呪いの女帝 両面宿儺   作:ジャズ

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コロナでぶっ倒れてました。
これコロナの特級呪霊とかそのうち出てきそうだな……(嫌すぎる)

あと、一話しか投稿してないのに多数のお気に入り登録や感想いただき本当にありがとうございます。

追記
タイトルを変更しました


第二話

「釘崎野薔薇。喜べ男子、紅一点よ」

 

 呪術高専にもう1人一年生が合流するとのことで、五条悟の引率で原宿へ繰り出した虎杖と伏黒。出会ったのは勝ち気で男勝りな性格の女子だった。虎杖の内側からそれを観ていた宿儺は、中々活きのいい女子だとほくそ笑んでいた。“紅一点”という言葉には引っかかるものがあるようだったが。

 

 その後、六本木へ行くと唆されて彼らが連れられたのは廃墟と化したビルだった。すでに外からでも観測できるほどの濃い呪いの気配に、虎杖と釘崎は「うそつきー!」などと五条を責め立てるが当の本人は意に介さず、実地試験だと2人を送り出した。

 

 その際、

 

「あ、ゆーじ!宿儺は出しちゃダメだよ」

 

 彼女を使えばその辺の呪いなど瞬殺できるが、周辺にいる人間も巻き込まれるから、と五条は念押しする。それに対して虎杖も二つ返事でこれを了承。

 

「なんだ、出番なしか。つまらんの」

 

「……え?」

 

 つい口から出た言葉に、虎杖は一瞬耳を疑った。

 

「宿儺、今何か言った?」

 

「……気のせいだ。早う行け」

 

 虎杖の問いに宿儺は咄嗟にそう誤魔化し、ビルへ行くよう急かす。

 

 早速廃ビルへ突入した虎杖と釘崎。ここで釘崎の提案で二手に分かれて探索することとなった。釘崎は最上階から、虎杖は一階からそれぞれ順番に捜索。

 釘崎と別れた直後、虎杖は早速呪霊と遭遇した。天井から虎杖の背後へと忍び寄った呪霊だったが、気配をいち早く察知した虎杖が呪具を持ってこれを先制、片腕を斬り飛ばす。その後も軽々しい身のこなしで呪霊を翻弄し、的確にダメージを与えていく様子を観察していた宿儺は驚愕、とまではいかないが感嘆していた。

 

「素の力が人間離れしているな。私が受肉したから、と言うわけでもないようだ」

 

 このまま行けばいずれ自分に並ぶ術師になるかもしれない、と宿儺は期待の眼差しで虎杖の戦いを見ていた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

〜数日後〜

 

 虎杖たちが任務で招集されたのはとある少年院。“窓”が呪胎を確認し、現在3名が中に取り残されている。仮にこの呪胎が変態を遂げるタイプだった場合、特級相当に分類される呪霊と推測される。

 今回彼らが請け負った任務は、取り残された3名の生存確認及び救出。しかし今回の任務は明らかに等級が違いすぎるため、虎杖たちをここまで引率してきた補助監督である伊地知は「絶対に戦わない事」「今回の任務は生存者の確認と救出であることを忘れない事」と念押しする。

 

 早速突入した3人だったが、内部はすでに生得領域が展開されており、異世界そのものとなっていた。伏黒が召喚した式神の玉犬と共に内部へと進んで行く3人だったが、その道中で惨たらしく殺されていた受刑者たちを発見。彼らの遺体をどうするかで言い争いに発展しかけた虎杖と伏黒を諌めようとした釘崎だったが突如として足元から床に吸い込まれてしまう。

 異変を察知した伏黒が「逃げるぞ」と叫ぶが時すでに遅く、変態を遂げた特級呪霊が彼らの真横に立っていた。

 

 恐怖を押し殺して呪具を引き抜いて切り掛かった虎杖だったが、逆に手首から先を切り落とされてしまう。

 

「俺が死んだらお前も死ぬんだろ!?協力してくれよ、宿儺!」

 

 特級呪霊にここまで接敵された以上は逃げることも不可能。故に内なる宿儺に援助を求める虎杖だったが、

 

「ならぬ。何もしないまま私に頼ろうとするのは許さん」

 

 虎杖の頬に口を生やし、放ったのは拒否の言葉。

 

「もう少し頭を使え。選択肢は何も1つではなかろう?」

 

 宿儺の助言に、虎杖はハッとした顔でもう一度呪霊を見据える。

 

「伏黒、釘崎を連れて逃げろ!」

 

 虎杖は2人がここを出るまで自分が時間稼ぎをし、伏黒たちが出たら合図をするよう進言。

 

「そうしたら俺は……宿儺に変わる!」

 

「できるわけねえだろ!特級相手に片腕で!」

 

 バカを言うな、と伏黒は叫ぶが虎杖は「よく見ろって」と目の前の呪霊を指差す。呪霊の方はケタケタと嘲笑していかにも楽しそうに体を揺らしていた。

 

「完全に舐めてんだよ、俺たちのこと。時間稼ぎくらいなんとかなる」

 

「ダメだ……!」

 

 今の虎杖は呪術を全く扱えないことを知っている伏黒は却下しようとするが、

 

「伏黒!……頼む」

 

 澄んだ目で言う虎杖に、伏黒はこの場をまかせて釘崎を救出するため走り出す。

 

「……この阿呆め」

 

 そのやり取りを見ていた宿儺は頭を抱えていた。先ほど示した選択肢の答えとは、虎杖に玉犬をつけて釘崎を探させて伏黒が時間稼ぎをする、と言うものだったのだ。

 呪術はおろか呪力の練り方すら知らない虎杖を、ましてたった1人特級呪霊の元に残したところで何もできずに死ぬのがオチだ。とはいえ、虎杖自身の勇気を蔑ろにするつもりはない宿儺は、「まあ及第点くらいは与えてやろう」と、行く先を見守ることにした。

 しかし宿儺の懸念通り、呪力の扱い方も知らない虎杖は何もできずに特級呪霊に弄ばれ、すでに戦意を喪失するまでに精神的にもダメージを受けていた。

 

「っあ゛ぁ゛!死にたくねえ!!!」

 

 一時は死をも受け入れようとした虎杖だったが、祖父が言い残した正しい死とは何か言う自問自答の末、振り絞った渾身の呪力で呪霊に殴りかかる。その攻撃は容易く受け止められたものの、ここまでの虎杖の行動は功をなしたようだ。

 領域内に犬の遠吠えが響く。これは玉犬の声、すなわち伏黒の合図だ。この合図を以て、虎杖の意識は宿儺と切り替わる。

 

「!?」

 

 突如として姿を変えた目の前の虎杖を前に呪霊は驚愕し、思わず後ずさる。

 

「全く仕方のない童よ」

 

 先ほどの虎杖たちと同じく圧倒的な強者を本能的に察知しかなり動揺する呪霊の肩をぽんと叩き、「少し待て」と宿儺は制する。

 

(まだ年端もいかぬ童どもに不相応な任務。間違いなく此奴(悠仁)を殺すために何者かが仕向けたものであろうな。となると、ここを無事に出たところでまた同じように等級違いの任務を押し付けられるだけか……それならばいっそ、奴らの望み通り一度死んでやるとするか)

 

 数秒の間、この状況に対して自分が取るべき手段を整理した宿儺はよしとその場を歩き出す。

 

「この雑魚は捨て置いても構わんか」

 

 こんな虫程度、わざわざ相手してやるまでもないと考えていた宿儺だったが、背後で濃密な呪力の気配を察知し、「馬鹿が」と咄嗟に左手を反転術式で修復し、放たれた呪力攻撃を容易く弾く。

 あっさりと防がれ驚愕といった様子で叫ぶ呪霊に対し、宿儺は呆れた様子でそれを見ていた。

 

「この私と戦うつもりか?まあ、お前のような知性のない奴に膝をついて降参するなど言う選択肢は浮かばんだろうしな。よいよい、それならば……」

 

「ここで死ね」

 

 一瞬の間に呪霊と距離を詰めた宿儺は、その頭を掴んで床に叩きつける。

 

「どうした?まだ終わりではないだろう?ほら頑張れ頑張れ」

 

 先ほどとは逆転し、今度は自分が圧倒される側になった特級呪霊。産まれてまだ間もない呪霊は、格の違いというものを見せつけられていた。

 

「なあ、知っておるか?我々は同じ特級という等級に分類されるそうだ。私と、お前()がだぞ?」

 

 四肢を切り刻まれ、壁に打ち付けられた呪霊は必死に身体を持ち上げ、切り落とされた四肢を修復していく。その様子に宿儺は「良いぞ、がんばれがんばれ」と囃し立てる。

 なんとか体の修復を終えて宿儺の前に降り立った呪霊は、得意げな笑顔と共に宿儺を見据える。

 

「嬉しそうだな、褒めてやろうか?だが呪力による肉体の修復は人間のそれと違って、呪霊にとってそう難しいものではないぞ?」

 

 宿儺はそう言い切ると、「そうだ、虎杖悠仁よ」と肉体の持ち主に語りかける。

 

「よく見ておけ。これが本物の呪術というものだ」

 

 そして両手で手印『閻魔天印』を結ぶと、宿儺は一言告げる。

 

「領域展開“伏魔御厨子”」

 

 直後、呪霊の肉体は見えない何かに切り刻まれ、バラバラに引き裂かれてしまった。

 

「む?3枚に下ろしたつもりだったのだがな。まあ良い、とりあえずこれは貰っていくぞ」

 

 宿儺は最後に呪霊の胸元に収まっていた両面宿儺の指を抉り取ると、背を向けて歩き出す。

 

 

「ふむ……さて、この後どうするか」

 

 

 




読了ありがとうございます。

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