淫夢バスカンパニー   作:動画をバラ撒かれ哀叫するヒンドリー

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こんなの(直球)読まなくて良いから...(良心)

追記
話の方上げ忘れるとかそんなんあり?
アホすぎるんちゃう?(呆れ)


イキすぎない

〈どうしてこんなことに...〉

埋没されたロボトミー支部に来た私は、目の前の状況に頭を抱えていた。

「ダンテ。気持ちは分かりますが今は事態への対処が優先されます」

普通の人間には何の意味もなさない無機質な時計の音だっただろうけど、囚人であるファウストはしっかり意味を受け取って答えてくれた。

「管理人様。あの様な存在を目の当たりにして管理人様の受けた精神的苦痛を思うと、このウーティスめも心が締め付けられる心地です。しかし、一刻も早く元凶を取り除く必要があることには同感です。ここは一つ囚人番号3番に対処を任せてみては...」

「と、当人であるか!?いやぁ...当人は今日なんだかクゥオンディションが微妙であって...そ、それに彼の者を見よ!当人はその、この者が悪人であるか判別がつかぬのだ...恐ろしい獣のような雰囲気を持っていながら、どことなく人間の鑑のような感じも...」

「ファウ〜?おチビちゃんが変になっちゃってるんだけど?」

「...精神汚染の能力を持つ可能性があると追記しておきましょう」

私の右腕を自称するウーティスは私をフォローする素振りを見せながらドンキホーテに押し付け、ドンキホーテはあたふたしながら必死にそれらしい理由を並べ立てているうちに支離滅裂なことを言い出す。

その他の囚人達は露骨に私から目線を逸らしているし、イシュメールに至っては『話しかけたら軽蔑しますから』とでも言いたげなジト目を向けている。

誰かが何とかしないといけないが、その誰かが現れない状況。

その何とも言えない空気感に私が何もできずにいると、しばらくだんまりを決め込んでいた渦中のソレは、ソファに腰掛けたまま妙に高い声で話し始めた。

「まずうちさぁ・・・屋上・・・あんだけど・・焼いてかない?」

〈は?〉

私の頭から汽笛の音が鳴る。

全く文脈を無視した、意味の通らない言葉。

何がまずなのか分からないし、ここは埋没したロボトミー支部の中だから当然地下だ。

地下でどうやって日焼けをするんだ?

私の知らない特異点技術があったりするのか?

ずっとこんな調子だ。考えれば考えるほど意味がわからない。

「ダンテ。落ち着いてください。幻想体の話す言葉は一見それらしく聞こえますが、意味を持って発されるケースは稀です。動物の鳴き声の様なものだと思ってください」

知らないうちにチクタク言ってしまっていたようで、見かねたファウストが私を落ち着けようとする。

〈ありがとうファウスト。でも、もしかしたら私のチクタク言う音も他の人にはあんな感じの受け取り方をされてるのかな?〉

「...」

ファウストは何も言わずにそっぽを向いた。

「えーっとそうですね・・・伸縮性のあるボクサー型のっていうんですかね、ちょっとスパッ…ツに近い感じ。」

ソファに腰掛けた汚らしい男が、また言葉を発する。

この幻想体よりも悍ましいものはたくさん見て来たし、人の形を保っているだけマシなハズなんだけど、なぜだか()()という認識を外すことができない。

まるで、そのように定められたように。

「...特徴から推察するに、対象は現在着用しているブリーフ型の形状をした下着について言及している可能性が高い」

またもや意味のわからない言葉に頭を悩ませていると、本当に珍しく、ムルソーが自分から口を開いた。

その鉄面皮は相変わらずだが、彼もこの気が狂いそうな戯言を聞き続けることに耐えかねているのだろう。

ギリギリ文脈の通った建設的な?会話への糸口に迷わず喰らいつくほどには。

「そうですね・・・うーん・・・ブリッ、ブリーフもいいんですけど、ふたいたいはボクサー型の」

しかし、パンツ一丁の幻想体はムルソーの推察を否定した。

私は一瞬見えた光明がすぐに消えたことを理解する。

だって、どう見ても彼が履いているのはブリーフだ。

否定する意味がわからない。

もしかして誤魔化そうとしているのか?

「はぁ...何でこの汚いのはたかが下着にそんなに執着するんですか?」

「チッ...何が『幻想体が攻撃的でない場合できる限りデータを取ることが望ましいです』だよ。俺たちがコイツぶちのめしてそっちに送ってやるからその後に好きなだけ研究しろって言っとけ!」

囚人の中でも喧嘩っ早いイシュメールとヒースクリフは今にも飛びかかりそうだ。

「なあファウストさん。その、そろそろそのデータって言うのは十分集まったんじゃないのか?こんなインタビューに意味があるとは思えないし、さっきからあいつの声がずっと耳の奥でキンキンしてるんだ...」

「奇異なる者かな、斯様な話ぶりを私は知らじ」

「お婆さんのコレクションの中にあちらの方と良く似ている猿が居たことを思い出しました。木の実を調合して睡眠薬を作る生態があるんですよ〜」

「聴・ゴ・と・殺・終」

「『聴くに耐えないゴミみたいな声だな。とっとと殺して終わらせろ』ですか!?確かにあれは幻想体ですけど、やっぱり人の形をしたものを殺すのは...」

いよいよ全員のストレスが臨界点に近づき、最早収拾がつかなくなっていることが肌で感じられる。

そうなってやっと、ファウストはため息ながら口を開いた。

「...あの者に手柄を立ててやる形になることは不本意ですが、研究のためにLCE部署が受ける精神的ストレスとそれによる健康被害を考えれば、許容範囲でしょう」

初めは本当に渋々と言った感じだったけど、話しながら何か良くない企みを思いついた瞬間のファウストの顔は心なしか嬉しそうに見えた。

「何言ってっか知らねぇけどぶちのめして良いんだな!?」

ファウストが言い終わるかどうか、といったタイミングでヒースクリフが飛び出した。

怒りのままに大きく振りかぶったバットは空気の唸りを発しながら振り下ろされ...ボフッとソファを打ち叩いた。

「あん野郎どこにっ...」

影のように消えた敵を探して振り向いたヒースクリフの顔面を拳が撃ち抜く。

完全に不意をつかれたヒースクリフは大きく吹き飛ばされ、金属製の壁に叩きつけられた。

「暴れんなよ、暴れんな...」

幻想体は腰を深く落とした姿勢で拳を突き出したまま、譫言のように繰り返す。

「ヒ、ヒースクリフさんが...一撃で...」

「主に東部で伝えられている拳法、空手の技の一つの正拳突きに酷似している」

震える声のシンクレアにムルソーが冷静に解説した。

「カンノミホ...」

もはや意味が分からないどころか言葉かも怪しい声を出しながら、幻想体は私たちを見つめる。

変わらずおちゃらけた雰囲気と高い声で。

しかし、野獣のような眼光を持ってして。

〈全員、戦闘準備。最初はイシュメール、ウーティス、グレゴール、ホンルが前衛を担当して!〉

背筋に寒いものが走った私はPDA端末を取り出し、指揮を始める。

囚人達も各々武器を構えてそれに従った。

「行きますよ〜行く行く!」

野獣はクラウチングスタートの姿勢を取ったと思えば、全力で腕を振りながら奇声を上げて走り出した。

「ホントに気持ち悪い奴だな...」

グレゴールの虫の腕が素早く伸び、幻想体へ突き出される。

野獣はそれをスケート選手のように腰を反って地面を滑ることで回避したが、そこにイシュメールのスライディングが刺さった。

「オォン!」

足払いの衝撃でバランスを崩した幻想体は尻餅をつき、そこにウーティスとホンルが飛びかかった。

「管理人様の作戦通りでございます!」

「これは痛いかもしれませんね〜」

ウーティスの素早い刺突と、ホンルの重量を持った長柄の振り下ろし。

二つの方向に、二つの属性(貫通と打撃)

防ぎようのない合わせ技の前で野獣が取った行動は

「ンアアアアアッー!!!!!!」

咆哮。

叫びというにはあまりにも大きな、質量すら感じるほどの轟音が床に寝そべった野獣の口から放たれる。

ウーティスとホンル以外の囚人は咄嗟に耳を塞ぎ、私も無い鼓膜が破裂したような錯覚を覚えた。

暴力的な音量の前に何もすることができず、ただじっと耐えるしかできない。

やがて音が鳴り止むと、野獣はゆっくりと立ち上がり、それと対照的に二人の囚人が前に倒れ込む。

ぴくりとも動かない二人の耳からはとめどなく血が流れ落ち、死んでしまったということを雄弁に物語っていた。

「至近距離における大音量が原因の鼓膜破壊および脳機能への不可逆的損傷を確認した。注意すべき行動だ」

〈時計を回す時に苦労しそうだね...〉

一回休みの二人の代わりにムルソーとイサンを前衛に出し、私は注意深く相手の動きを観察した。

私が一度に指揮できる囚人の数には限りがある。

人数が増えると考えることが増えてミスを起こしやすいというのもあるけれど、私が死んでしまって全滅する最悪の事態を防ぐために守ってもらう必要があるからだ。

野獣は現状両手を頭の後ろに回してクネクネと踊っており、何かを仕掛けてくる様子は無い。

これなら、こちらにも準備をする時間があるはずだ。

私はPDAの画面から素早く人格牌を選択する。

すると囚人達の目の前の空間が鏡のようにひび割れ、別の世界の可能性を引き出した。

「着手。」

ムルソーには紺と白の着物に竹の笠を戴く、剣契頭目。

「死の欲動抑制、観念封印。」

イサンには色褪せた白黒の喪服に、同じく美しい白黒の二丁拳銃を構えた、ロボトミー:E.G.O厳粛なる哀悼。

「私が前に立ちましょう。」

イシュメールには燃えるような赤いジャケットと火を吹く黒い指あき手袋のリウ協会。

「...どこからか巳が這う音が聞こえてこないか?」

グレゴールには青いスカーフを巻き、伸縮自在の両腕を振るう黒獣-巳。

鏡の世界から引き出したもしもの可能性が、囚人達に被せられる。

そして私の時針と分針が回り、死した囚人の時間を時針と分針を回して手繰り寄せる。

砕けた骨はより集まって接合され、流れ出た血は逆流して体内へと戻る。同時に筆舌に尽くし難い痛みが私を襲うが、大したことはない。

いつもこうしてきたし、これからもこうしていくんだから。

〈さあ、死んで殺しに行こう〉

「オッスお願いしまーす!」

私の言葉を理解したか、それともただの偶然か、笑みを浮かべて野獣が疾走する。

「行かせませんよ」

その行き先を遮るようにイシュメールが立ち塞がり、激しい肉弾戦が始まった。

「イクイクイクイクイクイク!!!」

野獣は奇妙な掛け声を発し、拳が何重にも重なって見えるほどのラッシュを放った。

恐ろしい速さだけど、無手での戦闘技術を叩き込まれた世界のイシュメールは複数方向から襲いくる拳を手甲で流し、頑丈なコートで受け止め、時には真っ向から打ち合って全て対処する。

ハイスピードの攻防だったけど、段々と野獣の拳速が落ちていくのが分かった。

「クゥーン...」

疲弊した野獣が一瞬上げた仔犬のような声。

イシュメールはその隙を見逃さない。

「はあッ!」

密着から鳩尾への炎を纏った一打。

そのまま同じ位置への掌打で揺らし、こめかみへ拳を叩き込む。

「ヌッ!」

そして態勢を崩した野獣へ、渾身の肘打ちで顎をかち上げた。

「オォン!?」

炎の龍が空へ昇るような渾身の一撃が野獣を打ち上げ、そこへねじれた2本の水色が伸びていく。

「この辺か?」

黒獣グレゴールの伸ばした腕だ。

「あっ待ってくださいよぉ!?」

野獣は咄嗟に身を捩るが、グレゴールの腕は蛇のように軌道を変えて野獣の肩に鋭く突き刺さった。

「そぉら!」

グレゴールはそのまま半回転し、遠心力をつけて野獣を壁に叩きつける。

常人を遥かに凌駕する黒獣の膂力を野獣は受け身も取れずに全身に浴び、吐血した。

「なかなか上手いじゃん...」

叩きつけられた直後、野獣はぬるりと拘束から抜け、グレゴールの腕の下を逆さまに走って来た。

まるで重力なんて気にしていないみたいだ。

「行きますよ〜、ファッ!?」

逆さに走る野獣が躓いた。

その両脚に蝶を咲かせて。

2匹の蝶が飛び立つと同時に野獣は力が抜けたように膝を折り、重力を思い出して落ちていく。

「銃口より蝶の弾丸放たれず、銃の向かいし座標に生きし蝶と死にし蝶の咲くばかりなり」

「美辞麗句は此処にあらず。ただ厳粛さを持って、そなたに哀悼を」

イサンが連続して引き金を引く。

拳銃からは何も出ていなかったけれど、その射線上にある野獣の体からは白い蝶が羽ばたき続ける。

まるで命が体の外へ飛び立つように。

「やめたくなりますよ部活〜」

野獣は自分を抱きしめるような姿勢でうずくまり、イサンの乱射に耐えた。

哀悼イサンの攻撃は憂鬱さを帯びている。

精神に深く作用するその攻撃は、精神の実体化そのものである幻想体には効果覿面だった。

「ダメみたいですね...」

野獣は耐え続けることに限界が来たのか、全てを悟ったような何とも言えない物憂げな表情を浮かべた。

「効いてるみたいですよ管理人さん!」

〈ムルソー!とどめお願いできる?〉

「できる」

ムルソーは床を蹴り、一瞬で距離を詰める。

そして、横一文字に斬り払った。

「お前立たねぇなぁ?」

やや精彩さを欠いたその剣技を野獣は軽々と躱してムルソーに回し蹴りを叩き込む。

「お前もして欲しいだら?」

そして、追撃の正拳突きを放った。

それが、罠だと気付かずに。

金属の音と、硬い手応え。

攻撃を止められ驚愕する野獣の顔が、ムルソーが拳を受け止めるために半分ほど鞘から抜いた剣の表面に映っている。

「肉斬」

目にも止まらぬ斬撃が野獣を切り裂いた。

これが、頭目の奥義。

あえて隙を晒し攻撃を受けることで逆に相手に致命的な隙を生じさせ、その隙を刈り取る反撃。

「骨断」

渾身の一撃、骨を断つための全力の一刀が野獣を切り裂き、野獣は仰向けに倒れた。

その全身はズタズタに流血して、虫の息だった。

「痛いですね・・・これは痛い・・・」

「終局としよう」

ムルソーが野獣にトドメを刺そうと剣を振り下ろす。

「...しょうがないね」

野獣の呟きと同時に、どこからともなく真っ青な長方形が野獣の上に出現した。

それはムルソーの剣を弾き、表面に刀の様なシルエットを浮かべる。

「ちょっと刃当たんよ〜」

長方形がひび割れ、仰向けだった野獣の姿が消える。

次の瞬間、ムルソーを始点にし、イシュメール、グレゴール、イサンの順に茶色い残像が走り抜け、追従する黒い軌跡が首元を撫でた。

「だいぶ溜まってんじゃんアゼルバイジャン」

野獣がそう言って刀を鞘に納めると、全員の首がゴロリと落ちて、噴水の様に血が吹き出した。

「Foo↑気持ちぃ~」

野獣は降り注ぐ血の雨を浴びながら恍惚の表情を浮かべる。

惨憺たる光景の中でも、私は野獣のようなあの幻想体が持つ刀から目を離せない。

囚人の死に慣れてしまったこととは関係なく、違和感を感じたから。

夜を溶かして塗り込んだ様な、真っ暗な鞘に納められた異様な剣。

なにか、それがあること自体がおかしいと感じてしまうむず痒い違和感。

あの刀は確かにこの場に存在しているけれど、どこかおかしく、どこか薄っぺらい。

現実味が無いと言うべきだろうか?

「はっ、コ・ピ・ペか。つまらん人形遊びだ」

いつのまにか前に出ていた良秀が吐き捨てた言葉で、合点が言った。

確かああいうのを、『合成』っていうんじゃなかったっけ?

多分そう言うのうりょくをもっているんだ。

どこか別の場所から持ってきたものをこの世界に上書きする。

まるで私たちが鏡技術を使うみたいに。

〈君は...一体何者なんだ?〉

通じるとは思っていない。

幻想体にまともな思考が存在するかもわからない。

それでも私は問うしかなかった。

すると、あの男は洗っても落ちないとでもいうように同じ笑みを浮かべて答えた。

「24歳、学生です」




続くかは知らない。知ってても言わない。
好評だったら続くかもしれないですねぇ!
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