カヤはかっこかわいい   作:モレ(一般人?)

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連邦生徒会の防衛室長にまで上り詰めた女傑、不知火カヤ。そんな彼女がただの小心者であるはずが無い。 ここだけ、カヤ室長が正義に殉じる女傑だったら概念です。


防衛室長不知火カヤ概念

 

ーーーーー連邦生徒会。

 

キヴォトスの全行政を担う中央組織であるそこは、学園都市キヴォトスの心臓に例えられることも多かった。

 

そこは学園都市における法と秩序の最後の砦であり、すべての権限と情報が一点に集約された、キヴォトスの中枢である。

 

しかしその日、その心臓に、異物が侵入した。 正門を突破したテロリストたちは、まるで何者かの手引きでもあったかのように、瞬く間に周辺の警備を無力化し、施設内に侵入。幸い、行政の担い手である幹部生徒を筆頭に、ほとんどの生徒は避難済みだが、迎撃部隊は壊滅、最深部に残されたのは――防衛室室長、不知火カヤただ一人だった。

 

 

彼女の身に課せられたのは、あらゆる防衛権限の最終執行。武力による排除も、最終手段として明確に認められていた。

 

 

激しい振動と硝煙の香るドアの先、テロリストたちに無遠慮に開け放たれたそこに、不知火カヤは立っていた。

高潔の象徴たる、皺の1つだってありはしない純白の制服に身を包み、制服の襟を正し、冷えた空気のなか、まっすぐ敵を見据えて立っていた。

 

侵入者は五名。いずれも出所の分からない最新の武器と携行装備を備えた、“学園”‬から見放された落伍者たちであった。

 

銃火と爆弾で都市をゆさぶり、学園都市の主権を得ることを目的とした集団だという。

 

彼女らは、武器を構えたまま語った。

 

「我々は正義を奪い返しに来た。法に見放された弱者の、最後の手段だ。暴力で語るしかない者の、唯一の正しさだ。」

 

その言葉に、不知火カヤはゆっくりと首を横に振る。

 

「それは“正義”ではありません。正義とは、正しき権限のもとに行使されてこそ、正義と呼べるのです。」

 

敵が牙をむく。

 

「そんな権限、どこにある? 誰が与えた!? 貴様らの正義なんて、机上の空論だ!」

 

 

「違います。」

 

不知火カヤは、やさしく、それでいて確固たる信念を宿した声音で言った。

 

「正義とは、制度の中に宿ります。制度とは、長い歴史の中で積み重ねられた“人の痛み”と“責任”の結晶です。だからこそ、私はこの場にいるのです。この権限を持ち、あなたたちと対峙しているのです。」

 

彼女は、懐から一つの装置を取り出した。 黒く、小型で、金属光沢を放つ起爆装置だ。

敵が一瞬、動きを止める。

 

「ふざけるな……。まさか、貴様……!?」

 

「ええ。この起爆装置は防衛室専用のものです。制御下の範囲内に限り、被害を局所化できるミレニアム製の。」

 

そう言って、彼女は少し歩みを進めた。テロリストたちとの距離が縮まる。

 

「今、この範囲には、私とあなた方しかいません。この爆破で、都市の中枢が破壊されることはありません。」

 

敵の手が震え始める。

 

「お前、本気で……っ。」

 

「ええ。本気です。」

 

その声に、嘘はなかった。

 

「私は、防衛室長です。この都市における防衛の最終意思決定者。それが私に託された権限であり、これはその行使です。そして、これは私がこの場にいる“理由”でもあります。 」

 

彼女は、敵の目を見据えて言った。

 

「逃がしません。あなた方の行為は、明確な殺意と破壊の意志に基づくものです。ここで鎮圧できなければ、また同じような犠牲が繰り返される。だから、私は室長として、あなたがたを止めなければならないのです。」

 

 

彼女はわずかに微笑んだ。

 

 

「……もっとも、学園都市であるここキヴォトスで、学園から追放された落伍者であるあなたたちに、同情しないわけではありません。でも、私は防衛室長として、“正しくないもの”をこのまま見逃すわけにはいかないのです。」

 

敵が一歩後ずさる。だが、それは遅かった。

カヤの指が、装置のスイッチを静かに押し込む。

 

「防衛室長、不知火カヤの最終権限により、これを行使します 。」

 

刹那、光がはじけた。 爆音がすべてを飲み込む。熱と衝撃が奔り、空間がねじれる。だが、その爆風は計算通りに制御され、都市の機能は一切損なわれない。

 

 

 

ただひとつ、彼女の命だけが、その場に残されたすべてを巻き込んで、静かに消えていった。

 

 

のちの記録によれば、爆心の中央には、何の痕跡も残らなかったという。まるでそこに誰もいなかったかのように。

けれど、忘れてはいけない。 そのとき、確かにそこに正義があったことを。

そして、それを最後まで正しく行使した者がいたことを。 不知火カヤ。連邦生徒会が誇る防衛室の室長。キヴォトスが誇る、正義の最終執行人。彼女の名は、彼女の信念とともに、以後の防衛室に刻み込まれる。

 

――「正義とは、正しき権限のもとに行使されるものである。」と。

 

 

 

 

 

―――――ジリリリリリリッ!

 

目覚ましが奏でる騒音とともに、ほのかに珈琲の匂いが漂う部屋で、一人の桃色髪の少女が目を覚ます。その少女は、よほど変な夢でも見たのか、怪訝な表情でボソリと呟いた。

 

「……はあ。なんてありえない夢を見てるんですか私は。せっかく良い珈琲を入手したというのに、これじゃあ飲む気分にもなれませんよ…。」

 

 

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