黒板があり、教卓、机がある。学校の教室としては普通で普遍的な光景が広がっている。
しかし窓の外は窓から射し込む光が邪魔をして見えなくなっており、ここが一体どこの教室なのかは分からない。
セーラー服を着て、本来座るべきではない教卓に座っている『彼女』の姿は、まるで学生のようで、その顔立ちは誰もが見惚れてしまうような綺麗な顔であった。
そんな『彼女』は誰もいない教室で、ここにはいない『誰か』に向かって話し出した。
「やぁ、この小説を読んでいる『読者』のみんな。僕の名前は『安心院なじみ』。親しみを込めて『
その美しい口元を弧に歪めながら、自らを『安心院なじみ』と少女は名乗る。
「今回の主役の名前は『
『週刊少年ジャンプ』のほんの1ページ、彼の紹介が載っているページをこちらに見せつけながら語る。心底楽しそうに、まるで友人を自慢するかのように、ニコニコと笑うその表情はさながら恋する乙女のようであった。
「まぁ、『現実を
「さて、そんな彼は球磨川君と出会ってたり、時に『-十三組』に所属していたり、時に
少年ジャンプをどこかへしまい、次は『めだかボックス』と表紙に書かれた単行本をぺらぺらとめくりながら、亜球磨川と呼ばれる少年の活躍を彼女はどこかしみじみと語る。
「さて、このお話はそんな彼、『
「最後に…これはあくまで作者君が息抜きに書いた、言わば『番外編』みたいな物さ。今までのお話とは全く違う別物と考えてくれたまえ。」
「なぁに、構えることはない。また作者君が思いつきの見切り発車で変なことを始めただけさ。強いて言えば…」
「亜球磨川君を見る時は、今までの物語とは混同せず、現実とも切り離して見てね!」
安心院なじみ
所属…
備考…全てを平等に見下す人外。
Q.人は平等であるか否か──────。
よく見る問いかけであるが、こんな質問は正直言って無価値に等しい。だって、世界を見渡したところで平等の平の字すら存在しないのだから。
ある人はこう言った。
ってね。世界が平等だったらこんな言葉は出てこない、こんな『
またある人はこう言った。
ってね。世界が平等だったらこんな言葉は生まれない、こんな『
この二つの言葉は、僕のとても大切な先輩たちが言っていた言葉だ。
その二人は不平等に強く、不平等に弱かった。不平等に勝って、不平等に負けて、不平等にかっこよく、不平等にかっこ悪い、ほらやっぱり世界には平等なんてないだろ?
まぁ、つまるところ…だ。僕がこの問いに回答するのであればこう答えよう。
A.平等なわけねーだろ、舐めてんのか。
5月1日、多くの人にとって
しかし、そんないつもと変わらない日常が吹き飛んでしまうほどの喧騒が学校の廊下に響き渡った。
「「「楔くん!!楔くん!!楔くーん!!!!」」」
ドタドタととある生徒の名前を大声で叫びながら1-Bの教室へ駆けていく数名の女子生徒、彼女たちはみんな1-B所属の生徒たちだ。恐らく、ここまで喧しくしている理由は
最も私、一之瀬帆波はあらかじめ彼の
するとそこには、先ほどの女子生徒たちに囲まれている二人の男子生徒がいた。
「『月の初めは早起きしてからの』『週刊少年ジャンプって決まってるんだけど』。」
ため息を吐いて詰め寄る彼女たちにゆっくりと顔を向ける彼。
「『なんだい?みんな』。」
その顔は童顔で、髪の色は世にも珍しい白髪。
「『友情・努力・勝利を読む手を止めさせてまで』」
その服装は高度育成高等学校の制服ではなく、首元に白いラインが入った
「『僕に聞きたい何かがあるのかい?』」
彼の名前は
亜球磨川 楔
血液型…
所属…高度育成高等学校 1-B
備考…
「そう!!そうなのよ楔くん!!これ見た?今月の振り込まれたポイント!!」
女子生徒の一人が亜球磨川くんにスマホの画面を見せながら詰め寄る。まぁ大体予測してたけどそのことだろうと思ってた。
というのも、この高度育成高等学校では入学直後に専用のスマホが支給され10万ポイントの振り込みと同時にこんな説明が先生方からされていた。
『ポイントは毎月振り込まれる。そしてそのポイントは1ポイントにつき1円である。』
用は社会人の給料のような感じで、ひと月生活する分のお金を『ポイント』という形にして生徒たちに配布するのがこの学校の制度らしい。
まぁ、これは入学前に予想はしてたんだけどね。だってこの学校、入る時にお金は持って入れないみたいだから、『多分お金に近い何かを使って生活するのかなぁ』とか『学校が全部負担してくれるのかな』とかちょっと考えてはいた。
さて、そんなポイント制度をこの学校は行っているんだけど、今月振り込まれたポイントはなんと『7万8千ポイント』。10万より2万程少ない数字だ。
「『うん?』『ああ!!そういえば振り込まれてたね』『7万8千ポイントほど』。」
「やっぱり楔くんも?ってことは機械の故障とかじゃないんだ…。」
「…うん?ちょっと待ってくれ。振り込まれていたのか?亜球磨川。」
ポイントが減っているのが不具合ではないのを知って不安そうにする彼女。それを尻目に少年ジャンプを読みふけっていたもう一人の男子生徒がジャンプから無機質な顔を上げる。
その茶髪の生徒は『綾小路 清隆』。Dクラスの所属で亜球磨川くんの友人だ。
綾小路 清隆
血液型…
所属…高度育成高等学校 1-D
備考…事なかれ主義者にして
綾小路くんはよくこのクラスに遊びに来る人で、週の始めに亜球磨川くんと向かい合うように少年ジャンプを読んで感想を言い合っている姿がよく見られる。
最近だと、Bクラスの柴田くんや神崎くんとか色々な人と亜球磨川くんを通じて仲良くなってるみたい。彼、無機質な表情だけど面白いところもあるみたいだし。
「あっ、ごめんね綾小路くん。せっかくマンガ読んでたのにうるさくしちゃって…。」
「いや大丈夫だ、そろそろ時間だと思っていたしな。それより、ポイントが振り込まれているのか?」
「『もしかして清隆ちゃん』『振り込まれていないのかい?』」
「ああ、そうらしい。しかし二人を見る限り、不具合ではなさそうだな。」
「多分そうなんじゃないかな。不具合ではないと思うよ…あっ、おはようみんな!!」
ちょっと強引だったかな?まぁいいや、私もその会話に参加させてもらおうかな。
「『おはよ、帆波ちゃん』『今日も帆波ちゃんのストロベリーブロンドは』『眩しいぜ…』。」
「にゃはは、今日も亜球磨川くんは面白いね。それで君の予想はやっぱり当たってたってことかな?」
「『多分そうなんじゃない?』『まぁ間違っていたとしても』『僕は悪くないぜ』。」
「予想?どういうことだ?」
私たちの会話に疑問を持ったのか綾小路くんが深堀してくる。まぁ彼としてもポイントが振り込まれていないから焦っているんだろう。…表情が一切変わらなくて分かりにくいけど。
「えっと、亜球磨川くんが言ってたんだ。『こんなことに使えるんだからいろいろポイントの使い道はありそうだけど毎月10万は貰いすぎじゃない?』って、ほら彼って『自分の制服を変える権利』を買ったじゃん?」
「あ!そういえばそうだね。最初のホームルームで買ってた。」
「『そうそう』『しかもそれを知恵ちゃん先生に言ったとき』『やけに色々考えてるみたいだったからからね』。『それで僕はこう思ったのさ!!』『このポイントには明らかな裏があるってね』。」
「そこで、私と神崎くんと亜球磨川くんで色々話し合って予想を立ててたんだ。」
「そうか、それでどんな予測を立てたんだ?」
「『そう、ズバリ!!』『もらえるポイントの量は変動する』『ってコトさ!!』」
ズビシッ!!とまるで探偵漫画の主人公がトリックについて答え合わせをするときみたいに亜球磨川くんは自信満々に指をさした。
「まぁ、先生も『月の始めにポイントが振り込まれる』とは言ってたけど『10万ポイントが来月も振り込まれる』とは言ってなかったからってのもあるんだけどね。」
「なるほど、言葉の裏をかいたわけか。さすがだな。」
「『しかしこの予想は』『
「そういうことか…っと、時間か。すまないが、予想についてはまた聞かせてくれ。」
そんな話をしているとBクラスに彼が座っている席の生徒が入ってきてしまう。綾小路くんが退散する時間がやってきてしまった。
クラスを去っていく綾小路くんをみんなで見送りつつ、私たちも自分の席に戻っていく。亜球磨川くんは再び少年ジャンプに目を落とした…瞬間に元気よく星之宮先生が教室に入ってきたため、高速でジャンプをカバンの中にしまっていた。
あっ、明らかに落ち込んでる…まだ全部読めてなかったのかな…。
その後のホームルームにて、先生からポイント関連の重要な話があったけど亜球磨川くんは耳に入っていなかったようだった。ちょっとかわいそう、今度ジュースでも奢ってあげようかなぁ。
ノーマリティ:正常性、規定度、正規性などの意味を持つ。
「『いいニュースと悪いニュースがある、いいニュースは僕が主役ってこと悪いニュースはそれが続かないかもってことだ』『次回『
「『それでは皆さんご唱和ください!!』」
「『it's』『a reality fiction!!』」
この中で誰が一番過負荷か?
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堀北鈴音
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櫛田桔梗
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佐倉愛里
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軽井沢恵
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山内春樹
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須藤健
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池寛治
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坂柳有栖
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神室真澄
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一之瀬帆波