女子高生ギタリストはギターヒーローの夢を見るか!? 作:はま0821
ここまできたら前置きは不要かな。
出来れば私はワタシを塗り替えたい。
かつて暗い夜の隅で、モニター越しに出会ったギターヒーローさんのように。
未知の道を両腕だけで切り開き、進み続ける彼方のように。
自分の意思で進み続けて、何者かになって。
そして、何者かになれたなら、私は、やりたいことがあるんだ。
ひとりさん。ここまで私を連れてきてくれた、気弱で引っ込み思案だけど、誰かに愛されたくて一途にギターの腕を磨き続けた、私のスーパーヒーロー。
そのひとりさんが、そして私が。愛してやまない、結束バンドの皆。伊地知虹夏さんに、山田リョウさん、喜多郁代さん。
私は返したい。
ひとりさんの夢が、彼女たちの夢を守ることだと仰るのなら。
そして、なによりも。彼女たちが負けて俯く姿を、もう見たくないから。
…ならば後は、私の全てを尽くすだけ。
「…す、凄え。今の10代ってレベル高いんだな…!」
「ホントね〜あなたが引退した時よりも上手いかもよ〜?」
「か、勘弁してくれよ母さん…」
口ではそう返しつつもさもありなん。と後藤直樹は考える。
(トップバッターのケモノリア?って子たちも上手かったけど、二番手のシデロス。圧倒的なパフォーマンスだったな。並び立つことすら許さないって程の気迫と自信が滲み出た演奏だった。客席で聴いてるだけなのに少し気圧される程の。完全に会場の空気攫ってった)
(そんでその空気をぬるっと攫い返してったのが四獣相?ってバンドか。暴風みたいな演奏で会場全体ロックに染まりきってたとこにアコギとキーボード主体のバラードで再び会場の耳を奪い返した。次どんな激しいのが来るんだろう?ってとこにバラードぶち込む選曲も見事。クオリティといい大分戦い慣れたバンドなんだろうな…!)
(図抜けてるのはこの二組かな…。なんてレベル…!俺が現役の頃もこんなレベルの凌ぎ合いはなかったかも…!)
「か、勝てるのか…!?ひとり…!」
気付かず漏れた独り言。コツンと足元に可愛らしい打撃。
「勝ちます!追い詰められたおねーちゃんはね!凄いんだから!」
「そうよ〜あなた!私たちが諦めてどうするのよ〜!」
「…ひとりは戦おうとしてる。あんな明るいところで。暗い押し入れに閉じ籠もってひとりぼっちだったあの子が。それなら、他の誰も信じてなくても、私たちぐらいは信じてあげなきゃ!」
「…ああ!そうだな!!」
美智代とふたりの言葉に力強く返し、直樹は下げかけていたメッセージが書かれたタオルを再び掲げた。
「「「頑張れ!!ひとり!!」」おねーちゃん!!!」
客席から聞こえる他バンドたちの好き勝手な品評。でも耳に入ってはいても心にはまるで届かない。
…冷たい。自覚できるほど指先は冷たいのに、頭の中は熱を帯びている。だがしかし茹だっているという訳ではなく、むしろ冷静に、吐き出す場所を求めて疼いている。まるで私の背中に冷静なもう一人の私がいて、操り糸で動かしているかのよう。
得てして、こういう時はいい演奏が出来るものだ。己の中のロックを飼い慣らして。冷静と情熱のあいだで乗りこなす!
息を吸い込み、熱を乗せてゆっくりと吐き出すと、私は周りを見た。
ひとりさんが振り返りながらにへらとこちらに指が曲がったピースをくれる。青ざめた顔と冷や汗を隠そうともしないのは、私たちがそれがホントのひとりさんだと知ってるから。
最前列に立ち、熱心にチューニングを確認する背中に目をやる。すると視線に気付いたのか、喜多さんは少し振り返って背中越しにこちらを見た。その目からは僅かな不安と、このステージに懸ける覚悟、そして自信が、ハッキリと見て取れた。
喜多さん。貴女は凄いわね。自分に厳しい貴女がそこまでの心理状態に至るまで、練習したのよね。
暫くその瞳を見つめていると、弾けるような笑顔とサムズアップを返してくれる。それに控えめに返しながら。
負けてらんない。私だって。
ゆっくりと振り返ると、ベースの弦に目を落としていた青髪の麗人が顔を上げる。リョウ先輩は私と視線を合わせると、指で拳銃を作って私を撃つ動作をする。私はその玉を受け止めるイメージで親指を立てた。満足気にそれを見たリョウ先輩は、それきり視線を外して観客席の方を見た。
その隣のドラムセットの中心に座する、我がバンドの大黒柱。クルクルっとスティックを弄んで笑顔と共にコチラに向けるその様は、プレッシャーなどとは無縁に感じられた。むしろコチラを気遣う余裕すら感じる。
流石、伊地知先輩。
…きっと出来る。この仲間たちとならやれる。
勝ちたい。そりゃそうだ。それが出来たら最高だ。
でも先ずは、この五人で作り上げてきたもの全て。
余す所なく全部、このステージに置いてこよう。
弾かれたように私は顔を上げる。それが合図。
伊地知先輩のハイハットと共に、私たちは駆け出した。
曲は、グルーミーグッドバイ。
開幕とともにひとりさんのギターが高音で暴れ回る。同時に僅かに観客がざわつく。
そんなのはお構いなしにリョウ先輩と伊地知先輩がリズムの素地を広げ、そこに私がギターを刻み込んでいく。そうして作り上げた下地に喜多さんが力強い歌声を添えた。
遠くに声を放り投げるように、お腹から押し出すように歌う。きくりさんの教えよね、喜多さん。
客席の隅々まで響くように歌う喜多さん。私は少しだけ、ひとりさんが書き上げたこの歌詞に思いを巡らせる。
ひとりさんが珍しく、人と人との距離を書いた。取りようによっては恋愛の。もちろん自分自身の葛藤を書いた、いつものひとりさんの歌詞ともどちらとも取れる。さり気なくダブルミーニングにしてくる辺りにひとりさんの作詞家としての成長が垣間見れた。
…大事な人が、遠くに行ってしまって。何もできなくて、その人といた時のことを思い返しながら、その時の行動をなぞる。カフェに行ったり、映画を見たり。
でもその度に、どうしようもないほど思い知る。
貴方はもういないんだと。
泣き出しそうなほど寂しい歌詞なのに、リョウ先輩の曲は。まるでそれを感じさせない。アップテンポでただひたすら前に。前にと背中を押すような。多分、今ライブで聴いてもらっているこの曲の印象と、歌詞カードを眺めて得る印象はまるで違うものなんだろう。
不思議な曲。私は二人が悩みに悩み抜いて作ったこの曲と歌詞が好きだ。
惨めでぐずぐすなのに明るくて。泣きながら笑っているかのような。
まるで、真夏の夕暮れみたいなそんな曲。
喜多さんが体全体でリズムを取るように歌う。私たちもそれに合わせ、喜多さんのリズムに全員で合わせて。
ドラムが爆ぜ、ベースが跳ね!ギターが劈く!
弾かれるように弦を鳴らし、私は少しだけステージの横に捌ける。私の出番は今しばらくお休み。それはボーカルの喜多さんも一緒。これからは、リードギターの時間だ。
伊地知先輩がひとりさんと視線を交換。叩き付ける低音に合わせるように、ひとりさんのギターが前に出た。瞬間、私は心で叫んだ。
…行け!ギターヒーロー!!!!!
ひとりさんのギターソロ。伊地知先輩は口角を上げながらも一定のリズムを保ち、リョウ先輩もそれに追従。それ以外には何もせず、猫背の虎は伏したまま暴れ回る!!
「うおおおっ!!?」
「速え!?」
指はまるで別の生き物のように弦の上を跳ね回り、その度にアンプは吐き出す音を変える。エフェクターで自在に音階を操るその背中は、私がかつて憧れたヒーローの姿と完全にダブって見えた。当たり前か、本人なのだもの!!
私は、顔を伏し、観客席を見ないまま髪を振り乱してギターを掻き鳴らすひとりさんを、思わず指を指して客席を見た。
どうだ。凄いだろ。ギターヒーロー。後藤ひとりさんって言うんだぞ。
もちろん、ヒーローの正体をバラすなどと無粋な真似はしたくないから心の中で呟くだけだが。
「…ちっ。やりやがるな…!!」
「あのピンクジャージの人、前も上手いと思ったけど…ここまで上手いんだ。此方さんだけのチームじゃないね」
「流石、ギターヒーローなんて名乗るだけのことはあるってことか…!」
紫スーツは悔しそうに歯噛みする。
「…後藤ひとりだけじゃない。バンドの全員が、進化してるわ。地道な練習を、一日一日積んできたってことね…。それでこそよ!我がライバルに相応しいわ!」
「嬉しそっすね。ヨヨコ先輩!」
「まぁね!勝利を譲る気は毛頭ないけど!」
コチラはシデロスのあくびとヨヨコ。紫スーツとは対象的に、少し嬉しそうに話すのだった。
ソロも終わりに近付き、私はリョウ先輩と伊地知先輩と視線を交わして演奏に舞い戻る。それと同時に弾ききったひとりさんが、汗まみれの顔をようやく上げた。客席のボルテージもそれに合わせて青天井式に上がっていく!!
喜多さんが改めて歌い出し、ひとりさんのギターもその歌声に追従する。まるでボーカルが二人いるみたいだ。ひとりさんの表情豊かな音色だからできる芸当だ。
ああ。ヤダよ。もう、終わり?
終わらないでよ。
まだ演ってたいんだ。
皆で。このステージで。
お願いだよ、神様。
私なんかどうなったっていいよ。
皆を、勝たせて。
そのためだったら。
私…なんだってするから!!!
私の胸裏を知ってか知らずか、クライマックスに向けて喜多さんのボルテージも上がる。再び体全体でリズムを取り歌詞を吐き出していく喜多さんを四人全員で一塊になってサポートする。叩き付けて、爪弾いて、刻み付けて歌い!一つのグルーヴに纏め上げる!
「また会えるよね!!!!」
指を天に指し示しながら歌う喜多さんの背中を確認し、全員と最後の視線交換。喜多さんもそれを見て頷いた後、最後の歌詞を叫んだ。
「ねっ!!!!」
その言葉を合図に、弦にピックを、ドラムにバチを振り下ろす。練習通りにハマった音は一糸乱れず、フロア中に爆音を轟かせた。
最早、息も絶え絶え。たった一曲だというのに、全力を使ってしまった。心臓が激しく脈打ち、汗も止まらない。
でも、出し切った。やり切った。
すると、おもむろに喜多さんが振り返る。喜多さんの表情は私とよく似ていたと思う。出し切って、中には何も残っていないのに、沸々沸々沸いてくる不思議な気持ち。そんな似たような表情を浮かべた五人がステージの中央、円になって集まる。
気付けば私たちは手を高く掲げて繋ぎ合っていた。それと同時に。
わああああああっ!!!!!!!!
音を置いてきてしまったかのように静まり返ったフロアが息を吹き返した!!
「おいおいおいおいおいおい!!!!どーなってんだよこれ!?!?」
「レベル高すぎんだろ!!」
「最早何処が勝つか見当もつかねえよ!?」
響く称賛の声。その声はなんだか遠い世界のことのように感じられた。私は実感が欲しくなって、握っていたひとりさんの手を揉む。するとひとりさんはこちらに顔を向け少し照れくさそうに。
「へ、へへ…。や、やったね黒井ちゃん…!」
ひとりさんのその表情を見た途端、頭の中で何かが弾けた。
「わ、わわっ!?黒井ちゃん!?」
気付けば私は、ひとりさんに抱きついていた。
「…っ!!ギ、ギターヒーローさん…。わ、私、上手く出来たよ…!!ほ、褒めて…!!」
「ええっ!?あ、は、はい。よ、よく出来ました〜。い、いい子、いい子…」
頭にひとりさんのぬくもり。甘くくすぐるような匂い。柔らかい感触。
…ヤバい。泣きそう。
「む〜!黒井さんズルい…!私もやってもらいたい…!」
「なら私がやったろう!!喜多ちゃん凄い!!自慢の後輩たちだよ!!」
「わわっ!?伊地知先輩!」
「ほらリョウも!!嬉しそうにしろって!やったんだよ私たち!!」
「…うん。いい演奏、出来たよね」
「もー!クールだなも少し喜びなよー!!」
「いや私まで喜んでたら収拾つかないし」
「つかなくていーよそんなん!!」
ステージの上で感情を爆発させる結束バンドに惜しみない拍手が送られる。
「…コレにて全バンドの演奏が終わったな!!皆素晴らしいパフォーマンスだったぜ!!こんなかから二組しか選べないのは心苦しい限りだ!!んじゃ我々審査員は厳正な審査に移る!!各バンドの皆はもう少しそこで待機しててくれ!!」
司会者のその言葉と共にフロアの照明がつき、客席のライバルバンドたちの顔が目に入る。
「お疲れー!!結束バンド〜!」
「いい演奏だったぞ〜!」
今だにまばらな拍手を送ってくれるライバルたちを見ながら私は、いつかのきくりさんの言葉を思い返していた。
「ずびっ。あ〜ちくしょ。年取ると色々緩くなっていかんな〜」
「…いい演奏だったわね。結束バンドも。皆も」
客席の最後尾。ステージから少し照れくさそうに降りる結束バンドを見ながら言葉を交わす二つの影。
「やだよも〜。あたし帰ろっかな。どんな結末になっても絶対泣いちゃうもん。確定演出だよ海◯語のリーチだよ〜」
「それはほぼ確定ね。…貴女は残ったげなさいきくり。見届ける人も必要だから。たとえどんな結果でも。んじゃ私も行ってくるわ。審査員だからね」
「…うん。いってらっしゃい。銀ちゃん」
一つの影を残し、足早にバックヤードへ向かう。その刹那、彼はフロアのバンドマンたちを一瞥し。
(勝負は残酷。だからこそ、美しい。全員勝たせてあげたいけどね、ホントは)
そう思考した。
「お、お疲れ!結束バンド!」
私たちがステージを降りると真っ先に掛けられた声。ヨヨコと、シデロスの面々である。
「…はあ!?」
「な、なによ!?なんか文句あんの!?」
「い、いや…!あ、アンタ、そんな事言うタイプじゃないじゃん!?」
私がそう返すとヨヨコは顔を真っ赤にしてシデロスの仲間たちを振り返る。
「…!…!!」
「頑張ってくださいヨヨコ先輩。私たち後ろにいますから」
「頑張れ〜」
「ふふっ。頑張ってヨヨコ先輩!」
「…!う〜っ!」
そう仲間に背を押されたヨヨコは再び私に向き直る。…なんだ、何を言いたいんだ?
「…く、黒井此方。結束バンド。勝敗が決まったら、言えなくなっちゃうと思うの。だから今。コレだけ言わせて。…すごくいい演奏だったわ。胸が熱くなった」
「…え…?」
「私たちのライバルに、…な、なってくれてありがとう。たとえ今日がどんな結果だったとしても…、ま、また、た、戦ってくれる…?」
ぶん殴られたような衝撃。言葉は理解できる。だが意味が頭に落ちてこない。なんだ、私は何を言われた?
思わず呆ける私の背中に鋭い衝撃。リョウ先輩に勢い良く背中を張られていた。
「…認められたじゃん。此方」
「は、あ、え?」
「だ、だから!!また戦って!ってのよ!!ハイ言った!もう言わない!絶対に言わないわよ!!」
視界に入るのは真っ赤なヨヨコを茶化しまくるシデロスの面々。
…そして、頭を乱雑に撫でつけられる感覚。指で背中をツンツンされる感覚。肩を揉みほぐされる感覚。…ヨヨコ。
「い、言われなくても。私は諦めるつもりはないわよ!いつか絶対アンタに勝って私のこと認めさせるんだから!その目標は今も変わってないわよ!」
「だから認めたっつってんでしょ猪突猛進もいい加減にしなさいよ!あんな恥ずかしいこと二度と言ってやんないんだからね!?」
「うるさいアンタに認めてもらっても私が自分のこと認められるまで戦いは終わらないのよ私が完全勝利するまで付き合ってもらうわよ!!」
「そんな日は永遠に来ないわよアンタなんかが私に適うわけないでしょ!?」
いつも通りの雰囲気に戻ってギャースカ言い合う二人。それを眺めながら虹夏はため息をつく。
「はあ〜。少しは良い雰囲気になったかと思ったのに!台無しだよ!」
「くっくっく。いや虹夏。あの二人はあれで良いんだよ」
「そ、そうなんですか!?い、いや、そうかも…!」
「ひとりちゃん!喧嘩するほどなんとやら!よ!きっと!」
少し呆れ混じりに言い合う二人を見守る結束バンドに、もう一つ、話し掛ける影があった。
「…お疲れさん。結束バンド」
「あ、貴方は…!し、四獣相の…!」
「ドーケシだ。覚えててくれたか?ギターヒーローさん?」
四獣相と、そのバンドの面々だ。
「俺も、そこの跳ね返り女と同じだ。結果聞いたら言えなくなっちまうかもだから、今言いに来た」
その言葉を聞いてヨヨコが、誰が跳ね返りよ誰が!?と反論していたが、紫スーツの道化師は汗を一タラシしながらも続ける。
「今日は凄え楽しかった。競い甲斐のあるライバルが良い演奏してくれたお陰でな!今日まだどうなるかは分からないが、またやろうぜ!!」
相変わらずの白塗りなので表情が分かりにくいが、爽やかな笑顔で互いの健闘を称える。
「ゔっ!?あ、貴方そんな感じなんですか…!?わ、私の一番苦手な陽の気を纏っている…!!そんな変なカッコなのに…!!」
「んなっ!?カッコは関係ねえだろ!?」
突如放たれた陽の気に当てられて溶けかけるひとりをかばうように、虹夏が二人の間に立つ。
「あはは〜。ゴメンねドーケシくん!こんな子なんだよ〜、…それに、演奏のことなら、こちらこそだよ。相変わらず凄い技術だね」
一瞬どんな子だよ、と疑問を表情に出しかけるが、それを抑え、紫スーツは言葉を返す。
「いつもの俺なら当たり前だろ?なんて嘯くとこだが、今日は全員の演奏が良かった。勝敗は揺蕩ってる。…ありがとよ。素直に受け取っとくぜ」
「う、な、なんか前みたいに敵意剥き出しの時のほうがやりやすかったかも…!!」
「アンタラ俺のことなんだと思ってんの?」
「イカれ奇術師」
む、と。背中から投げ掛けられた言葉に振り返る。そこにはリョウがドーケシに指を差しながら立っていた。
「ていうか約束守れよ、ネット審査ドベ。負けたらその白塗り落とすんだろ?」
「うぐっ!?あ、あの〜その件は今日の結果で、ということでお願いできませんかね…?」
「コイツ演奏ハンパないくせに所々残念だよな…、誰かに似てる…」
「ぎくぎくぅ!?」
冷や汗を垂らすドーケシを白白とした目で見るヨヨコと此方。この二人はドーケシの正体を知っているため、何故わざわざバレそうになるような行動をとるのか?という視線だ。
「な〜んかどっかで見た顔なんだよな〜」
「あははそんないやいや…!ほ、ほら!リョウさん!は、発表!そろそろ発表だってばよ!」
「お前に名前呼び許してない。まあ、約束は守ってもらうぞ?同年代にこんな凄い奴らがいたの知らなかったのは不覚だからな」
「あ、私も興味ある!!君の正体!!」
「へ、へへ…。もしかして同じ高校だったり…」
(…。なんだろう。リョウ先輩じゃないけど、あの顔。あの声…。私絶対どっかで会ってる…知ってる…この人のこと)
(くっ!?なんでこんな勘鋭いんだギターヒーローめ!こんなかじゃ圧倒的に喜多さんが地雷だな俺の元の姿と普通に交友あるからな!!ま、まずいぜ…!!)
「なんでリーダーって正体隠す癖にバレそうになる行動を積極的にするのかね?」
「バカだからじゃない?」
「………………」はあ〜あ。
詰めてくる結束バンドの面々にしどろもどろになる紫スーツ。助けを求める視線を後ろの仲間たちに送ろうとした時に、ステージからの大音量でそれは遮られた。
「お待たせしたぜバンドの次世代を担う有精卵たち!!光という名の栄光あれば、その前に散る影もあり!!だが!ここでの結果が全てではないことを先に言い添えておくぜ!!たとえ今回駄目でも君たちはまだ若い!!先がある!!では発表させていただくぜ!!未確認ライオット第三次ライブ審査!!東京ステージを勝ち上がった、栄えあるバンドは…────」
もう少しで完結だ!!
頑張れ俺!!
後、高評価くれ!!
温度高めの感想なんかも嬉しいぜ!!