第一章-1 「こんにちは、ハートネットさん」& 第一章-2 「見知らぬ人」
本作は二次創作作品であり、キャラクター設定の一部は以下の作品を参考にしています:
『漫画:矢吹健太朗「BLACK CAT」』、
『ゲーム:Quantic Dream「Detroit: Become Human」』など。
主要な事件の構成は『ネットドラマ「CODE:浮士德遊戲」』に着想を得ています。
第一章-1 「こんにちは、ハートネットさん。」(コナー視点)(AI)
雨粒が軒先から滴り落ち、灰色のコンクリートに砕けて散った。
コナーは、古びたアパートの前に立っていた。六階建て、エレベーターなし。壁面は剥がれ落ち、時に齧られたような都市の残骸。ベランダに干された洗濯物が風に揺れ、壁の隅には蔦と雑草が生い茂っている。
ここが警察官の住まいだとは、とても思えなかった。
彼は表札の番号を確認し、指示通りにドアを三度ノックした。
返事はなかった。
五秒待って、もう一度ノックしようとしたそのとき、部屋の中からうめき声が聞こえた。誰かが無理やりベッドから起き上がろうとしているような音だった。
彼は監視許可を起動し、そっとドアノブを回す。鍵はかかっていなかった。
ドアを開けて中に入ると、部屋の中は薄暗く、カーテンの隙間からわずかな自然光が差し込むだけだった。空気中に埃が舞い上がり、まるで答えの出ない問いのように漂っていた。
玄関には二足の靴が散らばっていた。一足は使い古された軍用ブーツ、もう一足はスリッパで、左足の紐がほどけている。床には解熱剤の空きパックと、飲みかけのスポーツドリンクが転がっていた。
周囲を一瞥し、コナーの内部モジュールが瞬時に健康診断を下した。
――「居住者は48時間以上の高熱が続いており、脱水症状と生活機能の低下が見られます。介入を推奨。」
廊下を抜け、寝室の前で彼はその人物を見つけた――トーレ・ハートネット。
彼はベッドに倒れており、髪は乱れ、額には汗がにじんでいる。腕にはまだ医療用のセンサーが貼られており、先週強制入院された痕跡が残っていた。
写真よりもずっと蒼白で、まるで嵐を抜けたあとの幽霊のようだった。部屋には汗と薬の臭いが漂い、どこかにタバコ……いや、線香の香りが微かに混じっている。未だに燃え尽きていない灰皿が、部屋の隅に見えた。
生命反応が安定しているのを確認した後、コナーは静かに言った。
「こんにちは、ハートネットさん。第十三分局から来たアンドロイド、コナーです。」
一拍置いて、相手がまだ目を覚ましていないと判断すると、続けた。
「私はあなたの……生活全般を支援するよう命じられました。」
第一章-2 「見知らぬ人」(トーレ視点)
「こんにちは、ハートネットさん。第十三分局から来たアンドロイド、コナーです。」
目の前の男は一拍置き、さらに続けた。
「私はあなたの……生活全般を支援するよう命じられました。」
……誰だ?
視界はほとんどぼやけており、耳元では鋭い笛のような音が鳴り続けていた。
声なんて、ほとんど聞こえない。
熱い。世界が燃えているかのようだ。頭痛が絶え間なく襲い、なぜこうなったのかもわからない。
人間はなんと脆い存在なのだろう。生、老い、病、死。
もし機械のように病気にならなければ――Bossに一週間の静養を命じられることもなかったのに。
この男……誰だ?Bossではない。泥棒か?
壊して入ってきたのか?まあ、築三十年以上のこのアパートじゃあ、古いラッチ錠なんて簡単に壊される。
早く取り替えておけばよかった……
畳の上に敷いた布団に仰向けで寝ていた。
すでに布団は汗でぐっしょり濡れている。
鼻は完全に詰まっていて、呼吸もままならない。
……警察官である自分が、侵入者ひとりにどうすることもできないなんて、情けない話だ。
……いや、もうどうでもいい。苦しい。
耳の奥で鳴るその高音は、耳膜を引き裂くように鳴り止まず、鋭く尖ったままだ。
そのとき、誰かが自分の左腕を引っ張る感覚があった。
視界はまだぼやけていたが、侵入者がさっきよりも近づいているのがわかった。
奴の手には何か細長い物体が握られていた。ぼやけていてよく見えない。
そして、その長いものが自分の腕に触れた瞬間――
痛みで理解した。あれは注射器だ。
「クソッ!」
怒鳴り声を上げる。
どんな痛みでも我慢できるが、注射だけは本当に大嫌いだった。
針が引き抜かれると同時に、力を振り絞って左腕を引き戻し、布団から身体を起こして距離を取った。
「何しやがる!」
怒鳴りながら、相手の意図もわからず、これからどうなるかの見通しもない。
……そのとき、スマホが鳴った。
音のする方を見ると、侵入者の足元にスマホが落ちていた。
朦朧とした意識の中で、侵入者の姿を注視する。
着信音は部屋中に響いている。
窓は自分の背後にある。一度転がれば、すぐに逃げ出せる。
心臓の鼓動が速くなる。発作が始まった。もう、時間がない。
直感に従い、トーレは窓へと駆け出した――
この作品を気に入ってくださる方に巡り会えたら嬉しいです。