引き続きメイドにつられ歩み始める。
「まずは紅魔館の案内と人物の紹介からするわ。改めて私の名前は、十六夜咲夜。紅魔館のメイド長で、人間よ」
「最後の紹介いるか?」
わざわざ人間という言葉を出さずとも、どう見ても、そうにしか見えない。
「ここの館……いえ、幻想郷には人間や妖精妖怪、神や鬼も居るのよ」
「……はぁ?」
「さっき貴方と話した、愛しいお嬢様は吸血鬼よ」
「吸血鬼!?」
何がなんだか分からない。唐突にファンタジーの話をされて、困惑する。
いや、俺が言えたセリフではないか。
「……まぁ信じてやるよ。
テメェが急に現れたのは、人間の芸当じゃねぇんだろ?」
最初から疑問だったことを口に出す。
「あれは【時間停止】私の能力よ。
ここだと、様々な能力を持った人間妖怪が居るの」
昔の氷室なら、こんなおとぎ話は信じなかっただろう。だが予知したように話す吸血鬼、目の前に現れるメイドを見て、信じるしか無かった。
「へぇ……そいつぁ便利だな」
「パチュリー様も、人の事言えまけどねー」
「小悪魔、後で覚えていなさい」
「えッ、まってゆるして」
そうして歓迎会を無事に終える。
【椅子が一つ空いている】という疑問を残して。
そして、辺りが暗くなってきた頃。約束通りパチュリーのいる大図書館へと向かう。そこには、怪訝な表情をしているパチュリーが座っていた。
「……単刀直入に聞くわ。貴方のその右手、何があったのかしら?壊死し始めているわよね」
氷室は苦虫を潰したような顔で話し始める。
「……昔に……お前らがいう、魔法を使ったんだ」
「……どういう状況かは知らないから、広めないし、詳しくも聞かないわ」
そう言いながら黒の片手袋を渡される。
「これは?」
「貴方のそれと同じ……いえ、もう少し上位の魔法を組んだ手袋よ。手の保護と魔力回路としての役割も持たせてある。……多少は楽になるはずよ。
話せる気になったのなら、いつか話してちょうだい」
「……あぁ、助かる。話す気が起きたら話してやるよ」
そう言い残し図書館を後にする。
その頃咲夜は最後の仕事を終え自室へと戻る。その道中、今日の出来事を思い出す。
今日は多くのことがあった……。
氷室と言う子は……口と態度は非常に悪いが、必要最低限の事はやっているため、特に文句は無い。お嬢様は何故あの子を迎え入れたのか……。
1番の疑問だけれども、メイドの私が疑問に思う立場は無い。
ふと窓の外を見る、屋上には人影が見える。よく見ればそれは氷室であった。
涼んでいるのだろうか……目を凝らして、よく見てみる。
「…………綺麗」
思わず時を止め近くまで行く。
黒かった髪は美しい青と水色に変わっていた。だがその背中は何処か、寂しそうに……。
「……メイドか」
ハッと我に返り身を正す。
「こんなところに居たら危ないわよ、明日からもっと働いて貰うのだから、今日はもう寝ておきなさい」
彼が振り替えると、いつの間にか美しい髪色は消え、いつもの黒に戻っていた。
「そうだな、面倒事が増えたようだから大人しく寝かせてもらう」
いつもの悪態をつきながら、帰っていく背中は、何処か、小さく見えた。
引き続き第四話ご愛読頂きありがとうございます!
長いですね、長すぎますね自己紹介ターン
もう少し続くので許して頂ければ…
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