東方願望異変   作:tukimizake

4 / 14
第四話 氷点下

 引き続きメイドにつられ歩み始める。

「まずは紅魔館の案内と人物の紹介からするわ。改めて私の名前は、十六夜咲夜。紅魔館のメイド長で、人間よ」

「最後の紹介いるか?」

 わざわざ人間という言葉を出さずとも、どう見ても、そうにしか見えない。

「ここの館……いえ、幻想郷には人間や妖精妖怪、神や鬼も居るのよ」

「……はぁ?」

「さっき貴方と話した、愛しいお嬢様は吸血鬼よ」

「吸血鬼!?」

 何がなんだか分からない。唐突にファンタジーの話をされて、困惑する。

 いや、俺が言えたセリフではないか。

「……まぁ信じてやるよ。

 テメェが急に現れたのは、人間の芸当じゃねぇんだろ?」

 最初から疑問だったことを口に出す。

「あれは【時間停止】私の能力よ。

 ここだと、様々な能力を持った人間妖怪が居るの」

 昔の氷室なら、こんなおとぎ話は信じなかっただろう。だが予知したように話す吸血鬼、目の前に現れるメイドを見て、信じるしか無かった。

「へぇ……そいつぁ便利だな」

「パチュリー様も、人の事言えまけどねー」

「小悪魔、後で覚えていなさい」

「えッ、まってゆるして」

 そうして歓迎会を無事に終える。

 【椅子が一つ空いている】という疑問を残して。 

 そして、辺りが暗くなってきた頃。約束通りパチュリーのいる大図書館へと向かう。そこには、怪訝な表情をしているパチュリーが座っていた。

「……単刀直入に聞くわ。貴方のその右手、何があったのかしら?壊死し始めているわよね」

 氷室は苦虫を潰したような顔で話し始める。

「……昔に……お前らがいう、魔法を使ったんだ」

「……どういう状況かは知らないから、広めないし、詳しくも聞かないわ」

 そう言いながら黒の片手袋を渡される。

「これは?」

「貴方のそれと同じ……いえ、もう少し上位の魔法を組んだ手袋よ。手の保護と魔力回路としての役割も持たせてある。……多少は楽になるはずよ。

 話せる気になったのなら、いつか話してちょうだい」

「……あぁ、助かる。話す気が起きたら話してやるよ」

 そう言い残し図書館を後にする。

 

 

 その頃咲夜は最後の仕事を終え自室へと戻る。その道中、今日の出来事を思い出す。

 今日は多くのことがあった……。

 氷室と言う子は……口と態度は非常に悪いが、必要最低限の事はやっているため、特に文句は無い。お嬢様は何故あの子を迎え入れたのか……。

 1番の疑問だけれども、メイドの私が疑問に思う立場は無い。

 ふと窓の外を見る、屋上には人影が見える。よく見ればそれは氷室であった。

 涼んでいるのだろうか……目を凝らして、よく見てみる。

「…………綺麗」

思わず時を止め近くまで行く。

 黒かった髪は美しい青と水色に変わっていた。だがその背中は何処か、寂しそうに……。

「……メイドか」

 ハッと我に返り身を正す。

「こんなところに居たら危ないわよ、明日からもっと働いて貰うのだから、今日はもう寝ておきなさい」

 彼が振り替えると、いつの間にか美しい髪色は消え、いつもの黒に戻っていた。

「そうだな、面倒事が増えたようだから大人しく寝かせてもらう」

 いつもの悪態をつきながら、帰っていく背中は、何処か、小さく見えた。




引き続き第四話ご愛読頂きありがとうございます!
長いですね、長すぎますね自己紹介ターン
もう少し続くので許して頂ければ…
宜しければご感想やいいねお願いします!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。