ポケモン牧場物語 再会のミネラルタウン   作:ゲーマーN

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致命的失敗に気づいたので修正して再投稿です。


3日④ ガーディが 手持ちに 加わった!

 ――ミネラルタウン ポケモンセンター*1

 

「アルテ、戻ってき⋯⋯その子は!?」

 

「今は後にしてください!」

 

 アルテの姿を認めてほっとしたのも束の間、その後ろで彼女のポケモンであるミジア(ドーブル)に抱えられているガーディの惨状を目にし、リックは言葉を失った。全身傷だらけで呼吸も浅い――いったい何があったのか。疑問は尽きないが、今はそんなことを考えている場合ではない。

 怠け者の妹がこんなに早く戻ってきた理由を一瞬で把握したリックは、自分もこれは放ってはおけないと、アルテやハルトと共にポケモンセンターへと向かった。

 

「ジョーイさん! お願いします!」

 

「っ、酷い怪我⋯⋯! すぐに治療します!」

 

 センター内に駆け込んだ一行を待ち構えていたのは、白衣を纏った美しい女性だった。髪の色はピンクで前髪が4つに分けられ、後ろ髪をリボンで留めてハートマークが付いたナースキャップを被っており、薄いピンクが基調のワンピースに白のエプロンをしている。

 

 彼女の名前はジョーイ――世界各地にあるポケモンセンターで働く女医である。姉妹や親戚がとにかく多く、それぞれが各地のポケモンセンターに勤めているため、初心者トレーナーが2件目に訪れたポケモンセンターで「前にも会いましたか?」と本気で問いかけ、それに集合写真を見せて答えるというのがお約束となっている。

 

 例によって、他のジョーイさんと見分けのつかない容貌の彼女は、ガーディを見るや否や血相を変え、抱き上げるように受け取ると、奥の治療室に通じる扉へと踵を返す。その途中で振り向きざまにこう言い残した。

 

「皆さん、待合室でお待ち下さい。しばらくしたらこちらからお呼びします」

 

 あとはもう待つしかない。ハルトは待合室のソファに腰を下ろしたが、それでも一抹の不安を拭えず、治療室のほうをつい何度も見遣ってしまう。アルテもやはり落ち着かない様子で、爪先を小刻みに床へ打ち付けており、リックもまた額に手を当てて深々とため息を漏らす。

 

「⋯⋯にしても、何があったんだ? どうしてあんな怪我を⋯⋯」

 

「それは⋯⋯」

 

 ハルトとアルテは簡潔に事情を説明する。マザーズヒルの麓で、2匹のデルビルに痛めつけられていたところを見つけたこと。デルビルたちを倒したあと、急いでここまで連れてきたこと――それら全てを語り終えると、リックはしばし黙考し、難しい表情で口を開いた。

 

「⋯⋯おかしいな。よりにもよって、野生のデルビルがそんなことをするなんて⋯⋯」

 

 リックの意見は尤もだった。鳴き声を巧みに使い分けることで仲間と連絡を取り合い、獲物を追い込む――デルビルは群れでの狩りを得意としており、そのチームワークの高さはポケモンの中でも随一と言われている。

 だからこそ、獲物を甚振るような無益な行為は決してしない。嗜虐心から生じる軽挙など、協調を基盤とし、群れ全体の生存に直結する彼らの狩りにおいては邪魔でしかないからだ。

 

「少し調べてみたほうがいいかもしれないな⋯⋯。よし、町のみんなには俺から伝えておくよ」

 

「お願いします」

 

 この町に来たばかりの自分よりリックに任せたほうがいいと考えたハルトは、大人しく頷くに留めた。対するアルテは兄のサポートをするつもりらしく、「では、私も協力しますかねぇ」と大きく伸びをする。今回の件の原因が不明である以上、他にどんな影響が出るか分からない。町の人々の安全のためにも迅速に対応すべきだろう。

 そうやって話し込んでいると、

 

「お待たせしました」

 

 ジョーイさんが戻ってきて一同を呼び寄せた。彼女に導かれるまま治療室に入ると、まず目に付いたのは診察台の上にぐったりと横たわるガーディの姿。体のあちこちに清潔な白いガーゼが当てられ、薬品の匂いがほのかに漂っている。弱々しいながらも意識はあるようで、視線はこちらを向いており、ハルトたちは張り詰めていた胸の奥をほんの僅かに緩めた。*2

 

「傷の方は手当しましたが⋯⋯酷い衰弱状態です。今日一日は安静にしてください」

 

「分かりました」

 

 労るように片手を差し伸べると、ガーディはふらついた体で立ち上がり、ヨロヨロと頼りない足取りで近寄ってきた。そして鼻先をハルトの掌に擦り寄せる。まるで甘えるようにじゃれつく仕草には警戒の色は欠片もなく、それどころか深い安堵と感謝の情がはっきりと伝わってきた。

 

「このガーディ、あなたに懐いているみたいですね」

 

 ガーディ――こいぬポケモン。大昔から人間と共に暮らしてきた。人に懐きやすく、忠実な性格で、親であるトレーナーの指示にはよく従う反面、縄張り意識が非常に強く、見知らぬ者や縄張りを侵す敵は、激しく吠えたてて威嚇し、それでも退かなければ噛みついて追い払う。

 目と目が合う。態度の一つ一つ、こちらを見上げる瞳の色、その全てが、これまでに見てきたトレーナーと信頼関係を築き上げたガーディたちのそれとそっくりだった。

 

「⋯⋯僕と一緒に来る?」

 

 一つ、モンスターボールを取り出してガーディの前に差し出す。するとガーディは一瞬の迷いも見せずにコクリと頷き――開口部のボタンに軽く触れた。赤と白のボールがパカリと開き、眩い光が溢れて全身を包み込んでいく。

 

「ジョーイさん、この子の性別は?」

 

「メスですが⋯⋯」

 

 少数の例外を除き、殆どのポケモンはオスとメスで姿が大きく変わることはない。ガーディの場合も見た目では性別を判断できず、また緊急事態のためポケモン図鑑などで確認する余裕もなかった。なので尋ねたわけだが――答えを聞いたハルトは「じゃあ――」としばし考える素振りを見せたあと、ボールの中のガーディに向かって優しく語りかけた。

 

「今日から君の名前はポプリだ。これからよろしくね――ポプリ」

 

「ガゥ!」

 

 モンスターボールの中にいる以上、聞こえるはずのない鳴き声――それでも確かにハルトには、ガーディ⋯⋯ポプリの喜びに満ちた響きが届いていた。

 

 ――ガーディが 手持ちに 加わった!

*1
【推奨BGM:暗中の呻吟 (Remastered)】あやかしランブル!より

*2
【推奨BGM:風の随に (Remastered)】あやかしランブル!より




名前 :ポプリ
性別 :メス
種族 :ガーディ
タイプ:ほのお
特性 :せいぎのこころ
持ち物:――
元ネタ:【再会のミネラルタウン】より『ポプリ』
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