余ってるってなんやねん…
皆様、健康や安全に気をつけてお過ごしください。
キヴォトス標準時19:00クロノススクールより放送。
連邦生徒会提供番組「今日の先生」にて放送された「ヤニカス先生VSトリニティ高級料理店」内容。
本コーナーは意外にも好評で再企画の声が多く寄せられた。
その放映記録である。 (クロノススクールアーカイブより)
(実況席にスーツを来た痩せ型のオートマタと着物を着た柴犬の男が座っている)
「皆さんこんばんは、ジョン・マキナです」
「このお時間は先生達の様子を皆様にお届けする"今日の先生"」
「今回はヤニカス先生が高級料理店に来店した様子の実況解説していくお時間となっています。」
「解説は大盛幾三さんです、よろしくお願いします。」
「よろしくお願いします。」
(お互い軽いお辞儀をする)
「幾三さん、今回の舞台はどのようなお店なんでしょう?」
(画面はお店の紹介映像に切り替わる)
「はい、今回はトリニティでも有名な高級料理店でティーパーティーの議員や役員の生徒たちがよく利用してる事で有名です」
「となると、ヤニカス先生は不利な状況になりそうですね」
「彼の活躍に期待しましょう」
(映像は店内の様子に切り替わる)
「ここで参加者を一緒に見ていきましょう」
「皆様ご存知の事、ヤニカス先生」
「早速煙草の残数チェックをしています」
「続いて特務課の蒼い稲妻、三矢ミツキ」
「堂々と胸を張った姿、大きく見えますね」
「お次は特務課の家計担当、中道チハヤ」
「慣れない環境に不安げな様子、大丈夫なのでしょうか?」
「続きまして正義実現委員会の白アーマー、遠野リイ」
「不安感が全身から出ています、あわあわと言ったところでしょうか」
「最後にティーパーティーの片翼天使、花輪モネ」
「実は彼女、このお店が所属するグループ会社の株主なので自分のテリトリーでの会食なんですよね」
(引の映像に切り替わり)
「それでは選手が揃いましたので会食開始です」
「おっとヤニカス先生、早速動き出しました!」
(ベストのポーチを漁り始めるヤニカス先生)
「これは素早い動き、先手を取れるでしょうか?」
「ミツキ選手、目線が鋭くなっていく」
「動きが読めたようですね、あの表情は…あぁ!やっぱり!」
(七星のパッケージを取り出し一本咥える)
「煙草です!開始早々一本目に火をつけた!」
「ウォーミングアップという事でしょう」
(火をつけたヤニカス先生に灰皿を差し出すモネ)
「ここでモネ、フォローに入る!」
「ヤニカス先生的に灰皿は欲しい所だったのでナイスフォローです」
「しかし、未成年である生徒の側で煙草を吸うのはどうなのでしょう?」
「この店舗の換気システムは高い技術を誇るミレニアムサイエンススクール製の換気システムであるので副流煙問題は解決しています」
「流石ミレニアムサイエンススクール、高い技術力を示しています」
(苦笑いのチハヤ、あわあわしてるリイ)
「特務課の生徒さん達は落ち着いている様子ですね」
「ミツキさん曰く1日に結構な本数を吸っているようなので慣れているのでしょう」
「噂によればシャーレに喫煙所の設置を依頼したとか?」
「はい、公には却下されたのでDIYで仮設喫煙を制作したとクロノススクールの報道部からの報道がされていました」
「ヤニなくして先生なしと言ったところでしょう」
(背後の観葉植物の裏からピンクの制服を着た生徒がチラリと顔を覗かせた)
「おっと?先生の背後に誰か居るようですね?一瞬姿が映りました、もう一度巻き戻して見てみましょう」
「ん?この制服は…救護騎士団ですよ」
「救護騎士団の鷲見セリナさんです!背後にスタンバイしています!」
「これは面白くなって来ましたね」
(モネは楽しそうに先生に微笑みながら話を始めた)
「モネ選手、仕掛けます」
「無難に学校生活について話しています」
(ヤニカス先生は相槌を打ちながら話を聞いている)
「場の雰囲気は温まってきましたね」
「ここで別の生徒を見てみましょう」
(カメラが切り替わり綺麗な姿勢のままヤニカス先生を見ているミツキ、時折鋭い目つきになる)
「特務課の蒼い稲妻ことミツキ選手、余裕の構え」
「しかしヤニカス先生に鋭い視線を送っていますね、喫煙量が多かったのでしょう」
「彼女的にはレッドカードを出したい所、切り込むチャンスを掴む事ができるのか、見所ですね」
(カメラが切り替わる)
「ここでリイ選手を見てみましょう」
(どこか不安そうに視線を動かしているリイ)
「やはりトリニティ総合学園に通っているだけあってこういう場所には慣れている…おっと、ここで水を飲みましたね」
「手が震えています」
「やはり少し不安気ですね」
(カメラがスライドしてチハヤを映す)
「奥にいるのはチハヤ選手、メニューと睨めっこ…大盛さん?」
「これは…震えていますね」
「家計担当だけあって値段に弱かったか」
「トリニティのお嬢様とは金銭感覚が違うのが大きな痛手となってますね」
(カメラは再び引きで映すと奥からウェイターが前菜を運んでくる)
「前菜の登場ですがここで一旦CMが入ります」
「この後の展開に目が離せません!」
(マコトが出演する週刊万魔殿の広告が流れる)
応接セットのテレビモニターが暗転し画面が特務課の執務室を反射していた。
私は深い溜息を吐く。
「なぁ?ミツキ、煙草吸ってもいい?」
「何言ってるんですか!室内全面禁煙です!」
私の言葉にミツキが吠えて返し、思わず肩をすくめる。
「これ私も見たのだけれど、結構面白かったわね」
アオイが口元を手で隠しクスクスと笑いながら感想を述べた。
こっちは面白くねぇんだよ、青筋バキバキのリンちゃんがドカドカと特務課に押しかけては状況説明を求めてくるし、減煙についてお説教してくるしで最悪だった。
なんだや、たかが10本じゃん普通だろ?なぁ?リンちゃん?
とりあえず残数確認して落ち着こう。
近くのデスクに無造作に放って置いたリモコンをリイが掴むと小走りで応接セットへと戻って行った。
どうやらお昼の生活情報バラエティ番組、「ギヴォナビ」が見たかったようだ。
「本人からしたら堪ったもんじゃねぇよ」
楽しそうなリイとチハヤの姿を眺めながら愚痴をこぼす。
「あら?じゃあ今度練習もかねて二人で行ってみる?」
「勘弁してくれよ」
私の発した不服そうな声にアオイは冗談めかして言ってみせる。
口から溢れたのは抗議なのか命乞いなのか私もわからなくなっていた。
煙草の残数は五本、不味いな…そろそろソラちゃんの顔を拝みに行く頃合いだ。
「なら会場の準備はお任せ下さい、先生?」
私の背後に回り込み、ねっとりとした手つきで肩を撫でながら語るモネに背筋が冷える。
やはり彼女の底知れぬ所が怖い。
「その内お前にとんでもないお願いされたりしないよな?」
「そんな…先生が喜んで頂ければ私は十分なのですよ?」
「返せない借り物ほど怖いもんはないぞ」
「貸しではありません、贈与ですよ」
「尚更やべーよ」
さも当然のように言う彼女に私は頭を抱える。
トリニティのお嬢様方は貢ぐのが一種のステータスとでも思っているのだろうか?
リーちゃんですらお菓子を買ってきては食べてくださいと置いていくことがよくある。
そういえばナギサも毎回お茶会では高いお茶を長々解説していたな…この事から察するにその可能性は高いかもしれない。
嫌だよ、先生にいくら貢いだかでマウント取る生徒達とか…
どうしたものかと考えているとモネが口を開く。
「先生は調印式に私を助けてくれましたよね、その事のお礼なのです」
「今まで返せなかった分を貴方に返しているだけなのですよ?」
彼女は少し色っぽく言うと私の肩へ体重を掛けてくる。
視線は手元にある煙草の箱から動かせない。
視界の端に鬼のような形相をしたミツキが見えたからだ。
「気にしすぎだ、大体俺らは…」
「大人だから…ですか?」
私の言葉を遮るようにモネが口を開く。
咄嗟のことに視線を上げると普段と違う真剣なモネの目と視線が衝突する。
そうだ、俺たちは大人だから助けなければならなかった。
未来ある若者を、私達の後に続く者たちを助けるのは教員としての責務だ。
ましてや私の指揮下での負傷だ。
私がそこにいなければ、私がキヴォトス人のように頑丈だったなら、きっと起きなかっただろう。
「それに、私の所為だった」
「安易に、迂闊に前線に居たから起きた事だった」
「私のその甘い部分のせいで、モネの羽根は…」
モネはお茶会で笑って見せたが痛かった筈だ、辛かった筈だ。
だからこそ、その原因である私に良くしてくれるのが怖いのだ。
自身の羽根に怪我を負わせた私になぜそこまで優しく出来るのか、理解ができなかった。
「あの日戦う事を選んだのは私です」
「他ならぬ私が選んだ選択」
「むしろ自身の未熟さ故に招いた事、先生の所為ではありません」
彼女の有無を言わさぬ物言いに気押され私は再び煙草の箱へ視線を移した。
『大事なのは経験ではなく、選択』
『生徒たちを…よろしく、お願いします』
いつか、言われた言葉が私の背後から突きつける。
また、彼女に気を遣わせてしまった。
そんなことを考えながら手元にある銀の紙箱を見れば五本ほどの煙草。
私は指揮を取るのが嫌いだ。
安全圏からアレやれコレやれと指示するのが嫌いで仕方ない。
大事な生徒達が辛い思いをしてるのに私1人が指揮車でぬくぬくするのがどうしても許せなかった。
だから私は武器を片手に生徒達と一緒に戦っていたんだ。
しかしどうだ?私が出張る事で他ならぬ生徒達が危険に晒されてしまっている。
それは濡れた煙草並に良くない、とても良くない。
じゃあ、私はどうしたらいい?
「ほら!先生、仕事しますよ!早く煙草吸ってきてください」
ミツキの言葉に我に帰る。
顔を上げれば私の前で腰に手を当て仁王立ちするミツキと視線がぶつかった。
「そんなしけた顔じゃ大好きな煙草もしけちゃいますよ!」
「ミツキ…」
「す、少なくとも私は一緒に戦ってくれるところは好きです」
ぷいっと顔を背けながら気恥ずかしそうにそう言ってくれたミツキに目頭が熱くなる。
「だから、先生はドンと構えて私達の傍にいてください!」
彼女からの言葉にしみじみと心強さや優しさを感じた。
「ミツキ…お前の胸がデカくみえるよ…ぺったんこなのに」
「一言余計です!煙草没収しますよ!」
私の言葉にミツキはプンスコとツインテールを揺らして怒る。
しかし、彼女とのくだらないやり取りに日常の安心感を感じていた。
多分これからも苦しむだろうし、痛い目を見るかもしれない。
でも、もう少しだけこの変なポリシーを押し通してみようと思う。
私は銀箱から取り出した煙草を咥え、椅子から立ち上がった。
唐突にBFBC2にプロの実況をつけてみたネタ動画を見て思いついたおまけ回。
途中で力尽きたのでキャラ掘り下げしてみようかと方向転換しました(カス)
ケイは来ませんでした…
代わりにわっぴーさんが来ました。
レンゲは何度も来るし、カヨコの姐さんは和服をバチバチにキメて登場するし…
泣けるぜ()