訳アリな元用心棒   作:剣舘脇

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BLAZBLUEはいいゾ(`・ω・)b
まぁ、格ゲーはエンジョイ勢なんですがね()


気づいた時には『死神』になっていた

 新エリー都にある、とある裏路地。少し進めば開けた場所がある裏路地では、赤いジャケットと白髪がトレードマークの人物がならず者達と一戦を交えている。何故彼等が戦っているのか、経緯は以下の通りである。

 事の発端はインターノットに貼られた『ならず者達に命より大事な物を取られた。誰でもいいからそれを取り返して来て欲しい』という依頼を受けて行動を開始した、白髪の人物から始まる。依頼を受けた白髪の人物は付近の情報を頼りに依頼主から大事な物を奪っていったと思われるならず者の集団を見つけた後、最初は此方から仕掛けずに対話を試みた。

 白髪の人物は無駄な争いを好まない性格なのか、ならず者達の一人が依頼主から奪っていった大事な物を素直に此方へ返してくれれば此方からは何もしないと彼等に告げたのだが、ならず者達はそれを真っ向から拒否した上に各々が得物を取り出して臨戦態勢に入る。それを見た白髪の人物もため息をついて仕方なく拳を握って臨戦態勢に移り、一対多の戦闘が始まったという訳だ。

 

「よーし、野郎共ォ!! そこに居る正義の味方気取りでいる命知らずな白髪野郎を血祭りに上げてやれぇ!!」

 

 彼等のリーダー格と思ぼしき男の声を皮切りにならず者達は声を張り上げ、目の前に居る白髪の人物の命を取る為なら手段を選ばないと言いたげに各々が隠し持っていた刃物を持ち、声を荒らげて次々と白髪の人物に襲いかかっていく。

 だが、その反面得物を持たない白髪の人物はと言うと、至極冷静に襲い来る攻撃を紙一重で躱してからカウンターとなる重い一撃を叩き込んでいく。数の暴力で仕掛けた筈なのにことごとく返り討ちに逢い、一人一人倒されていった。

 

「く、クソッタレ……ッ! い、一体何なんだよあの白髪野郎!? 俺らが束になっても適わねぇってどんだけ強いんだよ彼奴はぁっ!?」

 

 少なからず腕っ節には自信があった頼れる仲間達が、自分達の前に居る白髪の人物に一撃を加える事すら出来ずに呆気なく倒されてく光景を、一人だけ安全圏からずっと見ていたならず者達を纏め上げるリーダー格と思しき男が、信じられないと言わんばかりに震えた声で叫ぶ。

 それもその筈、彼等は新エリー都に古くから存在していたとある裏の組織に所属していた元組員達を中心として活動していた者達だった。その組織はとある要因が切っ掛けとなって事実上の解散となっていたのだが、残された者達で再起を図って活動をしていたのだ。

 個々の実力に差はあれど、それでも力を持たない一般人くらいであれば簡単に倒せる程の実力はあった。それなのに武器を持たず、丸腰で此方を迎え撃った白髪の人物一人すら倒せずにいる。

 否応なしに突き付けられる、そんな現実が信じられない、と言わんばかりに悲痛な叫び声を上げていたならず者を横目で見ていた白髪の人物はというと、性懲りも無く斬りかかってきたならず者を拳一つで気絶させた後に一息ついて軽く首を回してから悪態をついていた。

 

「ったく……んだよ。てめぇらとは違って武器も持たねぇ俺一人に対して血祭りに上げるとか大見得切った挙句、大勢でかかって来た割にはこの程度か? こんなんじゃ肩慣らしにもなりゃしねぇっての」

 

「ンナ、ンナナン……? (だ、大丈夫なの……?)」

 

 気怠そうに交互に腕を回しつつ悪態をついた白髪の人物の隣に居るのは茶色のアホ毛とポニーテールが特徴の、何処かの学生服を模した衣服を着たボンプ。

 そのボンプは一体何処に居たのか、何処からともなくひょっこりと顔を出しては白髪の人物の元に駆け寄って来て心配そうに声を掛けていた。その声に気づいたのか、白髪の人物はボンプに向けて優しい笑みを浮かべて返答を返す。

 

「……ん? 嗚呼、お前か、セリカ。このくらい平気だから安心しな。つっても、此処はまだ危ねぇからどっかに隠れてろ。終わったら俺の方から呼ぶからよ」

 

「ンナ、ンナナ! (分かった、気をつけてね!)」

 

 白髪の人物に『セリカ』と呼ばれた、彼に付き添っていたであろうボンプが弾みながら滑るような独特な走行フォームでならず者達の足元を駆け抜けていき、彼等に一回も捕まる事なく安全な場所に避難したのを見届けた白髪の人物は挑発を交えて再度構え直す。

 その後も血眼になって自身へ襲い来るならず者を一撃で倒し続け、最初は十数人程居たであろうならず者達はいつの間にかリーダー格と思しき男一人のみとなっていた。

 あれだけ居た仲間が全員倒れて自分一人だけになったという事を知ったならず者達のリーダー格と思しき男はというと、半ば自暴自棄になったのか小刀のような刃渡りのナイフを片手に脇目も振らず突撃してくる。それを白髪の人物は視界に捉えるなり、素早く地を蹴る。

 

「───遅せぇ、よっと!」

 

 眼前に迫る、振り下ろされる大振りな攻撃を難なく躱した勢いで左足を軸として回転。そのままの勢いで回し蹴りをがら空きの腹部に叩き込む。強烈な一撃をマトモに喰らって意識が飛び、それに伴って手の力も抜けたのか、最後の一人が手にしていたナイフが手からこぼれ落ちる。

 それから少しの間を置いてナイフを手にしていたならず者もその場に崩れ落ちた。それを見届けた白髪の人物は一息ついた後、先程遠くへと避難させていたボンプを呼び寄せて一人一人息がある事を確認してから先程倒したばかりの男の懐を探り始めた。

 

「えーと……? 依頼主が言うには此奴が奪っていったって話なんだが……お、あったあった」

 

 白髪の人物から受けた、強烈な一撃で気絶している男の懐を探り続けて数分。恐らく依頼主から盗んだ物と思われる、ウサギのような見た目の生き物を象った特徴的なチャックが付いた長方形の物体を見つけた白髪の人物は万が一無くさないように自身の懐に丁寧に仕舞う。

 

「……よし。ざっと見た感じ目立った傷もねぇな。依頼されてた物は無事に回収したし、後はコレを届けりゃ今回の依頼は完了だが……気絶している此奴らをどうするか、だよなぁ……ま、此奴らを野放しにしちゃおけねぇし、一応通報しとくか」

 

「ンナ! (お疲れ様!)」

 

「おう、お疲れさん。つっても、毎度毎度俺の後をついて来なくてもいいんだが……何でかは知らねぇけど何度言っても俺の言う事を全く聞きやしねぇし。まぁ、此奴に危害が及ばねぇように俺が気をつけりゃ良いだけだな。んじゃ、帰るとするかね」

 

 それから白目を剥いて伸びているならず者達を一瞥し、少し悩んだ後に匿名で治安局へと通報してからその場を離れ、依頼されていた物を依頼主に返す為に一報を入れて依頼主の元へ向かう為、一人と一匹は裏路地を抜けて帰路へ着いた。

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

(ったく、いつも思うんだが、なんでこうなったのか未だに分かりゃしねぇな……)

 

 それから何事も無く時は流れ、夜の帳が降りた頃。依頼主に報告と届け物をして無事に自宅へと帰った俺は、ボンプ用の充電器にボンプが向かったのを見届けながら、重ねて着ていた赤いジャケットを脱いで背もたれに掛けた後、ソファに腰掛けて考え事をしていた。

 俺は元々この世界の住人じゃない。ある時、ふとした切っ掛けで前世の記憶を思い出した、所謂転生者という奴だ。前世の記憶を思い出した切っ掛けというのが、夕飯をどうするかと思考が逸れてよそ見をしていた時に頭を壁に強かに打ち付けた時だった。今思えばマヌケすぎる切っ掛けだと思う。

 それはさておき、頭に走った強い衝撃で思い出した前世の俺の記憶によれば、前世の俺は格ゲーを中心としたゲームが好きな、何処にでも居るただの社畜まっしぐらな人生を送っていた一般人だった。色々な格ゲーをやっていたが、その中でも特に熱意を込めてやり込んでいた格ゲーが『BLAZBLUE』シリーズ。

 "蒼"を巡る物語の幕開けとなる初作のカラミティトリガーから物語の終焉となるセントラルフィクションまで、エンジョイ勢ながらもずっとやり込んでいた為、個人的に思い入れのある格ゲーである。ゲーセンだけでなく家庭用ハードでもBLAZBLUEが出来た為、仕事が立て込んでゲーセンに行けない日は自宅に帰った後に家庭用の方でやり込んでいた程だ。

 だが、思い入れの深い格ゲーであるBLAZBLUEの事は薄らと覚えていても前世の俺の死因がてんで分からないと来た。辛うじて覚えているのはある日の仕事帰りにいつものようにBLAZBLUEをやろうとして何時でも起動出来るようにしてあったゲーム機に取り付けてあるアーケードコントローラーに手を付けた所まで。

 そこから先はまるで何かに切り取られたかのように記憶が抜け落ちており、次に目が覚めた時には全く見知らぬ世界で目覚めていたという事になる。それから、予想外ではあったが第二の人生を歩む事となったこの世界の事を知って驚きもしたのだが、頭を悩ませる問題はまだあった。

 

(百歩譲って異世界に転生したっていうのならまだ分かる。異世界転生なんて前世だと色んなサイトや書籍とかでよく見る、賛否両論あるけど見慣れたジャンルだったし。だけどさぁ……()()()()()()()()()()? 前世でなんか徳でも積んでたっけか、俺。つっても、徳を積んだ覚えは全くねぇけど……)

 

 そう考えつつ、テーブルの上に置いてあった鏡を手に取って己自身を鏡に映す。そこに映るのは前世では冴えない一般人だったかつての俺ではなく、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()の姿が映っている。

 その青年には見覚えしかなかった。前世でやり込んでいた思い入れのある格ゲーである『BLAZBLUE』の主人公。斬られた右腕の代わりに強大無比な力である蒼の魔道書(ブレイブルー)を宿し、胸中に復讐の炎を燃やし続け、たった一人で統制機構に牙を剥いた結果『死神』の通り名で呼ばれるようになり、その首に史上最高額の賞金が掛けられたSS級の反逆者。

 そうして、行く先々に待ち受ける数々の死闘や苦難を乗り越え、その過程で自身の正体を知った彼は自身の持つドライブであるソウルイーターで喰らってきた資格者達の『願望』を蒼に返す事で閉ざされていた世界の可能性を解放させるべく、この世界を作り出した存在で、魔素の全てを観測するものであるマスターユニット・アマテラスに眠る妹のサヤ(第一素体)の意識と共に境界の奥深くへ消える事を決め、BLAZBLUEの世界から姿を消した。

 彼が最愛の妹であるサヤことジ・オリジンを助けるまでの永い間、彼女が観ていた悪夢(ユメ)を終わらせ、ジ・オリジンが己自身の願望を満たす為に造り出した、本来であれば存在しない人間。別称神の観る夢(セントラルフィクション)こと『ラグナ=ザ=ブラッドエッジ』。

 前世の俺がエンジョイ勢ながらもBLAZBLUEをやり込む切っ掛けになった、個人的に思い入れの深いキャラの一人である彼が今、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()姿()()()()()この世界に居る。

 

(今でこそ受け入れてはいるが、当初は来る日も来る日も現状を受け入れる事が出来なかったのを鮮明に覚えてる。それこそ、最初は神の観る夢……セントラルフィクションだったラグナより(はかな)く消えるだけの存在だと思ってたんだが、なんだか違うみてぇだしよ……)

 

 頭を強打したという切っ掛けによって前世を思い出し、その上彼の姿を借りて転生したという事実を知った当初の俺は「こんなの信じられる訳ねぇだろ!?」と何度も鏡を見たり、まだ夢を見ている筈だと自身の頬を強くつねったりもした。

 だが、何度鏡を見ても映る姿は前世の冴えない自分ではなくラグナ=ザ=ブラッドエッジであり、頬をつねった時に生じる痛みは"コレは夢ではない。紛うことなき現実だ"と告げているようなものだった。

 何度鏡を見ても駄目、頬をつねっても駄目。それなら一旦寝て起きたらこのあまりにも都合が良すぎる夢から嫌でも覚めて元の自分に戻るだろうと考えて何度か不貞寝をかましたりもしたが、それでも結果は変わらなかった。

 そんなこんなで前世の記憶を持ちつつBLAZBLUEの主人公であり、個人的に思い入れの深いキャラであるラグナ=ザ=ブラッドエッジの姿を借りてこの世界に転生したという現状を何とか受け入れはしたものの、内心ではかなり不安が残ってはいたが、彼としてこの世界で生きる事を決め、紆余曲折を経て今に至る。

 

「……アレコレ考えるのはここまでにしとくか。ま、こっちの世界に来ちまった事に関してはぶっちゃけ悪い事だけじゃ無かったし、一応ヨシとするか……しても良いのかまだ分からねぇけど、ヨシと思うしかねぇしな」

 

 そう独り言を呟き、一人でアレコレと考えていた思考を強引に打ち切ってそろそろ休むかと重い腰を上げて立ち上がった時。テーブルの上に置いてあった『Random Play(ランダム プレイ)』の文字が書かれた小さなカードが視界に入る。

 それを手に取って少しの間眺めていた時、ココ最近『本業』の方が忙しくて個人的に世話になっている兄妹が経営するレンタルビデオ屋に顔を出せていない事を思い出す。

 それに加えて一週間前くらいに借りていたビデオの返却日が丁度明日を指していた事もあり、ビデオを返すついでに顔を出してみるかと頭の片隅で考えつつ、今日はゆっくりと休む事にした。

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 今日の営業も無事に終わった。休む間もなく次々と来店するお客さんの応対をしていたからか、お兄ちゃんは『ごめん、リン。僕は先に休むよ』と疲れた身体を引き摺るようにしつつ一足先に自分の部屋に行ってしまった。

 その為、今日は私が閉店後の作業をやる事に。眠気がすぐそこまでやって来ているのか(まぶた)が降りつつある目を擦りつつ、お兄ちゃんと共にお客さんの応対を頑張っていた18号と一緒に黙々と作業をしていた時の事。ふと、何かに気づいてポツリと呟く。

 

「……あれ? このビデオの返却日、明日だ。そう言えば、このビデオって今は誰が借りてたんだっけ?」

 

 今は誰かが借りている為か『貸出中』となっている、コメディ映画のタイトルがケースにラベリングされているビデオを見つつそう呟く。

 誰が借りてるのか気になった為、パソコンで貸借の履歴を確認する事に。借りた人の名前がズラリと並んだ履歴をスクロールして見ていると、そのビデオを最後に借りた人物の名前が出てきた。

 

「えーと、最後に借りた人はっと……あ、あった。『ラグナ=ザ=ブラッドエッジ』……あ、思い出した! 今から一週間前くらいにラグナさんがビデオを借りに来てたっけ。ここの所忙しいみたいだけど……ラグナさん、元気にしてるかな?」

 

 私が『ラグナさん』と呼んだ人は、ラグナ=ザ=ブラッドエッジという赤いジャケットを着た白髪の男性の事だ。彼は『Random Play』を経営する私達兄妹にとってRandom Playの会員としては勿論、裏の仕事(プロキシ)の方でも度々お世話になっている人でもある。

 

 彼と私が初めて出会ったのは、月に三回も聞くニコの一生のお願いで、依頼の最中に赤牙組のボスと共に共生ホロウへ落ちたビリーとアンビー、それから今回ニコが受けた依頼物の回収で出向いたホロウ内部。

 ニコの事はお兄ちゃんに任せてホロウへと向かい、無事にビリーとアンビーを見つけ出して出口に向かおうとした直後。付近に潜んでいたエーテリアス達の襲撃に遭ってしまい、二人を先導する形でエーテリアス達から逃げていた時。

 

「───っ! 待って。ビリー、プロキシ先生。目の前に誰か居る」

 

 走っていた最中、何かに気づいたのかアンビーが足を止めて前方を見やる。それにつられるように私とビリーも足を止めて前を見ると、少し離れた先に誰かが居るのを視界に捉えた。

 私達の視界の先に居たのは、茶色のアホ毛とポニーテールが特徴的で何処かの学生服を模した衣服を着たボンプを連れた、ビリーが着ている物とはまた違う、赤いジャケットがトレードマークの白髪の男性。

 その男性は自身の得物と思われる白い刀身を持つ片刃の大剣を腰に提げ、ボンプと共に付近を見回していた。彼はボンプを連れてホロウ内で活動している為、ニコ達と同じくホロウレイダーだと思われる。

 然し、その男性は少なくとも六分街では見かけた事の無い男性だった。一体誰なんだろうと頭の片隅で考えていたが、すぐ後ろからエーテリアス達が迫る中、そんな事を悠長に考えてる暇は無い。ホロウ内部での活動時間に限界が来ている二人を連れてその男性の元に駆け寄った。

 

「……あ? 何だお前ら。人型の機械と銀髪の女に、スカーフを巻いたウサギ……のような生き物? 確か其奴はボンプとか言ったか。というか、一体何処から───」

 

 急に目の前に現れた私達を見て(いぶか)しげにしていた男性は、私達の背後に迫るエーテリアス達を見て、私達が置かれている状況を直ぐさま把握したのか、気怠そうにため息を一つついて「彼奴らは俺に任せな」と一言だけ告げ、私達を守るように前へ出る。

 私達を追いかけていたエーテリアス達は突然目の前に現れた男性を見て立ち止まり、各々が臨戦態勢へと移った。それを見た男性も又、腰に提げていた己自身の得物である大剣を抜き放って臨戦態勢へ移ったのだが、男性とエーテリアス達の勝負は一瞬で決着が付く事になる。

 一体ずつではなく一斉に襲いかかるエーテリアス達を視界に捉えた男性は、特に焦る素振りを見せる事なく襲い来るエーテリアスの一体に上段からの斬撃を加えてよろけさせてから獣の爪に似た赤い斬撃(シードオブタルタロス)を放ち、エーテリアス達のコアを一撃で打ち砕いた。

 男性の放った一撃によってコアを砕かれ、己の身体を維持出来なくなったエーテリアス達はその場で崩れるように消滅し、私達を追いかけていた脅威は消え去った事を視覚的に告げる。

 

「───よし。見た限りだとあのバケモン共はもう居ねぇな? さてと……無事か、お前ら」

 

 辺りを軽く見回し、付近にエーテリアスの気配が無い事を確認した後、片手で大剣を二回程回した後に腰に提げ直した男性は私達の方へ向き直って無事かどうかを問いかける。その問いに対し、私達はそれぞれ返答を返していた。

 

 ───コレが、私とラグナさん……ラグナ=ザ=ブラッドエッジとの初めての出会いになる。

 

「ビデオの事もあるし……多分明日は来るよね? もし忘れてたらこっちから連絡してみようかな。それと、丁度ラグナさんに手伝って欲しい仕事もあるし」

 

 ラグナさんと初めて出会った頃の事を思い出しつつ、そう呟く。あの後、ビリーとアンビー、ラグナさんとラグナさんが連れていたボンプと共にRandom Playへ帰還した私は、お兄ちゃんにと共にラグナさんへ素性を明かすついでに事情を話す事に。

 此方の素性と事情を話す傍ら、私とお兄ちゃんがあの伝説のプロキシである《パエトーン》だと知った時、心底驚いた表情を浮かべていたのは今でも鮮明に覚えている。だが、正直に言えば協力してくれるだろうかと内心不安ではあった。

 だが、そんな不安も杞憂に終わる。私達の話を聞いた上で彼は私達に全面的に協力すると言ってくれた。その事に私とお兄ちゃんは安堵したと同時に感謝の言葉を伝え、私達"パエトーン"は彼と協力関係を結ぶ事が出来たのだ。ついでにRandom Playの会員にもなってくれたので、そっちの方でも感謝をしている。

 

 こうして彼と協力関係を結べたのは良い事なのだが、ホロウで出会ったばかりの彼に関しては知らない事が多々ある。その為、親睦を深める名目で邪兎屋の皆も交えて色々と質問をしていた。だが、アンビーがラグナさんに向けて言っていた『死神』という一言に対してほんの一瞬だけ反応を示していたのも覚えている。

 『死神 』という一言に反応を示した事に勘づいたのか、それについてグイグイと聞いてくるアンビー。それをあの手この手で上手く躱していたラグナさん。追撃が足らないかなと便乗するように私やお兄ちゃんも『死神』について聞こうとした。

 だが、私やお兄ちゃんが『死神』についてラグナさんに聞こうとした所で「私の依頼はまだ半分しか終わってないわよ!」とニコの一言で強引に質問タイムを打ち切られた為、追撃の機会を逃している。それからというもの、『死神』については聞けずじまいのままだった。

 

(あ、そう言えば……アンビーが言ってた『死神』の事が気になって、個人的に調べてみたけれど……なんと言うか、少し見ただけでも分かるくらいに現実離れしてるものばかりだったなぁ……本当に『死神』なんて居るのかな?)

 

 そう思いつつ、カウンターに置いておいたスマホを手に取る。慣れた手つきで操作し、少ししてスマホの画面に出したのは『死神』についての噂や逸話などの情報がまとめられているサイト。

 インターノットには様々な人が書き込みをしている。『死神』について調べている時に見つけたサイトの管理人もまた、その一人。然し、そのどれもが一目見ても分かる程にイマイチ信憑性に欠けるものばかりだった。

 

 曰く、『奴は一人で軍隊並かそれ以上の力を有していると思われる存在』。

 

 曰く、『誰が掛けたのかは一切不明だが、奴の首には一生を遊んでも有り余る程の膨大な賞金が掛けられている』。

 

 曰く、『奴は旧都崩落以前から賞金稼ぎ兼用心棒として活動していたと思われるが、旧都崩落後から現在に至るまで奴の目撃情報は皆無に等しい』。

 

 ……等々、サイトの最後に載っていた情報は兎も角、その他は素人が見ても分かる程にあまりにも非現実的すぎて噂や逸話の域を出ないものしか無かった。『死神』についての情報がまとめられているサイトを見終えた後に一つだけため息をつき、スマホをスリープ状態に戻してカウンターに置き直す。

 それから気を取り直してパソコンとスマホを見ていた間18号に任せっきりになっていた閉店後の作業に取り掛かり、少しして18号と共に閉店後の作業を終わらせた私は遅くまで頑張ってくれた18号を労ってから休む事にした。

 

 内心では、明日必ずRandom Playに来るであろう彼……ラグナさんと会える事を楽しみにしながら。




本編に絡ませたいけど、しばらくはキャラ関連で話を展開させたいかな……
でもそうなるとどのタイミングで本編に突入させようか迷う(´-ω-)

追追考えるとして、お読み下さりありがとうございました。
また次回(・ω・)ノシ
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