元ラスボスの悪役令息はネタ装備がお好き - 通常プレイに飽きたので[武器:トイレのスッポン]で無双していたら、いつしか変態貴族と呼ばれるようになっていた -   作:ふつうのにーちゃん

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・【武器制作】スキルで悪魔の武器を作った!

 翌日、パンガスの武器工房で働いた。

 今回任されたのは【ハルバート】と【ラブリュス】と【ルッツェルン】。全部同じように見えて全部違う。

 

 朝から約束の昼過ぎまで黙々とカンカンと働けば、パンガスに肩を叩かれていた。

 

≪武器制作:46→54≫

 

「ありがてぇけどそろそろ3時だぜ」

 

「え、もうそんな時間……?」

 

「武器作んだろ? おっさんに見学させてくれよ」

 

「もちろんいいぜ。お……悪いな」

 

 パンガスは昼飯も食べずに働く若造に、ステーキサンドを差し入れしてくれた。

 誰が考えたか知らないが、まあ確実に美味くて成人病にもなりそうなやつだった。

 

「美味い!!」

 

「昨日は楽しかったぜ。また飲み行こうぜ、空鯨亭によ」

 

「またぼったくられても知らねーぞ……」

 

「お前がその分稼いでくれるからいいんだよっ!!」

 

「よく潰れねーな、この工房……」

 

 食べ終えるとパンガスに900Gの場所代を払うことにした。

 この世界はゲームだ。どんなにここの代表と仲良くなったところで、システム上は絶対に払わなければならない金だった。

 

「おう、今日のお前さんの稼ぎからさっ引いとくぜ」

 

「手間がなくて助かる。まずはヘビーダーツをもう2セット作る」

 

 材料を重ねてカンカンカンと叩けば、【ヘビーダーツ】+12が完成した。

 

「こんな装備ありがたがるのお前さんだけだぜ」

 

「ところがどっこい、弟子が出来た」

 

「ははは、冗談はよせよ!」

 

 既存のヘビーダーツは解体して、もう1セット分【ヘビーダーツ】を作った。

 こっちの方は+13だった。+12の方はいつかかわいい弟子にくれてやろう。

 

「さて、強化するのでミスリル鉱石を20個ばかし売ってくれ」

 

「なら今日の稼ぎから全額さっ引いて、追加で1800Gだ」

 

「助かる」

 

 ミスリル鉱石と重ねてハンマーで叩いて、【ヘビーダーツ】を+23まで強化した。幸いロストはしなかった。

 武器の単純攻撃力が+230%になったコイツを投げる日が楽しみだ。

 

「やるじゃねぇか」

 

「次は【スライムラバーカップ】を強化する」

 

 同じ手順で我がメインウェポンを強化した。

 いや、ところが……。

 

「あーあ、やっちまった。いくらなんでも欲張り過ぎなんじゃねぇか?」

 

 【スライムラバーカップ】は+20から上を狙ったところでロストしてしまった。

 

「何言ってんだ、ロストが怖くて強化なんで出来るかよ。スティール鉱石とラバーをくれ」

 

「320Gだ」

 

「買う」

 

 もうワンポイント欲しいなと思いながら懐を探ると、先日の結石――いや、【魔石】が出てきた。

 面白そうだし使っちゃおう。ダメなら別の素材を試せばいいだけだ。

 

 鍛冶ハンマーでスティール鉱石をスティールインゴットに加工して、残りの材料と重ねて叩いて新しいトイレのスッポンを作った。

 判定は9割エクセレント。上出来だった。

 

 武器名は【如意きゅっぽん】+12とあった。

 

「おかしなもん作りやがって……。よけりゃ鑑定してやろうか? 1回50Gだ」

 

「俺とおっさんの仲なのに金取んの?」

 

「悪ぃな、そこはどうしても譲れねぇ気がすんだわ」

 

「だろうなー」

 

 やはりシステム上そうなっているところは変えられないようだ。

 パンガスに金を払い、詳しく鑑定してもらった。

 

――――――――――――――――――――――

【如意きゅっぽん+12】

 攻撃力: 27(×120%)

 命中 : 18

 属性 : 打撃

 特殊 :伸びる武器

     尿路結石付与(大)

     おじさん特効

     トイレ掃除で成長

 

 ・

 

特性:伸びる武器

 擦ると最長9メートルまで瞬間的に伸びる

特性:尿路結石付与(大)

 属性値35

 耐性なしなら3回の攻撃で異常を付与

特性:おじさん特効

 種族:おじさんにクリティカルヒット

特性:トイレ掃除で成長

   トイレ掃除に使うと武器が少し成長する

――――――――――――――――――――――

 

「おおっっ、いいじゃないかこれっっ!!」

 

「うおぁっっ?! お、おいっ、それを俺に近づけるんじゃねぇよっっ?!!」

 

 伸びる武器は強い。弱いはずがない。

 戦いの世界はおじさんだらけ。さらに3回攻撃すれば、対象を尿路結石にして行動不能に出来る。

 

 強いじゃないか、我がメインウェポンは!

 

「これで優勝を目指そう」

 

「アホかーっ!!」

 

「俺は本気だ」

 

「おいバカ止めろ!! いくらなんでも殺傷力が高すぎる!!」

 

「いや死なないだろ?」

 

「死ぬほどいてぇよ!!」

 

「知ってる」

 

 パンガスから買ったミスリル鉱石を使って早速強化をした。

 ロストさせるにはもったいないので、+20で止めておいた。

 

「よしっ、【如意きゅっぽん】+20の完成だっ!!」

 

「ヤ、ヤベェ……。病魔をまき散らす悪魔の武器じゃねぇか……っ」

 

 つまり最高じゃん。

 通常プレイでは絶対に味わえない新鮮な体験が出来る武器ってことじゃん。

 

「死ねっ、リチャード・グレンターッッ!!」

 

 その刹那!

 ジャストなタイミングで暗殺者がド派手なカタールを手に襲いかかってきた!

 

「シィィィルドッッ!!」

 

 『ギャキィンッ』と、ダーツボードシールドででかいカタールを防ぐと、俺は【如意きゅっぽん】をレイピアのように構えた。

 ちょうどいいことに暗殺者はおじさん入りかけの年齢だった。

 

「に、逃げろぉぉぉーっっ!!」

 

「へーきへーき」

 

「おめーに言ってんじゃねぇ!! そこの男っ、ソイツはヤベェッ、今すぐ逃げろぉぉぉーっっ!!」

 

「な、何……っ!?」

 

 パンガスの必死の剣幕に暗殺者は不穏な物を感じたようだ。

 だが、逃がん、実験台になってもらう。

 

「まずは2発……」

 

「逃げろっ、逃げねぇと死ぬぞおぃぃっっ!!」

 

「く……っっ、覚悟っ!! フゴッ、フギッッ?!!」

 

 カタールを再びシールドで受け止め、如意きゅっぽんでおじさん暗殺者の顔面を2度クリティカルヒットで突いた。

 

「ぐ……っ、気力が、吸われるような、この感覚……う、うう……っ」

 

 暗殺者は距離を取り、退却を迷った。

 

「ククク……次はこちらからいくぞ」

 

「早く逃げろぉぉぉーっっ!!」

 

 どっちの味方だよ、パンガス。

 

「逃がさんっ!! 伸びろっ、如意きゅっぽんっっ!!」

 

 『シュシュシュッ』と握り手を擦ると、そのトイレのスッポンはまるで銃弾のように『ズキュゥゥゥーンッ』と爆発的に伸びた!!

 

「ブヘハァァァッッ?!!」

 

 重い反動が手元に返り、向こうの街路まで吹っ飛ばされてゆくおじさん暗殺者を見た。如意きゅっぽんはすぐに縮み、持ち主に完全勝利をもたらしてくれた。

 

「悪魔かお前はーっっ?!!」

 

「え、なんでー?」

 

「お、おい暗殺者っ、大丈夫かっ!?」

 

「いや気づかうやつ間違えねぇー?」

 

 パンガスは暗殺者に駆け寄った。

 

「うっ、あっっ、あああああっっ?!!」

 

「痛むのかっ、腰と、尿路が!?」

 

「き、貴様、俺に何をした……っ、ウッ!? ウオオオオォォォォッッ?!!」

 

 おじさんは任務も忘れて公道で転がり回り、青い顔で悶絶している。

 3発で強制的に戦闘不能。結石が治らない限り再起不能、か。

 

「ハハハハッッ、圧倒的じゃないか、我がトイレのスッポンはっ!!」

 

「おいリチャード……大会でそれを人に使う気か……?」

 

「え、ダメ?」

 

「ダメに決まってんだろ、このバカ野郎っっ!!」

 

 対戦相手が次々と棄権していったら、それはそれで楽しいと思ったのに。

 

「材料代から強化代までおごってやるからよ、他の何か作れっ、なっ!?」

 

「気持ちは嬉しいが、材料代はこっちがロストしてからいただこう」

 

 自分の荷物から栄える【公爵家の聖なるトイレのスッポン】を取り出した。それをパンガスのおごりで+25まで過剰強化した。

 最後の勝負は確率40%でロストするところだったが、俺は賭けに勝利した。

 

「よしっ、この【公爵家の聖なるトイレのスッポン】+25で大会優勝を目指すぜっ!!」

 

「あの悪夢の武器を使わねぇでいてくれたら、俺ぁなんだっていいぜ、もう……」

 

 パンガスはそう言うが、気に入らない対戦相手のために腰に吊しておこう。そう心に思う外道であった。

 

「ア、アアッッ、アアアアアアアーッッ?!!!」

 

 ちなみに暗殺者のおじさんは獣のような声を上げながらはいずって去っていった。

 尿路結石の特効薬のある世界でよかったね。

 もう二度と、彼は俺の前に立とうとは思わないだろう。

 

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