「ねぇ」
爆速攻略を掲げてはや2時間。
進んでは戻って先を行き、あるいは視聴者に指示を乞いつつ先を行く。
時には雑談を交え、時にはモンスターと命を取り合い、視聴者が飽きないようにあれこれと。
目の前には宝箱がある。文字通りの宝箱。
こじんまりとした空間、小さな空間だ。
周りは魔力が通っているような土の壁で作られており、ところどころで水が溢れている。
鍾乳洞のような空間だった。観光地にするにはまだまだ荒れてはいるが。
細い道を歩いた先で、少し開けた空間。
横長の箱が置いてあった。中身が開かれた状態で。
この光景を、ロリコは5回も見ている。
先に攻略している人間が回収した跡しか残っていなかった。
:はい
:姫、お呼びでしょうか
「宝がないんだけど」
:佐伯ポプラが独り占めしてますよ
「…………」
:ちなクリップもある
:切り抜きもあるぞ!
つまるところ、視聴者は誤情報をロリコに発信していたことになる。
宝箱の気配がする。
ポプラの取り残しがありますよ。
そこ、ポプラが見落としてたけど秘密部屋があったぞ。
それらしいヒントを載せて誘導し、従って探してみる。そして見つからない。
「え、君たち。なんか揃ってこの先に宝の気配がするぞ! とか言ってなかった?」
:言ったか?
:うゆ?
:え?
:ほにゅ?
「嘘ついてたって……こと? おにーさん、嘘だよね……?」
:実際宝はあったぞ!
「全部空じゃんかあああああ!」
頭を抱えて発狂した!
その声に反応してモンスターがやってきた!
「うるせぇ!」
横一線。
魚の身体に人間の足と腕が生えたような怪物の群れを一撃で屠った。
:決まったその日に行けばよかったのに……
「スク水が! 必要だったの!」
:いる?
「いるわ! スイカに塩! 唐揚げにマヨネーズ! 目玉焼きに醤油と胡椒! 海にはスク水!」
:せめて水着だろ
:喧嘩なら買うぞ?
:マヨネーズです、か
:醤油と胡椒?
:ガキがよ
「海に行くってのに水着を使わない人っている? 友達とか恋人と行く時どうしてんの、海岸でお散歩? ……それはそれで楽しそう」
:恋人? なにそれ
:トモ……ダチ……?
:この話やめませんか
:まぁ、過ぎたことはいいよ
「そんなお前らが私は好きだよ?」
:ロ、ロリコ……!
:Big Love……
:ンチュ……
視聴者に騙された気持ちはどこへやら、ロリコは切り替えて先へと進む。
(流石に従い過ぎたか。一人でこういうとこ行くといっつもこうだな)
ここまでの2時間、ロリコは視聴者の誘導に従っていた。
迷宮タイプの攻略にはコツがある。
道順には法則があり、あるいはヒントが隠されていたりとだ。人工物かは不明だが、製作者の残した痕跡は隠されていたりする。
とはいえ考えを割くのが面倒なので、無視するのがロリコのスタイルだが。
視聴者は確かに道順を知っている。
佐伯ポプラの進捗度と、ロリコの進捗度で比べてみるとする。
佐伯ポプラが8割を超しているのに対し、ロリコは5割近くだ。
道草をお互いに食ってはいる。ロリコは彼女の探索の見落としや、未回収の財宝に賭けて行動したりする。
「ぶっちゃけ訊くけどワンチャンない?」
:ない
:枝分かれしてるところ全部あの人行ってる
:探索の鬼
:やり込みの翁
:趣味が100%初見攻略
:ギミック無視は十八番
:制作者泣かせ
:強いだけの女
:配信者泣かせの女
:初心者に好かれるだけの女
「…………」
参った。
見どころがもうない。作り出すポイントもない。
宝の獲得で一喜一憂したり、強いモンスターと遭遇して戦果を上げる姿も。
見たことのあるモンスターか、戦闘経験のあるモンスターなら視聴者も盛り上がる。
だが今回は海中内にあるダンジョン。探索している者はないに等しい。
初見攻略の程として、お互いに共通の体験をしていくことが見どころの一部になる。
それらを佐伯ポプラが根こそぎ独占している。
言い方は悪いかもしれないし、巡り合いが悪いとも言う。
ただ、間が悪かった。
視聴者だって嘘をつく。
ロリコの配信内での、特有のノリ。
視聴者が団結して、“もしもこうなったら面白いかもしれないな”という感情が相乗る。
ロリコは視聴者を信用している。情報源、金銭になるから、という部分が含まれているが。
嘘をつかれることはいい。そこを面白くするのは配信者としての本領であるとも思う。
とはいえ、同じダンジョン内に二人いるとどうにも面白さを演出できる気がしなかった。
常にネタバレをされる感覚が拭えないのだ。
何らかの意図を感じなくもないが、このままでは視聴者が佐伯ポプラの配信のみを見ることになる。
それは面白くない。
現に視聴者数は減少している。
残りは話題性で集まってきたミーハーが少数と、数ヶ月同じ時間を共有した同志のみだ。
ミーハーを固定させるためには自分の働きを惹きつけさせなければならない。
「ポプラって今どのあたり?」
:しばらく先
:そこ戻って、先行って、先行った後
:遠くもないけど近くもない
:ずっと情報揃えてるよな
「…………おにーさんたち、申し訳ないんだけどこの先の道順全部教えてくれない?」
:え
「つまらないかもしれないけどさ、今私ができるのって一つなんだよね」
「最奥に行って最速でボスを狩る」彼女は神妙な面持ちでそう言った。ダンジョン最奥のボス部屋。乗り越えた先に莫大な宝がある。
横土がそうであったように、桜火がそうであったように。
「お願い。爆速攻略にはおにーさんたちの協力が不可欠なんだ。正解の道を教えてください」
情けない願いではある。
一人ではできないからこそ力を借りる。
佐伯ポプラの攻略情報を吸収して、自らの攻略手段に加える。
それはある意味、ダンジョン配信者の形としては正しい姿かもしれない。
誰かの攻略情報を軸に据え、自分ならこう攻略する、あるいはこのアイテムを用いる、こう盛り上げる、と。自分に置き換えた時の体験を実践しようとしている。
:嫌と言ったら、どうする?
「いや普通にポプラさんの配信カンニングするけど。もうやれることそれしかないし」
:草
:あの、プライドとかっていうのは……
「そこになければないですね。てかもう、折れてる」
安価は絶対だもんな。誰だよこのルール作ったやつしばくぞ、とは内心思うが口にはしない。
自分で提案した以上、最後まで攻略しなければならない。
疚しいお願いだ。腰をきっちり曲げている。
「というかおにーさんたち、見たくない? 私が前の人を追い抜いて、ボスを潰す姿は」
:見たい
:できんの?
「やるんだよ? ラジコン上等です。今から私はおにーさん達に操作されます」
:嘘を言う可能性は?
「もう見飽きたでしょ。私が宝箱ねー! って言って騒ぐ展開」
:はい
:正直やり過ぎたところはある
「ま、私も悪いんだけどさ。とにかく、お願いします。ここまで見ておいて、何もないとかないよね?」
:DM送りました
「サンキューおにーちゃん! 愛してるぜ!」
可愛い子のお願いとは、ききたくなるものである。
中身が可愛いかはともかく。
スマートフォンを操作して自身のSNSアカウントをチェック。複数来ていたマッピングを見比べて整合性を図る。
記憶を掘り返す。
自分が歩いた道、宝箱の在処、遭遇したモンスター。情報が正しいと判断した。
どうやら今いる場所の右隣が正解の道らしい。
今いる地点には元宝、その左はモンスター、モンスター、無。
最短で駆け抜けて、数時間先の佐伯ポプラを追い抜く。
「改めて爆速攻略───行ってくるね♡」
とはいえ、道中で見どころを作りたくなるのが配信者としての性かもしれない。
「今目の前にスケルトンがいるじゃん?」
建物内に侵入してさらに2時間が経過した。
景色がほぼ同じなため、そこの観点のみで見ると、配信的に映えることはない。
「たしかにガタイは人型なんだけど、どっちだと思う? 頭は魚人か、人間か」
カメラが捉えたのは骸骨だ。顔を見せずに下半身からへそあたりまでを捉えている。
一つの道を行くとさらに2つの道が、その先を行くと4つ、8つ……。
マップに従いつつ、正解の道を走る最中で、相対したモンスターを蹴散らしている。
「せっかくだしアンケートを取ろうかな」
そんなことを繰り返して2時間。寄り道できる箇所が見えてもどうせ何も残ってないと判断し、視聴者の指示を頼りにしつつ先を行く。
開かれた空間にその道は繋がっていた。
ダンジョン内には部屋がいくつかある。
当然宝が眠っている場所があれば、その逆でモンスターが居着いているとこもある。
厄介なところはそこらをうろうろしているモンスターと異なり、思考してくるところだ。
統率力があり、武器を使うこともある。
逃げられなくはないが、こちらが死ぬまで追ってくるので基本的には対処しないことが推奨される。
目の前の骸骨は剣を片手に持ち、もう片方には盾を構えている。武具の使用方法に理解があると伺えた。
実力は戦わない限り判明しないが、武器を用いる相手との戦闘にロリコは慣れている。
だからこそ余裕を持って視聴者に投げかける。
「それとも、賭けてみる?」
:ロリコさん答え知ってますやん
「データにはスケルトンしかなくてね。私もカメラで見た姿でしか確認できてないよ」
:んな茶番してる暇あるなら先行け。ポプラは近いぞ
:はよいけや
「あ、うっす……や、みんな飽きてないかなーって」
:お前が斧をぶんぶん振り回して敵を微塵切りににしてる姿は見てて楽しいよ?
:そうだよ
:つべこべ言わず戦いなさい
「今お前っつったか?」
:情緒どうなってんの?
:草
:もう突っ込んでるよ
視聴者と会話をしつつ切り込む。
首から上を跳ね、飛ばした頭を遠くに弾き飛ばした。スケルトンは素材になる部分が骨しかないため、漁ることもせず先に進む。
なお、頭は魚だった。
「魚人しかいなくない? ここ」
:あ
:お、そうだな
:とりあえず先に行かない?
「露骨すぎん?」
:これも嘘だぞ
「うーん、どっちかわからん!」
もはやネタバレも匂わせコメントもドンと来いと受け止める気概を持っている。
片手にスマホを持ちつつ、進行する。
「魚人のあの骨で出汁作ったら魚介系にカテゴリされんのかな。それとも人肉?」
:どっちもあるんじゃない?
:おえっ
「この話はやめるね。尖った配信者はそれで煮込んだラーメンとか作るんだろうな〜……」
雰囲気が一変するなら無理矢理にでも話題を変える。それでも続ける人がいるならコメントNGの権利を与える。
配信者の仕事にはそういう面倒な対応も含まれる。モデレーターを兼任する視聴者がいれば早いが。
ロリコはモデレーターをつけてない。AIに任せてもいいが、任せすぎると配信のコメントが無に等しくなるので任せない。
先を行く。
さらに先を行く。
「それはそれとして賭けはしたいんだよね。現状のデータだとまだ見たことのないモンスターがいてさ。タコ型がいないんだよな」
ゴール到達点は記録にない。
最新部がどこまでかはわからないが、佐伯ポプラのデータを元に進んだ先には情報がなかった。
「終わりがどこかはわからないけど、一回は遭遇しときたいね」
走る。駆け抜ける。
一度立ち止まっては、道を辿り、知らない道を潰していく。
自分が歩いた道をマッピングしていい、地図の正誤性を念のため確認しつつ先を行く。
「賭けしたくない?」
:そんな賭けたい???
:生粋のギャンブラー?
:子供が賭け事っていうのはちょっと……
:今更なんだよなぁ……
:ベットするのはあくまで俺たち、ロリコはディーラー、おk?
「いや、私生涯賭け事とか一度もしたことないから。賭けてもいいです、この発言には」
:言った側から
:何をどうするのさ
「私がこの先でタコと会うか、会わないか」
:そんなに好きなん?
「食べ物としてはね。好きな魚は何? って聞かれたらクジラって答えるけども」
「食べたいから仕方ないじゃんね〜!」言いながらスマートフォンを操作した。
さながら駄々をこねる子供だ。主導権がロリコにあるのでタチが悪い。
コメント欄最上部にはA:遭遇する。B:遭遇しない。の2種の表示が現れた。
ロリコが活動するサイト───
視聴時間に比例して増えたり、あるいは開始した瞬間に貰えるものだ。
それが貯まると、スーパーチャットとはまた別のコメントを投稿することができる。
言い換えればリクエストだ。
例えば1000万ポイントが貯まると、ロリコに対してあるリクエストを送ることができる。
名前呼び、告白あり、陰語NG。そんな個人専用のボイスドラマを。
一昔前にVtuberとして活躍する配信者がよく発売していたものだ。
台本に従って読ませることが可能───3分だけだが。
限られた尺の中で好きなセリフを言ってくれる。
他にも好きな衣装を着させる権利、イラストを描いてあげる権利などもあるが、今回は割愛する。
権利を獲得するチャンス、その時間を大幅に縮める機会なのだ。
課金して購入できるものでもないため、貯蓄には当然時間がかかる。
ポイントの貰い幅も大きくないため、絶好の稼ぎチャンスとも言えよう。
なお、1000万ポイントの権利を買われたことは一度もない。イラストの方が人気だった。
「遭遇するが30パー、遭遇しないに70%ってところか……。夢がないな。私は遭遇したい派なのに」
:まさか寄り道なんてしないよね?
「ほにゅ?」
:おい
可愛らしく惚けてみた。
不評だった。
「冗談ですって。というかそろそろ終わりなんだよね」
スマートフォンの画面をカメラの前に映した。
視聴者兄貴に頂いたマップのデータだ。
枝分かれしていた道の先。行き先が増えていったダンジョン内であった。
途端で道が止まることもあり、引き返しては、先を行くを繰り返すことで完成されたマップでもある。
その枝が一つに収束しようとしている。
「そろそろ終わりが近い。でもって、まだ辿り着いていない場所もある。佐伯ポプラはその辺りを巡ってるんじゃないかな」
一度も彼女と遭遇していないのだ。
戦闘の跡が見えるだけ。本当にいるのかと疑いたくもなるが。
調査を目的としている。
ダンジョン内に遭遇したモンスター、希少なモンスターも含めて、自分より後に行く人間が攻略しやすいように丁寧に、わかりやすく情報を広げていく。それが佐伯ポプラ。
人気の数割はその丁寧さが好まれている。
一度引き返して周囲を調査、なんてこともあり得るのだ。
:残り短いのに見つけられんか?
「見つけたら面白くない? 今晩は生タコよ?」
:んまぁ
「あと私が単純にタコを食べたい」
そこかよ、という揃ったコメントを無視した。
ゴールは近い。
小さい一本道を抜けて、さらに広い空間に辿り着いた。目の前には水面が、その先には一本の道が。
おそらくそこが、今回のダンジョンの終着点。
「おっ?」
例えるなら目の前に滝があるような状態だ。こちらが見下ろす形だが。
水面より下は、ロリコからは見えてないが底があるようには見えなかった。
加えて幅が広い。
建物内なのに海岸沿いに辿り着いたような気分になってしまう。
水飛沫が吹いた。
水面から上へ伸びた太く、モノクロの影。
勢いよく上がって来たため最初はよく見えていなかったが、次第にその影がはっきりと目に映る。
門番の役割を与えられたモンスターに違いない。
その姿にロリコの表情はみるみる明るくなった。期待していた姿がようやっと目に見えたのだ。
さながら気分は、ママが目の前で欲しいおもちゃをカゴに入れた瞬間を見た時と変わらない。
:く、くる
:勝ったな! ガハハ!
:勝ったな! 風呂入ってくる!
:これって……
「赤い身体に、吸盤らしきモノ……! かーっ! 持ってるね私!」
4本、6本……8本。
通常のタコの足ならその数で止まるだろう。
だが。
「なんか20本くらいないか?」
:20本とか90本足があるタコの話を聞いたことがある
:ああ! それってモンスターのことだろ?
:生物としてやね
:目の前のやつ、足40本くらいあるくね?
「え、きも」
そして姿を現したそれに、ロリコは即座に武器を構えて反吐を吐いた。言葉という名の反吐を。
「うへ〜……きもちわるっ。いや、流石にこれはない。悪いけどさっさと片付けるね。賭け? 遭遇したことでよくないかって? い、いや〜……」
「頭が人の顔みたいな感じできもいよ〜」そう見える様相に過ぎない。単なるシミュラクラ現象のそれだが、ここに来るまでに人の腕と足を生やした魚型モンスターばかりなので、イメージが引っ張られてしまう。
赤い足が多いが、上部の形はイカのように尖って見えるし、タコのように丸く見える。
紋様が形をなして人の顔のように見えるため、生理的な嫌悪感が生まれてしまった。
:タコ……? イカ……? どっちだ?
:どちらもあり得る……
「私はあれをタコだと認めません。よって! 賭けは遭遇しないの勝ち!」
断固拒否の姿勢。腕を交差してブッブー。
:遭遇するに賭けた奴www
:1っさんざっこ
:ぼくのポイント返して!
「というわけで仕留るね。顔も見たくないからオラッ! さっさと消えな!」
アクセサリーが輝く。
身体に光が迸り、右腕に持つ斧にそれが集まる。
「雷よ! 我が腕に走れ! 無垢にして哀れなモンスターに慈悲を与えよ!」
:え、何その詠唱
:知らないやつやめてください
:ライバル意識?
「
勢いよく放たれた、雷を帯びた砲撃。
タコ型モンスターの上部目掛けて放たれる。
モンスターからの抵抗が入る。
腕の一部を水面付近の地面に固定、残った足を収束し、一つの腕のように巻きつける。
「ふぅん。生意気だね……♡」
そして振るわれたパンチ。
なるほど、当たれば確かに致命傷を負うし、ロリコの砲撃をも凌ぐパワーを持つかもしれない。
「でもお前、水から出てきたよね?」
簡単な理屈。
子供でもわかる理科の話。水が電気を通るだけの話。
電気に触れた水から感電を引き起こし、身体全体に電気が伝播するだけ。
触れた瞬間から収束した足は黒焦げになってチリとなる。
電撃は止まらない。ジグザグとつんざく一撃が身体を走っていき、そのまま全身へ。
行動を起こすことができない。
抵抗を起こすことができない。
なすすべがどこにもない。
タコ型のモンスターは、接敵して1分もかかることなく消失した。
「陸地に最初からいればよかったのに……」
:水属性メタ武器を持つお前が悪いよ
:強すぎて草
:これはボスも余裕やろなぁ……
電気属性を持つ攻撃に対する対策を、ボスが持っていないとは思わないが。
門番である目の前のタコもそれなりの強さがあったはずだ。それでも一撃で屠ることができたのはアクセサリーの力があったからこそ言える。
なかったらわりかし時間を取られてた。
「ところでどう? さっきの技名」
:†アクスキャノンライトニング†(笑)
:たはは……
:嫌いじゃないぞ
:安着すぎる-100点
:…………
「改名します。今度別の名前募集します」
「結構自信作だったんだけどナ〜、これだから凡人どもは」子供らしく生意気に小言を漏らした。
そのまま改めて一呼吸はいて、地べたに尻をつける。
この戦いにおける詠唱は意味を持たないし、技名にだって意味はない。魔力を通わせることもなく、ただ言ってみたくて言っただけだった。
「この先はボス部屋、佐伯ポプラはまだ後ろ……、ちょっと休んで先に進むね」
一息付いて休息を取る。
なんやかんや、さらに3時間。目の前のボス部屋に辿り着くまでそれなりに時間を要した。
朝5時スタート、現在16時。
12時間が経過しようとしている。
佐伯ポプラはそれ以上にかけてるが、そこは比べない。
ビニールバッグに入れていた軽食を口に入れつつ、次に備えるロリコであった。
:次の夏コミでロリコ敗北if描いていい? さっきのやつで
「だ〜め♡」
この日一番の猫撫で声だった。