元ラスボスの悪役令息はネタ装備がお好き - 通常プレイに飽きたので[武器:トイレのスッポン]で無双していたら、いつしか変態貴族と呼ばれるようになっていた -   作:ふつうのにーちゃん

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・【防具制作】スキルを極めてドッカー最後の夜を過ごした!

 翌朝からヘルバさんはセクハラお姉さんからセクハラ上司となった。

 

「ブロンズインゴット3つと革布を材料にするとブロンズアーマーになるよ。さあ、がんばってくんな、新人さん!」

 

 ヘルバの防具鍛冶工房で、チュートリアルそのままのセリフを聞き、チュートリアルシナリオを抜けるために手を動かした。

 

「さあ、バーに合わせて叩くんだ! 成功判定のところで叩くほどに大成功の確率が上がるよ!」

 

「あ、はい、ありがとうございます、ヘルバ師匠」

 

 突然豹変して、なんか無表情でNPCそのまんまのセリフを語り出すヘルバさんがちょっと怖かった。

 チュートリアルは全部エクセレント判定を出して、ブロンズアーマーの制作を大成功させた。

 

≪防具制作0→3≫

 

「すごいじゃないか、新人さんっ! アンタもしかしたら1000年に1人の天才かもねぇ!」

 

「ソ、ソウカナー、アハハー……」

 

「今日はブロンズアーマーとブロンズシールドをありったけ作ってもらうよ! 大成功が出ればボーナスも出るからがんばりな!」

 

「ワーイ、ガンバルゾー……」

 

 家族同然に親しくしてくれているヘルバさんがシナリオの都合で他人に変わる。

 ここがゲームの世界だと突きつけられた気分だ。

 

 幸いチュートリアルシナリオさえ抜ければ、ヘルバさんはいつもの調子に戻ってくれた。

 

「いっぱいがんばったら今夜サービスしあげるからねぇ……リチャード♪」

 

「い、いや、俺はお金の方がわかりやすくて好きかなぁ……?」

 

「そんなこと言わないで、今日はどこを舐めてほしいんだい……?」

 

「い、いらないですそういうのっっ!!」

 

「アハハハハッ!! じゃっ、がんばりなっ、あたしの弟子っ!!」

 

 新人のチュートリアルが終わるとヘルバさんは仕事に戻った。

 俺も鍛冶ハンマーを握ってトンテンカンと始めた。

 

 カンと叩くとインゴットと革布の形が変わっていって、全部エクセレント判定で終わらせれば【ブロンズアーマー+7】の完成だ。

 

≪防具鍛冶:3→5≫

 

 シールドの材料はブロンズインゴットと木板だ。バーの速さが少し速いだけでやることは変わらない。

 

≪防具鍛冶:5→6≫

  ≪防具鍛冶:6→7≫

   ≪防具鍛冶:7→8≫

       ≪防具鍛冶8→9≫

 

 鎧と盾を交互に制作して、どこまでエクセレント判定が続くか挑戦してみた。

 

≪防具鍛冶:9→10≫

   ≪防具鍛冶:10→11≫

  ≪防具鍛冶:11→12≫

        ≪防具鍛冶12→13≫

 

≪武器防具:10到達!

 特殊効果:制作速度+50%を得た!≫

 

 ・

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≪防具鍛冶:18→19≫

       ≪防具鍛冶:19→20≫

 

≪防具鍛冶:20に到達!

 特性:大成功補正+2を修得した!≫

 

 ・

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≪防具鍛冶:20→21≫

  ≪防具鍛冶:21→22≫

 

 結果、やっと出た[成功]判定に顔を上げると、朝日が消えて夕日が空に浮かんでいた。

 

「気が済んだかい、リチャード?」

 

「あ、ヘルバさん。あ……なんか、腹減った……」

 

「アンタねぇ……少しはあたしのセクハラに反応しなよ……」

 

「セクハラ……?」

 

「そうさ。何しても気付かないから飽きちまったよ……」

 

 そう言ってヘルバさんは俺から鍛冶ハンマーをぶんどった。

 

「今日はもう上がりな」

 

「いや、もう少し――」

 

「うちの倉庫がいっぱいなんだ、これ以上作られても困るよ。さ……受け取りな」

 

 エッチなお姉さんは胸の谷間に1000G金貨を2枚もはさみ、ずいずいと若いやつに迫った。

 

「そ、それ……も、もう止めないか……?」

 

「いらないのかい? なら今日の仕事はボランティア――」

 

「そうは言ってないっ! んぐっ?!」

 

 無事何もされずに金貨を受け取れたと安堵するのもつかの間。ヘルバお姉さんに唇を奪われた。

 

「都に返すのが惜しいねぇ……。アンタ冒険者止めて、ずっとうちで働きなよ」

 

「いや、俺には変なスキルを極めるという夢がある」

 

「山の頂上から飛び降りたりかい?」

 

「ああっ、あれは最高に楽しかった!」

 

 大きな声を上げたつもりが、空腹に音量がしぼんだ。

 ヘルバさんは腹を空かせた俺にやさしく微笑んだ。

 

「もう少しでこっちも終わるからちょっと待ってな。リチャード、今日は何が食べたい?」

 

「この前のトマトパスタ、美味しかった。また食べたい」

 

 ヘルバは俺が提供したオリハルコン鉱石を使って、腕輪のような物をじっくりと作っていた。

 

「さ、帰ろうか、リチャード」

 

「完成してないけどいいのか?」

 

「まだ時間はあるからいいさ。さ、帰るよ」

 

「お、おう……?」

 

 ヘルバさんと手を繋いで買い物をして帰った。

 彼女の作るトマトパスタは何度食べても絶品だった。

 

 それから夜が明けて、少し早いが一緒に鍛冶場に出て、またトンテンカンとスキルビルドに没頭した。

 

「次は[アイアンガンドレッド]と[アイアングリーブ]を2ダース頼むよ!」

 

「わかった。ブロンズ系の方が効率はいいが、世話になってる以上は手伝おう」

 

 これまで納品した銅鉱石、鉄鉱石を全て消費する勢いでオーダー通りの品を提供していった。

 

「アンタ本当に手が速いねぇっ! ベットの上じゃちっとも動かさないのにさっ」

 

「勘弁してくれ、師匠!」

 

 オーダーをこなすと、ヘルバさんは新しいオーダーをどんどんこちらに回してくれた。

 パンガスの時とはまた違って、彼女は難しい鉄製防具の仕事を次々と回してきた。

 

≪防具制作:44→45≫

 

「リチャードッ、スキルレベル45おめでとう! 次は[スティールアーマー]を頼むよ!」

 

 この世界ではスキルレベルが上がったとき、それを伝えるポップアップが上がる。

 これは誰にでも視認可能らしい。

 

「ありがとう、ヘルバさん。でも俺、スティール系装備は効率悪くてあまり好きじゃ――」

 

「生意気言ってんじゃないよっ! あたしがやるべき仕事を回してやってんだ、ありがたく思いな!」

 

「俺に任せていいのか?」

 

「アンタに任せりゃ+12超えがゴロゴロ出来るんだっ、何も問題ないよ。さあがんばりな!」

 

 それからまた働いて、働いて、スティール防具を4ダースずつ完成させると――

 

≪防具制作:49→50≫

 

「おめでとう、リチャードッッ!!」

 

「うおっ?! い、いたのか……っ」

 

「すごいよ、リチャード! 50って言ったら、職人が10年かけてやっとたどり着くレベルだよっ!」

 

≪防具制作:50に到達!

 特性:カスタムスロット防具を修得した!≫

 

 防具にはカスタムスロットが存在する。

 たとえばそこに[グリーンスライムの核]をセットすると、打撃ダメージ5%カットの補正が加わる。

 

 今回の遠征はこの補正を手に入れるためでもあった。

 強力なモンスター素材をセットすれば、よりトリッキーなプレイが可能になる。

 

「なんだい?」

 

「ヘルバさん、俺がヘルバさんの弟子になったのは、このカスタムスロットの補正を手にいれるためだった」

 

「そりゃ困るよ! アンタがいなくなったら、誰にセクハラすりゃいいんだいっ!?」

 

「いや、それは誰にもしない方向で――」

 

「リチャード・グレンター元公爵……。貴族の綺麗なお坊ちゃんをもてあそべる日々も、今日でおしまいってことかい……?」

 

「も、もてあそばれてなどいないっ!」

 

「けど明日の昼まで待ちなよっ、アンタに渡したい物があるんだっ!」

 

「渡したい物……? まあ、俺も集めた素材で作りたい物がある」

 

 仕事を上がって今すぐその作業に入るつもりだった。

 

「ならリチャード、この後の仕事、任せちゃってもいいかい?」

 

「あ? ああ、いいぞ」

 

 そうヘルバさんが言うので仕事を再開してその日は日暮れまで働いた。

 作業を止めてヘルバさんを探すと、彼女は緻密に計算するようにハンマーであの輪っかを叩いていた。

 

「それは?」

 

「なんでもないさ。さあリチャード、今日は何が食べたい?」

 

「まるでお母さんのセリフだな。トマトパスタが食べたい」

 

「またかい!?」

 

「気に入ったんだ。廃人になる前のリチャード・グレンターは高慢ちきな美食家でな、ヘルバさんのトマトパスタはそいつをうならせるほどに美味い!」

 

 彼女とも今夜限りと思うと寂しい。

 弟扱いする彼女と手を繋いで買い物に行き、夕飯をご馳走になって、それから語らった。

 

「トイレのスッポンッ!? トイレのアレで国の闘技大会に出るのかいっ!?」

 

「そうだが?」

 

「アハハハハハッ、アンタ本当にっ、大バカだねぇっっ!!」

 

「ああ、そんなのみんな知ってることだろ」

 

「ふぅん……そうかい、でも面白いじゃないか!! アンタは天才の中の天才、きっと不可能じゃないだろうね!!」

 

「満員大入りの闘技場で、このトイレの『キュポッ』とするやつで決勝戦の猛者を倒す。もし達成出来たら、最高に面白いと思う!!」

 

「わかったっ、そん時は応援に行くよ! がんばりなっ、あたしのリチャード!!」

 

 ヘルバさんは俺のふざけたプレイスタイルを認めてくれた。楽しんでくれた。

 ソファーの隣にいる俺にもたれるように寄りかかり、おかしそうに笑っていた。

 

「笑ったら暑くなってきたよ」

 

「脱ぐな」

 

「なんでだい?」

 

「困る」

 

「なんで困るんだい……? お姉さんに詳しく理由を教えてくれよ、ねぇ、リチャード……?」

 

 ドッカー滞在最後の夜がふけていった。

 

≪女たらし:21→24≫

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