こちら連邦生徒会特務課です   作:ORC機関

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青封筒が出たので初投稿です。
いつかやる過去編の為の伏線と日常回です。
シャーレビルの間取りとか内部施設を改めて調べるとテーマパークみたいですよね。
テンション上がるなァ⤴︎


二人ぼっちの朝

D.U.区の外郭にシャーレのオフィスビルがある。

もちろん特務課のオフィスもその中にあった。

IDカードで正面入り口を通りエントランスを進んで行く。

ヤニカス先生はもう来て居るだろうか?

何度も通ったルートを進む。

私、中道チハヤの職場オフィスに辿り着いた。

連邦生徒会特務課、連邦捜査部シャーレから分離した補助組織であった。

キヴォトスの危機に際して支援組織や戦闘組織と移り変わり最終的にはシャーレ戦力として投入された。

しかし、それも少し昔の話で平時の今となってはこの組織の存在意義も薄れていく。

戦時体制の終了と共にシャーレ特務課は解散、元の連邦生徒会へと戻って今に至る。

オフィスのドアを開けるとやはり彼が居て窓の外を眺めていた。

窓ガラスに映る彼は忌々しそうに眉間に皺を寄せている。

「あんだやチハヤちゃん、えらく早いね」

先生は灰色のワイシャツにスラックス姿でマグカップを片手に振り返る。

先ほどまでの表情から一変し、柔らかい表情を浮かべている。

彼の手にはお気に入りの猫のプリントがされたマグカップが握られており、微かに湯気が昇っていた。

「あっと…その…おはようございます…」

彼の言葉に思わず言葉が詰まる。

私は人があまり居ない時間に出勤するのが好きなのだ。

この静かで穏やかな朝を独り占めしてるみたいで。

「人がいないとなんだか…その…」

「独り占めしてるみたい?」

途切れかけた私の言葉から察したのか彼が問いかける。

私は静かに首を縦に振った。

「いいじゃんね、ソレ」

彼は少し楽しそうに笑うと窓の外に視線を向けた。

彼に倣って私も視線を向ける。

まだ朝は始まったばかりで道路には人影は少ない。

彼の横に並んで立つ、この瞬間が少し好きだった。

「窓、開けられないのがなぁ」

彼が少し残念そうに呟いた、このオフィスの窓は開かない物だった。

人工的に調整された温度、空気の循環、照明の明かり、そしてこの窓から差す光でさえ調節されてしまっている。

「なぁ?外の空気吸いに行かね?」

また始まった。

喫煙者特有の朝のルーティン、仕事前の一服だ。

彼は自身をヤニカスと自称する程には煙草を吸っている。

一般生徒からもヤニカス先生と呼称される程度には有名だった。

彼の言葉に私は首を縦に振った。

 

シャーレ格納庫には備品の白い塗装のされたヘリコプターや装甲車が並んでいた。

その脇を通り抜けると彼は階段を上がっていく。

後に続いて扉をくぐるとヘリコプターが出入りする為のハッチがついた屋上へと辿り着いた。

「んー?」

彼は指の先端を咥えて空にかざす、風向きを調べているようだった。

風上を指差して確認すると彼が間に合わせで作ったであろう喫煙所のベンチに腰を下ろした。

「チハヤちゃんはこっちな」

彼は風上の席を指差した。

私は軽く会釈をして席に座ると彼は懐から煙草を取り出して咥えた。

風が強いのか苦戦しているようだ。

やっと彼の煙草に火がつくと立ち昇る紫煙は彼の背後へと流れて行った。

朝日が私たちの休憩スペースに差し込み自動車の走る音が大きくなる。

彼は美味しそうに吸い込むとリラックスしたように吐き出した。

私は対角の反対側からそれを眺めている。

「今日ってなんかあった?」

二口目を吸いながら彼は私に問いかける。

午前に財務室長が来る事以外はこれと言って予定はない。

「午前10時に財務室長がいらっしゃる以外は特に…」

私の言葉に彼は顔を顰める。

先生は財務室長…扇喜アオイ先輩が好きではないのだ。

訳を話せば長くなる。

キヴォトスに未曾有の危機が訪れる直前の事だった。

アオイ先輩も彼女なりに最善を尽くした結果、先生と連邦生徒会長代理…リン先輩を追い詰める事となる。

それ以来、先生はアオイ先輩に対してあまり良い感情を抱いていない。

アオイ先輩とリン先輩の間ではあの時の一件はお互いに済んだ話として関係は良好だ。

しかし、先生とアオイ先輩との関係は依然として良いものではない。

先生としてはリン先輩の頑張りを知っていたからこそあの不信任決議案という仕打ちは許し難いものだったのだろう。

その後のカイザーによる決起で更に状況が悪化して彼を追い込んだ。

「財務室長君か…やんなっちゃうな…」

彼は大きく吸い込むと空に向かって溜息のように吐き出した。

「あの…その…先生は…アオイ先輩の事…嫌いなんですか?」

我ながらとても切り込んだ話だった。

私と先輩の付き合いは長いし、尊敬できる大好きな先輩だ。

だからこそ先生と先輩の仲が悪いのが嫌だった。

彼は困ったような表情で煙草を灰皿に押し付けて穴へ落とす。

「いや、嫌いとか憎んでる訳じゃないんだ」

新しい煙草を箱から咥えると慣れた手つきで火をつける。

一口吸い込むとホッと白い息が口から溢れた。

「ただ、あん時の事がね」

彼はそう言うと空を見上げた。

「リンちゃんの事を考えた結果の不信任決議案だろうし」

「当の本人達の間で解決してるからいいんだろうけどよ」

眉間に皺を寄せて煙草を咥える先生。

火が口元へ少し進んだ。

「あんとき苦労した俺らは置いてけぼりじゃん」

面白くなさそうな表情で口から煙を吐き出した。

確かにあの時は運悪くタイミングが重なった結果、あの事件が起きてしまった。

アオイ先輩の不信任決議案が成立した直後にカイザーPMCによる襲撃が起きた。

サンクトゥムタワーや連邦生徒会関連施設、シャーレのオフィスビルが占領されカイザーPMCはD.U.区を掌握した。

D.U.区には戒厳令が敷かれ、彼らの軍隊が配置される。

そんな中、公安局のカンナ局長の働きで拘束されていたシャーレ先生を開放、その後ラビット小隊によるシャーレ奪還作戦を開始。

それに呼応したヴァルキューレ公安局の生徒たちが合流してカイザーPMCからの奪還戦が展開された。

彼も参加しており、シャーレ先生とは別行動でカイザーPMCに掌握されたサンクトゥムタワーの奪還を目指して行動していた。

あの事件時のシャーレ襲撃からヘリで脱出した彼らはPMCからの攻撃で墜落、包囲され銃火に晒され一般生徒達が助けに駆けつけなければ彼は死んでいただろう。

ボロボロな状態の彼はそのままシャーレ先生と合流、カイザーによって軟禁されていた私たちを助けに来てくれた。

満身創痍で会議室に転がり込んで来た彼は少し格好悪かった。

しかし何が起きてるかもわからないまま軟禁され、不安になっていた私はとても嬉しかった。

「なんだかなぁって感じよ」

不満そうに吸い殻の火を消して灰皿に入れると彼は3本目を咥えた。

吸い過ぎではないだろうか?

そんな事を考えているとスマートウォッチからホログラムが投影される。

彼のアロナちゃんが頬を膨らませて現れた。

「先生!それで何本目ですか!」

「まだ3本目じゃん」

「短時間で吸いすぎです!セリナさんに報告しますよ!」

吠えるアロナちゃんに苦い顔をしながらも火をつける。

アロナちゃんが怒ったようにあー!っと声を上げた。

そのやり取りに少し微笑ましく見ていると後ろからも吠える声が聞こえてくる。

「せーんーせーいー!」

ミツキちゃんがドスドスと歩いてくると私の傍に仁王立ちした。

「朝からこんな所に居て!アオイ先輩が来るんですから準備してくださいよ!!」

「あんだや、朝から…これ吸ったら行くよ」

ぷんすこ怒ってるいるミツキちゃんにシッシッと手を振り答える彼をアロナちゃんと彼女はネチネチと攻め立てる。

いつもの賑やかさに私は改めて一日の始まりを実感した。




ヤニカス先生
もくもくタイム中。
エンジェル24のソラちゃんに来店する度カートンを取り出されるほどヤニを買ってる。
アオイの事は消化不良の感情が残ったせいで許してあげられてない。

中道チハヤ
朝特有の世界に自分だけしか居ない様な時間が好き。
あの時、キヴォトス人と違って簡単に死ぬよわよわ先生なのに自分たちを案じて助けに来てくれたことが嬉しかった。
だけど煙草は少し控えてほしい(心配)

扇喜アオイ
連邦生徒会財務室長、過去の一件でヤニカス先生とは気まずくなった。
彼女自身どうにかしたいと考えているがお互いに宙ぶらりんになった感情のせいでズルズルとこの状態が続いてる。

三矢ミツキ
あー!!また煙草吸ってますね!まったく!先生って何時もそうですよね!!アタシが煙草を控える様に言っても聞く耳持ちませんよね!こんどセリナちゃんに言いつけますよ!!わかりましたか?!だったら今すぐに(以下略
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