スターライトナイト参上!!!   作:サカサマ

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旧都陥落。そしてヒーローは生まれる。

 

 エリー都とは。

 人類がホロウから生き残るため、集合し団結し築き上げた未来都市である。盤石と言える設備を持ち、人類の生存圏を広げる世界最後の都市。それがエリー都である。

 

 それが、エリー都であった。

 

 その日は特に変わったことない日で、特別変わったことがあるとするなら、とある教団が忙しなく動いていたことくらいで。

 人類が誇る最後の都市はいとも容易く、嘲笑うかのようにホロウに飲み込まれた。

 旧都陥落と呼ばれるその事件によりエリー都はホロウに消え、新開発中の都市。新エリー都が人類の最後の都市となった。

 

——旧都陥落まで47分12秒

 

 

 

 

「スターライトナイトッ! 変身ッ!!」

 

 手狭なアパート部屋の一角、ベットの上に仁王立ちで子供用おもちゃ玩具であるヒーローベルトを腰に巻き、真剣にヒーローの前口上を、叫ぶ少年がいた。

 僕だった。

 

「ふう。やっぱかっこいいなスターライトナイト」

 

 テレビのリモコンを手に取り、再生していた録画を止める。何度見ても素晴らしい変身シーンだ。しかし真剣に口上を叫んだせいで少し肺が痛い。だが、そんな苦労をする必要が今、僕にはあった。

 

 テーブルの上、丁寧に折られた封筒を見る。何度見ても、惚れ惚れするようなデザインのチケットが、そこには入っていた。スターライトナイトの映画の前売り券、兼特別賞のグッズ引換券。何千何万倍という抽選倍率の中、僕は勝ち取ったのである。これもスターライトナイトを見るたびに真剣に口上を叫んでいるおかげ。周囲の冷ややかな目線に耐えた甲斐もあるというもの。

 

 そして今日。その映画の上映日。この儀式も全ては映画を見る前の洗礼。準備バッチリ、あとはチケットを慎重にバックに入れ出るだけだ。早速荷物に折り目のつかないように入れて出かける。

 

 映画館までの道、ウキウキと進む中で変な服の連中を見る。今日の自分的ビッグイベントもあるせいか、どうしても悪役に見えてしまう。頭の中で不審者どもをちぎっては投げちぎっては投げる妄想を広げながら、ようやくついた。

 

「フォオオオ! パネルある!! カッケェ!!!」

 

 映画館前にスターライトナイトたち3人が決めポーズをしているパネルが立っている。写真をバシバシ撮る中、声をかけられた。

 

「あの、写真撮ってくれませんか?」

 

 ちっちゃいボンプだ。

 

「いいっすよ、ほら笑え!」

 

 カメラを取り、パネルの前で自身の電光掲示板に嬉しそうな表情を浮かべるボンプを取る。気のせいじゃなければ、小さな手足でポージングを真似ているらしい。

 うーん。かわいい。

 カメラを返し、代わりに手を取る。

 

「おしボンプちゃん。映画行くぞ映画!」

 

 ボンプの元気そうな返事を、「はい!」というにこやかな返事を聞く前に、大きな爆発音が響いた。

 音源の方向へ目を向けると球状で黒紫色のものが凄まじい速さで膨張しているのが見えた。逃げようと反対方向に足を向けるが虹色の輪郭を持つ黒い壁に迫られ、飲み込まれ、景色は瞬間的に変わった。

 

 なにがっ?

 

 声を上げる前に、すぐに気づいた。じわりと肌が湿り、空気の粘度が異常に高い。耳鳴りのような低音が絶えず続いていた。飲まれた、ホロウに!?

 あの黒紫の球体はエリー都全ての市民の忌むべきもの。人類の生存圏を狭める対象。ホロウ。

 それに飲み込まれた事実に呼吸が慌てるが、無理矢理深呼吸をして落ち着ける。ホロウについては学校などで必修科目。成績は中の下であるが、分かることだってある。ホロウでは無秩序な空間連結が行われているが、範囲はそこまで小さくない。つまりある程度は地続きにつながっている。

 

 周辺の人も一緒に飲み込まれたからか、パニックが伝播していた。

 

 ここから一番近い避難所はどこだ? 避難所に行けば、少なくともエーテル侵食による障害などにはならないはず。急いで地図アプリを開く。GPSなどはホロウで死んでいるから分からないが、地図を読めば避難所までは分かるはず。

 

 スマホを忙しなくいじる中、誰かの切り裂くような悲痛な声が響く。

 

 そこへ目を向けると、その人は侵食に侵されていた。肩や肘から結晶が生え、その結晶を取ろうと声を荒げている。

 息がしづらい。肺に空気が入らない。

 

「あ、ああ! いや、いやぁああ!!!」

 

 とうとう、その人の肩、結晶の集中していた部位にエーテルコアが現れる。異化直前の症状だ。数回の瞬きの間に身体は結晶に包まれエーテリアスが現れる。

 

「うわぁあああああああああああああああ!!!」

 

 誰が駆け出したか、それを皮切りに走り出した。かくいう僕も細い呼吸を繋ぎながら走る。地図アプリを見ていたかったが、逃げる最中に人とぶつかり落としてしまった。止まって拾うことだってできただろうが、僕にそんな勇気はなかったのである。

 

「は、はっ、はっ。ふっ、くそ。はっ、いてぇ」

 

 全然走っちゃいないのに、肺がずっと痛かった。走っていく中で、背後からの悲鳴を幾度となく聞いた。走っていく中で、目の前で起こる惨事を何度となく見た。

 

「……くそぉ…」

 

 この状況に苛立ち、地面に打ちつけたく持ち上げた拳を力無く下ろす。

 巨大なエーテリアスでも暴れたのか、はたまた車などが事故を起こしたのか。崩れた瓦礫が屋根を作る小さな隙間に、体を折りたたんで休めていた。

 しかしただの瓦礫だ。侵食を防ぐことなどできるはずもなく、いつかはここから離れなければ、生きる道はない。

 

 遠目を見ると、エーテルにより空間が歪んでいた。蜃気楼みたいだと思い場違いに見ていると遠くから聞き覚えのある声がした。そんな声にすらビクリと体が跳ねたが、それ以上にその声に引かれて瓦礫から体を出す。

 

「いや! 助けて誰か!」

 

 あのボンプだ。

 小さな体で飛び跳ねながら、障害物を利用して素早く逃げている。それを追いかける者は、デュラハンと呼ばれる剣と盾に似た結晶を携えるエーテリアスだ。

 得意の盾の結晶で周辺を破壊して、着実にボンプとの距離を詰めている。ボンプの叫ぶ声がよく聞こえた。

 

 一瞬、デュラハンが振り返りこちらを向いた。

 瞬間、僕は目線を折りたたんで抱えていた膝に向ける。再び視線を上げると、デュラハンはボンプを追いに戻っていた。

 見逃された。よかった。

 

「いや! 助けて!」

 

 ゆるんだ思考に、叫び声が突き刺さる。

 何が、何が良かっただクソヤロウ!!!

 ギリギリと歯を食いしばり、膝を抱えて震える手を離し、震える足に無理矢理力を入れる。

 バカか僕は。何が、クソ。

 

 なぜか僕は、その安全地帯に思える瓦礫から出ていた。

 

 壁際に追い詰められたボンプが震える。デュラハンはわざとらしく針のように鋭い剣を持ち上げ振りかぶっていた。

 

「おらこっちだデクノボウ!!」

 

 近くに落ちていた小石を投げつける。僕の精一杯の勇気が通じたのか、デュラハンは目を向けた。ボンプがその隙に駆けるのを見届けて、踵を返し追いかけてくるのを確認して逃げる。未だ健在なビルに入り、出来る限り狭い通路を通り、逃げた。

 

「まっ、待って!」

 

「おま、ボンプ!」

 

 出た先に、ボンプがいた。転げたりしたのか、砂埃を被り擦りむいたように傷が入っている。話を聞く余裕もないので横に抱き、とにかくデュラハンから離れた。

 

「あの、ありがとう。君がいなかったらボク…」

 

 ボンプは落ち着かない様子で、お礼を述べる。そのお礼に罪悪感が心に立ち込める。違うよ。違うんだ。僕はそんなお礼をされるほどじゃないんだよ。

 

「…ああ。ボンプそうだ。地図とかある? 避難場に行かなきゃ」

 

「うん! データが入ってるから案内できるよ!」

 

 それは上々。希望が見えて、息を吐ける。ボンプをひと撫でして、少し痛くなった膝関節に力を入れて立つ。狭い通路を通ったせいか、ところどころ肌が切れて痛い。

 

「行こうか」

 

「うん!」

 

 歩く。ビクビクしながら、建物の影を踏むように避難所に向かっていく。既存の地図なんて役に立つのか疑問だったが、ボンプは建物の瓦礫などから場所を割り出しているらしい。かしこい。

 避難所の看板が見えた。

 

「おお。やったなボンプ。これ近いんじゃないか?」

 

「うん。このまま行こう!」

 

 瞬間。看板がカランと音を立てて倒れた。

 見れば、剣は、雷が地を裂いたような歪み。盾は咲いた結晶花が毒々しく咲き誇っていた。まるで人の姿を模した異形の騎士が、影からこちらを見据えていた。

 

 奇跡だった。

 奇跡的な反射で、ボンプを抱え建物へ走る。後ろをチラリと見れば、先ほどいた場所を剣が掠めていた。

 できる限り狭い通路を通り、ボンプを抱えて座る。

 

「くそ…くそくそっくそ!」

 

 なんで今現れる!? あと少しで避難所だったのに、あと少しで!!

 恐怖と苛立ちがどうにかなりそうだった。しばらく震えて呼吸が漏れる中、ボンプが優しげに声を上げる。

 

「…ボクが囮になるよ。ほら。最初に見つかったのボクだし」

 

「バッ、てめふざけんじゃ…」

 

 抱えていたボンプを正面によせて顔を見合わせる。ボンプは務めて、笑顔であるように見えた。困ったような、悲しいようなそんな顔だった。

 

「…バカかよ」

 

 バカかよ。僕は。こんな顔させるとか、バカかよ。

 

「…お前がいないで、どうやって僕は避難所を目指すんだよ」

 

「それは…」

 

 ボンプは言葉に詰まるようだった。

 少し笑って、自分の持っている荷物を開く。うすっぺらな財布と丁寧に折り目なく入れたチケット。

 

「ボンプ。これが何かわかるか」

 

 チケットを目の前に出す。

 

「こ、これはスターライトナイトの特別グッズ引換券!? すごいレアじゃん!!」

 

「ああ、選ばれし者のみ待たされるチケットだ」

 

 こんな状況でも目を輝かせるボンプににへらと笑う。

 

「これを授けよう。僕の運の結晶だ」

 

 目を白黒させている。

 

「あのな、ボンプ」

 

 僕もコイツに習い、務めて笑う。

 

「さっき、僕は背中を切られてるんだよ」

 

 証拠に、立ち上がると座り込んでいた場所に赤黒い水溜りができていた。デュラハンの剣は正確に僕を斬っていた。

 

「…スターライトナイトのグッズ。頼むよ」

 

 チケットとボンプの手を一緒に包むように寄せる。チケットがクシャリと音を立てた。

 

「…お兄さんは、誰が好き?」

 

 ふふっと笑い、声を張り上げた。

 

「スターライトナイト・レッド!!!」

 

 ボクも、と小さく同意の声が響く。

 かっこいいもんな。と呟けば。

 

「お兄さんも、かっこいいよ」

 

 

 

 

 

 建物から走って出る。デュラハンは外で大人しく待っていたようで、走って出ていく僕を追いかけ始めた。デュラハンの後方。小さな陰が動くのを確認してはにかむ。

 

 避難所の方向へ逃げるわけにも行かないので、ボンプが教えてくれた通りに進む。方向的には、中心部。全く運命はあんまりにあんまりである。

 膝が痛み、一瞬足がもつれると後ろから背中全体を蹴飛ばすような衝撃が襲う。盾を構えての突進なのだろう。中空を飛び、何メートルかした場所に落ちる。着地に備えることもできず、頭が揺れた。

 

「げほ、おえ」

 

 意識が揺れて吐き気もせり上がる。胃の中身を盛大にこぼし、揺れる視界で周辺を見る。

 もうずいぶんと走ったのか、中央エリア。エリー都の技術を支えていた研究所の立ち並ぶ場所まで来ていた。ここも巨大な何かが暴れたのか、建物の多くは中身が剥き出しになり倒壊している。

 

 背後から地面をゆっくりと踏み締める音がする。

 クソが、と悪態を吐きながら、転びながら、それでも建物へ向かった。

 吹き飛ばされて全身が痛み、思うように歩けない。走りたくても、身体はいうことを聞かなかった。

 なんの研究をしていたのか、忙しなく用意されたであろうスーツケースや書類が机に散乱している。そして、それを用意していたであろう研究員の遺体も。

 

 背後から、ガラスを踏みしめたのかパキリと音がする。反射的にスーツケースを胸に抱えて振り向いた。そして、衝撃。

 先ほど飛ばされたよりは弱い衝撃だったが、飛ばされて壁を破り地機に転がる。スーツケースは綺麗に二つに割れていた。

 

「な、人がまだ…!」

 

 デュラハンの方向とは違う、音源の方へ顔を向ける。そこには、多くの機材を雑多に抱えた二人の男女がいた。

 

「お、お兄ちゃんあれ!!」

 

 デュラハンは壁をバラバラに切り裂き、現れる。瓦礫が倒れている僕の足を押さえつけるように落ちた。痛みから声が出た。

 デュラハンは標的を変えたかのように、その男女へ近づいていく。

 

「ダメだよお兄ちゃん! 逃げるよ!」

 

「…だめだ。リン。一人で行けるかい?」

 

「お兄ちゃんダメっ!!」

 

 離れていくデュラハンに叫んだ。

 

「待てやデュラハン! それは違うだろうがッ」

 

 精一杯に、デュラハンの足を掴む。簡単に振り解かれ、地面ごと巻き込むように蹴り上げられた。着地をどうこうできるはずもなく、頭から地面に落ちる。

 

 揺れる視界の中、倒れた先、視界の端に小さな赤いものが見える。一緒に蹴り上げられたのだろう。先ほど盾にして二つに割れたケースが開き、中身をあらわにしていた。

 細長の、白色と音動機に見えるそれ。中央に黄色の星型が置かれ、それが貫くように赤と緑、黄の三色が走っている。

 笑みが溢れて、そうして、思い出した。

 

 グラグラと揺れる意識の中に、先ほど庇ったボンプがいた。あの子が言ってくれた、くれたセリフが、ぼんやりと思い出される。

 ——お兄さんも、かっこいいよ。

 

 なんで僕はあんなことをしたのか。らしくない。カッコつけたかったのか。何がしたかったんだ。

 アホかよ。そんな理由、つける必要ないだろうが。僕は、同じものを好きな奴に、生きててほしかっただけだ。

 

 僕は、ヒーローになりたかったんだ。

 馬鹿正直にヒーローに憧れて、同世代が飽きてきている頃だって、僕はあのビデオに張り付いていた。今日だって、その映画を見に行った。

 退屈な日々に辟易しながら何もしない。こんな大災害の時も変わらないっていうのか?

 そんなこと、あっていいはずないだろ。

 

 ボンプを逃す手前、エーテリアスをここまで連れてきたのは僕だ。あの二人が犠牲になる必要などない。連れてきたのは僕なのだから。

 力を振り絞り、仰向けの体を転がし、うつ伏せの状態から四肢を動かし、膝と肘で四つん這いのようになる。

 立てる。立つ。立つぞ。

 生暖かいものが頭から垂れて、視界を汚した。まなこが妙に赤くなる。別の場所からも垂れて、地面を汚した。

 そして、先ほどの音動機が転がっていた。手を伸ばせば届く距離に。

 よく見ればそれは、僕の好きなヒーローの変身機をモチーフにした音動機。研究施設に、スターライトナイトの音動機が落ちている。

 そんな偶然、あるわけない。

 でも、あった。

 

 神さまも、たまには粋なことをする。——いや、こんな状況だ。してもらわなきゃ困る。

 

 

 

 音動機を握り、勢いのまま立ち上がり二人の元へ走る。

 

「こっちを見ろおらぉ!」

 

 二人を追うエーテリアスに石を投げた。

 

「そこのお前ら! さっさと行けえ!!」

 

 一瞬迷うそぶりを見せながらも、二人は駆けていく。

 そうだ。それでいい。僕も、醜態を見せずに済む。

 アドレナリンも出ているのか痛みも気にならない。

 楽しみを奪われたことを恨んでいるのか。エーテリアスは僕を睨みつけていた。

 

「ざまあみやがれ。人生は一度きりだ」

 

 そんな視線を笑い飛ばし、嘲る。

 右手でヒーローモデルの音動機を掲げて、声高に叫んだ。憧れを得た古い思い出を掘り返すように、再現するように。あの子のくれたかっこいいが、このまま死なないように。

 

「俺はヒーロー! スターライトレッド!」

 

 掲げた音動機が小さく振動する。そんなこと気にせずに続けた。

 

「正義のもとに、悪を裁きにここに参上!!」

 

 さらに激しく動いていたが、それを横に思い切り振る。

 

「スターライトナイトッ!」

 

 振り切った腕を、決めポーズのように左腕の前腕付近に。あの日画面に齧り付いてみたあの瞬間みたいに。

 

「変ッ身!!」

 

 

 

 

 

 気持ちだけの変身のつもりだった。最後の最期、自分の望みに嘘をつきたくなかった。形だけでも、あのボンプと、二人を救ったヒーローになりたかった。

 

 左腕の音動機が忙しなく動き、次の瞬間、眩い光が弾けた。

光が肌を這い、何かに包まれていく感覚——覆われた箇所から、じわじわと痛みが引いていった。気づけば、全身がその光に包まれていた。

 ようやく光に目が慣れて、自分の手を見る。

 まるでスーツのような、黒い手に赤の差し色の入った腕。

 倒壊した建物の窓を鏡にしてみれば。

 窓ガラスに映るその姿は、俺が幼い頃から憧れ続けた——ヒーローだった。

 黒を基調としつつ、胸にある星型のマークが特徴的で、まるで流星痕のようにたなびくマフラーをかけるヒーロー。

 俺の好きなヒーロー。スターライトナイトが、そこにいた。

 

「くふ、あは、あっはっはっは!!」

 

 ヒーローには似合わないような三段笑いを決めて、エーテリアスにビシッと腕を向け、指を刺す。

 そのまま再現するように告げる。

 

「正義執行。スターライトソード!」

 

 エーテルが実態を型取り、片刃の剣を作り上げる。それを振り抜き、エーテリアスに向かい駆けていく。怪我だらけの身体は自分のものじゃないみたいに軽快に動いた。

 もとより死ぬ前の自己満の最中。今だってその延長線上。当たって砕けようと、今は本望!!

 

 盾が振りかぶられるが、腕でその勢いのまま流し前へ!

 振りかぶられる針の様に鋭い剣を上体を逸らし交わして、前へ!!

 響き渡る咆哮をも無視して、もっと前へ!!!

 

 剣の届く距離についた瞬間に、両の足をしっかりと地面につける。デュラハンは危機を察したのか、逃げようと足へ力を入れたが、遅い。

 

 身体を捻り、剣を振りかぶる。何か、力が溜まっていくような気がした。

 やぶれかぶれに、デュラハンが剣を振るう。

 剣が振り抜かれ、虹の光が走る。

 瞬間、デュラハンの剣が弾かれ、胸部に俺の一撃が突き刺さった。

 

「流星光底!!!」

 

 轟音とともに、あたりが白く爆ぜた。

 

 余波により周辺の崩壊した建物もさらに崩れ、煙を辺りに巻き上げた。煙が晴れる中。

 剣を突き上げた少年が、一人。立っていたのだった。

 

 

 





 書きたくなって書いた。というかこの手の小説は五千兆個落ちていると思っていたのに無かったから自給自足。



 主人公≠スターライトナイト です。だってスターライトナイトは映画の人たちだからね。
 旧都陥落時、中央の研究所らへんは発生源の中心だったらしく、多くの技術がそこで失伝したり失ったりしてるらしい。ので、そこでスターライトナイトになる音動機を使ってても面白いんじゃ? と思い書いた。
 あと主人公さん凡人にしては耐久がパナいですね。エーテル耐性もなかなかありそう。書いてて思いました。

 主人公さんは、黒髪赤目の少年です。
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