The Reminiscene of Exellia ver.SS 作:ho9tocraft222
「最果ての聖王よ、アホであれ」…。誰かしらはそう言ったようだが、実際の所アホなのは自覚している。金銭感覚が終わっているのは理解しているし、資金繰りを考えるのは基本的に他人に任せてさえいる。
だが、だからといって、考えないという選択は取っていない。考えはするが、その結果として収支マイナスになる、ということだ。
とはいえ、何と言うべきか…。宙準星の力は、今の状況では使いづらいのだ。
子供を抱えた以上、彼らのためにも生きる必要がある。生なくして、子孫の面倒を見ることなど叶わないのだ。この身に燻る残り火は私で押しとどめながら…。
しかし、セリーヌには強くその形質が出てしまっている。それ故か、“碧天の騎神”と言われた先代が召喚獣となったものが、彼女に宿っている。
セリーヌは、召喚獣の力を何と捉えているのだろうか。
私は、休日のある日、セリーヌに話しかけた。
「セリーヌ。ちょっといいかな?」
「どうしたの、お母さん?」
訊き返してくるセリーヌの手に、私はそっと魔力を流す。碧天の騎神は、セリーヌの身体を蝕むことなく定着しているようだ。しかし、なぜ石化していない…?感情にまかせて顕現したこともあるのに、なぜ…?
…クライヴにも訊かなければならないようだ。
「…セリーヌ、召喚獣の力を無理に使っているね?」
「いや全然…?私、そこまでバカじゃないよ?」
分かっているが、そう言うしかなかった。
続けて、私はクライヴにも声をかけ、セリーヌの状態を見てもらった。
「…石化の負担がない、ということは…アルテマが求める“器”なのではないか?」
と彼は言った。まさか、そこまでのものまで継承されているとは…。
『いや、彼女は我が器になり得ないぞ』
そんな声と共に、私の肩に小さなアルテマ・プライムが出現する。
「アルテマ…!?」
『無理なもんは無理だ、としか、我の視点では言えぬ。彼女は、“碧天の騎神”の力を、ミュトスと同様に“身体の一部”として取り扱えるだけで、それ以上に秀でたものはない。
彼女にとって、我という存在は重荷にすらなり得る。故に、無理と言わせてもらおう』
彼はそう言って、未だ幼いセリーヌの頭の上に座る。
人形のように掴まれ、ふにふにされるアルテマだったが、やはりというか、人ではないからか、無表情だった。
「なんで反抗しないんだ?」
『反抗してもいいが、それよりされるがままのほうがこいつも納得するだろう』
…どうやら、彼なりの目論見があるようだ。
この世界には、蛮神や、召喚獣の力が存在する。
妖精としても存在するイフリートだが、アルテマが齎した召喚獣の理に則ったものも存在するのだ。それを宿したドミナントは、クライヴ・ロズフィールド。
対して、私は、アルテマが齎した召喚獣ではない、まったく別の視座によって生じたドミナントだ。アイザック―――『財団』による改造もあったが、それ以上に…、私は、己の内に飼っている力故にドミナントとなっていた。
珖焔の召喚獣、コズミック・クェーサー。不死鳥の力を得ることで、より高みに至った姿へと変じることができるほどの力。
光と炎、ふたつの属性を秘めた『召喚獣』は、存在しうる『蛮神』と違って、アルテマが言うには「存在し得ない」という。
しかし、現に私は珖焔の召喚獣、コズミック・クェーサーのドミナントだ。
この身がいくら凡才であったとしても、それだけは揺るがない。
「エクセリア」
そうこうしていると、エメリーヌ…冒険者ギルド《暗魂の暁》のギルドマスターが、私に声をかけてきた。
「第4ドックに、ムサシが着いたわ。…時代は変わったわね…」
「そうか?…私としては、まだまだこれからだと思うのだが」
ムサシ―――超戦艦ヤマト型の2番艦は、こことヴァルマーレという島国、そして魔大陸アジス・ラーを繋ぐ重要なインフラと化している。
この世界に、彼の世界にあるであろう『ナノマテリアル』なんてものはないが、それに比肩しうる素材が使われた結果、飛行が可能で、バリアが張れるという結果を生み出したのだ。
さて、出迎えにでも行くとするか…。