なんでも許せる人向けとなっております。
(宿儺の性格もだいぶ変えております)
「あるじゃねえか!全員助かる方法!」
巨大な呪霊に捕まれ、身動き一つ取れなくなった虎杖悠仁が叫ぶ。視線の先にあるのは、枯れ木のような騒がれた指のような物体ーー特級呪物“両面宿儺の指”。絶体絶命の中、彼なりに必死に考えた末思いついた、起死回生の一手。
「なっ……ばか、やめ……」
やめろ!という伏黒恵の静止の声が虚しく響き、虎杖悠仁は口元に入り込んだ指を躊躇なく飲み込む。普通の人間であれば、呪物など飲み込もうものなら即死してしまう。
しかしーーー
次の瞬間、虎杖悠仁を縛っていた呪霊の腕が「パァン!」と弾け飛んだ。そしてさらに、虎杖は軽く右腕を振り上げるだけで呪霊の顔を吹き飛ばす。突如として虎杖が纏う雰囲気が急変し、伏黒恵の動悸は早まる。
雲の隙間から月明かりが差し込み、虎杖悠仁を照らす。しかしそこにいたのは、先ほどまで一緒にいた少年ではなかった。
腰あたりまで伸びた艶やかな薄茶色の髪。高く掲げられた右手の指はしなやかで美しく、腕はもちろんだが全体的に筋肉質だった身体はややふくよかな体型となっている。そして極め付けは、先ほどまではなかったはずの胸元の膨らみ。
瞳を閉じていた少年ーー否、女がゆっくりと目を開くと、両目尻のあたりに「ビキリ」ともう一対の目が開かれた。
「……ケヒッ」
そして深夜の学校に木霊する、歓喜の高笑い。その声はまさしく女のもので、禍々しくもどこか高貴さをも孕んでいた。
「あぁ……やはり、光は肌で感じるに限る!」
そうして虎杖悠仁の肉体に受肉した両面宿儺は、屋上に設置されたフェンスから煌々と輝く街あかりを眺めて叫ぶ。
「なんと良い時代になったものだ……女も子供も、健やかに育っている。素晴らしい!」
およそ数千年ぶりに目にした外の世界に感嘆の声をあげていると、右腕が彼女の口元を掴んだ。
「人の身体で何してんだ。返せ」
しかもなんか女になってるし、と持ち主である虎杖悠仁の困惑した声が発せられ、両面宿儺の方もまた困惑の表情を浮かべる。
「お前なぜ動ける?」
「いや俺の体だし」
そう告げると、両面宿儺の意識は虎杖悠仁の中に押さえ込まれていく。同時に、先ほどまで美しい女の身体だったものが徐々に本来の端正な少年のものへと戻っていく。
意識を奥底へと押し込まれた両面宿儺はひたすらに困惑した。呪物が受肉すれば、基本的に肉体の持ち主の意識は底へと沈められるものだからだ。しかも無理にこちらから乗っ取ろうと試みると、何か障壁のようなものに阻まれてしまう。なんだというのだ、この少年は。これではまるで……
「器ではなく檻だな」
生得領域の中で宿儺は一人つぶやく。すると表の世界の方で動きがあったようで、再び意識が肉体へと浮かび上がっていく。彼女が目にしたのは、頭から血を流すウニのような髪をした少年と、先ほどまではいなかった目元を布で覆い隠した長身の男。
「ええ……?」
何やら10秒経ったら戻れ、というのは宿儺には聞こえていたのだが、いきなり10秒与えられても何をすればいいのやら。
「先生、なんか混乱してません?」
「そーみたいだね。いきなり襲ってくるかと思ったんだけど」
ひたすらに気まずい空気が10秒間流れたのち、再び宿儺の意識は抑え込まれていく。
「あ、大丈夫だった?」
「……驚いたな、ほんとに制御できてるよ!」
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両面宿儺が受肉したことで、虎杖悠仁は呪術上層部より即刻死刑が言い渡されたが、五条悟が提言した「すべての
一連の流れを肉体の内からすべて眺めていた宿儺はというと……
「しかし、この私をすべて喰らうときたか……ケヒッ、言うではないか」
無数の骨が積み上げられた生得領域の中で頬杖をつきながら愉快そうに嗤う宿儺。
「ならば私を魅せてみよ、虎杖悠仁」
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