The Reminiscene of Exellia ver.SS   作:ho9tocraft222

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1年近くの沈黙を破り、再始動する


#1「宿業の果て」

 これは始まりにして、終焉。

 星と命を巡る、終極の向こう側。

 終滅という宿業を植え付けられ、愚かにも人の道を征くことが叶わなくなった少女の、終わりを滅ぼす物語だ。

 

 重い足取りで、彼女はその灰の地を行く。

 そして、その眼に世界を繋ぐ英雄を見た。かつて、『火』を継いだ王たち…その化身。神々が犯した、詰みを象る、神の炎の守護神。少女は、これを討ち、世界に答を示す。

 「不死が人として死ねる世界」を、作るという答。

 巫女のような服に身を包んだ少女―――エクセリアは、その身にその『証』となる力を会得していた。

 脳裏に過ぎる、己が功罪を振り返りつつ、彼の王に謁見する。

 王は現れた少女を、即座に敵―――火の簒奪者と見做し、その本能のままに迎撃する。

 

 しかし。此度の世界線の『英雄』は、王が理解を拒む力を得ていた。

 エクセリアの身体の一部が、星の如き輝きを秘めた竜の腕へと変化していた。

「………!」

王はその少女の変貌を見て、真っ先に武器を杖へと変化させる。これも想定内なのか、エクセリアは特に気にすることなく突っ込む。

 放たれるソウルの結晶槍を、刀の一閃で打ち砕く。魔術を『弾く』という行為に、王は再び驚きを隠すことができなくなる。

 そんなことができるのか、むしろできてしまうのか。そのような感情を以てか、王は武器を槍へ変形させる。放たれた神の怒りは、彼女を押し流すことも可能だった。だが、どういうわけか吹き飛びすらしない。

 

 ―――天災の闘争に巻き込まれ、(Circled in the strife of an empyrean catastrophe,)炎の舌が光り輝く誓いを謗る(Tongues of fire incandescent oaths decry)

 

 その間にも、王は少女に傷つけられていく。やむを得ず、王はその『根源』…太陽の王の力を引き出し、怒涛の連撃を繰り出そうとする。

 しかし、その直前。少女の姿が変貌した。辛うじて人を保っていた姿が、筋骨隆々の珖焔の竜へと変化していた。

 

 ―――夜闇より映された影が空に渦巻く(Shadows in the night, A swirling in the sky)

 

 少女だった竜は、竜狩りの術に怯むことなく王に一撃を加える。そしてどういうわけか、灰の円舞台から、吹き溜まった領域の空中戦へと移行していた。毀たれ壊れ、綻びて朽ちようとも…終滅の石は、確固たる意志を以て、世界の終焉を飛ぶ。

 

 ―――地獄を見下ろし、永遠の離別を言祝ぐ(Look down to the nether, Bid farewell forever)

 

 そして終いには、王の一撃と、珖焔の竜の一撃が相克し、珖焔の竜は天に、王は地に墜ちていった。

 天に墜ちた珖焔の竜は、地獄の火炎を纏って、流星の如き輝きを以て吶喊する。

 

 ―――さあ翼を広げ、遙か彼方、無窮の空に飛べ(Throw open your wings fly! Away... Away... Away...)

 

 輝きが地に墜ち、一際大きな爆裂を放ったとき、跡に残ったのは、踏みつけられた王と、顕現を解き、王の首を刎ねた少女だった。

 エクセリアは火を継がない。継ぐのではなく、後に現れる小さな火を探し求める(Find the Flame)。化身を討った今、それを成す責務がある。継承を終わらせ、終わらない神炎の継承を反故にし、人の時代を迎えさせる。

「…太陽の光の王の力は強すぎて、私ひとりの身には余る」

そう言って、エクセリアは親愛なる者の白蝋字に手を差し伸べる。

 白く暖かな光と共に現れた彼女は、神の炎を掬う。

「神の炎が、消えていきます。すぐに暗闇が訪れるでしょう」

分かっている、と小さく告げた後。エクセリアは、拳を握りしめる。

「だが…これなら。奴が作った世界の《理》を、焼き尽くすことができる。

 不死の呪いも火の宿業も、神の奇跡も継承の使命も…。すべてを灰に返そう。

 喩えこの身が、砕けようとも…!」

そう言って、エクセリアは火が終わるそのそばで、理を焼く炎を顕現させる。

 ある種の咆哮の後、継承の円舞台、火の炉に、神のものではない火が熾る。

「人は、自ら…場所を作れる」

その炎は、吹き溜まりのあらゆるものを融かしつくし。

 呪いから解き放たれた不死達は、自らの拠り所たる奇跡などを喪い、一時はそれを悲しんだ。喪失が原因で、自ら命を絶ったものさえいたようだ。

 だが…ひとりの少女が、身に余る使命を、己の意志で断ち切った結果。

 世界は、変容していくこととなる。

 

 

 

 ある孤島で、エクセリアは墓を建てていた。

 そこに遺骸はなく、あるのは思い出のみ。ただ墓守を続け、朽ちていく…。

 彼女はそのように考えていたが、転機が訪れる。人々が、黎明の星を綾なす技を会得したとき、エクセリアはその危険性から一部の者に警鐘を鳴らしていた。

 だが数百年の時が、一日が過ぎるように経つと、統一政体が形成され、その議長と、冥界を司る第三の座の者がエクセリアの仮宿に来たとき…止まっていた時計が動き出すような、そんな音がした。

 

「《最果ての聖王》だな?少し用がある」

その言葉を聞き、エクセリアはしかめっ面になった。

「単刀直入に言わせてもらおう。我々《委員会》に加わり、問題収集の手伝いをしてもらいたい」

「なぜ、神の如き力を手にしたお前達に、力を貸す必要がある?」

怒るほどではないにせよ、明らかに苛立ちをみせた声音で訊き返す。

「陽光の如き光と、地獄の烈火にも似た獄炎を操る、無名の双刀術士がいると聞いてな」

その言葉に対し、彼女は耳を疑った様子で議長を見た。

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