女子高生ギタリストはギターヒーローの夢を見るか!? 作:はま0821
な、長い。ヤバいココまでで前篇合わせて一万字超えとる。
お暇な時にお読みください。
「っきゃー!!!次はあっち行きましょ黒井さん!ひとりちゃん!!」
「はあっはあっ…!き、喜多ちゃん…!お、お願いだから待ってぇ…!」
「元気ですよねぇお二人共」
前を行く後輩ズを眺めながら私は目を細める。ここはとある下北沢の路地の一角。隣を歩く眠そうな目をした友人は、少し前に流行ったタピオカミルクティーを啜っていた。
「おっ美味い。ただの流行り廃りに乗っただけの中身すっからかんなやつかと思えば。中々イケるよ虹夏」
「歯に衣着せなさすぎだろリョウ。まあでもさっきの店で買ったんでしょ?なら多分大間違いはしないよ」
自身もおんなじ店で買ったクレープを頬張りながらそう返答する。
うん。美味い。
ほのかに感じる主張しすぎない甘みと、フルーツの酸味の絶妙なハーモニーに思わず頬を緩めていると、隣の友人からふと声が掛かる。
「…虹夏。この中華屋さん。覚えてる?」
「んあ〜?あ、覚えてる。三年ぐらい前に来たよねここ。美味しいよね〜」
リョウが指差しているのは、如何にも下北沢の街を長く見守ってきたような貫禄が漂う、赤い看板が特徴的な古びた中華屋さんであった。確か…。ピンクのチャーハンが有名なんだっけ?
前にリョウと来た時は、リョウは角煮丼を食べていて、私はラーメンと半チャーハンのセットを頼んでいた。
凄え美味しかった。
「ここさ…。今凄く有名なロックバンドのボーカリストと俳優さんが昔一緒にバイトしてたんだって」
「あー!知ってる知ってる!私あの俳優さんが出てるドラマ好きでさ!なんかただオジサンがご飯食べてるだけなのに凄く美味しそうに見えるんだよね!」
「それも演者の実力だろね。…私はさ、そのボーカリストが書く詩が好き。今も昔も、青臭くて真っ直ぐで。心の真ん中だけを突いてくるみたいな…。そのボーカリストさんがね、うん十年ぶりくらいに俳優さんに手紙書いたんだって」
「嘘。なにそれそれは知らない!」
私は俄然興味が湧いた。リョウが今話しているアーティストは、パンクロック好きなら誰もが知ってる、教科書に載っているぐらいなバンドのボーカリストだ。どんな手紙を送ったのだろうか?
「君と下北沢で過ごした永遠にも似た時間は、俺が君に手紙を書いているこの今にも繋がっていたのだろうか?今の俺と昔の君。何も目指すものもやることも変わっていないなら、あの時既に俺たちは夢を叶えていたんだろうか?…って」
「…へえ。流石。歌詞みたいだね」
「…虹夏」
「うん?」
「私達は…。私は、十年後も音楽をやっているかな?今とおんなじ心持ちを、持ち続けていられるかな…」
はて?なんか最近アレだな。リョウが妙にアンニュイだ。いつも清々しいくらいに謎の自信に満ちていやがるくせに。
「そんな事、十年後に分かるんじゃない?…まあでも、そうであったらいいよね!…十年後も、二十年後も、ぼっちちゃんに喜多ちゃん!こなちゃんにリョウ!皆でさ!」
私は、バッと両手を広げて振り返り、リョウに笑い掛ける。リョウは一瞬ハッとしたような顔をした後。
「…うん」
消え入りそうな、それでもハッキリとした声で、そう言った。
「ちょ、ちょっと黒井さんズルいわよ私にも少し分けなさいよ!」
「駄目でーすこの部分はひとりさんの食べかけで〜す、私が食べますもれなく私が摂取しま〜す!」
「ふぇぇ、お二人共〜喧嘩はやめて〜!」
…。全く。シットリとした雰囲気を決めていたのに。ドタバタとどうでもいい争いをしている後輩ズを見て溜息が出た。見ればリョウもその様子を見て吹き出している。
「コラ!やめなさい二人共!ぼっちちゃんが困ってるでしょ!?」
私は取り敢えず、どう見ても食べかけのカツサンド一切れを奪い合うこなちゃんと喜多ちゃんを諌めるのだった。
「…リョウせんぱ〜い」
「んう?郁代、どうしたの?」
先程私達が奪い合っていたものとおんなじカツサンドを一切れ頬張りながらリョウ先輩が振り返る。相変わらずお顔が良いが、郁代呼びは堪忍してほしい。
「ハードオプって何があるんですかぁ?確か、リユース…中古屋さん、みたいな感じですよね?」
顎に人差し指を当て、リョウ先輩の顔を覗き込むような角度で聞いてみる。
「ふふふ…。行けば分かる、素晴らしい所さぁ〜。郁代もきっと気に入る」
私も気に入る…。何だろう。イソスタ映えする何かでもあるのかしら!?そんな事を考えている間に見えてくる!ハードオプ!デッカイ青い看板が目印!見たことあるし知ってるけど入ったことはないわ〜!
自動のドアを開き、店内に足を踏み入れる。それと同時に鼻に届く、他では嗅いだことのないような独特の匂い。
例える何かが見つからないが、何だろう。
中古屋さんの匂い?駄目だ!コレじゃ伝わらない!
でも多分、行った事ある人には伝わる!何かこう…!整理整頓が苦手な人の部屋の匂い!?擦れた匂い!
服にゲーム機。家電に家具。何屋さんここ?中古屋さんか。凄いわね確かに。でも…映えはしねぇ…。
「郁代。こっちこっち」
少しの絶望を感じながら店内を眺めていると、リョウ先輩が私の手を取って導いてくれる。ど、どこまでもついていきます!
「いいものありますかね〜?」
「私はドラムスティックが欲しいかな〜、そろそろ使い込み過ぎて黒くなってきちゃってさ〜」
黒井さんと伊地知先輩の声が聞こえてくる。へえ。音楽関連の物も置いてるんだ。
だからリョウ先輩もここに来たのかしらね。納得。
そんな事を思っている間に、売り場に着いたらしい。…凄いわね、何処の楽器屋さん?
ドラムセット。ギターも壁にいっぱい掛かっているし、ひとりちゃんや黒井さんが何時も使ってる、え、エフェクター?なる、ペダルみたいな、音楽の機材も所狭しと置いてある。
「ふふ。どうだ郁代この宝の山は。現行ではもう手に入らないような激レア品もジャンク同然の値段で売られてたりするんだぜぇ?嗚呼、中古品バンザイ…!!」
言うや否や手をワキワキ。目を和同開珎に変えた先輩が獲物を求めて彷徨い出す。
私以外の人は皆それなりにこのハードオプには来たことあるらしく、思い思いに商品を見て回っていた。
…ち、ちょっと疎外感…!
仕方なく、壁に掛かっているギターを眺めてみる。緑に、茶色に、赤。色んな色のギターがあるが、今の所それぐらいしか違いが分からない。そんな事を思いながら見上げていると。
「あ、あの色…喜多ちゃんの髪の色に、ぴ、ピッタリです…ね」
「きゃっ!ひ、ひとりちゃん…!び、ビックリした…」
「あ、わわわわわスミマセン私如きが馴れ馴れしく喜多ちゃんの如き陽キャの方に話し掛けるなどと思い上がった真似をスミマセン生まれ変わって出直しています…」
「い、いやいいのよひとりちゃん!?後ろから喋りかけられたからビックリしちゃっただけ!…えっ…?わ、私の髪の色にピッタリ…?」
意外だ。ひとりちゃんがそんな事言ってくるなんて。
失礼ながらそんな事にまるで興味を持たないタイプの子だと思っていた。
…そっか。髪の色。今持ってる青い色のギターもいいけど、そういう選び方もアリか。
赤いギター!良いわね、映えそう!少し楽しくなってきたかも!
「そしたらひとりちゃんに似合うのはあのギターかしらね!ピンクのやつ!」
「あっ、でもあれは…私よりもっと可愛い子向けかと…」
「ひとりちゃんは十分可愛いわよ!?」
その後もひとりちゃんに付き合ってもらって色々と見て回った。何でもギターは、作ってる所によって値段にも差があって、高いギターはホントにうん十万円もすること。リユース品だろうからそのまま買っても使えないことが多いことなど色々教えてもらった。
「きゃー!!ひとりちゃんこのギター下げるストラップみたいなやつかわいいわー!!」
「あっほんとですね…!喜多ちゃんによくお似合いです…!」
「ちょいちょ〜い。私も混ぜてくださいよ〜?ストラップですか〜?へ〜安いんですね〜」
「虹夏。もう買ったのドラムスティック」
「うん!偶然普段私が使ってるやつと同じのがあって!やっぱり消耗品を安く仕入れたいならハードオプ!だよね!」
かくして私達は、ハードオプ、その浅瀬の部分をチャプチャプと楽しんだのであった。
何かリョウ先輩曰くまだまだ。深淵には程遠い…。とのことなのだけど…。私にはまだこのお店早い気がするわ…。
「さて!ほしたらば!本日メインイベント!ぼっちちゃんちに遊びに行くよ!皆、準備はい〜い!?」
「いえ〜い!」
「い、いえ〜ぇい…!」
一様に皆返事をしてくれる!あの後は一旦皆家に帰ってお泊りの準備をしてから、下北沢駅に再び集結したのだった!
「伊地知先輩!私見たい映画DVDとか持ってきました!」
「うむ!でかした喜多ちゃん!」
「私もオススメDVDと。ぼっちんちゲーム機ある?格ゲーいくつか持ってきた」
「あ、このゲーム機だったら私んち、あります…!」
「ほう、リョウ!この間私にボッコボコにやられたのにまだ懲りてないんだ!今日こそ格の違いを分からせてあげるよ!」
「それはコチラの台詞だよ虹夏…!何時までも私がおんなじ位置にいると思うなよ…!勝負だ!」
「おっ!?このゲームなら私もかなり鳴らしましたよ!まさか腕を試せる機会が来ようとは…!」
うんうん!盛り上がってきたね!そしたらば!
「んじゃ行こう皆!ぼっちちゃん!今日一日お世話になるね!」
「は、はい!よろしくお願いします!」
そう言うや否や私達は横浜方面の列車に乗り込み、金沢八景を一路、目指す。初めて行くな金沢八景!何があるんだろ!
下北沢から電車で揺られること大体一時間と半。
電車のアナウンスが告げる通り、私達はそろそろ金沢八景へと降り立とうとしていた。
お久し振りね!金沢八景!
実は闇雲にギターヒーローさんを探していた時期に来たことがある。言ったら多分ストーカー疑惑をかけられつつ引かれるので言わないが。
ここできくりさんを介抱して縁持ったんだよな。懐かしいなあ…。そういや、きくりさんのホームタウンは新宿のはず。なんだって金沢八景なんかにいたのか?酔っ払いの行動原理は謎である。
「あっ、私の家、コチラです…。皆さん、後ろについて来て下さい…」
駅前をひとりさんが先導して歩き出す。既に日は沈みかけ。名残惜しそうに地平線から僅かに漏れる真っ赤な灯りが金沢八景の駅前を照らしていた。少し体感の気温も下がり、ふわっと潮の香りを残した湿気混じりの風がほっぺたを撫でていく。爽やかで心地が良い。
「わっー!綺麗な駅だねぼっちちゃん!」
「ホントですね伊地知先輩!何かモノレールみたいなのも連なっていますよ?」
「あれ多分八景島シーパラダイス行くやつ。この近くにあった筈」
「きゃっー!先輩物知りー!」
楽しげに会話を交わしながら閑静な住宅街を行く。金沢八景。歌川広重なる偉い人に美しい風景八つを選んでもらってその名が付いたんだっけ?確かそんな由来だった気がする。
干潟が特に綺麗と評価されていたみたいだけど、最近は埋め立てられたりなんだったりと大変らしい。世知辛いわね。
ひとりさんの先導に従い歩き、ものの十分程。後藤と表札が書かれた一軒家の前でひとりさんが止まる。
「あ…。そしたらこちらです。皆さん…どうぞ…!」
「はーい!お邪魔しますぼっちちゃん!」
こころなしか少しワクワクしているような声色のひとりさんが玄関を開けてくださる。…いよいよだ。私のカリスマ。ギターヒーローさんが生まれ育った家!産み落とされたご両親!そして家族構成!謎に満ちたひとりさんの生態を、解き明かす時が来たのだ!私は人知れず気合を入れ直した!
まずは玄関が私達を迎えてくださる。当たり前だが。しかし、流石はギターヒーローさん!何かありふれた玄関って感じの中にも溢れ出るカリスマが…!そんな事を考えていると、玄関横の廊下から小さな影が二つ、飛び出して来る。
「おかえり!おねーちゃん!その人達がおかーさんが言ってた初めてのお友達?」
わふっ!
し、柴犬と、み、ミニひとりさん。ミニひとりさんだ。
ひとりさんの背をそのまんま縮めて髪を短くしたみたいな。
桃髪にショートヘア。ターコイズの瞳と完全にひとりさんの特徴を受け継いだ、ミニひとりさんが私たちを出迎えてくれた。
「ふ、ふふふふたり!?な、なんで!?お母さんたちは…?」
「ゆうはんのお買い物に行ったよ!みなさん!とおいところをよおこそ、お越しくださいました!おねーちゃんの妹の後藤ふたりと申します!こっちの犬は、ジミヘン」
そう言ってミニひとりさんこと、ふたりちゃんは頭を下げる。か、かかかかかかかんわいい…!!!な、なんて利発なお子様…!
「か!かわいい〜!!ぼっちちゃんそっくり〜!!よろしくね!私は、伊地知虹夏って言います!」
「ほんと!かわいいですね!ふたりちゃん!私は喜多って言います!よろしくね!」
「虹夏ちゃんに喜多ちゃん!げんかんさきではなんです!どうぞお上がりください!ほらおねえちゃんもたもたしないの!」
「うええ!?我が妹すごく気が利く…!あ、じゃあ皆さん…!私の部屋二階なんでテキトーにくつろいでいてください…!後で麦茶持っていきます…!」
「ぼっち。キンキンに冷えたやつね。喉カラカラ」
「あっはい!」
「図々しいわ!」
こうしてひとりさんに促され、私達は二階にあるというひとりさんの部屋に向かった。
恐らくはココであろうという襖の前に立ち、横にスライドさせると、純和風の畳敷きの部屋が姿を現す。
…見たところ、音楽関連の機材やら動画編集用の何かやらは見当たらない。何処かにしまっているのだろうか。
…それにしても、殺風景すぎる。およそ現役女子高生の部屋と言っても誰も信じないだろう。
流石我が師ギターヒーローさん。音楽以外のことには興味が湧かないのだ。解釈一致で〜す!
「あっ皆さんオマタセシマシタ…!げ、ゲーム機お持ちしました…!」
「麦茶もあるよー!!」
暫くすると襖を開けて、後藤姉妹が入ってくる。…どうやら、遊ぶ準備は整っちゃったみたいですね。
「よしじゃあまずはゲームでもやろっか!この場の格ゲー最強でも決めよう!」
おおーっ!!と。盛り上がりまずはゲーム大会がスタートするのだった。
無駄だっ!ふんっ!どおしたぁ!!
ずばあん!がっどしゃあっ!
「はっ…!やっ!たぁっ!」
「あっ、やっ、くぅ…!?ひ、ひとりちゃん…強い…!」
「おーすごいおねえちゃん!かっこいい!」
「え、えへへ〜、わ、私…!結構強い…!?き、喜多ちゃん…覚悟…!!」
「や、やだっ!こないでっ!」
かちかちっ!ビカッ!喰らいやがれぇ!!ぼばーん!!
「ぴぃぃぃやあっ!?」
あ、直撃。何気に出した喜多さんの超秘がひとりさんに直撃した。勝負アリ。
「あ、ああああああ〜」
「えっ…?な、なに、なにが起きたの…!?」
自分でも分かってないんかい。よく超秘出せたな。素人とは時に途方もない力を出すから恐ろしい。…コレでこの場のドベは決まった。
「うう〜。ひ、酷い喜多ちゃん…。力を隠してましたね…!わ、私をヌカ喜びさせて最後に勝ちをさらっていっちゃう作戦だまんまとはめられました…!」
「わ、分かんないわよ私だって…え?勝ったの?や、やったわ!」
「も〜う、おねえちゃん、つめがあまいんだから〜。あ、もしかしておねえちゃん。喜多ちゃんにはな、もたせてあげたんだ〜やさし〜」
「えっ!?そうなのひとりちゃん!?」
「え!?え、えへへへ〜ば、バレましたぁ?」
聞いてて口角が上がりそうな和やかな会話が展開される。だが、お遊びはココまで。
「さてと虹夏。次は私達。ちゃんと言い訳はダース単位で用意した?」
「そっちこそ。勝てると思ってるの?その甘い考えにおハーブ生えちゃうよ。前とおんなじように完膚なきまで叩きのめしてあげる!」
この二人はどうやら経験者らしいからな。私と戦えるとしたらこの二人のうちどちらかだろう。お手並み…拝見!
トゥーイージー!!烈風ケーン!レイジングストーム!!
「甘いっ!!」
だっ!調子に乗るなよ!ガツンガツン!動くなっ!!てめぇっ…!調子こいてるんじゃねえぞコラァ!!
「だっ!?くっそ!虹夏…!相変わらず、やる!」
「さっさと降参しなリョウ!今の私なら小足すら見える!」
「まだまだ!」
流石にどちらも経験者。先程の初心者同士のドベ決定戦とはまるでレベルが違う戦いがそこに展開されていた。
「わ、わ〜凄い…!凄すぎてどこが凄いのかもはや分からないわ…!」
いつの間にかふたりちゃんを後ろから抱きしめて膝の上に乗せている喜多さんがそんな言葉を漏らす。
「思い上がって申し訳ありません私など井の中の蛙でした…」
レベルの高い戦いを前に僅かな自信が砕け散った様子のひとりさん。…まあ経験者の私なら何が起きてるのか分かるけど、初心者さんからしたら起こってる事を把握するのすら困難でしょうね。
ダッシュで、ジャンプで。移動技で、飛び道具で。相手や自分の間合いを自在に動かし、互いに主導権を握らせない。高いレベルで拮抗したやり取りはまるで、真剣での斬り合いのような。どちらが先に致命の一撃を相手に突き入れるか。そんな戦いと化していた。だが。永遠に続くかと思われたその打ち合いも。終わりは唐突に訪れる。
「あっ」
私は思わず声を漏らした。恐らく伊地知先輩がダッシュを牽制しようと置いておいた通常技。それをリョウ先輩はすんでのところで立ち止まって避ける。目測を誤ったのか、それともかみ合わなかったか。兎に角。伊地知先輩は技を空振りし一瞬の隙を晒した。
「しまっ…!!!」
「もらったぁ!!!」
見せてやるっ!!草薙の拳をっ!!!
このままでは終わらんぞ〜!
決着だ。リョウ先輩の勝ちだ!
「だ〜クソ!!まさかあそこで差し返して来るとは!」
「今回は私の勝ちだね虹夏。まあ…何時でも来なよ?リベ〜ンジ?」
「くっ、くっそ〜!調子に乗り腐って〜!」
これで。シードである私との戦いの相手は決まったわけだ。勝ったほうが今回のトップだ。
「さてと…最後はお前が相手か此方…。果たして私を楽しませることが出来るかな?」
「ふっ…。リョウ先輩。負けても悔やむことはありませんよ?私が強すぎるだけの話ですから」
互いに軽口を叩き合いながら、リョウ先輩の実力を見定める。伊地知先輩を破ったその実力。大したものですが、私には及びませんよ。私の八神流古武術の前に散りなさい。
「す、すごい…!ふたりのかっこいいおねーちゃんどっちが勝つの?お姉ちゃん?」
「うええ?いや、もうよく分かんないよふたり…。あの人たちの実力は私の理解をとっくに超えちゃってるもん…」
「何かドラゴンボールの登場人物みたいな台詞だねぼっちちゃん。…ん〜。多分リョウの方が強いとは思うけど…。私達の戦いを見て尚あの余裕なんだよねこなちゃんは…。そこが少し不気味…かな…」
「な、なんか盛り上がってきましたね!決勝って感じ!」
かつてないほどの盛り上がりを見せる、突如開かれた女子高生だらけの格ゲートーナメント。だが、一方その頃!
「…およ。確かに女の子の靴が、ひいふう…。四人分。よかったイマジナリーフレンドって訳じゃないらしいな」
「またまた。パパったらそんな訳無いでしょう?…って一概に否定できないところが、私達の娘の悲しいところよね…」
玄関にて買い物袋を両の手に下げつつ会話を交わす謎の男女。果たして彼らの正体は!?
「取り敢えず良かったなぁ。ひとりの奴。よしっ。この父が今行って、爆笑の挨拶をかましてやる」
「も〜う。お友達同士で楽しんでいるんだから邪魔しないの。…なんてつまらないこと、私言わないわ〜。今行きましょさあ行きましょう〜」
次回、後藤家、襲来!
デュエル、スタンバイ!!
下北沢って本当に偉大な街ですよね。
今まで数多の若者たちが、街路樹のように夢を灯してきたこの街を、私は素直に称賛したいです。
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