巫女ー血塗ラレタ記憶ー   作:つぎはぎどーる

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opストーリー

隠世(かくりよ)....誰かが私を呼んでいる。現世(うつしよ)ではない。何処か遠く深く暗い所から....暗い暗い、闇の中から...



第1話

~闇ノ彼方~

over1 永瀬 咲輝

 

「咲輝!!」

 

大きな声で呼ばれた。私の名前は永瀬 咲輝(ナガセサキ)。

小さな村にある駄菓子屋の一人娘。名前を呼んでいた人、永瀬 葵(ナガセ アオイ)は私の兄。

 

「今日から年に1度の祭り 夕刻夜神(ゆうこくやがみ)の日だ。村中の子供達が菓子を買いに来る。顔を洗って店に立て。遅れるなよ。」

 

そう言い残すと兄は店頭へ走っていった。この駄菓子屋は築何年なのか謎だ。綺麗好きの兄が店の掃除、片づけ、建て付けなどしてるうちに村一番の綺麗な店となっていた。

 

「....ふぅ....んっ!!もう水が冷たくなる時期か~。今日も兄さんと頑張ろうかしら!」

 

私は顔を洗い気合を一つ、目一杯込めた。そして目の前の鏡を見つめ目を閉じた。

 

『淋しい....貴女が来るま....わ....待....』

 

やっぱり呼んでる。年々強くなる声。

この声はいつからか聞こえるようになった。最初は誰が言ってるのだろう....ただそれだけだった。しかし、今、17歳となった今、その声が濃くはっきりと聞こえるようになっていた。

夕刻夜神....この日の夕刻、夕暮れ時は鮮血の如く赤く、まるで夜神、死神が迎に来たかのようだった。なぜ祭りを行うかは誰も知らない。

 

「咲輝!!なにしてる!早く降りて来い!」

 

兄から怒られ目が覚めた。途端声が止んだ。もう一度自分の顔を見直し店頭へ急いだ。今日1日。。夕刻夜神祭は1週間。

この先に待つ闇は、この時まだ誰も知りもしない。

 

『おいで....おい........淋し....な............私の子』

 

~日暮れ そして霊~

over2 永瀬 葵

 

俺には一人の妹しかいない。昔から無茶をする彼女。俺と咲輝は血の異なる兄妹。咲輝の亡き母、永瀬 雅(ナガセ ミヤビ)が養子として俺を引き取った。咲輝は俺が養子になってから2年後に生まれた。肌は純白の羽根の如く色白く、瞳は吸い込まれるほど黒々としていて赤子なのにとても美しかった。雅は咲輝を産むと糸が切れたかのように力尽きた。雅が亡くなったのは夕刻夜神祭の日。災厄の日に亡くなった。

まるで夜神に連れていかれたかのように。

 

「どうした?葵。難しい顔して。まだ若いんだぞ?(笑)」

 

突然後ろから声がした。二人の男女が店に入ってきたのだ。

「先生....と真希!?びっくりしたー。で、先生何しにこられたんですか?」

 

先生。前原 柊羽(マエハラ シュウ)と吉田 真希(ヨシダ マキ)が立ってた。前原先生はここから数メートル離れた図書館に住んでいる。真希は先生の弟子としていつも後ろについている。先生は夕刻夜神祭のことについて調べていた....のは、毎年10歳前後の子供が生け贄....失踪しているのだ。普通なら警察が動くはず、しかし何故か捜索はされず、家族や友人、近所の人までがその子についての記憶が消えているのだ。

だが、俺と咲輝、先生と真希は記憶が消えることはなかった。

 

「先生は今日、神隠しにあう子供が誰なのか調べに来ました。私はその手伝いです。この店なら村中の子供達が遊びに来る。だから来ました。」

 

真希は淡々と話した。真希は18歳、俺の一つ下。そして咲輝ととても仲が良い。いつから阿笠村にに来たのかは知らない。勿論、先生も。

 

「それなら邪魔をしないで下さいね。」

 

一応注意をし、カウンターに立った。....ぞろぞろと祭りのために着物を着込んだ子供達が親からもらった小遣いでたくさんのお菓子を買い笑顔で帰っていく。

今年もまた誰かが生け贄になるのか。俺は子供達の笑顔に癒されながらそんなことを考えていた。

 

「兄さん!チョコの在庫ある?」

 

咲輝が子供達に囲まれながら手を振っている。咲輝は昔から誰にでも好かれた。そう、誰にでも....

 

咲輝は生まれた時から不思議な能力があった。4歳の頃、誰もいないはずの部屋で咲輝は確かに誰かと話していた。すると突然目の前が暗くなり倒れた。

 

『貴方も隠世へいきましょう。』

 

その頃から俺も霊が見えるようになった。理由は未だわからない。確かなのは俺もあの声が聞こえるということだ。

 

「しかし不思議だな。今日は一人もいない。」

 

騒がしい店を眺めながら俺は呟いた。

こんなことはあまりないから不思議に思えた。

 

「にいちゃんも見えるの?お化けたちー!僕もね!最近見えるようになったの!いつもは沢山いるのにね!」

 

一人の男の子が俺にそう言うと咲輝の元へ走っていった。

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