ込んだ。

 刃先と水鉄砲をかち合わせる。避けることはしなかった。相殺されるなんてこともなく、刃先が溶けていく様子が目に見えたため手を離した。水に触れてはいけないという直感は正解だった。

 空を蹴り、再度斧を生成したところで視界が突然暗く染まる。

 数分前に空中で生成していた水球がそこにあった。

 

「あああああッ!」

 

 やりたいことができないストレスでつい叫んでしまう。

 アクセサリーの力を常に使っていた。

 戦闘開始時100%だったそれが削られていき、50%付近まで出力が落ちている。

 両の手で生成した斧をサイドスロー。当然流れている電気。とはいえ水球を破壊するのには容易いと言えるほどの威力を持つ。

 

 地面に着地。それも崖際。

 直前に鯨の口元は開かれていた。

 平べったい水が空中に浮いていた。

 

「……やっべ」

 

 飛べば水に突っ込んで死ぬ。

 必然的に水のかからない場所───鯨の腹の下まで移動しなければならない。

 影で見えないはずの魔法陣が薄紫色に輝いている、あの場所に。

 

 :死? 

 

 水が視界を埋め尽くしていた。

 まだ空中の方がマシかもしれない。そう思い、足に力を入れようとしたところで。

 

「は」

 

 地面が柔らかくなっていることに気がついた。

 泥が足を掬っていた。

 踏み込む地面がそこにない。文字通りドロドロに歪んでいた。

 

「あ〜……そういうやつね」

 

 地面が再生する。

 それはダンジョン冒険者に唯一与えられた慈悲かもしれない。

 再生のたびに土は柔らかくなり、最終的にはからめられる。

 そのためだけに地面が置かれている。

 

「そこまで考えてないんだよな〜……正解は空中戦ね。いい趣味してるよ」

 

 口が回る。視聴者に状況を伝える。

 飛来してくる水に穴を開ければ打開はできるだろう。ただしそれは今の状況のみ。

 次、どうするかが定まらない。

 

 息を吐いて、己に課した縛りをやめた。

 

「ライフで受けます」

 

 :!? 

 :嘘だよな? 

 :ロリコを救いたい

 

 画面の前に映るのは水に覆い被さられたロリコ・リコ。焦りもなく、恐怖で慄くこともなく、目の前の現実を受け入れたような、全てを諦めた声だった。

 

 水は数秒間。ロリコの真上から流れ落ちる。

 次にカメラが捉えたのは鯨と地面以外が存在しないダンジョン最奥のボス部屋だった。

 

 ………………。

 …………。

 ……。

 

 :あ

 :え

 :終わり? 

 :事故? 

 :すまん涙が止まらないんだが

 :えマジ? 

 :負け!?!? 

 :【警告】佐伯ポプラ接近中

 :意外と早かったな

 :いつかは死ぬと思ってました

 :ロリコは人造人間だから死んでないよ

 :そういえばあいつなんでサラッと空中で蹴ってたの? 

 :簡単に死ぬわけないスよ

 :あの人なんでスキル2つ持ってるの? 

 :水に溶かされたんとちゃう? 

 :というかあれどう勝つねん

 :大地は泥だけ、上に逃げたら水、水、水、下は即死

 :遮蔽物もなければ逃げ場もない

 :ちゃんと準備しとかんとな……

 :準備して勝てる相手か? 

 :やっぱ怖いねダンジョンは

 :まだやってて草

 :え、死んだん? 

 :子供が遊びで行くところではないんだよなぁ

 :子供じゃないって話無限にしてる

 :非実在系違法ロリ

 :ひょっこり復帰してそう

 :どうやって? 

 :【警告】佐伯ポプラ接近中

 :鯨さんウキウキで草なんよ

 :雄叫びあげちゃってる。可愛い

 :迫真の勝鬨

 :ブオオオwwwブオオオオオwww

 :でも連戦なんだよなぁ

 :本命が来るけど大丈夫かあの鯨

 :終わりって……コト!? 

 :みんなでポプラいくベーよ

 :こんなんだから初見攻略が流行らないんだよなぁ

 :やってる人ほぼいねーしな

 :初見殺しで死ぬことのが多かったからな

 :10年前とかはそうだったっけ

 :今だと基本的に上層での配信が多いからな。ロリコが異端すぎた

 :死と直結したエンタメ。流行るわけがない

 :そら(自分の死がインターネットに流れる可能性があるから)そうよ

 :上層主流で攻略、たまに中層まで行くくらいが今のダンジョン配信やね

 :初見攻略配信ってS級クラスの冒険者しかやらんしな

 :というか下層での配信なんてできないし

 :あのロリマジでなんだったん? 

 :AIだろ。あれほどの実力者がいるはずがない

 :AIだとしても臨場感強すぎだろ

 :ロリコが実在してるならポプラと鉢合わせてるはず。未だにポプラと鉢合わせてない。つまり存在していない

 :実はモンスターだったりして

 :ロリコの名前は忘れない

 :【警告】佐伯ポプラ接近中

 :ごめん今来たところだけどどういう状況? 

 :ロリコが死んだ

 :死!?!?!? 

 :やっぱりダンジョンは怖いところやね

 :ポプラ行くわhttp://…………

 :誘導助かる

 :というか視聴者数減ってなくね

 :え、お前らなんでずっと見てるの? 

 :? 

 :う、うゆ? 

 :ロリコさんの死んだ姿が見えてないからなんだよなぁ……

 :この手のパターンでちゃんと死んでるの見たことない

 :ん? 

 :お? 

 :なんだ

 :なんか変な音しないか? 

 :鯨が苦しみ始めたぞ!? 

 :なんだあの斧!? 

 :この場に似合わない金属音! 

 :オイ今なんか横切ったぞ! 

 :閃光!? 

 :鎖だ! 

 :斧だ! 

 :あのスク水は! 

 :ロ、ロリコ!? 

 

「お前ら薄情だな! 嫌な奴! ほんっと嫌な奴! でもそんなお前らを愛してやるのがこの私ッ!」

 

 崖際、飛び降りた先で液状化していない箇所に目処をつけて斧を突き刺して水を回避。

 逆さにしたフラスコのような形状をしている地面だった。斧を生成して地面に差し込んで、さながら壁を這う蜘蛛のように移動してきたのがロリコだった。

 サイクロプス素材のお手製アクセサリーを起動させたことで、身体が光り輝いている。

 対角の崖際到達後、鎖斧を形成して同じように斧を突き刺してそのまま登る。そして今に至る。

 

 :ライフで受けてたはずでは!? 

 :自力で脱出を!? 

 

「さっきの? 嘘で〜す! この程度でくたばるわけないじゃんね」

 

 鯨の後方から現れて斧を突き刺して、地上から飛び立った。

 

「もう隙は与えないよ!」

 

 すでに準備は完了している。

 尻尾の真上。鯨を地面で挟んだ位置。何度も見てきたマウントポジション。

 ただし高さはそれほどなく、視聴者が瞬きした次の瞬間には降下していた。

 

「勝鬨を上げて油断してたよね? 気づいた時にはもう遅い───まずは一本!」

 

 雷が降りてきたような速度で切り裂いた。

 雷霆を幻視するかのような勢いにカメラが追いつかない。ズームアウトしながらロリコの光景を俯瞰していく。

 尻尾と身体が分断し、鯨が悲鳴を上げる。

 そんなものお構いなしに、斧から手を離して地面に着地して、また跳ねた。

 泥だらけの地面、ぬかるんだ大地に触れたのは一瞬。ジャンプは低空。

 離した斧の刃の面を蹴って空中へ舞い戻った。

 

「鈍間♡ それがお前の弱点だよ?」

 

 斧を生成、持ち手の先端部分を蹴った。足の甲の部分で、素足で蹴ったのにも関わらず、痛みは走らない。

 

 さらに縦回転。崖を登る際に、ツルハシを利用してよじ登るかのように斧を立てては抜き、立ててと繰り返して傷口を増やしていく。

 腕を振り回す。疲れなんて感じない。

 魔力を存分に回す。ガルカガ素材のスク水が、無くした魔力を補填していく。

 鼻を通り過ぎて顔の位置。さらに降下して空いていた鯨のお口に斧を立てた。

 ガンッ、歯と歯の間に斧を挟む。そのまま鎖を先っぽに生成して腹の下へ移動する。

 

「まだまだ行くよ!」

 

 手を離してスライディング。泥だらけの大地を滑っていく。当然その手には斧が握られている。左手には歯と繋げた斧。右手に新しく生成した斧だ。

 

 そして、一瞬立ち止まり、不安定な大地の上で、持ち手の下、丸まった部分を足の甲で蹴り上げた。

 

 鯨の悲鳴が鳴く。視聴者の驚嘆のコメントが小さく聞こえる。

 斧が腹を貫通した。魔法陣を生成する余裕なんて与えない。もう一度跳ねて刺さった方の斧の持ち手を掴んで中身の肉を抉った。

 

「地面に身体を押し付けて私を潰そうとしてるよね? 見えてるよ♡」

 

 そのまま潰そうとしてくる鯨。それよりも早く滑って移動する。スライディングで土が跳ねて顔につく。可愛らしいお顔が泥に汚れる。

 それでも顔は崩さない。なおも笑顔で切り裂く。

 

 一方。鯨は腹と地面で挟み、ロリコの身体を潰そうという思考に落ちていた。

 目にも止まらぬ速さで動き回られて、咄嗟の判断に行動が遅れていた。

 そしてそれを見抜かれていた。

 

「ざ〜こ♡」

 

 行動時間コンマ数秒。

 瞬きを許さない速度で駆け抜ける。液状化した地面? 関係ない。

 鎖が動く。ジャリジャリと。不吉な金属音を立てて、勢いよくロリコの身体ごと鯨の切れた尻尾の方向へ向かっている。

 口が切れるのが先か、振り放されるのが先か。

 その間も口内を通じて継続的に走る、電撃を介した痛みに怯むか、その痛みに耐えて押しつぶす方が先か。

 

 鯨の選択肢から腹の魔法陣を介して攻撃することが抜けていた。自動的に攻撃するものではなく、場所を感知してからの攻撃動作だったらしい。

 何に触れたのかはわからない。

 人語を介さないモンスターなのだから理解することなどできない。

 

 では何か。

 尻尾を切断されたから? 

 切断された衝撃に耐えられなかったから? 

 泥沼と地獄のシャワーのコンボが通用しないと判断したから? 

 物理的な攻撃ならば確実に仕留められると判断したから? 

 

「地面にダイブすれば勝てると踏んだ時点で負けが決まってるよ? 頭よわよわ♡」

 

 勝ち確煽りが止まらない。

 

「地獄のシャワーで当てるのはいいけど、本当に当たっているか、確信が持てなかったよね? だからお前はダイブしようと考えたんだ」

 

「さっき私に避けられてたもんなァ?」口にする頃には一周して、鯨の顔、正面に戻ってきていた。

 人語を理解しているかはわからない。

 わからないから誰でもわかるように伝える。

 表情を変えて。困り顔に、口元を吊り上げて、相手を見下すように、嘲笑するかのような笑みを加えて。

 

「不安だったよね? 慰めてあげようか、よしよし♡」

 

 怒気を帯びた呻き声が場で鳴いた。

 周りを流れる水は飛沫を撒き散らして、地面は抉れてその欠片が飛び交った。

 だからどうした。ロリコ・リコは止まらない。

 

「斧で撫でるね?」

 

 先ほど立てた箇所は左側。今回は右側。挟み込むように叩きつけた。腕の力で身体を引っ張って、頭部にくるりと着地した。

 鎖は一周回って鯨を縦に縛り付けていた。

 当然走るは電力。サイクロプスパワーを出し惜しみすることはなかった。

 

 崖復帰からこの瞬間まで、常にサイクロプスの魔力を流していた。

 尻尾を切り裂き、頭部を回転しながら移動し、スライディングして一周、二周と戻ってくる間、ずっと。

 戦闘開始時、100%あった充電が残り30%しかない。リチャージは0%に到達しない限りは行われない欠陥仕様。急いで作らせたせいだが。

 残りの30%を鼻っぱしに叩き込む。そして蹴りをつけるのがロリコの策だった。

 

 鯨が動く、揺れ動く。さながらロデオのごとく、振り払わんと抵抗する。しかし無駄。

 バランスボールの上に乗っかってもすぐには落ちないロリコの体幹。

 

 浮いた状態で生成された斧。

 物理100%。純度満点の攻撃をまずは叩きつける。

 

「せーのっ! ワン、ツー!」

 

「スリーッ!」コメントとロリコの声が交わる。一体感が合わさり、配信の雰囲気は盛り上がる。

 視聴者数は急上昇。今のロリコに確認する手段はないが、確かに注目の的になっていた。

 

 鼻先へ一閃。2度目の攻撃がクリティカルヒット。

 宣言通り地面の上に叩き落とすことに成功する。

 

 :きたたあああああああ

 :きたああああああ

 :いけいけいけいけいけ

 :うおおおおおおおおおお!!!!! 

 

 そして、刺さった斧を介してラストジャンプ。

 視聴者の声はロリコの耳には届かない。けれども誰が何をコメントしてるかはよくわかる。

 機械音で流れてくるコメントは歓声へと切り替わり、存在しない活力が身体の内から溢れてくるようだ。

 届かなくたって聞こえている。空間の中で、木霊している。背中を押しているような感覚さえしてくる。

 

 斧は突き刺さったままで、避雷針のように鎮座していた。

 フルチャージ。電力最大。

 この場における最大火力を全身全霊、震える力を持って叩きつける。

 

「宣言どーりっ!」

 

 泥だらけの大地に、鯨は押し込まれてしまった。

 どのモンスターと相対しても、何かをされる前に短期決戦を仕掛けるのがロリコの基本軸だ。

 しかし、今回は鯨にやりたい放題されている。

 置き攻めされては行動範囲が狭まるし、範囲の大きい攻撃が被さると、持ち味の速度が無くなってしまう。

 

 故にストレスが溜まってしまった。

 やりたい放題する側が、序盤常に掌の上に転がされていたのだ。

 なんとも子供らしい我儘。崖を這うなんて経験はおそらく今後ないだろう。

 

 巨大に肥大に膨大に。ロリコの数倍の大きさで。

 両腕を縦に構え、振りかぶる3秒前。

 

「もう散々だよ♡ ぐちゃぐちゃに汚れちゃった♡ おじさんのせいだね♡ よくも好き勝手してくれたな? 

 後ろに誰がいようが関係ない。今ここで理解らせる。斜海ダンジョン、初見ファースト攻略者は私だってことッ!」

 

 むざむざと、何もしないでやられるほど鯨は能なしではない。

 常に痺れが走り、斧によるスリップダメージが走り続ける。

 それがどうした。ここを耐えれば目の前の少女を叩き潰すことが叶うだろう。

 齢10歳の少女に、ダンジョンの主人として長年待ち続け、やっと現れた挑戦者に。

 

 鯨は落胆していた。

 斜め海の大地にようやく現れた冒険者は二人。

 片方は遠距離でもわかるほどに実力者。

 罠は悉く避けられて、ダンジョン内部と、そこに出現するモンスターすべての情報を獲得せんとする、タフネスな冒険者。

 そしてもう一人、流れ込んできた少女だと錯覚していた。たまたま実力を有して、自分の才能に甘んじて無謀な挑戦を仕掛けるようなバカだと思っていた。

 

 評価を改めるタイミングを見失っていた。

 真っ先に最奥までやってくるとも思わなかったし、途中で帰るだろうと思っていたのもある。

 力を見誤っていた。

 アクセサリーの力でゴリ押しするだけの脳まで筋肉でできた人間だと思い込んでいた。

 初撃を受けても、“こんなものか”と感じていた。

 運と周りで見守る人間が有能なだけだと認識していた。

 

 違う。頭上にいるのは泥臭く、目の前のモンスターを叩き潰すために持ち得る手段で戦うだけの人間だった。

 

 今更抵抗してももう遅い。

 魔力を一点集中。突き穿つは水の槍。

 しかし、出せない。

 斧が、突き刺さっていた。

 電気と電気を繋ぐ、プラスとマイナスを繋げるパワー共有し、鯨の迎撃を許さない。

 

「おじさんさぁ……私のこと舐めてたよね? やろうと思えば最初から地獄のシャワーで地面を泥だらけにしてたし、もっと上に浮上してから水を叩きつけることもできたよね? 

 後追いのことしか考えてなかったんだ? 力を温存しようとしてたんだ? ぐすっ……酷いよ……。私とは遊びだったんだね! 

 キレそう。もう黙ってていいよ。じゃ、死のうか───あ、そうそう。

 一番最初に体力があるだけで大したことないとか言ってごめんね? おじさんちゃんと強かったよ? でも――私の方が強かったね♡」

 

 轟音が音を立てた。

 

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