女子高生ギタリストはギターヒーローの夢を見るか!?   作:はま0821

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音合わせと初バイト。まあ、皆の能力から言ったら音合わせよりもバイトの方でトラブル起きそうな予感。とか考えながら作った話です。思い通りになったかは別にしまして。


11 ハイ!チーズ!!

 

 

「兎にも角にも、音合わせしてみようよ!ひとりちゃんの実力が見たい!」

 

STARRYにて、バイト前の時間を過ごしていると、伊地知先輩がこんな事を言い出す。確かに。この五人で合わすのは初めてだ、早めにやっといた方が良いだろう。何より…ギターヒーローさんの演奏をまた聴ける!

 

「あ、は、はい。分かりました…」

 

「伊地知先輩!!ギターヒーローさんはホントに凄いんですよ!腰抜かさないで下さいね!」

 

「分かってるよこなちゃん!私だってギターヒーローさんのファンなんだから!」

 

「あ、あうう〜あんまりハードル上げないで頂けると助かります〜」

 

「…郁代。郁代は聴いたことある?ひとりの生演奏。上手い?」

 

「リョウ先輩!はい!私まだ素人同然なのでレベル云々までは分かりませんが、すごく歌いやすいギター演奏でした!」

 

「ふうん。まああのギターヒーローだっていうんだ。心配なしか」

 

あせあせと慌てる後藤さんを、私と伊地知先輩はスタジオに押していく。その後ろからリョウ先輩と喜多さんが続く。そうして、五人揃って初めての音合わせが行われた!…のだが。

 

 

 

 

 

 

♪♪

 

 

 

 

 

 

 

 

「…え?えっと…」

 

喜多さんが戸惑いの声を上げ、気まずい空気がスタジオ内に流れる。何故か?正直今の音合わせのクオリティじゃ致し方もないだろう。私ですら目の前の現実を認めたくない。

 

「…郁代。上手かったの?ほんと?」

 

「あ、あれぇ?」

 

全員の視線を一身に背負って、やっちまった、な顔をする後藤さん。そこにトドメとばかりに顔面蒼白な伊地知先輩がポツリと。

 

「ど、ド下手だ…!」

 

(君は最高のギタリストだ!)

 

 

「ぅー!虹夏、本音と建前が逆ぅー!!」

 

「あっしまっ!」

 

「うごがはぁ!?」

 

血を吐いた!!後藤さんが血を吐いて倒れよったで!

 

「伊地知先輩駄目ですよ!そんな可愛い顔して抜き身の刃物みたいな言葉を投げちゃ!」

 

見事にぶっ刺さっちゃったじゃないですか私のギターヒーロー様に!

 

「ご、ゴメン!つい口から本音が滑り落ちて!」

 

「…リズムがまるで取れてなかった。…まだまだだなひとり」ニヤリ。

 

「…むぅ…」

 

喜多さんが釈然としないような顔をしている。もちろん私も同じ気持ちだ。後藤さんの実力はこんなもんじゃない。だが、今の演奏。何故上手くいかなかったのか。私は何となく心当たりがあった。

 

「あ、あうう。やっちゃった…。絶対皆さんの期待を裏切った…!も、申し訳ありませんクソザコで…。ミジンコみたいな腕前でぇ…」

 

「だ、大丈夫だよひとりちゃん!まだ一発目だし上手くいかないことだってあるって!」

 

「ぷぷ。トドメ刺した人が必死にフォローしてるのウケる」

 

「う、うるさいよリョウ!」

 

「そ、そうよ後藤さん!きっと初めてだから緊張したのよ!つ、次!次やってみれば上手くいくわよ!」

 

必死に伊地知先輩と喜多さんが沈み込む後藤さんをフォローする。だが、後藤さんの今のスタイルのままだといつまでも上手くいくまい。…指摘せねば。ギターヒーローさんのファンだからこそ。心を鬼にせねばならん時もある。…多分、昔の私なら認められなかったろうな。ギターヒーローさんの欠陥など。

 

「…後藤さん。言いにくい。…ひっじょーに言いにくいのですが…手元ばっかり見過ぎです!」

 

「あうっ!ご、ごめんなさい…」

 

私の言葉に後藤さんが俯く。うう、罪悪感が酷い。いや、耐えきれ、黒井此方!ギターヒーローさんのさらなる躍進のためにこの身を捧げるのよ!

 

「バンドというものは全員のリズムを合わせて演奏するのが肝要です。後藤さんは自身の手元ばかり見て演奏されていましたが、それでは目隠しして演奏しているのと同じです、リズムが合うわけない。手元を見ずに顔を上げて、皆さんの取るリズムを感じとって、合わせてみて下さい!」

 

「う、うう…!手元を見ずに…難しい…!は、はい!分かりました!」

 

恐らく、後藤さんは生身の人間と楽器を合わせるのは初めてなんだろうな。リズムを知ってる録音の曲なら目を伏せていても合わせられるが、生身の人間相手だと一曲ずつ刻むリズムが違う。全員のリズムを何となく読んで合わせねばならない。…でも、ギターヒーロー後藤ひとりさんならこの程度。かるーく突破するだろう。こんなもん、慣れればすぐよ。

 

「皆さんのリズムを見る…合わせる…!」

 

私の言葉を反芻する後藤さん。さあもう一度!たぶん少しは良くなると思いますよ!

 

「行くよひとりちゃん!…ワン、ツー、スリー、フォー!」

 

伊地知先輩の号令で音合わせ第二回が始まる。

 

喜多さんが覚えたてのコードを鳴らしながらギターを弾く。拙いながらもちゃんとリズムは取れている。ギターと合わせてボーカルまでやるのは流石に難儀してるみたいだが初心者がココまでやれれば上々だろう。単純にセンスが良いんだろうな。どうすればいいのか。説明を聞くまでもなく体が理解し実行する。音楽センスの塊みたいな娘だ。

 

後藤さんの方も格段に良くなった。リョウ先輩や伊地知先輩の刻むリズムを二人を見て感じ取り、自身のギターを合わせる。一度の説明で理解して実行している。凡百ならばこうはいくまい。…流石だ。やはり私のギターヒーロー様!まだ二度目だから手元とかを見てしまう自身の癖との戦いに難儀しているが。この分なら心配ないだろう。後は数をこなす事だ。

 

「えっ…!!す、凄い…!」

 

「…驚いた。アドバイス一つでココまで変わるんだ」

 

先輩方が喜多さんと後藤さんの進化に驚いている。だが、私からすればそんなに驚くこともない。この二人はやり方を知らないだけだ。正しく導いてあげれば、彼女らはその高いスペックを遺憾無く発揮するのだ。

 

「す、凄かった…!こ、これがバンドなんですね!皆のリズムがバッチリ合ってすごく楽しかったです!」

 

上気した顔を綻ばせながら喜多さんが笑う。確かに後半はほぼ完璧に合っていたわね。

 

「ほ、ほんと…!び、ビックリしました…!わ、私たち、後半とかホントに、一つの『音楽』に、なってましたよね!?み、皆んなで音を合わせて演奏するって…!バンドって…!こんなに凄いんだ…!」

 

後藤さんはただただ感嘆していた。バンド特有の全員が息を合わしたときのグルーヴは、奏でた事がある人間にしか分からない。…これで後藤さんも抜け出せなくなったな。バンドという沼に。

 

「な、なんか、夢みたい…だな…」

 

ポツリと呟いた後藤さんの言葉。伊地知先輩はしっかり聞いていたようで。

 

「夢じゃないよ〜ひとりちゃん!これから何度でも、何回だって音合わせして、『音楽』を紡いでいこう!そしたらさすがの疑り深いひとりちゃんでも、バンドを組んだことが夢じゃないってわかるでしょ?」

 

ニカッと。伊地知先輩が後藤さんに笑いかける。まるで夜の闇をも昼間みたいに明るく照らす月のような、快活な中にも慈愛を感じる、優しい笑顔だった。

 

「…はい。はい!」

 

一度目は微かに。二度目は確かに。後藤さんが頷く。…少しずつ、ギターヒーローさんが変わっていく。結束バンドのメンバーたちの言葉によって。伊地知先輩が言う通り、ギターヒーローさんは完全無欠のヒーローなんかじゃなかった。年頃の普通の女の子だったのだ。憧れに別れを告げる…。何か少し寂しいけど、私はそれ以上に、後藤ひとりという少女に心を惹かれた。後藤ひとりさん。少し引っ込み思案でコミュ力に問題があるこの子が、バンドでの演奏のいろはを覚え、弱点をも克服し、ギターヒーローとしての実力をバンドでも発揮できるようになったら、一体どうなってしまうのか。最早そちらの方に私は興味津々だった。

 

「…コホン。ごめん、良い雰囲気の中言い辛いんだけどさ、時間だからそろそろ仕事してくれないかな〜なんて…」

 

いつの間にかスタジオの扉が開いて、店長が遠慮がちに立っていた。えっ!?もうそんな時間!?

 

「まっず!?熱中しすぎた!皆手早く片付けて!STARRY営業しなきゃ!」

 

「疲れちゃった。皆任せた!私は惰眠を貪る!」

 

「永遠に覚めなくすんぞリョウごら!!」

 

先輩方がコントを繰り広げるが、今そんな事してる場合ではない!私たちは使った機材を片付け、スタジオを出てSTARRYのホールへと向かった。

 

 

 

 

 

♪♪

 

 

 

 

 

 

「ふ〜む。喜多は愛想良さそう…。黒井は厳つい…。ひとりちゃんは、オールマイティ、どっちでもイケそうだな…」

 

何とか始業には間に合ったようでまだお客さんは入っていなかった。私たち新入り三人は一列に並べられ、店長に値踏みされるかのように見比べられていた。…ていうか!厳ついってなんですか厳ついって!他ならない店長に言われたくないですよ!

 

「ふむ、ならば…。虹夏、喜多について、二人で受付!愛想良くな!ほんで、リョウは黒井とひとりちゃん引き連れて、ドリンク教えてやれ!」

 

「はいよ!お姉ちゃん!」

 

「りょーかい。店長」

 

「虹夏!ここでは店長と呼べ!おし、そしたら、全員散れ!」

 

店長の号令で、みんな持ち場に向かう。…しかし、店長の配置はバッチリだな。喜多さんと伊地知先輩を受付に配置。あの二人の弾けんばかりの笑顔は間違いなく接客向きだ。今日は売り上げ1.5倍くらいになるんじゃないか?主に男性客中心で。などと下世話なことを考えつつ、これからリョウ先輩に教えてもらうドリンク、なる仕事の内容を想像する。なんだかんだで私もアルバイトなんて初めてだからな。不安ももちろんある。…上手く、出来るかな?

 

「…こことここがアルコール。こっちソフトドリンク。ギターのピック型のチケットとドリンクを交換してもらうシステム。アルコールはそれにプラスで現金。…どう?分かった?」

 

リョウ先輩がドリンクなる業務の内容を身振り手振りで説明してくれる。感覚的だけど分かりやすくてよかった。大体の内容はメモに取れたし、これなら何とかできそうかな。

 

「あ、あうう…も、もっとゆっくり…!」

 

「大丈夫ですよ後藤さん!私大体今の内容メモったんで!分かんないとこあったら教えますから!」

 

「あうう…ありがとう黒井さん…!」

 

やはりというかなんというか。後藤さんは接客系の仕事苦手そうだな。可愛らしい見た目してるんだから笑顔の一つも覚えればお客さんなんざイチコロだろうに。などと考えていると。

 

「大体の内容は以上。そしたら最後に、ひとりに接客の最大の、奥義を伝授する!」

 

なんか言い出したぞリョウ先輩が。何だろう、奥義?しかも後藤さん限定?私には教えてくれないのか。

 

「それはなひとり…。笑顔だ!」

 

時々ホントにこの人は心が読めるのではないか?と思う時がある。さっき考えてたこととピンポイントでリンクしすぎだろ。いやまあ、後藤さんが笑顔覚えれば確かに奥義の如き破壊力を発揮しそうだけどさ。

 

「わ、私が笑顔!?む、むむむ無理ですぅ!」

 

「リョウ先輩。言ってることは正しいと思うんですが、後藤さんは笑顔は苦手だと思いますよ。あと私は?私は笑顔、しなくていいんで?」

 

案の定後藤さんがキャパオーバーを迎えそうなので、助け舟を出すと同時に、疑問に思ったことを聞いてみる。するとリョウ先輩は珍しく、少し言いにくそうに答えてくれた。

 

「…いやさ。此方や私みたいなのが、標準的なライブハウスの店員だと思うんだよ。特別愛想いいわけじゃなし、仕事さえこなせば良いんでしょ?みたいな感じに思ってそうな感じがさ」

 

全国のライブハウスの店員と私に謝れ。

 

「でもひとりは違う。ひとりはね…可愛いんだよ!!」

 

ずどーん!!!!!魂まで痺れるようなこの感覚!!久しく忘れていた…!た、確かに!!

 

「リョウ先輩。分かってるじゃないですか。そうです。後藤さんは可愛いんですよ!」

 

「えっあっえっ!?」

 

最早自分の関わりようがない場所で関わりがない話が進行している。その認識だけは出来たのだろう、後藤さんが困惑の声を上げている。だが、構っている時間は今の私にはない。

 

「ひとりが笑顔で接客すれば、私たちのようなどっか擦れた店員が接客するより絶対に受けが良い!だからひとりには是非!笑顔を習得してもらいたい!そして!その素材の良さを見出した功績で私の時給もガッポガッポ!!」

 

目が和同開珎になっとる。なるほどそれが本音か!だが。

 

「…仰ることは痛いほど理解しました」

 

「わ、分かっちゃったの!?」

 

後藤さんからツッコまれるが、今は置いておく。リョウ先輩。利害の一致だ。ともに、後藤さんに笑顔を覚えてもらう。その大いなる目的のために!そしてあわよくば!その笑顔を一瞬だけでも私に向けてくれないかなぐへへへへ!!しかしここで問題が一つ!

 

「でもリョウ先輩。その肝心の笑顔、後藤さんにどうやって教えるんですか?流石の後藤さんもモデルがいないとやりにくいんじゃ…」

 

そう疑問を呈すると、隣にいる後藤さんも千切れんばかりに首を縦に振って同調する。後藤さんは単にやりたくないだけだな絶対に。

 

「ふっ…。ここには先輩は一人だけ。私に任せろ、ひとり、此方」

 

はい?頭でも沸騰しましたか?笑顔のモデルですよ?世界一笑顔が苦手そうなリョウ先輩に出来るわけないでしょ?

 

「なんか物凄い失礼なこと考えてない?私にだって笑顔くらい出来る」

 

いやいや。表情筋が死んでそうなバンドマンアンケート取ったら上位に来そうなリョウ先輩が何を言ってるんですか。無理ですよ諦めて伊地知先輩か喜多さんにでも教えてもらいましょうよ。

 

「うるさい此方。顔で反感を示すな。あまりやりたくはないんだが…これやると二日くらい表情筋動かんくなるし、十分間に五百キロくらいカロリー使う」

 

アンタ最初から表情筋動いてない…五百キロカロリー!?軽くカレーライス一杯分じゃん!?しかも十分!?もともと骨と皮しかないリョウ先輩の体が、最早なんにもなくなっちゃいますよ!?

 

「言い出したのは私…大丈夫、三十秒くらいに抑えるから…さあ、刮目しろひとり。これぞ山田リョウ奥義!!オリジナル笑顔!!」

 

ヤバい!!流石の私もツッコミが追いつかないわ!?後藤さん!多分そんなに真面目な顔して見なくても大丈夫なやつよ!?

 

ピカアッ!!なんかリョウ先輩の方向から謎の光。喜多さんほどではなかったのだが、そもそも人が光ること自体がおかしいのよ。眩しくて思わず逸らした目を再びリョウ先輩に向けるとそこには。

 

「どうだ皆んな。仕事は覚えたか?そろそろ開店だけどぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?!!?」

 

私たちの進捗を見に来てくれた店長が驚きの余り声を荒げる!だが!私も全くおんなじ心境だ!

 

で、出来てる…!!キャラデザイン違う人になったんか!?ってレベルでふわりとした笑顔が似合う完璧美少女がそこにいた!凄えなおい!!表情が光り輝いてる!笑顔がキラキラきららしてるわよ!!

 

「こ、これは…リョウの奥義!お、お前…何時になく本気だな…!」

 

店長は知ってるのねこれ。後藤さんはリョウ先輩の珍しすぎる表情を食い入る様に、一瞬も逃さぬように見ている!すると、きっかり三十秒後、リョウ先輩が呟くように。

 

「そ、…そろそろ良い?げ、限界…」

 

早過ぎるけど!?まあ予告していた通りではあるので驚きはないが。てか怖い!完璧な笑顔が少しずつ崩れてきてるよ!半目になってきてる!も、もう大丈夫だから戻ってくださいリョウ先輩!

 

「…ふう」すんっ。

 

も、戻った。いつもの無表情なリョウ先輩だ。まさかこの表情のリョウ先輩を見て安心する日が来るとは思わなかったわよ。

 

グウゥー「は、腹減った…。ど、どうひとり。真似できそう?」

 

腹が鳴っとる。まあそりゃそうか。十分、五百キロカロリーですもんね。まあ、それはともかく。

 

「は、はい!な、何とか真似てみます!」

 

おお。凄い後藤さん!気合十分だ!

 

「へえ。なに?ひとりちゃんにスマイル教えるためにリョウは体張ったわけ?」

 

「店長。はい。そうみたいですよ。そして、正直私も見たいです。後藤さんの笑顔」

 

「へえ〜あのリョウがねぇ…」

 

店長のリョウ先輩の株をさりげなく上げておく。ふふふ、リョウ先輩。もしホントに時給上がったら私たちにも分け前をお願いしますよ!おっと。そんな事思ってる間に、後藤さんのリョウ先輩直伝の笑顔の準備ができたようだ。店長に、リョウ先輩と私。三人は固唾をのんで、後藤さんの背中を見守る。

 

「うう〜、…え、えい!」ニッコォ!

 

ジュッ。店長が蒸発した。私とリョウ先輩はかろうじて耐えた。…マジか。おいおいマジか。

 

「…ひとり。ダイヤの原石とは思ってたけど、まさかここまでとは…!」

 

「…!ふ、ふふふ…!や、やはり私が見込んだギタリストに、間違いはなかったんだわ…!リョウ先輩!ヤッパリです!後藤さんは可愛いんですよ!それもとびっきり!!」

 

そこには紛うことのない、完璧な笑顔を浮かべた可憐な美少女が立っていた。先程のリョウ先輩。いや、それ以上か。少し小首を傾げた角度まで計算されて見えるほど、バランスがあざといぐらいに取れている!これを狙ってではなく、天然でやったとしたなら。…後藤ひとり。恐ろしい娘…!

 

「へいひとりちゃん。目線頂戴」パシャシャシャシャ!!

 

復活早いな店長、カメラも何処から?しかし…ナイス!!

 

「あっ、やっ!だめっ!」

 

後藤さんが顔を隠そうとしつつそう溢す。すると次の瞬間に。

 

パッシャアアアアアン!!!

 

ピンク色の液体が、まるではごろもフーズのCMの水滴のごとく、弾けて飛んだ。

 

「え」

「うお!?」

「は?」

 

「「「ええええええ!?!?!?」」」

 

…後に後藤ひとりさん本人から聞いた話だが。要約するのも面倒くさいので、聞いたことをそのまま記す。気恥ずかしさやストレスが限界に達すると。あるんだって。体がピンク色の液体になって、弾け飛んじゃうことが。…ないない、って言ったそこの貴方。あるわよ。だって私、見たもん。おおよそ人間の話に思えないだろうけど、全部マジよ。大マジよ。

 

取り敢えず私たちは大急ぎでバケツに後藤ひとりだった液体を回収し、持ち場についてSTARRYのバイトとしての最初の営業を乗り切った。店長も。リョウ先輩も。何時になく真面目な顔をしていたのが印象的だった。…今思えば、怖かったんでしょうね。やり過ぎて後藤さんを人間形態から液体形態にしてしまったのを伊地知先輩にバレるのが。結局その努力も実らず、後藤さんがいない事を不思議がった伊地知先輩に、全ての事の顛末がバレて、私たち三人はこっぴどく叱られた。…因みに後藤さんはというと、三時間ぐらいかな?たった後に、バケツの中の液体形態から人間形態に復帰していた。…うん。復帰していた。…後藤ひとり。恐ろしい娘…。

 

散々な騒動だったけど、私個人としては、後藤さんの笑顔を引き出そうとしたのは悪くなかったと思う。…まあ、後藤さんやリョウ先輩。店長がどう思ったかは知らないが。何故なら、店長が連写機能付きのカメラに収めた、その何枚か。その中に後藤さんの笑顔もバッチリ撮れていたからだ。あの笑顔を見てみなさいよ。多少の苦労なら問題ないわ。って結論になるはずよ。

 

後藤さんが顔を隠す前。名カメラマン店長が収めた写真を見たら、皆んながこう言うだろう。ああ。この子が少し前、下北沢で話題になってた、ピンクの妖精さんだ。とね。

 

 






リョウ先輩とひとりちゃんと主人公。ついでに店長。こいつら混ぜるとなんかアホな方向に話がすっ飛んで行きましたね。まあ全部ひっくるめるとですよ。後藤ひとりちゃんが笑うと多分可愛い。
高評価、お気に入りに入れてくださった方ありがとうございます!引き続き精進します!
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