【完結】女子高生ギタリストはギターヒーローの夢を見るか!? 作:はま0821
黒井ツインズ 情報
姉貴 黒井此方
身長160 体重はシークレット。
中学生の頃ギターを始めた際に自分とおんなじくらいに動画を上げ始めたギターヒーローに興味を抱く。以来とんでもないスピードで成長するギターヒーローに憧れにも似た感情を抱き、置いて行かれないように。負けないように自分を磨き続けた。だからなのか、ギターヒーローに崇拝にも似た感情を持っている。自分はまだ何者でもないから、カッコだけはつけておこうと、右腕にはタトゥーと左耳にピアスで自分を飾り付けている(両方剥がしたり外したりできる偽物だが)
黒髪を腰まで伸ばした、下北沢高校の一年女子。
弟 黒井彼方
身長172 体重60キロ
秀華高に通う此方の双子の弟。顔のパーツは姉貴と同じで、ウィッグを付けてしまうとマジで姉貴と見分けがつかない。姉弟そろってかなりの美形。茶髪で右耳にピアス(穴開けなくていいヤツ)
音楽に対しては非凡な才を発揮する。意外と姉思いで事あるごとに向こう見ずで出たとこ勝負な姉を心配して色々世話を焼くできた弟である。
ココはとあるファストフード店のカウンター席の一角。私はついに見つけたギターヒーローさん好きの同好の士である、音楽ライターさんと、ギターヒーローさんの正体について語り合っていた。
「う〜ん。流石に何処の誰なのかは私も分からないわ」
「がーん。や、やっぱりですか……」
やはりそんなに現実は甘くない。……ええと。この人。ぽいずんやみさん。私と同じくギターヒーローさんのファンだそうだが、またしても私と同じく。本人に会って取材してみたいが、連絡先が分からないので会いようがない。という状態みたいだ。
「う〜ん。会いたい……。ギターヒーローさん。会ってバンド組んでみたい……」
思わずそんな自分勝手な欲望が口をついて出る。するとその言葉にぽいずんさんが反応し。
「へえ。貴女はギターヒーローさんとバンド組みたいんだ。見ればギグバッグ背負ってるみたいだけど貴女もギター弾くの?」
「……はい。私、ギターヒーローさんに憧れてて。諦めずに頑張り続けていれば、上手くなれるって。ギターヒーローさんに教えてもらった気がして。私も負けないようにいっぱい練習しました。いつかもしギターヒーローさんに会えた時、恥ずかしくないように。並び立てるようなギタリストになるために」
「なるほどね〜。憧れの存在ってやつなんだ」
「! はい!! ギターヒーローさんは凄いんです! 私はギターヒーローさんの凄さをもっと世界の人に知らしめたい……! 私は加護を得ました!! 今度は私はこのギターヒーローさんの加護を広めてゆく……!! そういう役割だと思ってます!!」
「ふふふ……! 途中ちょっと怪しい事言ってたけど、あんた、見る目あるわよ! ……いつか、コレ以外に手掛かりがなくなったときに頼ろうと思ってたとっておきのネタがあるのだけど……貴女にも共有するわ! 私たちは同じく! ギターヒーローさんを愛する仲間だから!」
あん? 見る目がある? 何だこの女マウントとっとんのか? ギターヒーローさんのチャンネル登録者数が一桁の時から見ている古参ファンのこの私に向かって! などと一瞬思うが、とっておきのネタ! その響きに私は飛び付く!
「どっどんな!? どんなネタなんですかぽいずんさん!! もったいぶらずに教えてくださいよ!!」
「ふふふ……まあ焦りなさんな……! ええと確かこの動画の……ココだ。ココを見て!」
そう言ってぽいずんさんが画面を指で指し示す。それは、ギターヒーローさんの動画にたまに映り込んでる本棚……。その中の一冊。
「私の独自の技術でその画像を引き伸ばして明るくしてみたの。そしたら多分その本……帯に『金沢図書館』って書いてあるわ。もしその本をそこから借りたんなら、ギターヒーローさんはその周辺の住民の可能性が高い!!」
ズビシィっとぽいずんさんが指摘する! 私が肉眼で見てもボヤけてしまって分からないが、なるほど凄い!! 探偵みたいだ!!
「す、凄い!! ぽいずんさん凄いです!」
「もちろん手掛かりとしちゃ弱いけど、何もないよりマシでしょ? ……もし、ギターヒーローさんに会えたら連絡頂戴。私も取材したいから」
「わ、分かりました! 必ず連絡します!」
こうして私は有力な手掛かりを掴み、ぽいずんさんと連絡先を交換してその場を後にした。……金沢図書館。最寄りの駅は金沢文庫か? もしくは金沢八景か!? その近くの住民さんの可能性が高い。ギターヒーローさんを探し始めてから初かもしれない具体的な情報に私は狂喜乱舞した! や、やったやった!! もしかしたら、ホントに会えるかも!?
「姉貴ー。なんか随分機嫌がいいじゃん? 見つかったの? 一年くらい前から探してる、ギタリストオーチューバー」
所が変わってここは私の自宅。下北沢の家賃五万のボロアパート。後ろで座りながらテレビを見ている弟に話し掛けられる。今日は私が料理番なので、弟の分まで夕餉の準備だ。献立は、肉野菜炒めに中華スープ。主材料もやしだから安上がりなのよ。
「見つかってはいないけど有力な情報は手にしたわ……! やはり捜索とは数よね……! 一人より二人よ……!!」
「へえ〜、凄えな、手掛かりピンクジャージと桃色の髪ってだけだろ? 姉貴の嗅覚半端じゃねえな」
「人を犬かなんかみたいに。あんたのところはどうなのよ? 秀華高。ソレらしい人居た?」
「……いや。入学式んときに周り見渡してみたけどソレらしいのは……。まあまだ全部のクラス、見れたわけじゃないけど……」
「引き続き頼むわよ。お姉さん明日は金沢八景駅に行ってくるわ。愛しのギターヒーロー様がそこにいらっしゃるのかも!?」
「明日って。姉貴。学校はどうすんだよ?」
「サボる」
「ロックが過ぎるだろ……親父とお袋が泣くぞ」
「いいのよ別に。いい子ちゃんの役はアンタがやりなさい彼方。私には目的があるの! 大いなる目的が!!」
「大変な姉貴をもっちまった……」
ガックリと項垂れる弟を横目に見ながら、初めて行く金沢八景に思いを馳せる。なんか干潟が綺麗らしいけど、それだけしか知らないわね。大分捜索範囲が絞られたが、それでもまだ広い。広すぎる。だが、ギターヒーローさんを捜索し始めてから初めての有力な情報。根拠が非常に弱い希望だが私の胸は否応なく躍っていた!
思い立ったが吉日、なる言葉がある。不覚にも一日置いてしまったが、私にも生活ってやつがある。なるべく早く動いたほうがいいよ、的な意味に意訳してしまおう。ほかには……何があったかな?
早起きは三文の徳? いやいや意味違うな。鉄は熱いうちに打て。うんコレはあってる。果報は寝て待て? 馬鹿の考えね。果報が寝こけているのなら私が叩き起こしに行ったげるわ。そんな事を考えていると約二時間。下北沢からの電車旅の移動時間も気にならない。あっという間にその金沢八景駅だ。
今日の私には作戦がある! 名付けて、駅にベッタリ張り込み作戦! 金沢八景の周りに住んでいるのなら、学校に行くにしても働きに行くにしても友達と遊びに行くにしても! 必ずこの駅を通らにゃならんはず! ピンク髪のピンクジャージ上下の特徴だらけの女の子なんてね! 見逃すこともない! まあ。冷静に考えたら普段着ピンクジャージじゃなかったり。何だったら金沢文庫駅の方の住人だったり。ネガティブに考えれば止まらないわけだが! もういい考えるな!! 見つけるんだそれだけに集中するんだ!! そう自分に言い聞かせて駅前に降り立つ!!
……分かっちゃいたけど広い!! 駅前だけでも到底ケアできないぐらいに! ……まあでも根気よ。こっから先は。ここで目を光らせておけば、必ずギターヒーローさんは通る。もはやそれを祈るしかない! 信じる!! しかない!!
そう考えながら駅前を歩いていると、グニリと。何かにけっ躓いた! うおう!? な、なに!? 私は運動神経割と良い方! 何にもないとこで躓きなんかせんはず!? 何だ! 石や地面にしては柔らかかったような……!? そう思い、バランスを立て直したあと躓いた場所を確認するように一度目をやる。
……ひと。人だ。小豆色の髪をして、グリーンのワンピースを着込んだお姉さんが、道すがらにブッ倒れていた。いやいやいや。いや。なんじゃこれ!? なんじゃあこれ!!??
ぽいずんやみさん。実は主人公のことを体よく利用してます。いくら金沢図書館の本があったからといって、それだけで金沢八景駅でピンクジャージを探し当てるのは至難の業。元気だけはありそうな主人公を利用して、あわよくば。という狙いが見え見えであります!