武士娘転生 剣の聖地にTS転生した忠犬の奮闘記   作:斑模様のキャットフィッシュ

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暴走するルーデウス

────ルーデウス視点────

 

オルステッドに呼び出されてアリエルを王にしろと命令された時、俺は水神と北帝を殺そうと思った。

 

理由は多々あった。

あの老人に渡された日記の未来でアリエルを王にしようとしたシルフィがそいつらに殺された事、同じく日記の未来で北帝の毒を受けたエディトが片腕を失った事、ギレーヌがそんな奴らの潜むアスラ王国に仇討ちに行くと宣言してそれを聞いたエディトが頭を抱えていた事。

 

 

そして何よりオルステッドの出した命令がアリエルを王にする手助けで、水神と北帝は使徒かその手先として敵に回ると言う事だ。

ヒトガミは本気で俺達家族を破滅させるつもりだしアリエルもオルステッドも王座を諦める気がないと改めて理解できた。

どうしても敵になって俺の家族を傷つけるんだ、殺すしか、ない。

 

 

日記の未来でもそうだったようにアリエルはシルフィを連れていくだろう、シルフィを二度も裏切って隠し子までいた俺が反対した所でアリエルもシルフィも聞き入れてくれるはずがない、ぶっちゃけ今離婚されてないのが奇跡なぐらいだ。

ギレーヌも再会したその場で俺の息子を踏み潰しても許されるくらいには腹に据えかねてるだろうにエリスとエディトを迎え入れた一点で全てを飲み込んでくれた、そんなギレーヌにも復讐を諦めろだなんて言えるわけがない。

 

 

あの老人の話は他人事では済まされない。

彼が信用を裏切り続けたせいで見限られたように俺も十分に信用を失った、なんなら俺自身が一番自分への信用を失っているぐらいだ。

呪いのせいで何をしても疑われるオルステッドの指示だと話すのも良くない、俺は命令をもらったその日の内にアリエルの元に駆け込んで強引に協力を取り付けに行った。

最初から外出の目的がアリエルとの面談だったと思われるために。

 

 

 

(とにかく、全面的に協力する気だと思わせればいい。

幾ら俺が妊娠させた恋人と産まれた子供を4年間も認知せずになぁなぁで許して貰って三重婚したクソ野郎でも使い道があるなら連れて行ってくれるはずだ、多分。

エリスとシルフィだけ貸せって言われるかも知れないけど。)

 

シルフィもギレーヌも止められないのなら全員一纏めになって(ついでにエリスにも連れて行って)、大義名分がある内に今後も敵になりそうな奴らを殺してしまおう。

嘘はついていない、継承者争いでどうしてもシルフィが巻き込まれるならいっその事グレイラット家総出でアリエルを王にして後ろ盾になってもらいたいのは本心だ、オルステッドからの命令を丸々伏せているだけで。

2時間にも渡る必死の説得と戦力アピールのおかげで俺達グレイラット家の面子はアリエル達がアスラ王国を牛耳るまでの専属護衛に任命してもらえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ディ…ルディ……ちょっと、ルディ!」

 

「あぁ、ごめんなシルフィ、昨日のアリエル様との話でちょっと考え事してた。」

「それはいいけど…何かボクに言うことは無いの?」

 

「…んえ!?いや、もちろんシルフィには迷惑かけっぱなしで謝っても謝っても足りないのは重々…」

「そういうのじゃないってば!…もう、本当に分からないのルディ?

ハァ……、分かった。じゃあせめてエディトにはこれから何をしにいくのか話してあげて。

ボクにとってはアリエル様の邪魔をする敵だけど、エディトの知り合いなんでしょ?」

 

「…誰が?」

「水神と北帝でしょ!エリスから聞いてなかったの!?」

 

 

 

 

知り合いで…剣を、教わった…?未来のあの子は、俺のせいで顔見知りの大人達と殺し合う事になったのか……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「父様。シルフィ母様とエリス母様と一緒に、全員無事で帰ってきてください。家族みんなで待っていますから。」

 

 

エディトはあの時のギレーヌとの会話で全てを察して、覚悟を決めていた。

この子からすればエリスに肩身の狭い思いをさせる最低なハーレム野郎だろうにそれでも水神達より俺達の方が大事だと言い切って背中を押してくれたのだ。

この子があんな目に遭わされるような未来は、どんな手を使ってでも潰してみせる。

 

 

 

 

 

 

 

それからも俺はオルステッドの存在は伏せたままに行動を続けた。

ペルギウスの問いかけのヒント探しに図書迷宮を攻略したり、こっそりとオルステッドにヒントをもらいに行ったりと、あの手この手でアリエル達の出発準備を手伝う毎日は想像以上にキツいものだった。

図書迷宮の攻略ついでにエリスとギレーヌを紹介してエリスがルークに口説かれた時なんか、シルフィとエリスが先に殴ってくれなきゃ半殺しにしていた自信がある。

 

 

 

 

 

「待て、ルーデウス・グレイラット」

「どうされましたか、ペルギウス様?」

「貴様は…貴様とオルステッドは…一体何を企んでいる?

アリエル・アネモイ・アスラを傀儡にでもするつもりか?」

 

 

 

謁見の間での問答の後、ペルギウスがそんな事を問いかけてきた。

 

 

「傀儡になんてしませんよ。

アリエル様がシルフィを、俺の妻をどうしても戦いに巻き込むのなら側で守らせて欲しくて、アリエル様には手助けした分王様として還元して欲しいだけです。

オルステッド様に挑んだ時と同じで、俺は家族と友人達が守れるならどんな事だろうとします。」

「そうか…、相変わらず愚かな男だな貴様は。

だが、龍神に挑むような蛮勇よりはずっとマシだろう。」

 

 

 

そりゃあ愚かでしょうとも、無責任な事ばかりして信用を失ったのに、未だに嘘に嘘を重ねて人を殺す算段を立ててるんだから。

それでも、中途半端はもうやめにしたのだ。

 

 

「それではペルギウス様、アスラ王国ではよろしくお願いします。」

 

 

 

 

 

 

 

 

────???視点───

 

 

 

 

「だ、そうだ。

我もオルステッドの真意を探るために乗ってやったが、二度とこのようなくだらぬ事に力は使わん。」

 

「もちろんです、ありがとうございました。」

 

「……ふん、つくづく理解できんな。

ただ…いつまでもどちらにもつかぬまま、というわけにはいかんぞ。」




今回からルーデウス視点での王国編に入ります。
全体から見ればそこまで大筋は変わりませんが過程や順序は大分ガッツリとねじ曲がっていきます。
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