女子高生ギタリストはギターヒーローの夢を見るか!? 作:はま0821
このままでは何時までもひとりちゃんがあだ名を授かれない。と思って作った話です。女子高生たちの放課後ってどんなんなのかね…。
「今日は〜!バンドの皆で出来るアーティストっぽいことかんがえよ〜う!何かある〜!?」
「………………」
「………………」
ぶっす〜。
「あ、あの…喜多ちゃん?リョウ?ど、どしたの?」
ここはお馴染みSTARRY。今日は別にバイトなどないのだが、バンドの自主練をするために皆が集まっていた。皆で出来るアーティストっぽい事。議題を出した伊地知先輩に、約二名。仏頂面で、明後日の方向を向いている。何やら抗議したい事がある様子だ。
「どしたの?じゃないんだよ虹夏、此方、ひとり!よくもお泊まり会なんて楽しげなイベントに私たちを除け者にしてくれたね…!」
「そうですよ!ひどいです伊地知先輩!私たちは悔しさで枕を濡らしました!」
「わ、悪かったよ二人共〜、あの時間だったから迷惑かなって思って連絡しなかったんだ〜。ま、またやろうよ!今度は五人でさ〜!」
「……その時の費用とか全部奢りなら。許す!」
「リョウ先輩が許すなら許します!」
「か、解決した!」
鬼早い解決でワロス、後藤さんが怯えている間に終わったわ。ところで伊地知先輩?何やらアーティストっぽいこと考えるとか仰ってませんでしたっけ?
「ああそうだ!皆なんかない?バンドの練習もいいけどそれだけじゃ行き詰まっちゃいそうだしさ!なんか気分転換に!」
「…ふむ。アーティストっぽい事…。アー写でも撮りに行く?」
「おっ!?前言ってたやつだね?ソレ良いかもリョウ!」
伊地知先輩に褒められ、リョウ先輩の鼻が伸びる。アー写。ちち、はは、ころしやとすぱいたいへん。コレはアーニャか。
「前喜多ちゃんが加入してくれた時に撮りに行こうとしてたんだけどさ!喜多ちゃんがまさかの合わせ練習に一度も来ずで撮れなかったんだよね!」
「あひぃん!?そ、その節は大変申し訳なく…!!」
最早この話題出されると謝っちゃうのは喜多さんの条件反射みたいだね。
「その事はもういいよ喜多ちゃん!そこからひとりちゃんにこなちゃん!結束バンドも大分増えたから、どうせ撮りに行かなきゃだったし!よっし!そしたら今日はカッコいいアー写を撮りに街に繰り出そう!」
「気になってるCDあるかな〜」
「遊びに行くんじゃないんだよリョウ!」
かくして今日の予定は決まった。結束バンドのイメージに使う、アー写を撮る。これが建前で、多分その内街で遊び倒す流れになるんだろうなと。私は今日の皆の情勢を読むのだった。
♪♪
「どうコレ!?なかなかいい壁じゃない!?」
「いいんじゃないですか伊地知先輩!なんかこう…!退廃的!というか!」
「よし此方。その壁に相応しい、退廃的な表情、して」
「すいませんリョウ先輩!自分で言っといてなんですが、退廃的ってなんですか!?」
とりあえず今は、五人で勢い良く下北の街に繰り出して、CDのジャケットにでも使われそうな雰囲気のいい背景を探している。
「きゃー!後藤さん!今のアンニュイな表情!後ろの壁とすごく合ってたわー!」
「えっあっ、ありがとうございます…?」
「流石後藤さん…!どこで何撮っても絵になる…!」
「へっ、えっ、えへへへ…!」
「私も見ろ此方。どうだこの退廃的な表情…!」
「…。草食って腹壊したベーシストにしか見えません!」
「なんだとう!?ずいぶんひとりと評価が違うじゃないか、贔屓してるだろ!?」
わいわいがやがや。あーでもないこーでもない。喧々諤々の議論を重ねて、何故か高いところからジャンプしてその瞬間を写真に収めるのが青春っぽいのでは!?なんて結論が出た。いやなんでよ!
「よしじゃあ飛ぶよ!皆、覚悟キメて!」
「いやいや!伊地知先輩高い!高すぎますってここ!私なら多分大丈夫ですけど運動に慣れてない人がやったら怪我しますよ!」
私の言葉に顔が青い後藤さんが必死に首を縦に振って同調する。どう考えてもこの高さはない。二メートルくらいはあるわよココ。
「う〜ん。でも、リョウが言った…なんだっけ?OPで飛ぶアニメは神アニメ。を表現するには、最早ここしか…」
「あれは多分下にマットとか敷いて飛んでますって。素の状態できららジャンプを再現するのは無理ですよ。それに私たち別にアニメじゃないですし!」
「う〜ん。じゃあ、平地でぴょんって飛んでみます?それでも一応ジャンプですし」
喜多さんの提案に是非もなしと頷く。少し絵面が地味になるが、あんな高いとこから飛ぶよりマシだ。足でも捻ったら今日はテンションがゼロになっちゃう。
「やっぱこうなるとカメラマン欲しかったな〜。よしじゃあ皆行くよ!いち、にの、さん!はい!」
取り敢えず試しにと平地でスマホのタイマー機能を使って、皆で息を合わせて飛んでみる。タイミング的にはバッチリだったがいかがだろうか。
「…う〜ん。なんかつまんないな〜、一発でいいの撮れちゃった」
撮れた写真を伊地知先輩に見せてもらう。…うん。まあいい写真だ。コレがアー写だと、少し詐欺な気がするが。青春全開過ぎて。もうコレでイイんじゃね?
「よし。ダルい撮影は終わったね?んじゃ私は帰って映画見るから」
協調性ゼロのリョウ先輩がヒラヒラ手を振りながら、らしいことを言い出す。これにて今日の活動は終わりか。少し物足りないな。などと考えていると。
「チョット待ってよリョウ!名前の通りに結束しようよまだ来て一時間も経ってないじゃん!」
伊地知先輩がリョウ先輩を引き留める。ほら。話が横道に逸れそうな香りがしてきたぞ…。
「え〜。でも今日は帰って見返したい映画が…。あ、そうか。よし、虹夏。罪滅ぼしのチャンスをやろう」
「へ?つ、罪滅ぼし?」
「とぼけるな虹夏。私たちを除け者にしてお泊まり会開催したことだ!」
「うぐっ!?」
「ああ!そうですよ伊地知先輩!私は酷く傷付きました!」
許すゆーとったやんけ、全く、リョウ先輩専門のイエスウーマンが。喜多さんがリョウ先輩に同調したことで伊地知先輩が追い詰められていく。
「うぐぐ…。な、何をお求めで…?」
「フッ!そうだなさしあたって。私と郁代にファミレスを奢れ!当然デザート付きでな!」
割と安いなそれでいいのか。などと考えるが、あの人は困窮するとマジで草とか食い始めるからな…。ファミレスとくればご馳走だろう。なんか実家太いらしいけど、リョウ先輩は金持ちって感じが一切しないな。
「ヴッ…!ファミレス…!皆と放課後…!ダベる…!青春…!私には手の届かない瞬間たち…!」
「ど、どうしたの後藤さん急に胸をおさえて!拒否反応!?」
「はっ喜多さん…!い、いえすみません…!ちょっと青春コンプレックスが発動しまして…」
「聞いたことないわよなにそれ!?」
青春コンプレックス。字面だけで想像するなら、青春。友達たちと過ごす楽しい時間に対する憧れ。これまでの後藤さんなら手が届かなかった時間たち。でも、今は。
「後藤さん。昔は兎も角今は、ファミレスなど恐れるに足りませんよ!昔は後藤さんは一人だったかもしれませんが、今は私たちがいるじゃないですか!」
「はっそうか…!私には今、皆がいる!ファミレス、すなわち友達連れや家族連れの楽しそうな声に圧迫される事も、店員さんからはあそこの一人客早く帰らないかな片付かないからみたいな視線に苛まされる事もないんだヒャッホイ!に、虹夏ちゃん!皆!は、早く行こうよファミレス!」
…我が師ながらテンションの上げ下げが恐ろしい。躁鬱?
「な、なんかひとりちゃんまで乗り気!?んもー仕方ない!喜多ちゃん!リョウ!ファミレス行くよ!いっぱい食え!」
「やったぜ」
「あ、あははー。い、伊地知先輩。私は冗談ですよ〜」
かくして全員でファミレスに突撃だ。一般女子高生の放課後はこうでなきゃ。
♪♪
「いらっしゃいませ〜!お一人様ですか?」
「はひゃい!?お、おひとりです〜、い、イキってすいません…!」
「いや違うでしょひとりちゃん!五人!五人です!」
なぜか対人苦手なのに先陣を切るという無茶をした後藤さんが案の定、玉砕していた。…しかし、ひとりって名前はこういう時紛らわしいな。確かにおひとり様。ですもんね。間違ってない。私たちは店員さんに先導され、窓際の広い席に座る。
「ふふふふふ…!ランチハンバーグのセットになんと…!目玉焼きまでつけちゃおうかな!?しかもコーヒーも!」
「やっす!?リョウ、私が言うのもなんだけどもっと食べなよ!」
「…虹夏。それが最近マジで草しか食べてないから胃が縮んじゃって…。無理して郁代の多弦ベース買い取っちゃったりしたから…」
「あ、あうう…!わ、私の為に!リョウ先輩素敵です!貢がせて下さい!!」
「イケナイ!爛れた関係が爆誕する!私の目が黒いうちはそんな不健全なのは許さないよ!喜多ちゃんも大人しく奢られなさい!」
元気だなーと。とーおい目をして先輩方とプラスアルファのすったもんだを見守る。…そういえば、先ほどから静かだが、後藤さんはどんなものを食べるのかな?ふと興味が湧きちらりと隣の後藤さんを盗み見ると。
「へぇ〜食べますね後藤さん」
「わっ、く、黒井さん。…え、こ、コレって食べる方…?」
「唐揚げ、ハンバーグにご飯大盛り。女子にしちゃ食べる方ですよ。太らない体質なんですか?羨ましいなあ」
男子中学生のセレクトみたい。可愛い。と内心思っていると、後藤さんの顔が、ボッと赤くなる。照れているわ!?ヤバいなんだこの可愛い生物。
「す、すみません人並み以下の生産性でありながらご飯だけは人並み以上など!?恥を知ります腹を掻っ捌いてお詫びいたします申し訳ございません〜!」
「い〜んですよいっぱい食べる貴女が好きです!ポテトとかもあげますから食べてください!」
「す、すすすす!?え、ほんと!?黒井さん優しい…!」
後藤さんはこんな感じで大食いキャラか。なんか最近後藤さんの引っ込み思案なところとかそれでいて抜群のプロポーションしてたりとか、全部キャラ計算されてんじゃね?ぐらいに思うようになってきてしまった。あざといくらいに、可愛い。
程なくして頼んだ料理が出揃い皆で食べ始める。ちなみに喜多さんはなんかコーンスープにサラダだけ。ダイエットでもしてるのかしら。伊地知先輩はマグロのたたき丼を頼んでいた。ヘルシーですね。ちなみに私はボンゴレビアンコ。自分で作ると凄まじく手間だけどここなら注文するだけで出てくる。最高よね。
「はふっ…!あ、熱い!鉄板で出てきてるからいつまでも熱い!う、美味い…!美味いよぉ…、にじかぁ…!」
「…な、何だろう、私って駄目な女?普段から色々あるリョウへの不満が満足そうにハンバーグ食べてる顔を眺めていると霧散していく…!ほ、ほら、私のマグロ丼も少し分けたげるからもうたくさん食え!」
「分かります伊地知先輩!リョウ先輩ってなんか貢ぎがいありますよね!」
何だろう。紐彼氏を甘やかす彼女みたいだな。などと失礼なことを思いながらリョウ先輩達を見守る。後藤さんはといえば、ハンバーグと唐揚げに目をキラキラ輝かせつつ、一口ずつ口に運んでいる。またこの一口が小さいの。小さいお口のほっぺたいっぱいに頬張りながら少しずつ食べ進めるその姿…!ハムスターみたい。ぎゃんかわ。
「えっ…?く、黒井さん…?」
気が付くと私は、自身のパスタを少し取り分けクルッと小さく纏めて、後藤さんに差し出していた。
「は〜い。約束通り私の分もあげますよ〜、残念ながらポテトはついてなかったのですが〜、いっぱい食べてくださ〜い」
「い、いいの黒井さん…!あ、ありがとう…、わ、私のもよかったら…、た、食べて…?」
これは光栄だ。ギターヒーローさんからおかずをシェアしていただく…!ふふふ。一カ月前の私なら速攻で、都合良すぎる。嘘松!と認定しそうな状況だ。諦めずギターヒーローさんを探し続けて良かった…!
粗方皆、自分のものを食べ終え、いつの間にか雑談タイムとなっていた。アーティストらしい事とは一体何だったのか…。まあ、女子高生らしい、こんな放課後も悪くはないわね。
「そういえばひとり。中学の頃呼ばれてたあだ名とかないの?」
今までの流れを清々しくぶった切り、リョウ先輩がこんな事を言い出す。
「えっ!?あ、あだ名ですか…?」
「うん。今日ここに入る時人数確認されたじゃん。そん時ひとりがおひとりです。って答えてて、一瞬どっちの事を言ってるのかごちゃっとなった」
…?ああ!ひょっとして後藤さんの名前なのか、それとも人数のソレなのか分かりづらいって話か!?一瞬分からんかったわよ。
「ち、中学時代は、そこのお前!とか、おい!とか呼ばれてました…。おいちゃんです…」
まさかの後藤さんからの答えに、リョウ先輩は吹き出した後、口をおさえて下を向いて震えだす。どうやらツボに入ったらしいな、人でなしめ。
「そ、それはあだ名じゃないよひとりちゃん!」
「う、うう…、や、やっぱりそうですよね…、そ、そしたらあだ名はつけられたことありません…」
「な、なんか涙出てきたよ…」
心優しい伊地知先輩が突っ込みにくい案件にもきっちり突っ込み、同情の涙を流す。後藤さんの中学時代悲しすぎるでしょう…。
「み、皆!ひとりちゃんにあだ名を付けてあげよう!今までの事を払拭するような愛に溢れたやつ!」
「えっ!?私のあだ名、ですか!?」
後藤さんのあだ名かぁ。何かあるかな…。伊地知先輩の提案を受けて思案を巡らす。ギターヒーロー?いや駄目だ長くなってるし。ひとり…。ごとう、ひとり…。う〜ん。
「あだ名…、ひとりちゃん…。ひとり…ぼっち…。ぼっちちゃんは?」
リョウ先輩が思いついた!ってな顔をしながら提案する。すると伊地知先輩がクワッと目を見開きリョウ先輩に口を挟む。
「センティシブな場所を攻めるなよリョウ〜!確かに響きは可愛いけどさ〜!」
「えっ?結構私的には自信作なんだけど…。結束バンド以来の傑作。ひとり、どう?」
結束バンドのネームもリョウ先輩の仕業か。まあ、それはさておき、う〜む。ぼっちちゃん。た、確かになんか可愛らしい。面白いネーミングセンスをお持ちだなリョウ先輩は。一切、考えや配慮がないように思えてその実、なんか可愛らしくて親しみやすい…。後藤さんの反応はどうだろう。
「ぼ、ぼぼぼぼぼぼぼっちですぅ!!」
メッチャ喜んでる。目キラキラしてる。いいの!?これ!
「え、えっと…、じ、じゃあ…ぼっち…ちゃん?」
「はい!」
「ぼっち」
「はい!ぼっちです!あ、ありがとうございます二人共…は、初めて付けてもらったあだ名です…!」
先輩方に感涙しながらそう返す後藤さん。なんか私も涙出てきた。後藤さん…!良かったですねいいあだ名つけてもらって…。待て。これ、チャンスか?
「…後藤さん。私も親しみを込めて、ひとりさん。とお呼びしてもいいですか?まあ確かに紛らわしいので、人数を尋ねられてる時とかは呼ばないようにしますので」
「じゃあ私もひとりちゃん!って呼ぶわ!ずっと呼びたかったんだけど、なかなか機会がなくて!可愛らしいわよねひとりちゃんって名前!」
「も、勿論です、喜多さんに黒井さん!あだ名で呼んでもらえたり、ど、同級生に下の名前で呼んでもらえたり…!は、初めての事ばかりです…!」
やった。先輩方のどさくさに紛れて一歩距離を縮めることに成功したわよ。喜多さんも言ってたけど、不思議と『ひとり』って名前もなんか呼びたくなる可愛らしい響き。名付けたひとりさんの両親はリョウ先輩と似たようなセンスをお持ちに違いない。…できれば私のことも下の名前で呼んでくれたら嬉しいのだが。…それはまた追々に。
「ふふ。結束バンドの結束力が強まった。図らずとも、私のおかげじゃない?虹夏」
「むう、確かに。リョウがファミレス行きたいって言い出さなかったらなかった事だもんねコレ。…やるじゃ〜ん」
「…まさかストレートに褒められるとは…。照れる。まあ、いいや。ぼっち。此方、郁代!」
リョウ先輩から真面目なトーンで号令が飛ぶ。私たち下級生一同は返事を揃えて、はい!と答えた。
「冒頭虹夏がアーティストっぽい事したい!なんて言ってたけど、私がやっぱり一番アーティストらしいと思う事は、曲作って作詞して、出来た曲を引っ提げてライブ!やっぱりコレだと思うんだ。作曲なら私が出来るけど、他は未知の事ばかり。でも皆で協力して挑んでいけば、出来ないことでもないと思う。もっかい皆でSTARRYのステージに立つために、頑張っていこう」
おおおお!?リョウ先輩が何時になくまともな事言ってる!隣で伊地知先輩があんぐりと口を開けていることからもその異常性は明らかだ。伊地知先輩!可憐な女子高生がする表情じゃないですよそれ!
「たまにすんごく真っ当な事言うなこの山田…。え、ええと。大体言われちゃったけど、まあ要は!コレからも結束バンドの活動!皆で頑張っていこう!新曲出来て、ライブで完璧に演奏できるくらいに練習したら!このメンバーでは初のライブだ!!」
先輩方がこの先の結束バンドの方針を発表する!…そうだ。あの時演奏した曲は所詮はコピー。やはりオリジナルの曲をライブで演奏してこそ真のバンドというもの!ひとりさんと!喜多さんと!先輩方と今一度、あの光の中に立つために!今一度あの歓声と喝采を浴びるために!
「この黒井此方!全力でこの結束バンドに尽くします!今度はひとりさんを加えたこのメンバーで、STARRYのステージに今一度立ちましょう!」
メンバーの皆を見回しながら私はそう宣言する!
「わ、私も頑張ります!前のライブの時は黒井さんに、先輩達の演奏におんぶにだっこでしたけど…!今度は私が引っ張ってみせる!結束バンドのギターボーカルとして!」
喜多さんも決意を新たに言葉にする!前のライブの時に感じた気負いや焦燥感は、今は感じられない。この子は、この僅かな時間で成長しているんだ…!凄い…!
「み、皆さんとなら、私も演奏出来る気がします…!リョウ先輩、虹夏ちゃん。黒井さんに喜多さんとなら!私は皆の目を見れる。もう一人でリズムの暗闇に迷うこともない!ら、ライブなんて勿論初めてですけど!結束バンドの皆となら!が、頑張ります、よろしくお願いします!!」
断言したひとりさんの瞳には、迷いや恐れは少しも浮かんでいなかった。私達を信頼してくれたんだ。ならば私は、その信頼に答えねばならない。全力で。
「よし!明日からまた皆!バイトにバンドに頑張ろう!そしてこのメンバーでもう一回!STARRYのステージに立つぞ!ファイトー!イッパーツ!!」
「い、いっぱ〜つ!」
「応、虹夏」
「イッパーツ!」
「頑張りましょう!皆さん!」
いつの間にか、放課後の女子高生の井戸端会議が、バンドの新たなる門出の決意表明会みたいになっていたが、悪くない。…皆で協力して作った曲で、今一度STARRYのステージへ上がるために!そしてここにいる皆で歓声を浴びるために!!私は自身に対する目標を新たに据えるのだった!
何でもそうですが闇雲に前に進もうとするのと、明確な目標があって前に進む人とでは進むスピードが違います。結束バンドが目標を定めた今。どうなるのかは未知数ですな。