主人公恐怖症、主人公に付け狙われる。【ガラル編完結】 作:ドンカラス好き
セレビィが見つかるまで、というより身体が本調子になるまではしばらくは安静に、ということで、俺とビートとユウリさんとヒカリは、ヒカリが貰ったというシンオウ地方のリゾートエリアの別荘でシェアハウスをしています。
ビートは俺の監視、ヒカリは場所の提供という名目で謹慎場所をここにして、ユウリさんはなんか付いてきた、という感じです。
……ヒカリ、ちょっと力技すぎないか?
「ん? そういやユウリさん……ムゲンダイナ持ってよその地方行っちゃダメって言われてなかった?」
「ちょっとぐらいならバレません!」
「絶対バレるよ?」
無断なの? 怒られない?
「それにしても安静にっつっても暇だね〜、ちょっとくらいならどっか遊びにでも……」
「ここから一歩でも外出たら鎖に繋ぐわよ」
怖い。二人ともヤバい。
「そっ、そういえばここって家具は自分で買ったんでしょ? めちゃくちゃ高価そうだけど……」
慌てて話を方向転換させると、ヒカリが嬉しそうに食いついてきた。
「そりゃあね。最初はアンタを捕まえたらここで飼おうと思ってたから。高級品ばっかりよ」
「怖い怖い怖い本当にマジで怖いどういうこと? なんでそれを俺に普通のトーンで言えるの?」
自慢げに言っていいことじゃないよ! さっきの鎖うんぬんもガチなの!?
えっ、嘘……物陰に何か鈍く光るものが見える。冗談じゃない……?
「あっ、それで思い出した。そういえばアンタさー、トバリであたしと会った時のことは覚えてんの?」
「トバリ……? ごめん覚えてないわ」
トバリで会ってたの? 戦った3回は覚えてるんだけど……発電所とリッシ湖とテンガン山でしょ? トバリでエンカしてたか?
「あの時女装してたじゃない? もうしないの?」
「女装!?」
してないよ! え!? してたの!? 俺が!? 嘘だぁ!
「いやいやしてたわよ。写真見る?」
「写真まであんの!?」
うわ、してるぅ〜。えぇ? 当時の俺どうした? てか隠し撮りじゃんこれ。俺があん時カメラ嫌がってたの知っての狼藉じゃん。
つか俺結構女顔だったんだな……一瞬自分だとわかんなかったわ……なんかショック……
「あれすっごい似合ってたからまた見たいのよ」
「ストレートにきたね! 普通に嫌だよ!」
恥ずかしいからね! 多分そん時の俺も変装が目的でしょ! どうせマーズちゃんあたりの悪ノリと見た!
「え〜? こんなに用意してあったのに…… アンタ捕まえたら着せ替え楽しもうと思って……」
「これ犯人の自白と変わらんだろ! 誰か捕まえてくれ!」
うーわ! クローゼットから俺のサイズにぴったりの可愛い服がぼろぼろ出てきた! やべえこいつ!
「まぁいいからちょっと着てみなさいよ。絶対似合うから。遠慮しなくていいわよ」
「遠慮じゃないよぉ! なんでそんな女装させたがるの!?」
ねぇというかユウリさんとビートはなんでだんまりなの!? 助け舟出してよ! ……うわっ、ユウリさんは期待の眼差しでこっち見てる。ビートは巻き込まれないように雑誌読むフリして逃げてやがる。あの野郎……!
「いい? よく聞きなさいね」
「うん」
「アンタはね、顔も可愛い寄りだし、前の女装もとても似合ってた。ただね、服のセンスだけは微妙だったわ」
「知らんけど変装だっただろうからね。センス意味ないからね」
「おばか! おおありよ! もしもテンガン山で完璧にパーフェクトな女装をキメて来てたらあたしはメロメロになって負けてたわ。つまり女装はアンタにとっての最強の武器なのよ」
「……そうだったの? そんなに俺の女装に力が……?」
「いやそれで納得するの!? お兄さん流石にやばいですって! ちょろすぎですよ!」
あっ、黙ってことの成り行きを見守ってたユウリさんがついに声を。いや納得はしてないよ。してないけど確かにそん時ヒカリに見つかってんのに戦ってないんでしょ? 凄い成果ではあるんじゃないか……?
「………………分かった。いいよ」
「いいんですか!?」
「よっしゃっ、押しに弱いのは変わらないわね」
聞こえてんだよー。ちくしょう。でもヒカリの言うことは極力聞いてあげたいし……あとそんなにいっぱい服もったいない……
「でもそんな似合わないよ多分。俺男だもん」
「そんなことないと思います!」
「うわびっくりした」
急にユウリさんに詰め寄られた。怖いんだよ二人とも。勢いが凄え。勢いが。圧に負ける。
「お兄さんは絶大なポテンシャルを持っていると確信しています! 今までもかっこいい路線より可愛い路線が似合うと思ってました!」
「それちょっとお兄さん悲しいかな」
「ふん、あんたも分かってるじゃない」
「伊達にお兄さんの追っかけしながらリーグ制覇してませんからね」
意気投合してるね。良いね女の子二人は仲良さそうでね。男の子二人は裏切りが勃発してるのにね。
「ビート? そろそろ助けてくれないとお兄さん拗ねちゃうかもしれないよ?」
「結構乗り気じゃないですか。それに絶対にあの二人からあなたを助けるのは嫌です。あまりにもリスク。巻き込まれたくない」
本心が出たね。あと乗り気ではねーよ。……ねーよ?
*
「ぐうううう……! うううう……!」
「目線ください! 目線!」
「最高よ! 俯くのやめなさい? ……あ、いや、やめなくていいわ。ローアングルで恥ずかしがってる写真撮るから」
撮影会始まってんじゃねーよ! ふざけるなぁ! これなに!? 罰!? ヒカリに酷いことしたから俺はヒカリに酷いことされてるの!?
「それ! それがいいわ! その恥ずかしそうに俯いて、そう! 頼りないスカートを猫背になって押さえるその手! 完璧よ!」
「お兄さん! いや、お姉さんですねもはや! 次こっち着てもらっていいですか!? このフリフリのやつ!」
ヒカリとユウリさんがおかしくなっちゃったよ〜……
ダメだ! このままでは! 話を逸らして落ち着かせなくては……そうだ!
「そ、そういえばヒカリさぁ、昔は雪国とは思えない格好してたけど今はコート着てるんだね」
知らない服に変わってる。ピンク色でかわいい。ピンク色……うっ、頭がっ。
……あれ? 落ち着かせるのには成功したけど、何か様子がおかしいぞ。
「……………………」
「え、なんで黙るの? 黙るのやめて? こわい」
こわい。すごいこわい。
「……アンタさ、身長いくつ?」
「170」
「嘘ね」
ぐゥっ。なぜバレる……
「…………165」
「やっぱり。今はあたしの方が高いものね」
「嘘だろ!?」
え、嘘でしょ。身長まで負けてるの? ちょっと待って涙目になってきた。
「いやね、ちょうどあたしが前着てたやつがサイズぴったりなんじゃないかと思って」
「ごめんそれだけは勘弁して! それだけは!」
「なんで?」
「なんで!?」
涙が引っ込んだ。何があったらこんなんに育つんだ? ヒカリをこんなんにしたやつ誰だよ!
「いいな〜、先輩。さすがに私のは入らなそうだし……」
「いいでしょ」
「おかしいだろ! なんで二人とも自分の服着させたがるんだよ!」
いやきょとんとするなよ! うっ、ヒカリの目線が下にいってると思ったらスカートなの忘れてた。めくれてるのを赤面しながらぎゅっと押さえて直す。
……だからそのにこぉっとした笑顔やめろぉ!
「まぁ色々理由はあるけどね、あえて一つあげるなら……」
「全部聞きたくないからそれで良いよ」
「そっちの方がアンタが恥ずかしがりそうだからよ。顔真っ赤にしてるのが1番可愛い。誇っていいわ」
「誇れるか!」
結局俺が最低限の尊厳以外全てを汚されるまでこの宴は続きました。
ちなみに他の理由は自分の服着せると征服感があるというのと、姉妹コーデ的な感じで楽しいそうです。安静解けたらこれで出かけようと言われました。絶対に絶対に絶対に嫌です。
ビート、お前最後まで助けてくれなかったな。覚えてろよ……!
*
おまけ 主要人物のプロフィール
サキナ
年齢 20歳(肉体は14歳で固定)
身長 165cm(ヒカリを見ながら割と早熟で良かったと心から思っている。これ以上伸びないし)
体重 48kg(普段ろくに食わないから痩せ型)
趣味 骨董品集め(プレートや古代の金貨など)
好きな人 自分を認めてくれる人
嫌いな人 ハンサム
特技 探し物
ヒカリ
年齢 17歳
身長 168cm(この2年間でサキナを越えて優越感があるらしい。まだ伸びてる)
体重 56kg(サキナより重いと指摘されたらキレる)
趣味 サキナの写真を撮ること
好きな人 サキナ
嫌いな人 カトレア(仲悪い)
特技 怪力(サキナは片手でも勝てない)
ユウリ
年齢 15歳
身長 155cm(身長差がちょうど10cmなので気に入っている)
体重 49kg
趣味 カレー作り
好きな人 お兄さん!
嫌いな人 特に無し!
特技 お兄さんのために最近カレー以外の料理も習得しました!
ビート
年齢 15歳
身長 162cm
体重 54kg
趣味 秘密
好きな人 旅の仲間全員(本人は否定)
嫌いな人 自分だった(過去形)
特技 ポケモンの毛繕い(最近はサキナの手持ちにもせがまれて満更でもないらしい)
後日談(シェアハウス編)です。