こちら連邦生徒会特務課です   作:ORC機関

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お久しぶりですね。
誕生日が近づいて健康診断とまた一つ歳を取る事に恐怖しています。
煙草はミリ数増加傾向、セリナに叱られちまうね()


broken trinity

穏やかな昼下がり、私は部室棟へ急いでいた。

私の所属するトリニティ風紀委員会がティーパーティーと連邦生徒会との会合の警備に抜擢されたのだ。

かつては正義実現委員会と肩を並べた組織であったが私が入学する頃には規模が縮小され、まるで夢の跡のような有様だった。

そんな私達に日が差してきたのだ。

部室棟の入り口を抜け階段を駆け足で上がる。

3階の一番端の部屋が私達の部室だ。

私は扉の前で呼吸を整え、身だしなみを確認する。

よし、大丈夫。

「お疲れ様です!」

私が扉を開けて入室すると先輩達は一斉にこちらを向いた。

異様な空気、なんだか悪巧みしてるみたい。

机の上には地図に作戦時に使う耐衝撃機構が内蔵されたPC、小型無線機が並んでいる。

「あー、ちょっと待ってて」

部長が先輩達の間からひょこりと顔を出すとそう告げた。

私は彼女達の話が終わるまで部屋の中を見渡して時間を潰す。

マークのつけられた地図に各支部とデータリンクが完了しているPC、武器弾薬が書かれたメモ。

作戦指示書らしき書類に目を通す、「偉大なるトリニティの忠実な抵抗軍」と発令者には書かれている。

先輩達はきっと会合警備に備えているのだろう。

壁際には燃料で動く少し大きめな発電機と高性能爆薬と書かれたコンテナ。

電力を絶たれた状況を想定しているのだ、流石先輩方だ。

「後輩ちゃん」

先輩達と話が終わったのか部長が私を呼んだ。

振り返って顔を見れば凄く怖い顔をした部長と目が合った。

「大事な話があるの」

真剣な顔の彼女に思わず私は頷いた。

 

「ええ、手筈通りに」

穏やかな日差しが差し込む庭園、花壇の薔薇が咲いていた。

手元には少し冷めた紅茶の入ったカップがある。

「風紀委員会は承認しました」

「彼女達もルビコン川を渡ると」

ティーパーティーの議員である彼女はそう告げるとティーカップに口をつける。

「機材の方は?」

「その件に関しましては私が」

私の問いに向かいの議員が名乗りを挙げた。

「ミレニアムから部品を取り寄せ、ゲヘナにて組み立てを行っています」

「最新のGPS制御なので誤差は数センチだそうです」

「流石ミレニアム製、これなら会場は大丈夫そうね」

説明をしてくれた彼女に礼を述べて私はティーカップに口をつける。

上品な香りが私を癒してくれた。

「ついにルビコン川を渡るのですね」

「長い道のりでした」

議員二人は感慨深そうにそう言うと笑いかけた。

「ここからが本番ですよ、皆さん」

私の言葉に二人は背筋を伸ばした。

「我ら偉大なるトリニティの忠実な抵抗軍の大きな一歩です」

「この素晴らしい作戦が完了した時、トリニティに新たな変革をもたらすでしょう」

私の話を聞いた二人は真剣に頷く。

「それでは皆に電報を送ってください」

 

七星の煙草に火をつけ、深く吸い込む。

ここはシャーレの喫煙所、私のDIYで作り出した場所だ。

朝の日差しが暖かく照らし、手に持ったマグカップは珈琲の香りを漂わせた。

「おつかれ」

背後から声をかけられ振り返れば便利屋先生が片手を上げてこちらに歩いて来ていた。

「おつかれちゃん、どう?収穫あった?」

彼は私の隣に腰を下ろすと紙の束を差し出した。

「例の会社は見立て通りペーパーカンパニーの可能性が高いと思うよ」

「やっぱりな」

マグカップを机に置き書類に目を通す、今回は会社の詳細事業を重点的に洗ってもらった。

年間通して見ても少ない、これは果たして会社と呼べるのか疑問だ。

「それとブラックマーケットであまり見かけない客が武器弾薬を買い漁ってるらしい」

ベンチに寄りかかる彼に煙草のパッケージを差し出すと一本取り出し咥えた。

私は懐からオイルライターを取り出し火をつけると美味しそうに吸い込んだ。

「その書類の中に一覧としてまとめてあるから、見てみて」

ページをめくり取引物品一覧を眺める。

小口径高速弾に小銃弾、40mm擲弾に可塑性爆薬?

「セムテックス?こんなのどっから流出したんだ?」

「ベアトリーチェ圧政時のアリウス自治区が出所らしい」

「あの頃のアリウス自治区ならやるだろうな」

かつてアリウス自治区を治めていたゲマトリアの一人、ベアトリーチェ。

彼女の統治時代の弊害は未だに残っている。

より実戦的な教育を受けた少年兵である彼女達はキヴォトスの中でも屈指の人材であるのは間違いない。

「実戦的な人員…アリウス自治区のあの子らを呼ばんとあかんな」

しかし、私は少し気が引けてしまう。

彼女達とてなりたくてなったわけではないのだ。

「なんとも皮肉な話だけどさ、ベアトリーチェの教育が私達の役に立ってしまっているのがね」

便利屋先生は空を見上げて紫煙を吐き出した。

「良くないんじゃないかなってさ」

彼女達の暗黒時代とも言える辛い経験を利用するのだ。

これでは私達もゲマトリアと大差ないではないか。

「本当なら彼女達にはこういった荒事から遠ざけて学生らしい生活をさせたいんだけどな」

「それはそうなんだけどね…」

俺たちは今まで様々な問題や危機を乗り越えてきた。

今まではキヴォトスの、私達の共通の敵だったんだ。

今はどうだ?キヴォトスの内側に向けられた危機になってる。

「共通の敵が居なくなっちまえば待っているのは内乱とは理解してたが…」

吸い切った煙草を灰皿に押し込んで新しいものに火をつける。

「古い戦い方はできないよ、かと言って冷戦みたいな睨み合いじゃ収まらないだろうね」

吸い込んだ紫煙を溜息混じりに吐き出す私の横で彼は灰を落としながらそう告げる。

そうだ虚妄のサンクトゥム攻略戦(old war)から時間が過ぎてしまって今では自由に動くには足枷が多すぎる。

非常事態の戦時下じゃない、あの時みたいに勝手には動けない。

しかし、エデン条約(cold war)では済まない場所まで来てしまった。

睨み合いの時間は直に終わる。

「今更レッドウィンターみたいな理想で語ったところで役に立たないだろ」

「かと言ってゲヘナみたいな整列した秩序なんて反発を生むよ」

私の言葉に彼はそう答えると深く煙草を吸い込んだ。

「どうしたもんかねぇ」

正解なんてわからない。

わかるヤツが居たら答えてみてくれよ。

訛った言葉でいいからさ。

そんな事を考えながら書類の束を机に放り投げた。

吐いた紫煙を目で追いながらマグカップのコーヒーを啜る。

「とりあえず、情報ありがとう」

「お安い御用だよ、会場準備の方は?」

「特務課(ウチ)の子と茶会、正実…この情報見た後だと準備するものが増えそうだ」

げんなりする私を見て彼は笑うと煙草を灰皿へ捨てた。

「じゃあ、怪我には気をつけてね」

「おうよ、本当にありがとう!アルちゃんや皆によろしく伝えといてくれや」

私に背を向けると手をヒラヒラと振りながら彼は去っていく。

そんな後ろ姿に私は感謝を述べて見送った。

私以外誰も居ない昼下がりの喫煙所、酷く広く感じるその空間に寂しさを感じていた。




Broken English聴きながら構想してたので是非聞いてみて
影響は多大に受けてる
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