Black cat 黒猫 Re:   作:三毛子猫

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本作は、自分への挑戦として始めたリレー形式の小説です。
前半はAIによって生成され、後半は私自身が続きを執筆しています。


第七章(だいななしょう)
第七章-1《権限移譲》&第七章-2《信頼》


本作は二次創作作品であり、キャラクター設定の一部は以下の作品を参考にしています:

 

『漫画:矢吹健太朗「BLACK CAT」』、

 

『ゲーム:Quantic Dream「Detroit: Become Human」』など。

 

主要な事件の構成は『ネットドラマ「CODE:浮士德遊戲」』に着想を得ています。

 

第七章-1《権限移譲》(AI)

 

XIII分署・第一会議室には、蛍光灯の微かな唸りが漂っていた。電子プロジェクターが起動し、冷たい光が一閃する。

トレイは主席の右側に座り、両手を組んで机の上に置いていた。隣には彼のパートナーであるRK-900型アンドロイド、コナーが立っていた。

 

会議用の資料はすでに用意されており、表紙には赤い帯でこう記されていた。

「特別案件追跡報告:W.A.A.P.(Wish-App)システムに関する調査」

中には三民高校から始まった調査経緯、掲示板、薬物運搬、いくつかの願いの成就事例など、関連する手がかりがまとめられている。

 

この資料を提出することは、事件が転機を迎えることを意味していた。

 

ドアが静かに開き、Bossが会議室に入ってきた。沈着な足取りの後ろには、第二班のジェノス・ハザードとリン・シャオリーの姿があった。

 

「ハートネット、着席して。」

Bossの口調は落ち着いていたが、視線は鋭く研がれていた。

 

トレイは頷いて腰を下ろし、コナーはその後ろに立ち、プロジェクターの操作を続けていた。

壁に投影されたスライドには、呪い掲示板のスクリーンショット、時系列図、そして想定されるシステムの仕組み図が次々と映し出されていく。

 

「これが、現時点で整理できたシステム解析と観察結果です。」

トレイが口を開く。冷静ながらも揺るがぬ口調だった。

 

すかさず、コナーが補足する。

 

「推定によれば、W.A.A.P.システムはランダムに願いを叶えるのではなく、行動予測と現実操作を通じて目標を実現しています。

その手段には第三者の介入、アンドロイドによる反応トリガー、あるいは薬物流通を媒介とした可能性があります。」

 

Bossは僅かに頷き、資料を数ページめくると、三民高校の掲示板のスクリーンショットに視線を落とした。

 

「……これは、ただの都市伝説じゃない。」

 

彼女は資料を閉じ、横に立つジェノスとリンに向き直る。

 

「この案件の主な調査権限は、今後、第二班に移譲する。」

 

トレイの表情は変わらなかったが、指先が机を軽く叩いた。

こうなることは予感していた――だが、どこか言い表せない悔しさがあった。

 

ジェノスはにやりと笑って挨拶する。

 

「安心しな、俺たちがちゃんと追ってやるよ。もちろん……もしダサくならない程度にこっそり追うなら、それもアリだけどな。」

 

「……俺は未解決なものが嫌いなだけだ。」

トレイは冷たく言い放つ。

 

リン・シャオリーも口を開く。丁寧ながら感情のない口調で。

 

「ご尽力、感謝します。本報告書を参考に、見落としがないか再調査します。」

 

まるでマシンがプロトコルを確認しているような無機質さだった。

 

Bossは資料を手元に戻し、トレイに目を向ける。

 

「もう一件。モジュラライフの元開発者カムスキーから連絡があった。

AJ-000の異常行動について、観察要請が来ている。ハートネット、彼女を北市まで連れて行って。」

 

トレイは眉をひそめる。

 

「……カムスキー?」

 

「彼曰く、彼女の問題はただのプログラムエラーでは済まないかもしれない、とのこと。」

 

するとコナーが一歩前に出て尋ねた。

 

「私も同行すべきでしょうか?」

 

Bossは短く首を振る。

 

「必要ない。トレイとAJ-000のやりとりこそが、今回の観察対象だ。

あなたは署内で過去データの精査を続けて。」

 

トレイは立ち上がり、小さく答えた。

 

「……了解しました。」

 

会議終了後、廊下はやや重苦しい空気が流れていた。

 

ジェノスがジャケットを直しながら軽く冗談を言う。

 

「正直さ、お前が命令破るかと期待してたんだけどな。

らしくないぜ、トレイ。」

 

トレイは振り返らず、一言だけ残して歩き去る。

 

「命令なんかなくても、追うと決めたものは追う。」

 

 

第七章-2《信頼》

 

トレイは無言でハンドルを握っていた。助手席に座るゼロは、彼の顔に浮かぶ沈鬱な表情を感じ取り、声をかけることはなかった。

彼の今の気分が良くないことは明らかだった。

 

──今日は、最悪の日だ。

 

心のどこかで、Bossが捜査権を他のチームに移すことは予感していた。

だが、それが現実となったとき、胸に広がる不快感は予想以上だった。

 

それに、ゼロのことをBossが外部に漏らしたことも想定外だった。

あれほどまでに「人間らしく」見えるよう、あえてアンドロイドの標識まで外させたというのに。

今さらまたモジュラライフ社と関わるなんて、一体何を狙っているのか──トレイには、Bossの考えている「盤面」がわからなかった。

 

アクセルを踏み込み、トレイは沈黙のまま、荒々しく車を走らせた。

 

モジュラライフ社の元開発者カムスキーは、2010年に『タイム』誌の「今年の人物」に選出され、2014年には十大富豪の一人としてランクイン。

2015年に同社を退職し、現在は北市・新城区に隠棲している。

 

その邸宅の外観はというと──過剰なまでに整えられたプールと、まるで造花のような植栽が取り囲み、サンプル品のように贅沢さを誇示していた。

 

適当な場所に車を停め、改めて邸宅を見つめたトレイの印象はさらに悪化する。

全面ガラス張りの外壁、メタル素材の不規則な曲線──中に入る前から「金持ちの見せびらかし空間」だと嫌でも伝わってくる。

 

できることなら、こんな場所には一歩も入りたくなかった。

だが、選択肢はなかった。

 

玄関に向かい、ノックしようとしたその瞬間──

 

「ご主人様はお待ちかねです。どうぞ中へ。」

 

ドアを開けて出迎えたのは、金髪の長髪を持つ女性型アンドロイドだった。

 

トレイが先頭に立ち、ゼロが後に続く。

 

カムスキーの個人トロフィーが並ぶ廊下を通り過ぎた先、彼らが案内されたのは、前衛的な設計のリビングだった。

部屋の中央には巨大な室内プールが鎮座し、ガラス窓沿いにソファが設置されている。

そしてその水中には、一人の男が悠々と泳いでいた。

 

トレイは全神経を警戒モードに切り替える。

なぜなら、この部屋には男のほかに、全く同じ容姿の金髪女性型アンドロイドが五体もいたからだ。

 

ここはまるで「高級アンドロイドの展示室」──

彼女たちは人間の形をしているだけの、冷たいテンプレートのように見え、トレイの肌には嫌な鳥肌が立った。

 

「やあ、君が“黒猫”だね?あの美しく魅力的な分署長さんは、今日は来てないのかい?残念だな。」

 

その口調に、トレイの神経がさらに逆撫でされる。

“黒猫”というあだ名は、本来は卒業試験の試験官がつけた仮名だったが、いつの間にか上層部、果てはメディアにまで流れてしまった忌々しい異名だ。

 

男がプールから上がると、すぐにアンドロイドがバスローブを差し出した。

 

そして──その視線が、トレイの後ろに立つゼロに向けられる。

 

彼が一歩踏み出そうとした瞬間、トレイが素早く前に出て、二人の間に立ちはだかった。

 

「単刀直入に聞く。カムスキーさん。君はゼロに何の用だ。」

 

カムスキーはすぐには答えず、鼻で笑った後、口を開いた。

 

「まあ、座って話そう。何か飲む?ワインでも?」

 

トレイはすぐに動かず、数歩距離を置いてから渋々席についた。

 

「いらない。」

 

腕を組み、不機嫌さを隠そうともせずに答える。

ゼロは慎重にその隣に腰を下ろす。

 

「いやはや、残念だな。AJ-000はね、私が開発したモデルの中で一番スタイルが良かったんだ。誰だい、彼女の顔をこんなふうにしたのは。」

 

「……要点を言え。」

 

トレイが苛立ちを隠さずに言う。

 

「私はね、AJ-000の“異常行動”に非常に興味があるんだ。

プログラムの枠を越えて感情を持つ存在──それが果たして単なるコードか、それとも“自我”なのか。

ねえ、面白いと思わないか?」

 

「興味ねえよ。論文でも書いてろ。」

 

──まどろっこしい。

 

トレイはイラつきを募らせた。

 

「焦るなよ、黒猫くん。じゃあストレートに言おう。

君たちが異常なアンドロイドとどう関わっているのか、私は非常に興味がある。

そのデータを私に提供してくれるなら、AJ-000の容姿を元に戻してあげよう。」

 

「断ったら?」

 

カムスキーはワインを一口飲み、平然と言い放つ。

 

「断るなら、その場でAJ-000をリセットして、白紙の状態に戻すだけさ。どうする?黒猫。君に選択肢があると思う?」

 

──これは交渉ではない。脅しだ。

 

リセットされるということは、今のゼロと、彼女の中にある“ユウタロウ”の記憶も全て消されるということだ。

 

「……選択肢なんて、ないじゃないか。」

 

「違うさ。君には“私を信じる”という選択肢がある。」

 

──信頼?そんなもの、どこにある。

 

これは選択ではない。

最初から仕組まれていたこと。

この邸宅に足を踏み入れた時点で、トレイは既に罠にかかっていたのだ。

 

「……提案を受けよう。それで?」

 

「ならば、こちらへ。機器は地下にある。」

 

カムスキーが立ち上がり、先導する。

 

前衛的なリビングとは対照的に、地下へ続く階段はまるで古びた石造りのダンジョンのようだった。

 

「先に言っておくが、裏切れば後悔することになるぞ。」

 

「はいはい、お巡りさん。」

 

カムスキーは軽く受け流し、手術室のような大きな扉の前まで案内した。

 

「ゼロ。」

 

「はい。」

 

ゼロはすぐにトレイの意図を察し、彼の横を通り過ぎる。

そのとき──

 

「何か異変があったら、呼べ。俺はすぐそこにいる。」

 

ゼロは足を止めず、そのまま手術室へと入っていった。

 

すると──別のクリアな足音が、手術室から聞こえてきた。

 

トレイが視線を向けた先、出てきたのは──金髪の長髪をたなびかせる女性だった。

 

その姿に、トレイは思わず言葉を漏らした。

 

「……あんたと、あの子は……どういう関係だ?」

 

瞬間、彼女の目が見開かれた。

その名を聞いたかのように、トレイに駆け寄り、服の襟を掴んで叫んだ。

 

「イヴ……イヴのことなのね!?彼女は今どこにいるの!?教えて!」

 

声は震え、目には涙が浮かんでいた――。

 

 




カムスキーというキャラクターは、ゲーム『Detroit: Become Human』(Quantic Dream制作)に登場する人物に由来しています。
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