或る独白   作:ダート

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或る親友の独白

 

 本当に安らかだな。

 さぞかし苦しかったんだんだな、オマエにとって、生きるってことがさ。

 

 オマエがこれを選んだとき、オレも反対したよな。

 オマエの家族も、友人も、知り合いも……反対したよな。

 

 けどオマエは決めてた。懇願したよな。

 その後、オマエはオレだけ呼んだんだ。オレになら、頼めるなんて言いやがって。

 

 だから決めちまったんだ。オレが、オマエの人生の締めくくりを、オマエが1番望むものにさせる……て。

 オマエの最期を、オレだけは何としても守ってやろうってな。

 

 オレにはてんで理解できない考えだが、それでもオマエには大切なんだろ?

 だったらオレは親友だ。やることは決まってる。それに、オレまでオマエの想いを守ってやれなきゃ、誰がオマエの側にいられるんだよ……イヤだろ、独りの最期なんて。

 

 きっと逆でもオマエはそうしたろ?

 だから……オレは守ったぞ。そんなに安らかな顔できるんだ。これで救われたんだよな?

 

 …………もう、聞こえないから言うけど……よ。

 

 オマエの辛さは、分かった。オレにもどうにもしてやれない。いたずらに苦しむだけになる可能性があるって……分かっちゃいたんだ。

 治るかもしれないって、オマエの家族は縋るけどよ……それに縋るには、もうオマエはボロボロに疲れ切っちまってたんだ。

 ……そうだろ? そんくらいは、分かったんだ。

 

 ただ……オマエのその決断をなんとか折ろうって、そうしたヤツらの気持ちも分かるんだ、オレは。

 オレは心の中じゃあ、結局最後までどっちが正しいかなんて分からなかった。

 

 オマエの本当の味方は、通さないオレに泣き縋るこいつらの方なんじゃないかって……本気で悩んだ。

 

 妨げるオレを殺してでもオマエを救おうってしたオヤジさん……本気で怖かったぜ?

 あの歳のジジイにさ、こんなガタイしたオレが本気で気圧されたんだ。あの想いは本気だったね。そのひとかけらでもいいから、オレのクソオヤジに分けて欲しいくらいだった。

 オマエ、本気で愛されてたんだ。

 

 オマエのお袋さんにもまいったよ。さめざめ泣かれてさ、胸に縋り付くんだ。

 あれは……キツかった。ぶん殴ってくれた方がぜんぜんマシだった。

 オレがクソオヤジと、殺してやるってくらいの大喧嘩したことあったろ。似てたんだよ。あんときのお袋とさ。泣き方が。

 結局恩を返すこともできずに、ぽっくり逝かれた身としちゃな…………ああ……キツかったんだ。

 

 一番ヤバかったのはオマエの妹だったな。久々に会ったけどありゃ何があったんだ?

 社会的に殺しに来るなんて随分たくましくなっちまったじゃねえか。あんときが一番手を焼いたぜ、ったく。

 ……まあ……分かるけどな。優しい子だった。変わっちゃなかった。必死によ…………ああ。

 

 けど、そのほかにもたくさんのヤツらがいた。そんで、こうしてオレは守り切った。約束、守ったんだ。

 

 

 

 

 けどな 親友

 

 

 オレも……オレだって、……くそっ

 

 

 オマエに! 生きて……欲しかったよ

 

 

 絶対に治してやるって!

 どんなに可能性が低くても掴み取って、絶対に生にしがみついてやるって……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう、言って欲しかったんだ

 

 言って……欲しかったんだよ

 

 

 

 

 

 

 

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