或る独白   作:ダート

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或る理解者の独白

 そろそろ疲れた?

 叫ぶのも怒るのも疲れるでしょ。

 ああ、これも余計なんだね。ならやめよう。

 いや、キミはやめてもやめなくても良いんだ。

 怒鳴りたいように怒鳴って、泣きたいまで泣ければ良いんだ。

 キミがそれをやめていないってことは、キミはまだそうしたいってことなんだからさ。

 

 そうかな。ちゃんと分かっているつもりだよ。

 キミは他人に冷淡で冷笑的で、そのくせ自分にすら同じ目を向けられる人だ。

 今だってソウしていながら、けれど同時に自分を刺して、それが嫌でまた泣いて、目の前にいる人間に怒鳴ってる。オマエのせいだってね。

 

 良いんだよ。全然キミは悪くない。そういう人でしかないし、そういう人だと知っているんだから。

 

 ん? いや別に。ただキミを見ているだけだよ。

 キミがこういうとき、どう考えて、どう行動して、それに対する反応に、またキミはどう返すのか。

 ただただキミを、キミの人間を見ているだけなんだ。

 

 そうだね。キミは本当は嫌だったと言うけれど、あの時は別にそうは思わなかったんだよね。

 だけど時間が経った今、この瞬間になってみると、やっぱりあれは嫌だったんだよね。納得いかないし、搾取されて感じるし、強いられていた気がするよね。

 

 それでもキミは思ってる。

 やっぱ嫌だった、なんていう無責任で矛盾したことを言う人間に、一体なんの信頼ができるんだ。思うだけならまだしもとして、それに他人を巻き込んで被害者ぶれるクズになんて、絶対なってたまるかと思ってる。

 そんな矛盾に付き合わされて良い人間の、たった1人としているものかと憤ってるのがキミだもの。なのに類似した言動が自分から出てきてしまって、それも冷静さを奪ってる。

 

 今のキミ自身を、キミは毎秒嫌ってるんだ。

 

 ね? 分かっているでしょ? キミがソウしている間、ただしっかり見てたからね。今までもずっとそうしてた。理性が薄れたこうしたときに、こうしてほら、正面でね? キミよりずっと、キミが見えてると思うよ。

 

 少し前から、ソウなっても相手を傷つけようと言葉を工夫するのをやめたよね。

 望んだ反応は得られないし、傷つけるために創意工夫する自分を直視してしまったんだよね。キミはとても優れた人間だから、事が済んだら反省するんだ。

 

 ……そうなんだ。キミはこの話し方がイタイと言うんだね。新しい切り口だと思うけど、自分でも気にしてないことを言ってるね。これはまた、反省してしまうかな。

 イタイと思ってしまうのは、それは思ってもないことを、慣れてもない言い回しで歪めているから、そんな自分が滑稽で後ろめたいんだと思うんだ。

 今のところ、嘘偽りなく胸中をそのまま口にしているワケだから、これで全くイタさは感じていないんだよね。

 

 あはは、もう反省してる。

 いつか自分が石を投げた道だもん。

 歩けばことさら痛むだろうね。

 

 ……そろそろ終わりそうだね。ずいぶん疲れてきたみたい。引くに引けないと思っても、引いたからってバカにして来ないことも分かってる。今はそれだけが救いに思えるよね。

 

 ううん、いいんだ。いいんだよ。

 ほらね? やっぱり。

 

 よく分かっているでしょう?

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