ダンジョンに蒼の兄弟がいるのは間違っているだろうか。 作:やりも
ダンジョンから戻ったユーリエフ兄弟は一月以上ぶりのホームへと帰還した。
「おかえり、大変だったようだね。」
「兄様が気を失って僕一人で丸1日守りながら戦ったり、1人でウダイオスと戦ったりしたりユニコーンに逃げられたりしました…。」
「…ウダイオスと1人で戦ったのか?」
「左腕を斬り落とされましたが勝ちました!ちゃんと繋げはしましたが兄様には怒られました。」
「…それについては私からもお説教しないとだね。」
「え?」
「それは後にして、今はやるべきことをして、ステイタスの更新をしようか。」
久々の本拠に戻ってこれたユーリエフ兄弟はようやく一息付けたが、ギルドに報告など色々しなければいけないことが詰まっていたので手分けして片付けたり報告書を作成したりなどをした。ソーンは一足先に終わらせられたのでミアハにステイタス更新をしてもらうことにした。
「これは…!」
●ソーン・ユーリエフ
Lv.4
力 SS 307→1165
耐久 SS 571→1391
器用 SS 720→1489
敏捷 SS 205→1291
魔力 SSS 852→9999
魔導 H
魔防 H
耐異常 H
《魔法》
【ミラーシ=イーニー】
・超短文詠唱式
・単節詠唱を繰り返すほど攻撃量が増す。
・詠唱式【
【アイシクルロード】
・詠唱式【氷雪の魔術師よ、我の命に答えて封印された力を展開し、雪精の通り道となれ。】
・発動鍵【第一拘束解除】
【ハロードヌイ・バーボチカ】
・詠唱式【雪原の魔術師よ、我の命に答えて封印されし終焉の楔をの一柱をもって、敵の装甲ごと貫け。】
・発動鍵【第二拘束解除】
【イーニー・ラヴーシュカ】
・詠唱式【寒冷の魔術師よ、我の命に答えて封印されし終焉の獣の一端をこの地に埋め込み、生命の息吹すら生えぬ大地に変えろ。】
・発動鍵【第三拘束解除】
【グラード・ウラガーン】
・詠唱式【黒の魔術師は鳥の使いを放ち遠くを視た、鳥を通じ、空を制し、空間を掌握する者こそ、魔術師の頂点に君臨する】
【リオート・ヴルカーン】
・模倣魔法
・詠唱式【氷の魔術書よ、我の問いかけに答えよ】
【ヴェテロク・ツァーリ】
・詠唱式【牢獄の守り手はろうそくを携え、練り歩き、暗闇を照らし続け、闇を払い光の導となるため、命ある限りその役目を務めた】
【ソーカル・フェロー】
・詠唱式【歌は届き、彼の地に安らぎを与える、その歌は神を讃える聖歌であり、平和をもたらす響となった】
【ゼシータ】
・詠唱式【蒼炎に燃えゆく女皇はベールの下から聖域を望み微笑みかけた】
《スキル》
【終焉禁獣】
・任意発動(一部制約あり)
・逆境時発動、全アビリティ極限強化
・近くにいる生物の魂が尽きるまで解除不可
・起動鍵【第一・第二・第三拘束全解除、目覚めよグラナート】
【恩寵天使】
・成長促進
・魔法関連のステータス・アビリティ強化
・想いが続く限り効果持続
【箱庭】
・領域内の魔法を模倣する
・魅了無効化
・自らが願う形に変化する
「はは…どんだけ大冒険をしてきたんだい?レベルアップ可能だ。」
「えっ⁉そ、そんなに成長してるんですか⁉」
「ああ…能力値全て1000以上、魔力に関しては9999なんて馬鹿げた数値だよ。」
「えええ⁉間違えてませんよね⁉」
「間違えてなんかないよ。見ない間に成長したねソーン。」
「えへへ…自分の過去と、自分が初めて死ぬかもしれないって思ったら頑張らないとって思えて。」
「そうか・・・だとしてもこれは流石に成長しすぎじゃないかい?スキルのおかげで伸びやすいとは思うけど。」
「それはそうです。」
ソーンも同意したが本当にこんな数値はミアハも見た事がなかった。
「レベルアップするかい?」
「・・・そうですね、しばらくダンジョンに潜る予定はありませんし明日からしばらくは訓練しますので体は慣らしておきたいのでお願いします‼︎」
ミアハにお願いしてソーンはレベルアップをしてもらう。だがここでも予想外な事が起きた。
「・・・Lv.6?」
「へ?」
「レベルが6に上がったな・・・。」
「そ、そんなわけありません、よね?」
「残念ながら現実だ。」
ミアハは急いで紙にステイタスを書き写してソーンに見せた。
●ソーン・ユーリエフ
Lv.6
力 I 0
耐久 I 0
器用 I 0
敏捷 I 0
魔力 I 0
魔導 H
魔防 H
耐異常 H
《魔法》
【ミラーシ=イーニー】
・超短文詠唱式
・単節詠唱を繰り返すほど攻撃量が増す。
・詠唱式【
【アイシクルロード】
・詠唱式【氷雪の魔術師よ、我の命に答えて封印された力を展開し、雪精の通り道となれ。】
・発動鍵【第一拘束解除】
【ハロードヌイ・バーボチカ】
・詠唱式【雪原の魔術師よ、我の命に答えて封印されし終焉の楔をの一柱をもって、敵の装甲ごと貫け。】
・発動鍵【第二拘束解除】
【イーニー・ラヴーシュカ】
・詠唱式【寒冷の魔術師よ、我の命に答えて封印されし終焉の獣の一端をこの地に埋め込み、生命の息吹すら生えぬ大地に変えろ。】
・発動鍵【第三拘束解除】
【グラード・ウラガーン】
・詠唱式【黒の魔術師は鳥の使いを放ち遠くを視た、鳥を通じ、空を制し、空間を掌握する者こそ、魔術師の頂点に君臨する】
【リオート・ヴルカーン】
・模倣魔法
・詠唱式【氷の魔術書よ、我の問いかけに答えよ】
【ヴェテロク・ツァーリ】
・詠唱式【牢獄の守り手はろうそくを携え、練り歩き、暗闇を照らし続け、闇を払い光の導となるため、命ある限りその役目を務めた】
【ソーカル・フェロー】
・詠唱式【歌は届き、彼の地に安らぎを与える、その歌は神を讃える聖歌であり、平和をもたらす響となった】
【ゼシータ】
・詠唱式【蒼炎に燃えゆく女皇はベールの下から聖域を望み微笑みかけた】
【フィーニス・セラフィム】
・詠唱式【雪国は遠く、氷獄に閉ざされ、滅亡の道を辿る。我は終焉を宿し、氷の花園で踊りながら命を閉じ込める。遠き過去よ、大罪よ、滅びの一途を辿れ。終焉の天使となった我が身、全ての罪を赦されるのなら、滅国となった祖国の魂に安らぎの道へと誘え】
《スキル》
【終焉禁獣】
・任意発動(一部制約あり)
・逆境時発動、全アビリティ極限強化
・近くにいる生物の魂が尽きるまで解除不可
・起動鍵【第一・第二・第三拘束全解除、目覚めよグラナート】
【恩寵天使】
・成長促進
・魔法関連のステータス・アビリティ強化
・想いが続く限り効果持続
【箱庭】
・領域内の魔法を模倣する
・魅了無効化
・自らが願う形に変化する
「・・・新しい魔法まで。それにこの詠唱は・・・。」
「ソーン、その魔法はあまり使わない方が。」
「お気遣いありがとうございますミアハ様。ですが僕も向き合わないといけないと思ってるので平気です。」
ソーンは気にしてないように笑い、ステイタスの写された紙を眺めた。
「ギルドにはレベルが二つ上がったことは黙っておこう。これは問題になりかねないからね、可能な限りソーンも他の人に話さないように。」
「分かりました。発展アビリティも選ばないとですよね。」
ソーンは了承し、発展アビリティを選択してから部屋から出て行った。ミアハはソーンの背中を見ながら、少しため息をついた。下界には本当に色々な事が起きるが、それが全ていいこととは限らない。喜ばしいことはもしかしたら大変な事が起きる前触れかもしれない。ミアハはそんなことを考えながら我が子が健やかに成長できることを願うばかりであった。
「ミアハ・ファミリアの副団長をしているアダム・ユーリエフと申します。」
「弟のソーン・ユーリエフです。」
「ミアハからは聞いてるよ。なにせ2人だけで深層に潜れる実力があるってね。
ユーリエフ兄弟はヘスティア・ファミリアの本拠「竈火の館」を訪れ、ヘスティアと対面していた。
「最初に、ベルくんたちを助けてくれてありがとう。君たちの処置のお陰で早めに復帰できた。本当に感謝しているよ。」
「お礼なら弟に言ってください。私より弟の方が治療に長けていたので。」
「そうか、ありがとうソーンくん。」
「あ、頭をお上げくださいヘスティア様‼︎僕は医療系ファミリアの団員として怪我している人を無視できなかっただけですから!」
「いや、お礼はさせてくれ。ベルくんのために貴重なエリクサーやポーション、それに回復魔法までかけてくれたんだ。こんなんじゃ足りないくらいだ。」
「・・・本当に、僕らとしては目の前にいる人を助けただけですから。でも、なぜ深層にあんな無防備で倒れていたのかは事情を知らないので説明してもらってもいいでしょうか?」
「分かったよ。」
2人はヘスティアからジャガーノートというダンジョンが異物を排除するための厄災について、それがベルたちを襲ったことやダンジョンの崩落によって37階層まで落ちたことを説明した。
「闇派閥か・・・まだ残っているとはな。」
「ジャガーノートというモンスターも怖いですね・・・本当にダンジョンは生きているのだと実感してしまいます。」
「倒せたのは運が良かったのと2人の実力があったからこそだ。でも生き残らなきゃ意味がないから本当に助かったよ。」
「それはそうですね、神ヘスティアからもベル・クラネル殿にはしっかりと言い聞かせ願いたいです。弟も最近ウダイオスを単独で倒したのですが左腕を切り落とされても気にせずに戦うようなことをしましたからね。」
「に、兄様それは言わないでください‼︎ミアハ様とナァーザさんにもかなり叱られたんですから‼︎」
「えっ、ソーンくんってベルくんと同じLv.4じゃなかったかい?」
「実は既にレベルアップしてるんでベルさんより上ですね・・・。」
「君も大概成長が早すぎないかい⁉︎」
ヘスティアは驚いて大声を出してしまった。実際Lv.6だが、上がったことしか言ってないのでヘスティアはLv.5だと勘違いしているところだ。レベルが上がったことしか伝えてないので嘘ではない。
「いやぁ、ちょうど団員たち全員出払ってしまったけどちゃんと顔合わせさせたかったなぁ。」
「そういえば、まだ言ってないことがありましたね。」
アダムは笑いながらあることを思い出した。ソーンもそういえば、と呟いた。
「実は今日が初対面だと思われているかもしれませんが私たち、少し前に会ったことあるんですよ。」
「えっ、そうなのかい⁉︎」
「ヘスティア様、この仮面に見覚えはありませんか?」
ソーンはコートの内側からたまに身につけている仮面を取り出して装着し、フードを被ってみせた。アダムも同じように仮面をつけてフードを被った。
「あー‼︎き、君たちは白黒の助っ人くん⁉︎」
「はい、我々は主神様の命でベル・クラネルの救出と漆黒のゴライアス討伐で」
「まさか君たちだったのか・・・。」
「申し訳ありません、私たちはベル・クラネル殿がどんな人物か、信用に値する人物なのかわからなかったので正体を隠していました。」
「そうだったのか・・・ん、ベルくんが信用できるか分からなかったって言うのかい⁉︎」
「ミアハ様より話だけは聞いていたんですけど、兄様は弱い冒険者のこと一切認めないので。僕はただ本当に関わる機会がなかったのでどんな人なのか知らなかったので。」
「確かにそれはそうか・・・。」
ヘスティアは不本意ながらその言葉に同意したのを見てソーンは苦笑いを浮かべた。別の話題を話そうかと考えると扉が開いた。
「神様帰りました!」
「おかえりーベルくん‼︎今来客中でね。」
「来客って、白と黒の助っ人さん⁉︎」
「うぉ!本当じゃねーか!」
「あの、お知り合いですか?」
「春姫殿は会ったこと無かったでござるか。」
「いや、君たち全員会ったことあるはずだよ。」
ヘスティアがそう言うと、2人は仮面とフードを外した。
「えっ・・・。」
「ちゃんと話すのは初めてだなベル・クラネル。俺はミアハ・ファミリアの副団長をしているアダム・ユーリエフだ。」
「弟のソーン・ユーリエフと申します。」
「あの時の助っ人って
「ヴェルフ、あの2人って。」
「ベル様のことを治療してくれたLv.7とLv.4のお二人です‼」
「あああああああ‼あのときはありがとうございました!」
「いえ、その後はどうですか?」
「傷跡もそんな残らずに回復しました!」
「なら良かったです。」
「…ではそろそろお暇させていただきますね、帰るぞソーン。」
「はい、ではまた何かあれば青の薬舗まで。」
ユーリエフ兄弟はそのまま竈火の館から立ち去ろうとしたところ、ベルが呼び止めた。
「あの、アダムさん!僕と手合わせしてもらえませんか⁉」
「ベル様⁉急に何を…!」
「知りたいんです、貴方の強さを!」
「…俺は弱者には興味がない。それも、自分の強さを弁えないような冒険者はな。」
「っ…!」
「ソーン、お前が相手してみろ。」
「ぼ、僕がですか⁉」
「ランクアップしたばかりでまだ体の器が完成していないからな、ベル・クラネルを相手にすれば多少はずれが無くなるはずだ。」
「分かりました。ではクラネルさん、兄様に代わり僕がお相手いたします。」
ベルとソーンは外に出て、お互い準備をして向き合った。
「短剣の二刀流ですか…。魔導士としては厄介な相手ですね。」
「ここで、やめますか?」
「いえ、兄様の顔に泥を塗るわけにはいきませんよ。それに、最近は近接戦闘もしていますのでご安心ください。」
ソーンは腰から短剣を抜いて構える。リリが開始の合図で、手を合わせるとベルが真っ向から突っ込んできた。ソーンは真っ向から向かってくるベルに対し、ナイフが当たる前にするりと避ける。モンスターと違い、試行錯誤を繰り返しながら攻撃してくるのでまず動きを掴むことにした。
「オーソドックスなタイプですね。ですが動きは速い速攻タイプ…、面白いですね。」
「?」
「【黒の魔術師は鳥の使いを放ち遠くを視た、鳥を通じ、空を制し、空間を掌握する者こそ、魔術師の頂点に君臨する】。」
ベルのナイフを避けながら詠唱をすると、魔法陣から氷の蝶と鳥が召喚される。ベルは何のつもりか分からないまま突っ込み、蝶に触れるとその部分が凍った。
「これは!」
「動きにくいですよね?」
今度は逆にソーンが仕掛け始める。ベルは鳥たちを避けながらではないと凍ってしまうので避けながらソーンの猛攻に耐える。
「【ファイアボルト】!」
ベルはこのままだとダメだと思い、すぐに魔法を使い蝶と鳥を消し去る。だが、ソーンは待っていましたと言わんとばかりに笑って詠唱をした。
「【氷の魔術書よ、我の問いかけに答えよ】【ファイアボルト】!」
「なっ⁉」
ソーンの手から何故かベルの魔法である【ファイアボルト】が放たれたのである。すぐに避けたものの、ベルは動揺が隠せなかった。
「どうして僕の魔法が⁉」
「能力の開示は冒険者にとって致命的ですよ。【
「【ファイアボルト】!」
ソーンは笑いながら【ミラーシ=イーニー】で攻撃するが【ファイアボルト】で相殺される。だが、ソーンもそろそろ終わらせるかと思いベルに真っ向から立ち向かった。ソーンとベルは正面から短剣を交え合い、完全に意識が詠唱と剣の方に向いているのをいいことに足払いをした。ベルはバランスを崩すがすぐに態勢を立てなおしたが、目の前に短剣が向けられていた。
「チェックメイトですね。」
「ま、参りました…。」
「相手が僕だから真っ向から戦えましたが、兄様なら一瞬で貴方を10回は殺してます。もし戦いたいなら対人戦をもっと鍛えるべきですね。」
「ソーン。」
「兄様!どうでしたか僕の戦いは?」
「無駄が多い。戻ったら今日も訓練するぞ。」
「ひぃ!今日もですか⁉」
「お前が望んだことだろう?」
「は、はひ…。」
ソーンがうなだれていると立ち上がったベルがアダムの目を見ながら質問をした。
「あの…どうしたら強くなれますか?」
「俺には守るべき家族と、弟がいる。ただそれだけだ。それに、強くなるべき理由は人それぞれだ。」
「理由…。」
「ちょっとちょっとソーンくん、なんでさっきのベルくんの魔法が使えたんだい⁉」
ヘスティアがソーンの肩を掴んで前後に揺さぶると、ソーンは正直に答えた。
「模倣魔法です!だから、揺らすのをやめて、くだ、さい!」
「模倣魔法⁉そんなのまで使えるのかい⁉」
「詠唱さえ分かればですよ…もういいですか?」
「聞けば聞くほど君たち兄弟はチートすぎないか?」
「あははは…。」
「では、俺たちはこれで失礼する。」
「お。お邪魔しました。」
アダムとソーンはそう言って竈火の館を後にした。
「強くなる、理由…。」
ベルは二人が去った後もその理由について考えるのだった。