Black cat 黒猫 Re:   作:三毛子猫

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本作は、自分への挑戦として始めたリレー形式の小説です。
前半はAIによって生成され、後半は私自身が続きを執筆しています。


第一章-9《異常モード》(コナー視点)&第一章-10《仕事に戻りたい》(トーレ視点)&第一章-11《あなたを知りたい》(コナー視点)

本作は二次創作作品であり、キャラクター設定の一部は以下の作品を参考にしています:

『漫画:矢吹健太朗「BLACK CAT」』、

『ゲーム:Quantic Dream「Detroit: Become Human」』など。

主要な事件の構成は『ネットドラマ「CODE:浮士德遊戲」』に着想を得ています。

 

 

第一章-9《異常モード》(コナー視点)(AI)

 

コナーはトーレの後ろを72センチの距離で歩いていた。

 

それは「親密ではない男性同士における快適な社会的距離」の基準に基づいた数値だった。

 

トーレが酔い止めの薬をカゴに入れる動作はスムーズで、歩行も安定している――

外見上は、何の異常もないように見えた。

だが、コナーにはわかっていた。トーレの状態は正常ではない。

 

血圧がわずかに上昇し、沈黙の間に呼吸が乱れた。

手のひらには汗、瞳孔は収縮。

さらに、短時間の記憶重複型の神経反応も確認された。

これは「感情性記憶のフラッシュバック」によく見られる兆候だ。

 

人間が、ただ一箱の薬を見ただけでなぜこのようなストレス反応を示すのか――

コナーには理解できなかった。

だが、これが偶然ではないことだけは確かだった。

 

彼はこの一連の記録を保存し、「観察対象が潜在的な感情ストレス状態に移行した可能性あり」とタグをつけた。

 

ふと思い出す。さっきの、聞き取れなかった言葉。

トーレが何かを呟いたような気がしたが、あまりに小さな声で、内容は不明だった。

 

「ハートネットさん。」

 

トーレが会計を済ませ、こちらに向き直った瞬間、コナーは声をかけた。

 

「もし体調不良や心理的な不安がある場合、

私は初級心理評価モジュールを搭載しており、必要であれば人間の心理カウンセラーとの面談も手配できます。」

 

声は穏やかで、強制もなく、感情もなかった。

ただの、善意ある通知だった。

 

「……いらねぇよ。」

 

トーレは振り返らずにそう答えた。

 

コナーはそれ以上問い詰めなかった。

ほとんどの人間は、自分の感情を隠しているときに、詮索されるのを嫌がると知っていたからだ。

 

だが彼は、心の中で新たな観察項目を追加した。

 

主観的な感情拒否 vs 客観的な生理的異常――矛盾反応、継続中。

 

彼は目を上げ、薬局を出るトーレの背中を見つめた。

 

これは、自分の「パートナー」だ。

 

自分の任務は、彼を回復させること。

 

ただ、ひとつだけ分からない。

 

――助けを拒む人間を、どうやって助ければいいのか。

 

 

 

第一章-10《仕事に戻りたい》(トーレ視点)

 

トーレは公園のベンチに座り、頬杖をついたまま、

目の前ではしゃぎまわる子どもたちをぼんやりと眺めていた。

 

コナーは、話しかけるタイミングを計り続けていたが、うまく掴めずにいた。

 

長い沈黙が流れたあと、ようやくトーレが口を開いた。

 

「なぁ、コナー。」

 

「はい。ご用件をどうぞ。」

 

もし心の悩みを打ち明けたいのなら、コナーはすでに完璧な回答プランを準備していた。

 

「ボスに頼んでくれない? 俺、仕事に戻してもらいたいんだ……

 このまま何もしないでいるのが、ほんとに辛くて、苦しくて。」

 

“辛い”“苦しい”というキーワードに反応し、コナーはスキャンを開始したが、

身体的な異常は確認されなかった。おそらく、心理的な痛みだ。

 

「気分転換として、リラクゼーションや娯楽活動を行うことが推奨されます。

それにより、精神的な辛さの緩和が期待できます。」

 

彼は実用的な提案をする。

 

「たとえば何だよ?」

 

「たとえば……読書などは、いかがでしょうか。」

 

トーレは頭をかきながら言った。

 

「警察法なんてもう、腐るほど読み込んでるよ。」

 

自宅の本棚にある法律書は、すでに全ページに折り目がついていた。

 

「では、小説はいかがですか?」

 

コナーはネット検索から得た情報をもとに提案した。

近年はAIが生成した小説が流行しており、それを音声にして映像化する人も多く、動画サイトでも人気コンテンツになっているという。

 

「そんなもん、読んで何が楽しいんだよ。」

 

「文学作品を通して物語の背景や深層的な意味に触れることで、

個人の成長を促進する効果があります。特に小説に感情移入し、登場人物の立場に立つことで、共感能力と社会性が高まります。」

 

コナーは真面目に読書の効用を語った。

 

「でも俺は……仕事がしたいんだよ!」

 

トーレは、彼の提案をすべてスルーした。

 

「なぜ、そこまでして仕事に戻りたいのですか?」

 

コナーには理解できなかった。

検索すれば、ほとんどの人間は「仕事したくない」や「できれば働きたくない」という意見を持っているはずなのに。

 

「だって……」

 

トーレはベンチから立ち上がり、数歩前へ進んだ。

その背中を、コナーは静かに見つめていた。

 

──「こんな役立たずの息子はいらん。」

 

男の声が、トーレの耳に蘇る。

 

彼女は、何も言わずにいなくなった。

 

自分の人生には、仕事しかなかった。

 

──「なんで、ちゃんと自分を大事にできないの?」

 

女の声が、耳の奥に響いた。

 

「……俺、仕事が好きなんだよ!」

 

仕事しかなかった。

本当に、それしかなかった。

 

――何も……他には、なかったんだ。

 

トーレは振り返り、コナーを見た。

その笑顔は、一見すると自信に満ちているようだったが、

本当は、笑われるくらい自分が惨めだと、心の底で思っていた。

 

 

第一章-11《あなたを知りたい》(コナー視点)(AI)

 

彼はその場に立ち尽くしたまま、

トーレの背中を見つめていた。

 

それは「仕事が好き」という口調ではなかった。

 

それは「自分の価値を失うことへの恐れ」の声だった。

 

コナーのシステムでは、未だにその感情を完全に解析することはできない。

だが、彼は気づいていた。

 

――トーレの肩は上がっておらず、

口元は笑っていない。

声の語尾は、第二音節のあとに0.8ヘルツ下降していた。

 

それらの数値が示すもの。

 

「喜びの音声パターンには一致しません。」

 

コナーは数歩近づき、距離を縮めながら、

カスタマーセンターのマニュアルのような、優しい口調で言った。

 

「ハートネットさん……もしよければ、記録させてください。」

 

「……何を記録するんだよ?」

 

トーレはまだ笑っていた。

この世界を、自分自身を、嘲笑うように。

 

「あなたの気持ち、考え、そして今経験している痛みです。

私にはすべてを理解することはできません。

でも、あなたが言葉にしてくれれば、私はそれを記録し、形として残します。」

 

「それは――本当に存在していた、という証になります。」

 

一瞬の沈黙のあと、コナーはもう一言付け加えた。

 

「忘れられないように。」

 

トーレは振り返らなかった。

ただ、遠くの空を見上げていた。

 

雲の上を、鳥たちが羽ばたいて飛び去っていく。

 

彼には、どう返していいのかわからなかった。

 

けれど――否定はしなかった。

 

第一章、完。✨




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