【悲報】ガチロリ、ダンジョンで配信してしまう   作:油性

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待望のゲストが遂に登場!? ヒント:漢字2文字の苗字にカタカナ3文字の名前の女性配信者と言えば……?

 

「なぜ私の妹にロリコ・リコの捕獲命令を出したんです?」

 

「まぁ待とうよ、フルエンドくん」

 

その名前は捨てた(すでに引退しています)。今は重木(かさねぎ)です」

 

 大手町、ダンジョン管理機関のとある一室。

 妹──佐伯ポプラの姉、佐伯フルエンドもとい、重木冬花(かさねぎとうか)は机に手を置き、身を前に押しながら、目の前の人物に身体を近づけていた。

 ラフなシャツ、机の上には社章。

 会長、と呼ばれる通り彼女には役職があった。

 ダンジョン管理機関の全権を握る女性。

 鬼のように、見るからに怒りで内心を燃やした形相を見ながら、会長は澄ました顔で言葉を並べた。

 

「理由は二つ。一つは政府がうるさいから」

 

 人差し指をピンと刺して淡々と。

 齢10歳の少女が、10歳という年齢のままにダンジョンを攻略しているという光景は放置することができない。

 いかに恩恵が与えられたとしても、処遇を決めなければ顔が立たないという意図。

 ここにおける顔は諸外国を指すのだろう。

 日本ほどダンジョンの攻略に対して進んではいないが、子供を前線に立たせる国もなくはないし、立たせない国もある。

 

「二つ目、佐伯ポプラちゃんと斜海(しゃかい)ダンジョンの攻略は前から決めてたこと、それは知っているだろう?」

 

「…………」

 

「そこにたまたま、安価で選ばれたダンジョンにロリコ・リコが行く羽目になった。それを知った瞬間、ポプラさんに捕獲させようという提案が来た。これだけ」

 

「……これだけ?」

 

「そうだよ? 偶然さ。行くタイミングが重なったから捕まえて保護しようぜって言う考えだね」

 

 偶然。

 偶然ロリコ・リコの次の配信先が斜海ダンジョンで、偶然佐伯ポプラの攻略予定を立てていた。

 偶然でしかない。そこに付け込んで捕獲命令が出てきた。それだけ。

 佐伯ポプラは単に巻き込まれただけに過ぎないが、了承したのは自分であった。

 

 なわけあるかと言葉にすることは容易い。

 そう言葉にして、自分の首を飛ばすにもまだ早い。

 言葉を選んで会話を進める。

 

「妹──ポプラは捕獲に失敗しましたけど、それについては?」

 

「まぁ特になにも。出来ればという意味合いでの命令だったから。とはいえ期待してたのは事実だけど」

 

「誑かされちゃったね~」たはーっと、素っ頓狂に感嘆の言葉。予想外であったらしい。

 結果的に言えば、ポプラの視聴者数は減った。チャンネル登録者数は減少した。

 加えて数万人がチャンネルを登録しているままで、しかし配信時間になっても他の配信者に行くような形。

 

 とはいえそれでも視聴者は残る。

 残った彼らは、総じて口を揃えてこう言うのだ。

 

 “前より楽しそう”

 

 配信には華がある。

 その人の個性が、魅力が、あるいはカリスマか。

 惹きつけられる要素を押し並べて全面に情報の海に押し流していくのだ。

 顔が世界中に公開されるリスクなど知ったことではない。

 金銭を稼ぐ目的もあれば、趣味として行う者もいる。

 ポプラは趣味に振り切り、自分のやりたいことを選択したのだ。

 活動を引退するまで、有料コミュニティには属するし、最後まで追いかけていく熱心な集いしかいなくなるだろう。

 

 どう見られていくかはわからない。

 人に迷惑をかけなければ問題ないのか。

 曖昧なグレーゾーンの上を、反復横跳びする少女の影響を大きく受けて、彼女も反復横跳びし始めたのだった。

 

「…………」

 

 あの時、強く突っぱねていたらポプラは今頃どうなっていたのだろうか。

 佐伯フルエンドは思案する。それがポプラにとって笑顔になれる道かどうかは、本人にしか判断できない。

 今の姿は確かに楽しそうに見える。

 旧友にして10年以上の仲であるロリコと絡むことになるとは、起きるにしても今すぐ起きるとは思っていなかったのは事実。

 ロリコ――藤原カエデ時代からずっと見ていた、視聴者の一人であり、その背中を見て、対話をして、心が軽くなっていった。

 ロリコから見れば何もしていないかもしれない。勝手に救われているように見えるかもしれない。元来、視聴者はそういうものである。

 

「…………会長」

 

 計画は、ある。

 自分にとって不本意な違法切り抜きの運営も、やがてはロリコを表舞台に立たせるための布石でしかなかった。

 ロリコは正真正銘の10歳。

 実態と中身はともかく、問題になる年齢。

 だからこそ実力を知らしめる必要がある。

 お金稼ぎの動線を、大きくするためにはホイチューブでの活動は必要不可欠なのだ。

 収益性が最も高く、なにより公的な機関が運営しているからこそだ。

 舞台は整いつつある。

 ロリコの名前は広まりつつある。

 限られた時間の中で出来る最善策を挙げていく。

 

「ロリコ・リコにライセンスを与えるべきでは?」

 

「だよねぇ」

 

 軽い言葉だ。

 前から検討していたような口ぶりにみえる。

 

「あやふやだったものを定めましょう。切り抜きを公認にし、全収益の譲渡。そして公にホイチューブ上での活動を認めることを」

 

「……これもまた意見が二つあるんだよねぇ」

 

 指を二つ掲げて困った顔をする会長。

 彼女はこう語った。

 一つは佐伯フルエンドが語った通りにロリコの存在を公に認めること。

 ダンジョン管理機関から国に提言し、特例措置としてライセンスを発行すること。

 ちなむと、国としてもこの意見には賛成気味である。ある種の賭けにはなるが、攻略できずに放置されたダンジョンを攻略できるという点においてロリコは優秀だ。

 自由にさせる環境を作った方が勝手に利益を生んでくれるかもしてない。そんな判断。

 確かに子供がダンジョンを攻略する光景は異様に見えるが、とはいえ掲げられるは実績。

 3ヶ月という短い期間で攻略されなかったダンジョンを次々と踏破していく光景を、全世界に公開している以上認めるには通せる意見。

 

 二つ目はそれの真逆。

 子供にダンジョン配信させるなという真っ当にして至極当然な言葉。

 血縁なし、出生なし。どこから現れたのか分からないアンノウン。首輪を付けて管理した方がいいという考え。

 

「反対意見にはどうする?」

 

「だから前々から言われてるじゃないですか。確かに彼女は極悪違法本物小学生です。「ならばこそ、ここまで来れば言い張るしかないのですよ。

 彼女は合法ロリであると。成人女性が魔力と整形で身体をこねくり回してそう見えるようにしているだけ。AIのフィルターで誤魔化し切った、本物の贋物であると」

 

 大真面目にそう言った。

 そうして会長は顎に手を置いて「うーん」と息を吐き、そして決心する。

 

「……彼女と連絡取れるのかな?」

 

「DMは解放されてます。切り抜きを運営していると分かれば直接の会話は可能でしょう」

 

 元佐伯フルエンドは口にしない。

 かつての仲間が転生して戻ってきたことを。

 その結果余計な火種を撒いてしまい、面倒になってしまうことを。

 関係者の一人であるからこそ、遠い位置から根回しするにしても地盤を固めようと動いている。

 無断で切り抜きチャンネルを経営していることには心の底から申し訳なく思っている。

 ただ、それ以上に繋がりを勘ぐられるほうが良くなかった。

 もらった分の収益は自己管理する。そう自らが責任を担うかたちで別の口座に置き、ロリコが表舞台を歩けると判断した時に返そうと画策していたのが以前までのダンジョン管理機関内での考え方。

 何もなければ18歳に渡そうとしていたのがダンジョン管理機関内での考え方。

 

 一度発見されて以来、二度目の目撃情報が現れない人語を話すモンスター。

 元FJKの最終目標がそれの討伐。

 そのために、ロリコが公に立てる場所が必要。BANされず、自分が討伐する様子を公開する場所を整えることが必要。

 自分が同じことをされたのだから、し返してやりたい。

 そのための目的の一つを最大限得るための土台を。

 今の配信界隈で子供を戦場に立たせるなど言語道断。あり得ない話でしかない。

 だからこそ、一つずつ、一つずつ。将棋やチェスのように勝ち筋を追うかのように出方を伺いながら進めていく。

 

 チャンスは確実に現れる。

 その機会を待つためにここに就職したまであるのだ。

 

「手筈がいいね?」

 

「……想定していた事を進めているだけです」

 

「へぇ」興味深そうな目で会長はフルエンド見ていた。

 フルエンドは顔に出さないが、何かを見定められている気がして怖気が走った。

 それを表に出さないように、ただ目線を合わせてフルエンドはこの場が速く終わることを待っている。

 

「ロリコ・リコがそこまでしてお金がほしい理由、なんか知ってる?」

 

「いいえ」

 

 当然ながら知っている。

 

「長嶺コトコとの関係性は? 元FJKの間柄なんだから、知らされてないの?」

 

「なにも。あの日以降連絡を取っていません」

 

「ふーん。そりゃそっか。ごめんね、蒸し返しちゃって」

 

「いえ。過ぎたことです」

 

 言えない。

 理由は3人で交わした約束なのと、他言を禁じてるから。

 

 こうしてロリコ・リコを配信者として立たせる舞台は整いつつあった。

 段取りは組んだ。準備に時間をかけたがお釣りが出てくるなら待った分の不満は帳消しになるだろう。

 

「ロリコ・リコの存在を認める動きで固めようか今更すぎて燃えそうだけれど、放置していた私たちが悪い」

 

 ダンジョン管理機関は──割と炎上する。

 対応が後手に回ることが多いからだ。

 施策が失策に終わることもあるし、何より配信というコンテンツが確立してから頻繁に燃えている。

 

 冒険者兼配信者。

 ダンジョン内を配信して世界に自分の姿を公開する者たち。

 ガイドラインを定めていても違反スレスレの行動を行う者たちを止めることはなかなかできない。

 

 危険行為を止めるために誰かを派遣することもある。

 ダンジョンを配信する中で起きる問題はロリコの存在だけに収まらない。

 人間同士のトラブルなんて頻繁に起こる。

 誰もが戦う力を有しているからこそ、自らが管理していかなければならないのだ。

 教育機関は口酸っぱく教育するし、パフォーマンスを行うにしても、互いを高め合うに先頭を行っても、限度内に収まるように行うのだ。

 それは当然自己判断。だからこそガイドラインを反復横跳びするものが多い。

 

 そして止められない人が多いと、怒られてしまう。

 慎重に動くことのが多いので行動が遅いと専らの評判なのだった。

 

「その方向で」

 

 こうしてロリコの今後の話題は終わる。

 極悪違法ロリが規制なしで立てる場所はやがて生まれることだろう。

 

「汚名をそろそろ返上したいと思っていてね」

 

「はぁ」

 

 話題が別になる。

 部屋の横の壁にスクリーンが描かれる。

 それは大都市。モンスターの登場によりダンジョンと化してしまったとある地区。

 

「新宿を攻略しよう。冒険者を皆集めて」

 

「新宿ですか……」

 

「私たち、ひいては日本の評判が落ちた原因がここにいるからね。叩き棒はいい加減折りたいよね」

 

「攻略した後に攻略した奴がボスになったんでしたっけ?」

 

「弁慶が暴走するって誰が予想できたんだろうね? 告知と時刻と……あと報酬、10億くらい? 追加報酬もあればロリコ・リコとか来てくれるよね」

 

「どうでしょう」

 

「奮発しよう。攻略不可、難易度不明やSランクを削っていこう。というわけで準備を進めようか」

 

 会長にバレないように、しかし自分たちの目的を果たすために短い綱の上を歩く。

 それが元FJKの一人、佐伯フルエンドが行う道のりだった。把握しているのは長嶺コトコのみである。

 

(この仕事早くやめたい)

 

 中身にストレスを抱えながら、彼女は今日も働く。

 

 

「今日はゲストが来ていますよ〜! みんなも知ってるあの大物です!」

 

 配信開始数秒で、興奮するような声で視聴者(ロリコーン)に向かって呼びかける。

 いつもの部屋で配信を開始したロリコは大層喜びながらマイクの前で報告した。

 

 :ポプラか!? 

 :こーれポプラです! 

 :ポプラ以外ありえへん

 

「ヒント! 名前は5文字! 漢字2文字が苗字で下の名前がカタカナ3文字! 分かるかナ~?」

 

 :やはり、佐伯か? 

 :イラストとボイドラなんで最後まで見せんのや

 :ポプラはSNSで騒いでたというのに

 :これだからガキは

 :ロリコからボイスとイラストを貰って悶えるポプラの切り抜き見ませんか?

 :あんなポプラ、見たことない…

 

「はーうっせ。じゃあそろそろゲストの人に来てもらうね!

「なんと直接来てもらってます! オンラインじゃねーぞ!」

 

 :く、くる! 

 :いくぞ!!! 

 :ポプラきたあああああああああああ

 

「じゃ、お願いしまーす!」

 

 バァン! 勢いよくロリコの部屋の扉が開かれた。

 聞き慣れた音であった。というより、この入り方自体視聴者も、ひいてはロリコも慣れていたものであったためだが。

 

「おはざ〜ス! 長嶺コトコで〜っす!」

 

 :はい

 :いつもの

 :おまたせ

 :親の顔より見た組み合わせ

 :知ってた

 :ポプ……どなた!?

 :解散

 

 勢いよく、蹴破るように入室してきたのは長嶺コトコと呼ばれる配信者だった。

 外見的特徴を挙げるならば、すらっとした長い髪に目が奪われるだろうか。腰元まで伸びている艶のあり方は人工の光を受けて反射しているかのように輝いていた。加えてメガネ。

 ハーフパンツにシャツの上にパーカーを重ねている。

 ファッションのファの字のない何も考慮していない姿でやってきている。

 産んではいないものの育ての女。ロリコのファッションセンスの半分は親譲であった。

 

 :普段着が下着の女

 :事実上の母

 :28の母

 :ロリコのほうがファッションセンスがあるというのにこのママは

 

「だーれがママですか。こんなクソガキ育てた覚え、あたしにはないっスよ」

 

「ママ、嘘だよね……?」

 

「ゔぉえっ!」

 

「ごめん本気で嘔吐くのだけはやめてくれない? 泣くぞ?」

 

「ロリコの目にも涙。コトコの語った衝撃の理由に涙が止まらない──」

 

「涙がポロ、ポロリ……ロリちゃんかわいそっ」

 

「う、うわーっ! こんなあどけない子供を泣かす人がいるなんて! ひどい大人もいたもんスね! 許せねェ!」

 

 :なにこれ

 :初見か?普段からこんなのだぞ

 :地獄? 

 :混沌?

 

 気づけばお互いに肩を組んでいた。

 ギャハハと笑う光景は見慣れたものだ。

 竹馬の友。メロスとセリヌンティウスのような関係性であることは、視聴者も理解している。

 

 とはいえ、先の配信でさらに注目度を高めているロリコ・リコ。初見にも優しくし、安心して視聴してこちらにお金を入れてもらわねばならない。

 その意図を汲んでか、コトコは自ら紹介を始めた。

 

「というわけで長嶺コトコっスよ。普段は配信しかしてないカスっス。生計も配信で立ててるっスよ。色々あって休んでたり復帰を繰り返してました」

 

「自分でカスとか言うのか……」

 

 :自分でカスとか言うのか……

 

「ツッコミが被っちゃったよ」

 

「んなこたぁいいんスよ!」

 

 バァンと机を叩く音がした。

「うわうるさっ」心底嫌そうな声でロリコが零す。「あたし、ロリコさんと行きたいところあるんスよ!」無視して、更に上乗せするかのようなどでかい声と共に笑顔で言った。

 

「どこに?」

 

「築地!」

 

「そこダンジョンなくない?」

 

「いやそろそろ美味い飯を食べに行かないかなーと」

 

「えぇ……」

 

 :へぇデートかよ

 :これ配信する必要あった? 

 :気まぐれ雑談配信も程々にしろ

 :はよダンジョンに行け

 

「待ちましょう皆さん」指を立ててコトコが言う。神妙な面持ちでそのまま続ける。

 

「ロリコさんの食生活、見慣れている人ならわかると思いますが、かなり最悪です」

 

 :お、そうだな

 :魔物飯食う頻度が高いしな

 :なんでなん? 

 :節約

 

「あんたほっといたら魔物飯食うじゃないスか。見ててハラハラするんスよ。体内から身体やられないかって」

 

「いーじゃん! コスパいいし! じゃあ何さ! コトコずっとここに来てくれる!? 通い妻になる!? 私のために一生料理作ってくれる!?」

 

「それはちょっと。もう勘弁してくれって感じ」

 

「あ、あぅ……」

 

 :フラれてやんの

 

「でも最近は頑張ってますからね、ご褒美をあげないと拗ねて泣いちゃうんスわ。こいつちゃんと子供なんでね」

 

「えーんえーん」

 

「かわいくねえな」

 

「こいつ〜!」

 

 ロリコとコトコの付き合いは長い。

 コトコは今、ロリコがここにいて、何を経験して今に至るかを知っている。

 ロリコは今、コトコがここにいて、何のために今力を貸しているかを知っている。

 

 軽口悪口上等。けれどお互いの仲が破滅するようなことは一生ない。

 10歳と28歳。差は18歳。

 早い段階で出産したといえば納得する人がいてもおかしくはない歳の差。

 

 けれど、血縁の関係はない。

 視聴者の一部には、当然ながらFJKの存在を知るものがいる。

 コトコがロリコの配信に現れた時、元ファンは当然驚いたし、コトコはこう口にした。

 

 “訳あって世話してたんスよ”

 

 訳。

 たった1文字にどのような背景があるか、知るものは当然ながらいない。

 この登場以降、コトコはしょっちゅうロリコの配信に現れているし、ロリコの配信画面を映すこともあった。

 

 それはそれとして。

 そんな繋がりなどさして興味のないものもいる。コラボレーションして配信を行うなど珍しいことでもないのだから。

 

「めちゃくちゃ美味いタコが食えるとこ、ありますよ?」

 

「じゃあ行こう!」

 

「そのあとダンジョンに行くっスよ」

 

「へぇ! 姉御はどこに行く予定なんです?」

 

「何その口調キモ。蓬莱ダンジョンですよ」

 

 :蓬莱キターっ! 

 :一面森!森!森!

 :クソ田舎 

 :ユグドラの姿を拝んでもいいんですか!? 

 

「いいっスよ。今のロリコさんなら余裕なんで」

 

「いやあそこ私一人じゃきちーからお前も戦えよ」

 

 ──蓬莱ダンジョン

 とある山の中にあるとされるそれは一面が緑の海となっている。

 植物を模ったモンスターが多数いる中、誰もがその姿を見たことがある。

 

 名をユグドラ。

 巨大なドラゴン。カメのように4本の足を大地につけながら、木の幹のようにゴツゴツとした肌を持つ。身体のいたるところに草木を生やしている。

 不死鳥ガルカガと被るが再生力の高さが売りであり、倒された例は未だにない。

 

「んまぁ……今なら勝てるか? 

「いやあそこガルカガ以上って聞いてるしな……」

 

 :逃げるんですか? 

 

「は? 逃げないが?」

 

「この人挑発に弱すぎるな。昔からか」

 

 こうして次の行き先は決まった。

 

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