元ラスボスの悪役令息はネタ装備がお好き - 通常プレイに飽きたので[武器:トイレのスッポン]で無双していたら、いつしか変態貴族と呼ばれるようになっていた -   作:ふつうのにーちゃん

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・大会初戦 メガネの素晴らしさをわからせた!

「闘技大会第6試合っ、試合開始ですニャァッッ!!」

 

 演奏隊による壮大なファンファーレが鳴り響き、試合の開始がここに宣言された。

 するとアンドゥル・クリスタンはすぐさま飛び退くように後退し、ラメ使いまくりのスマホみたいなショートボウで鋭い矢を放った。

 

「喰らえ狂信者っ、【エイムショットⅢッッ】!!」

 

 説明しよう。

 【エイムショットⅢ】とは高ダメージ、高命中率の戦技だ。発動にはMPを消費する。

 回避の高いボスキャラとかをガチでぬっ殺したい時に使う。

 

「ダーツボードシールドゥッッ!!」

 

「な……っ!?」

 

 当たれば敵が吹っ飛ぶオーラをまとった矢を、変態貴族はダーツボードで軽々と跳ね返した。

 

「おっと、今ので終わりか? ならこの勝負、メガネ派の勝ちだな」

 

「たまたまガード出来たくらいで偉そうなっ!! 喰らえっ、【エイムショットⅣ】ッッ!!」

 

 突風をもまき散らすもはや大砲のような矢を、再びダーツボードシールドで弾いた。

 その威力はバカ高く、元ラスボスである俺が衝撃だけで数センチも地滑りすることになった。

 

「な、なんだとぉ……っ!?」

 

「ククク……どうした、コンタクト派? 貴様のコンタクトレンズへの情熱はこの程度かっ!!」

 

「黙れっ!! くっ、かくなる上はこれを使うしかない……ゆくぞ、変態貴族っ!! 【パワーショットⅤ】ッッ!!」

 

 パワーショットとはその名の通り、命中力補正を犠牲にして威力を追求した弓の戦技だ。単純な威力は両手持ち武器の中でも一歩抜けている。

 

「シィィィイルドゥッッ!!!」

 

 そのレベルⅤ技をシールドで受け止めると、元ラスボスが2~3メートルも吹き飛ばされることになった。

 

「そんな、そんなバカな……ドラゴン系にすら深手を負わせる僕の【チャージショットⅤ】が……ノーダメージ、だと……?」

 

「さて、次はこちらからいくぞ」

 

 トイレのスッポンではなく、+25となったヘビーダーツを取った。

 

「くっっ?!!」

 

 察しのいいアンドゥルは闘技場を駆けて回避運動を始めた。

 だが問題ない。俺のダーツ攻撃には絶対命中+50%の補正がかかっている。

 

 ぶっちゃけこれ反則。

 

「そぉぉいっっ!!」

 

 片足上げのハイジャンプ投球で、ヘビーダーツをぶん投げた!!

 

「そ、そんなオモチャ――ヘゴヒギャァァァァァーッッ?!!」

 

 結果はクリティカルヒット。

 絶対命中の補正がダーツの軌道を変え、回避行動中のアンドゥルの肩アーマーに突き刺さった。

 

 というか、破壊力のままに円形闘技場の壁まで吹っ飛ばされたとも言う。

 

「な、何が起きたのでしょう……!! リチャード選手が何かを投げてっ!! するとアンドゥル選手が吹っ飛びましたニャァァッッ!!」

 

 おかしい、加減をしたはずなんだが、ギャグマンガみたいに人方の穴が壁に出来てしまっていた。

 

「おーい、アンドゥル選手ー? 意識があったら答えるにゃー?」

 

「ぅ、ぅぅ……ぁ、ぁぁ…………」

 

「よかったっ、生きてますニャッ!! アンドゥル選手、勝負が付いたように見えますが、どういたしますかニャ……?」

 

「メ……メガ、ネ……」

 

「はい、メガネ?」

 

「メガネ……は……いら……な……い…………」

 

「なんという執念でしょう!! この男、破れて気絶するまで[メガネいらない派]を貫き通したニャァァッッ!!」

 

 アンドゥルのファンたちの悲鳴が会場にこだました。

 勝者である俺には野郎ども賞賛の嵐が降り注いだ。

 

「バカ野郎……メガネ女子は男の憧れなんだよ……。清楚にして知的……お前はそれを台無しにしようとしたんだ……」

 

 そうつぶやくと、なんか魔法が声を拾っていたようで会場中に拡散されていた。

 アンドゥルは医療班によりすぐに搬送された。

 俺が放ったダーツはキャットさんにより回収され、持ち主に返された。

 

 その持ち主の腕をキャットさんが高々と上げる。

 

「勝者ッッ、メガネ派変態貴族っ、リチャード・グレンターッッ!! 完封勝利でコンタクト派を撃滅ニャァァッッ!!」

 

「ギルドのみんなっっ、ピリリカさんのメガネは俺が守ったぞおぉぉっっ!!」

 

 キャットさんの拡声魔法に向かって叫ぶと、同志たちの大歓声が上がった。

 

 みんなわかってくれた。

 男には、気になる女の子がある日コンタクトに変わってしまって、えもいわれぬ喪失感を覚えたことが誰にだってある……。

 

 え、ない?

 いやあるでしょ!?

 

「こちら、一回戦の賞金3000Gになりますニャッ!! おめでとうございますっ、リチャード選手っっ♪♪」

 

 様式に従ってお姉さんが優勝者の頬にキスをしてくれると、超いい気分で勝者は舞台を下りた。

 

 貴賓席に戻り、陽気な笑顔で応援してくれたみんなに声をかけた。ところが――

 

「なんてことをしてくれるんですかリチャードさんっっ!!」

 

「え、何、え……?」

 

「リチャードさんたちのせいでっ、明日から街を歩けませんよぉぉーっっ!!」

 

「あ、そういうもん?」

 

 この試合、渦中のピリリカさんには不評だった。

 イケメンとイケメンが自分のメガネを奪い合ったのが、そんなに気に入らないのだろうか。

 

「リチャード、アンタはこの国一番のバカ野郎さ……」

 

「最初はちょっと羨ましいかなーって思ったけどさー、今は自分じゃなくよかったぁ……って気分……」

 

「リチャードさんたちのせいでっ、コンタクトに出来なくなっちゃったじゃないですかぁーっ!!」

 

「それはしなくていい。てか目が悪いんだからコンタクトは最初から無理だろ」

 

 と、やっていると貴賓席に新しい顔が現れた。

 

「ようリチャード! そこでこの子拾ったんだがよ、知り合いかぁ……?」

 

「リチャード様っ、先日はモンスター牧場に沢山のご利用ありがとうっ!! 応援にきたよっ!!」

 

 それはパンガスと、テイマーギルドのあの女の子、モルティさんだった。

 

「あっはっはっ、また新しい女の子かい? あたしはヘルバ、歓迎するよ!」

 

「アンタさぁ……行く先々で女の子惑わしてんの……? うっわぁぁ……サイッテー……」

 

「はぁ……リチャードさんはそういう人だと、これは諦める他にないかもしれませんね……」

 

 さすがにこれ以上は増えない――と思う。

 

「もしかして、ダビデを育てて下さった方ですか? 僕はチャールズ、兄さんよりダビデを預かっています」

 

 白く美しく輝くダイヤモンドスライムをチャールズがポケットから出すと、その育成者であるモルティさんはみんなとあっという間に打ち解けていった。

 

 これにてベスト8進出。

 あと3回勝てば俺の優勝だ。

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