【悲報】ガチロリ、ダンジョンで配信してしまう   作:油性

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新宿お疲れさまでした雑談

 

「人間っていいよね」

 

「何を今更仰いますか、会長」

 

 夜。満天の星空に月明かりが都市を照らす時間帯。

 ダンジョン管理機関の一室。

 会長と呼ばれた一人の女性と、その秘書。

 場には二人。秘書はぴっちりスーツを着用し、室内であるにも関わらずサングラスをかけて顔を隠している。対して会長はシャツに短パンとラフな格好をしているが。

 

「ほどほどに試練を与えれば、それを超えるように努力してくる。

 一度突破できればそれを弾みにして精進し、出来なければ自分の現時点を確認して、何が必要かを考えることができる。

 僕らには出来ないからさ、そういうの。考えて何かしたらだいたいなんとかなるし。

 まぁやらかすときはやらかすけど。……っぱ僕はロリコが好きだな。ライセンス与えて正解だったよね」

 

「それは政府がうるさかったから渡したのでは?」

 

「それもあるけどね。見てごらんよ、ロリコのチャンネル。右肩上がりって言葉初めて使ったよ」

 

「子どもみたいな見た目でただ強いだけですからね。視聴者層が20~50代の男性が多くを占めていますが」

 

「健全でしょ。女性層も見てるし」

 

 ディスプレイに移されたのはロリコのホイチューブ上のチャンネルである。

 開設は新宿突入日。元の配信サイトに常駐していた人の登録があって5000人程度あったが、そこから弾んで10万人を超え始めた。尚も増えている。

 

「振る舞いは何もかも子供なのにまるで本物のように振る舞う大人っていうギャップ。子どもという見た目の完成度の高さ。当たり前だよね。だって本物だもの」

 

「なんでただの子どもがここまで実力を持ってるんですかね」

 

「さぁ? 強さの秘密は知らないけど、藤原カエデに関係してるんじゃないかな?」

 

「10年前に殺した彼女ですね」

 

「人聞きの悪いこと言うね。人ではないけれど。2人で今後どう楽しむか会話してたところに4人組の配信者が来たから口止めをしただけだろう? 事故だよ事故。

 まぁ結果として記録されているのは――モンスターと出会って、殺されたってだけなのね」

 

「うわ、モンスターが何か言ってる」

 

「それは君もだろう?」

 

 くつくつと、会長の喉が音を立てる。

 同時にマウスカーソルを操作して、適当にBGMを流し出した。正確にはロリコの配信である。

 

「いやー、しかし助かったね。役目を終えた弁慶をどう処理しようか悩んでたからさ。金さえあれば配信者は来てくれるし、廃品処理もしてくれるし一石二鳥だ。

「おまけに色んな人の配信も見れる。やっぱり配信って面白いね~~」

 

「元佐伯フルエンドが弁慶の解析を進めてますが、問題は?」

 

「それでも僕たちには辿り着かないさ。……ミノちゃんが負けるとは思わなかったけど。

 本物の弁慶──脳みそか。10年間日本全てのダンジョンや生息するモンスターを見てもらって助かったよ。

 これで僕たちがダンジョンを作る時に大いに役立つ。

 とはいえ人間もよくやってるな。僕の細胞をあげたモンスターを完封するとはね。

 ロリコも、長峰コトコも、知らない乱入者も、他の人たちも、ちゃんと強くて見ていて飽きない。

 ま、なんでロリコが藤原カエデの力を扱えるかは知らないけど。

 でも好都合だね。この後いい反応が見れたらいいな〜」

 

「コメントの準備はできてると連絡が来てますよ」

 

「助かる~」

 

 小弁慶がロリコとコトコの元に向かっていた理由はそう命令を出していたから。

 注目している人と、その保護者に当たるもの。コトコに関しては何年も前から知っていたが、実際に戦闘するのは小弁慶を通じて初めてであった。

 

「ロリコはまだ何か抱えてそうだね。中身を見てみたいところだけど……」

 

「活動しすぎて正体が露呈することだけはやめてください。動画は未だに残ってるんですよ」

 

「そんなミスはもうしないよ~!」

 

 軽い会話であった。

 この会話を聞くものは場にいる二人以外いなかった。

 

「……あ、そういえば新宿で小弁慶倒しにいったんだっけあいつ。身体を試すために。どうだって?」

 

「脚に力が偏るのは難点ですが、火力はあると。元がちゃんと鍛えてたんでずっと強いだとか」

 

「いいね。いやー、ロリコもいい反応してくれるといいな。びっくりしてくれると嬉しいな」

 

「感動して泣いてしまうのでは?」

 

「違いないね」

 

 そう言葉を続けて。

 

「じゃあうまい感じにコメント送ってと伝えといて。すっごいマッチポンプだけど。

 こういう時人間ってどういう反応するんだろうね」

 

 

 純粋に、この後見せる顔を楽しみながら、二人は幼女の配信を眺めていた。

 

 

「いででででででで! 死ぬ! 先生死ぬ! やめて! マジでやめて! ガチで逝く! 逝っちゃう! う゛お゛お゛お゛ん!」

 

「勝手にイってんじゃないですよクソガキ。あれほど飲め飲めつってんのに飲まなかったせいだろ」

 

「ひぃ~!」

 

 :これどういう状況? 

 :画面真っ暗で草。なんだよ“ぼいすおんりー”ってのはよ

 :行きつけの整骨院で怒られてるロリコ

 :整骨院ってそんなところだっけ? 

 

「あっ♡ しゅごい! 身体バキバキ言ってる! 悲鳴あげてる! 私こんなの知らないででででですみませんすみません! ふざけてましたごめんなさい! 私はごめんなさいが言える子どもです!」

 

 :約束は守れないのに…?

 

「う、うゆ……、うゆあいたたたた! 力入れ過ぎじゃない!?」

 

 :見せろ!画面を!

 :生殺しだろこんなの

 :俺たちが一体何をしたって言うんだ

 :ズボン脱いでます

 

「飲まなかったらどうなるかくらい、わかってますよね?」

 

「あっはいすみませんでした。1日2錠を守ります……」

 

 :なんの薬? 

 

「身体っスよ。あと頭。ロリコさんたまに戦闘しすぎて身体がバカになるからそれを抑えるために飲んでるんス」

 

 :これ冗談? 

 :コトコいたんだ

 :3人? 

 

「そらカメラに映らないところで受けてますから」

 

 :画面真っ暗なんですけど

 

「カメラはロリコさんしか映らないように置いてるんだっての。いやー身体に負担かけすぎた。全身が痛え痛え」

 

「あなたも身体張りすぎなんですよ。参謀ポジションが前線張ってどうするんですか」

 

「昔の話だからいいじゃないっスか。今は専らソロかロリコさんとタッグなのに」

 

「そーだそーだ」

 

「生意気な口ですね。閉じさせましょうか」

 

「手ェゴキゴキさせるの、やめてもらっていいですか?」

 

「キスで塞げ」

 

「コトコさん、ロリコくんのコメント欄みたいなこと言うの、やめてくれます?」

 

 :先生?の声低くて草

 :誰なんだよこいつは

 :ロリコの悲鳴止まらんな

 

「そういえば、ロリコくんがホイチューブ上でデビューできたことがきっかけにインターネット上での話題が目立ち始めましたね?」

 

「よくぞ聞いてくれたね先生。今ホットな謎のロリとはこの私、ロリコ・リコだよ! いつも見てくれてありがと~! みんな大好きだ!」

 

「うぉ……」

 

「生々しい反応はやめてくれない? 先生? こっち見て? せんせー?」

 

 :どこもかしこもお前の話題で多いぞ

 :昔は名前出しただけでシャドウBANされたりしたのにな

 :今ならスレ立てとかできるんじゃない? 

 

「いいっスね。立てときますか。スレッド名は“【悲報】ガチロリ、ダンジョンで配信してしまう”でいきましょう!」

 

「クソスレですね。sageましょう」

 

「このスレッドは過去ログ倉庫に格納されていま〜す」

 

「うわっ。昔自演でスレ立てした時のこと思い出すからその言葉はやめてくれっス」

 

 :長嶺コトコに悲しき過去…

 :自分にもダメージが来たんですがそれは

 :これだから掲示板は……

 

「い、いやッッッ! 他の人もロリコさんでスレ立てしてるっスから! 盛り上がりも見せて……る、よな? うん、見せてるね、ヨシッ」

 

「やめろよその微妙な反応! ロリコ・リコの名前しばらくトレンドとかに乗ってただろ! 今何位!?」

 

「もういないですね」

 

「なんでさ!? 最初2位とかでしょ!」

 

「なんで覚えるんスか?」

 

「追うだろ! 情報はさァ!」

 

 :おまえの画像とイラストばっかでウケる

 :エロ以外okの寛容な女

 :漫画と小説もあります。

 :ぬいを作った配信者もいましたね

 :そらそうよ。本物だぞ

 :グレーゾーンでしか生きない女

 :保護者が止めないから……

 :保護者いないじゃん

 :ロリコ・リコさんについて調べてみましたが、何もわかりませんでした!いかがでしたか! 

 :いかがもクソもないだろ

 :クソブログまだ生きてたんだ

 :掲示板の雰囲気ってどうなん? 

 :正体特定に持ちきり

 

「まぁなんでもいいよね! 色んな人が私の配信見て、その分お金が入ってきて……、目標金額超えたけどまだまだ配信しないとね。あー、早くあいつを殺したい」

 

 :目標金額? 

 :50億だっけ? 

 :もう使ったの? 

 

「使った。早く終わらんかな」

 

「結構稼ぎましたよね。新宿踏破代、弁慶討伐代、ネオミノタウロス討伐代、その他諸々飛び越えて20億円くらい?」

 

「ツバサちゃんと半分分けたしね。昨日3人一緒にご飯食べたけど楽しそうでなによりだったよ」

 

「ロリコさんクセの強いファンばっか持ってますよね」

 

「いいだろ。ポプラちゃんもツバサちゃんも悪い子じゃないんだし」

 

「別にその二人をクセが強いと言ってるわけでないんスけど……」

 

「…………」

 

 :よかったな二人とも見てなくて

 :ツバサさん泣いてますよ

 :ポプラも泣いてます

 

「い、いやちがっ、あっ。ロリコーンの皆さんのコメントを読んだだけです。私の言葉ではありません。ったくこいつらは。私がBANしないからってよぉ~」

 

「便利な方便?」

 

「みんな良い子だからいーじゃん! 私も良い子! ロリコーンも良い子! 良いこと尽くしでみんな笑顔! ハッピースマイル!」

 

「金がもらえてハッピーの意味では?」

 

「先生少し黙ってて」

 

「よしわかった。少し抜ける。休憩、お疲れ」

 

 :50億の使い道。私気になります

 :そんな大金持って使うのって何? 

 :豪遊? 

 :すでに俺より稼いでる……

 :ロリコ。婚姻届はいつ役所に出す? 

 :変態も見てます

 :ロリコ、養ってくれ

 :自分料理作れます

 :好きだ

 

「10歳相手に告白するのってどうなの」

 

 :急に冷たくあしらうのやめてね

 :声だけで俺たちを説得できると思うなよ

 :あまり大人を舐めるなよ

 :倒したいモンスター倒したらあとは引退するだけか? 

 

「引退ィ〜?」

 

「え、ロリコさん引退とか考えてるんスか」

 

 :金集まったしそれ使って、モンスター倒したらその次なにすんの? 

 :自営業? 

 :10歳だぞ

 

「引退、ね。あんま考えたことなかったな。死ぬまで配信する気しかしなかったし」

 

「…………」

 

「とはいえ昔の話だけど。今はどうなんだろ、あまり考えたことなかったからな」

 

 :子どもなんだからやりたいことしかないだろ

 :遊べる時に遊んどけ

 :大人になったらこんな時間は取れないぞ

 

「フーちゃんも同じこと言ってたっけ」

 

 :あの人今何してんの? 

 :配信開始の時に仕事で忙しいって言ってたぞ! 

 :フーちゃんとかいう奴どっかで見たことあるんだよなぁ……

 :今後配信で出てくる可能性とかない? 

 

「なくはない」

 

 :うおおおおお

 :個人チャンネルとか持っててくれないかな

 :ロリコの横の繋がりはマジでなんなんだ? 

 

「ん? なんか言ったか〜?」

 

 :うわかわいっ

 :顔を見せるな。ときめくだろ

 :おい!藤原カエデが復活したって記事になってるけど見たか!? 

 :これは子ども

 :もう終わったん? 

 

「終わった終わった。今先生休憩してるし。なんだか眠くなってきたな。もう配信やめて良い……ん?」

 

 :ダメです

 :付き合えよ。まだニートタイムだぞ

 :この時間なんなの? 

 :よくある暇つぶしだぞ

 :おい!藤原カエデが復活したって記事になってるけど見たか!? 

 :まだ配信開始して30分くらいなんだが……

 :今来ました。どう言う状況ですか? 

 :うわっかわいい

 

「は?」

 

 :ロリコ可愛くて草

 :これでSランクってマジ? 

 :涙止まらん

 :顔が違いすぎる。

 

「おい」

 

 :猟奇的な顔と普通な時の差がデカすぎるよな

 :なんで斧を持ってるんだっけ? 

 :おい!藤原カエデが復活したって記事になってるけど見たか!? 

 :理由は好きだから

 :良い趣味してんねェ! 

 :Rori is God

 :可愛いは正義!強いは正義! 

 :ロリコ最強!ロリコ最強! 

 

「待て」

 

 :ん? 

 :どうしたロリコ

 :顔が怖いぞ

 :なんか焦ってる? 

 :おい!藤原カエデが復活したって記事になってるけど見たか!? 

 

「それはありえないだろ」

 

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