こちら連邦生徒会特務課です   作:ORC機関

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あけおめ(大遅刻)
今年初っ端から忙しかったのとスランプ気味で執筆遅れちゃった…
今年も何卒、よろしくお願いします。
題名はイギリスのパンクロックバンドから。
この作品内のトリニティの情勢的にピッタリだと思ったので


trinity calling

「ミカ様は完全にとは行かないものの元の席へ戻るそうです。」

あれからエリンは淡々とトリニティの内情を教えてくれた。

18時が迫る夕暮れに世界は染められ、夜の足音が微かに聞こえてきていた。

「ナギサが前に言ってた件か…」

「きっとナギサ様も私達も…そしてミカ様自身も辛い状況になるでしょう」

私の言葉にエリンは頷き、悲しそうに目を伏せさせた。

こればかりは彼女達の決めた事だ、その決定に私達が口を出すべきではないだろう。

「ナギザと連邦捜査部の後ろ盾だからまぁ、良くは思われないべな」

煙草を取り出して火をつけると紫煙が微風に流れて宙を漂う。

私は書類をバックへしまい、一口吸う。

彼女からの報告中で吸った煙草はこれで四本目、少し短時間で吸いすぎかもしれない。

しかし、上がってくる報告はどれもこれもきな臭いものばかり、胃に穴空きそうだ。

「先生、気をつけてくださいね?ただでさえ銃弾の1発でも危険なんですから…」

普段あまり感情を表に出さないクールな彼女が珍しく心配そうな声色だ。

「なんだよ、らしくねぇな」

私の言葉に少し不機嫌そうに眉を顰めるエリン。

「今回の事案、妙な気がしてならないんです。」

「些か手が込んでいて…」

確かにガキンチョのクーデターごっこにしては手口が巧妙だ。

手際が良過ぎるように感じる。

不安そうなエリンの目と私の目がぶつかった。

「心配すんな、世界の終わりだってなんとかなったんだ」

「あん時みたいにみんなで協力すりゃあ、ガキンチョの革命ごっこなんざ目じゃねぇぜ」

私の言葉に彼女は少し呆れたように溜息一つ吐くと笑みを浮かべた。

「本当にヤニカス先生って人は…そういう人でしたね」

彼女は大きく背伸びをして此方へ向き直る。

心なしか会った時より元気そうに感じた。

「私、先生と話すの好きなんです。」

「顔色や腹の探り合いに気を遣う必要がないので」

心底嬉しそうに笑みを浮かべてそう述べた彼女。

まるで何かから解放されたような雰囲気を感じる。

「ソレ、褒めてんのか貶してるのかどっちなんだよ?」

「フフフ、そのままの意味です」

私の問いに楽しそうに答えるエリン、ソレは彼女の役職上避けられない事なのだろう。

だからこそ、こうしてストレスを吐き出せる場を用意するのも大事だ。

今回に関しては純粋に情報が欲しかったのだが…ある意味結果オーライってヤツだ。

「あーあ、いい気晴らしになりました、今度は当番として呼んでくださいね?」

彼女はそう言うとウインクして見せた。

いつも感情を出さないクールな子であるため尚更珍しく感じる。

「それではごきげんよう、あまり煙草吸ってるとミツキちゃんに言いますからね?」

サラリととんでもない事を一つ唱えて彼女は去って行ってしまった。

アイツ…ミツキに売ってやがったのか…

独り喫煙所に残された私に電話が鳴る。

スマホを取り出して液晶画面を点灯させた。

噂をすればなんとやら、発信者はミツキを示している。

「はいはーい」

「買い出しと荷物の発送終わりました」

「お疲れちゃん」

ミツキの報告に労いの言葉をかける。

想定よりも早く事が済んでしまったみたいだ。

「何か咥えながら喋ってません?」

「煙草」

「なっ」

電話口から説教が飛び出してきた。

その音圧に思わず私はスマホを耳から遠ざける。

「詰めが甘いんだよ、戦闘講習でも言われたろバックアップを用意しろって」

「そんな物のバックアップを用意しないでください!」

「そもそもなんでお前に煙草を管理されなきゃいけねぇんだよ」

「健康の為です!先生はキヴォトスの人と違ってよわよわなんですから!」

「うるせえ!人間舐めんな!体は適度に壊してなんぼだろ!」

「それは筋組織だけです!」

売り言葉に買い言葉、彼女との言葉の銃撃戦に少し疲れて来た。

煙草の吸い過ぎで肺活量ダメになって来たかな…

「後で説教です…覚悟してくださいね」

恨めしそうに彼女は言うと溜息を吐いた。

「カフェ街で待ってますので寄り道…特に喫煙所とか行かないで真っ直ぐ来てくださいね」

「おう、もう一本吸ったら行くわ」

「先生!!」

彼女の叫びを最後まで聴かずに通話を終了する。

実を言うと煙草を吸い過ぎて飽きが来たので消火水にて消した吸い殻を灰皿へ投げ込んだ。

綺麗な放物線を描いた吸い殻は綺麗に穴へと落ちる、ナイスショット。

大きく背伸びをして歩み出す、辺りはだいぶ暗い。

大聖堂の側にある遊歩道を進む、街路灯が進路を示していた。

目を凝らすとシスターフッドの生徒達が物陰から顔を出してこちらを伺っては顔を引っ込める。

大聖堂の窓を見れば双眼鏡を持ってこちらを覗いては顔を近づけてヒソヒソと話し始めた。

要マーク組織としてブラックリストに載っているのだろうか?

なんとも言えない居心地の悪さに足早で移動する。

何度来てもこの学校のこういう部分が好きになれない。

死ぬほど吸った筈の煙草が恋しくなる前に私は大聖堂付近から逃げ出した。

 

トリニティのロックバンドの曲を車内に響かせ車を走らせる事既に15分。

帰宅ラッシュと合わさり車の流れが悪くなってきた。

「沈みかけの街で〜俺は水際で生きてる〜」

曲に合わせて口遊む。

「トリニティ・コーリング」

まさか本当に呼ばれちまうとは…ナギサも理解してるのだろう。

歪に出来上がってしまった足元の城は自壊してきてる。

本来3勢力それぞれの代表で物事を決めるのだが実際には席に戻れてないミカとリハビリ途中であるセイアの代わりになってしまっている。

サンクトゥス派はセイア直々の指名で委任されているとは言え不満が出ない訳ではない。

パテルは言うまでもなく面白くはないだろう。

ナギサのフィリウス派内もナギサの目を逃れて独断で動く者も居ないわけではない。

アリウス自治区の件でも確認されている。

信号が変わり通りを曲がる、ティーパーティーの制服を着た一団が横断していた。

車を停止させ渡り終えるのを待つ。

その一団の中に見慣れない青い服が混ざっている。

確かアレはトリニティ風紀委員会だったか?

かつては正義実現委員会と共に肩を並べて取り締まりを行っていた組織とりーちゃんから聞いた事がある。

彼女はトリニティ風紀委員会から転属した身であった。

正義実現委員会が活躍して行くに連れて予算が削減され部員達に使える費用も少なくなり他の部活や委員会への転属が増えたそうだ。

今では最低限の戦力を保持するに留まり、正義実現委員会の予備部隊まで成り下がってしまった。

そんな今ではあまり見ない制服から視線を外し進路へ視線を戻す。

再び車を発進させる。

彼女の言っていたお店はこの辺らしい。

どれもこれも如何にも高そうな外装の店ばかりだ。

しばらく進んだあと車を路肩に停車させる。

駐車スペースであるからカンナに違反切符を切られることはない筈だ。

車のエンジンを切り少し伸びをしていると窓をノックされた。

「あんだや?もう違反切符か?」

視線を窓の外に向けるとニコニコと微笑むモネが覗き込んでいた。

ロックを解錠するとモネは流れる様に車のドアを開ける。

これから一服しようかと思ったのによ。

「先生、お待ちしておりました」

ふわりと風に靡いた灰色の髪が街路のライトで煌めいていた。

少し嬉しそうな彼女を見るに少し待たせてしまったのかもしれない。

「待たせてしまって申し訳ない、車が多くてね」

「この時間帯は混雑しますから、大変でしたね」

私の謝罪に労いの言葉で返してくれた。

そんなモネの底の見えない優しさに少し不安になる。

きっと怒らせたら怖いタイプだ。

「本当にすまん、それでみんなは?」

「親睦を深めるべく食事会にしようと…お店の方に」

車を施錠し彼女に向き直ればするりと腕を絡ませてくる。

コイツわかってやってるのか?将来は相当な男泣かせだな。

そんなくだらない事を考えていると彼女のエスコートが始まる。

「お店って?歩くのか?」

私の問いかけに彼女は笑みを深めて建物を指差す。

クソ上品でクソ高そうな高級料理店がどっしりと聳え立っていた。

「おいおい…冗談だろ?」

この後、クソ高い料理を震える手で食べた。

料理の味や吸った煙草、モネと何を話したのかもよく分からなかった。

これがお嬢様パワーってやつなのか?

住む世界の違いを実感させられたのはまた別の話。

こうして長いトリニティ出張は幕を閉じたのだった。




モネ「せっかくですので先生とお食事しましょう!」(お嬢様パワー全開)
ヤニカス(高級店過ぎて胃に穴空きそうになり大量喫煙)
リイ(あわあわしてる)
チハヤ(値段を調べてしまい青い顔してる)
ミツキ(育ちの良い優等生の為動じていないが緊張してる)
アオイ(総決算を企んでる)
エリン(後輩に先生との関係を質問攻めされてる)
セリナ(救護の気配を感知)
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